盛夏の映画の採点

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ショートターム/ウォールフラワー


 

見づらかったので、今回からBの色を変えますね.

B=黄色で自分の能が認識していたもので.

 

GODZILLA 星を喰うもの』

【採点】D

【監督】静野孔文瀬下寛之

【制作国/年】日本/2018年

【概要】ビルサルドの裏切りに遭い、ユウコは脳死状態に。ハルオの処罰が待たれる中、メトフィエスは着々と信者を増やしていた。ハルオが唐突に現地人の双子の少女の片割れとセックスする間、メトフィエスは「ギドラ」を呼び覚ます禁断の儀式を進め……。

【感想】

 CGアニメである事が裏目に出て映画史に残る退屈を刻んでしまった一作目や、メカゴジラは都市であったという斜め上の設定の特徴をただの落とし穴としてしか見せられなかった二作目の破壊的なしょぼさに比べると、ギドラのデザインは初めてCGアニメであることが活かせて、尚克つハルオの物語としてのラストシーンには微かなカタルシスが。今までで一番マシ。

 難解な語彙が多いので眩惑させられるけど、シリーズ通して『映像だけじゃよくわからないと思いますが皆さん、今は驚きの事態が起こっているんですよ』という言い訳みたいな説明台詞が大半なのがそもそも問題で(虚淵さんこのパターン本当多い)、説明なしでも驚けるようなことが画面上大して起こっていないのだ。アニメなのに。

 

モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ』

【採点】B

【監督】江崎慎平

【制作国/年】日本/2016年

【概要】「モンスト」のバトルに明け暮れる高校生のレンたち。異常事態発生により、物語は過去へ遡る。小学生のレンたちは怪しい研究所に迷い込み、ドラゴンを目撃する。失踪した考古学者の父がドラゴンを求めていたことから、レンは事件に深入りし、仲間たちと旅に出る。

【感想】

 『ストレンジャー・シングス』で世界に着火したかに見えたジュブナイルなノスタルジィブーム、日本からも何か出来ないものかと思っていたけど同時期にこういう作品があったのか。レンの気持ちにばかり寄り添うのでチーム物としての旅情には乏しいけど、東宝夏休み映画的な一定の満足感があった。

 

『ラストデイズ・オブ・アメリカンクライム』

【採点】D

【監督】オリヴィエ・メガトン

【制作国/年】アメリカ/2020年

【概要】近未来アメリカ。人間の脳にチップを埋め込み犯罪を無くす、そんなディストピア法の執行を目前に控えた荒れた国で、犯罪者フリックが--弟の仇討ち? カナダへの脱走? 運命の女との恋? 銀行強盗? あらすじがなんなのかよくわからない。

【感想】

 必ずしも明確なゴールや演出のメリハリを持たない自由で曖昧な大作が観れるのがネトフリオリジナルの面白さなので、こういう映画も大歓迎なんですけど、それはそれとして擁護するにはあまりに面白くなかった。特に前半の主人公とヒロインのラブシーン、一回でいいじゃんw 演出のチグハグさによってクスクス笑える部分は多い。オリヴィエ・メガトン監督、折角のチャレンジだったのにネクストステージへ行きそびれるどころか馬脚を現してしまったのつらい。

 

『泣きたい私は猫をかぶる』

【採点】B

【監督】佐藤順一/芝山智隆

【制作国/年】日本/2020年

【概要】同級生の日之出賢人に猛アタックを繰り返す無限大謎人間ムゲこと笹木美代。日之出に何度冷たくされてもめげないムゲには秘密があった。とある夜以来、ムゲはお面をかぶることで猫のタロウに変身し、そうと知らない日之出に可愛がられていたのだ。家では継母に作り笑顔でしか接せられないムゲは、いっそこのまま猫のままでいいと願い……。

【感想】

 スタジオコロリドの美しい作画世界で岡田麿理脚本の全力青春劇が一気呵成に突き進む前半一時間の充実感が素晴らしかった。そこからクライマックスにかけてどんどん蛇足感が増していくのは勿体ない。あるいはいきなり猫島篇に突入しても良かったのでは。新海誠×野田洋次郎の数倍コロリド×ヨルシカの組み合わせによるケミストリーは発明だと思った。志田未来の声優業は完全に安定の域。ところでこの監督×脚本の組み合わせ、担当回とは異なるとは言え『ARIA』のケットシー回を思い出します。

 

イコライザー2』

【採点】A

【監督】アントワン・フークワ

【制作国/年】アメリカ/2018年

【概要】タクシー運転手として生計を立てつつ、ひっそり自警活動を続けていたマッコール。読むべき本のリストも残り一冊。静かな生活は充実していたかに思えた矢先、旧友スーザンが暗殺される。誰か知らないがマッコールさんを怒らせたらただでは済まない。おあつらえ向きの嵐の日、迎え撃つ用意も周到に、奴らとの決戦が始まる。

【感想】

 雨降る夜という観賞環境が映画のクライマックスに臨場感を与える幸運なタイミング。続編なのに、金かけて嵐の街を演出してまで「敵はたった4人」というこの地味な規模感がたまらなくちょうど良かった。一作目より好きかも知れない。『ランボー ラスト・ブラッド』に見せて欲しかったのはこういう映画だったのかも知れないなぁ。

 

『Us アス』

【採点】B

【監督】ジョーダン・ピール

【制作国/年】アメリカ/2019年

【概要】アデレートは幼い頃、遊園地のミラーハウスで鏡の中の「もう1人の自分」に出会っていた。時は経ち、夫と2人の子供に恵まれたアデレートだったが、家族旅行であの遊園地があるサンタクルーズのビーチへ再び訪れることになる。怯えるアデレートの前に現われたのは、自分たち一家とそっくりの、赤い服着た4人の人間で……。

【感想】 

 ジョーダン・ピールって「とても上手くやってる松本人志」だと思うんですよね。松本がリスペクトしてたギャスパー・ノエもそうだけど、例えば本作ならベルイマンに目くばせをしたりどんなにシネフィルぶってみせても映画の活劇的興味よりも「アイデア」の具現化の方を優先している。自分はそこまで映画原理主義ではないので本作もシュールなコントの一篇として楽しみましたが、退屈と言われても否定できない。

 

『クロール ー凶暴領域ー』

【採点】A

【監督】アレクサンドル・アジャ

【制作国/年】アメリカ/2019年

【概要】大学で水泳に打ち込むもスカラシップを逃がしかけているヘイリー。地元に嵐が来るため、どうも旧家に向かったらしい父親を迎えにいく。自分に水泳しかないのも、今家族がバラバラなのも、あの父親のせいかも知れない。旧家の地下室で再開した父娘を、浸水とワニの二大ピンチが襲う。父娘はこの「ドン底」から脱出できるのか。

【感想】

 アジャの真価を『ヒルズ・オブ・アイズ』ぶりに観た気がする快作。バリー・ペッパーの主役級抜擢も嬉しい。『イコライザー2』と言い、嵐の中というシチュエーションは滾ります。どうしたって手作り感が表れるせいかも知れない。もしくは『フラッド』に植え付けられたフェティッシュ。限定空間での自在なアクション.素晴らしい。

 EDでSee you later alligatorがかかるジョークは『ゾンビーバー』オマージュです?

 

デス・ウィッシュ

【採点】C

【監督】イーライ・ロス

【制作国/年】アメリカ/2018年

【概要】『狼よさらば』から続くデス・ウィッシュシリーズのリメイク(『狼よさらば』がシリーズ作品だったとは知らなかった)。外科医のポール・カージーは、もうすぐ大学へ進学する娘との別れを惜しんでいた。しかしそんな一家を強盗が襲い、妻は殺され、娘も昏睡状態に。やり場のない感情に悶々とするカージーだったが、偶然出くわした悪党を痛めつけたことから正義の暴力の快楽に目ざめ、やがて復讐を決行する。

【感想】

 復讐へ向かう怒りも苦しみも嘆きも全部足りないからカタルシスが無い。ブルース・ウィリスがミスキャストだったのか……と思うけど別に『狼よさらば』だってチャールズ・ブロンソンそんな演技巧者かな?と考えると演出力の差。

 主演ニコラス・ケイジならありだったかも。それただの『ヴェンジェンス』だけど.一般人巻き込みまくりのトイレでの攻防、黒幕かと思わせただ兄思いの良い人だったヴィンセント・ドノフリオが良い味.

 これ脚本ジョー・カーナハンなんですよね。カーナハンの演出で観たかった。

 

『魂のゆくえ』

【採点】

【監督】ポール・シュレイダー

【制作国/年】アメリカ/2017年

【概要】小さな教会でシンプルな生活を過ごすトラー牧師は、妊娠した若い夫妻の相談を受ける。夫は地球の気候変動を憂う活動家で、この未来のない世界に子を産み落とすことに罪悪感を覚え中絶を願う。やがてトラー牧師の倫理観を何重にも揺さぶる出来事が続き、牧師は今この世界で生きる一人の人間としての己を見つめだす。

【感想】

 スタンダードサイズで質素な空間を切り取るシンプルさが、カメラが得てして豊かに切り取りがちなこの世界から本質の寂寥だけを切り取る。枠の外に神の存在を/枠の内に神の不在を証明する。ベルイマン『冬の光』の陰鬱さを現代のニューヨーク(とてもそうは見えない)に再現させて、私たち個人が余計な目眩ましなく社会や自身の諸問題と向き合うか合わざるべきかを突きつける、「個人的」な映画。大胆なラストを受け止め切れませんでした。映画に比べ自分がお子ちゃまだった。

 

チャイルド・プレイ('19)』

【採点】

【監督】ラース・クレヴバーグ

【制作国/年】アメリカ/2019年

【概要】リブート版チャイルド・プレイ。下請け工場で解雇を言い渡された工員が、子供たちの友達となるAI搭載型人形バディの一体からあらゆるリミッターを解除してしまう。バディは自分の主人アンディの心が自分から離れるに従って、リミッターの効かないままに暴走を始める。

【感想】

 オリジナル版の愛きょうが無くなった代わり設定としてはむしろ今までで一番合理的なのに、いきなりチャッキーと名乗って中途半端だったり、最初の殺人が猟奇的過ぎて段階を飛ばしてるようにも見えたり(チャッキーが『悪魔のいけにえ2』の影響受けてるのは笑かす)、挙げ句クライマックスのスーパーへのブツ切りのような繋ぎ。どの方向性でも傑作になり得たのに、「スタジオが編集に口出しした痕跡」が透けて見えてしまって、ホラーとは別の意味で居心地が悪い。

 『アトランタ』のペーパー・ボーイが刑事役で登場。キース・スタンフィールド同様今後大量に出演作が待機中らしく、『アトランタ』の余波を知る。

 

『オールドガード』

【採点】

【監督】ジーナ・プリンス=バイスウッド

【制作国/年】アメリカ/2020年

【概要】女戦士アンドロマケを筆頭とする少数精鋭の不死身の軍団オールドガード。新たに米軍の女性隊員ナイルが己の体の不死性に目ざめ、その仲間に加えようとする。一方、オールドガードの力をなんとか借りたい元CIAのコプリーは製薬会社CEOメリックに手を貸してしまう。実験目的のメリックの狂気がオールドガードに向けられ……。

【感想】

 アクション映画としては非常に緩いのだけど、長寿故の苦しみや歴史との関与が次々羅列されて、伝奇的な、いやハッキリ言う、FGO的な設定の魅力は抗いがたい作品。露骨にクリフハンガーで終わるので是非とも続編見たいところ。一番の見所はエンドロール。

 

『ラ・ヨローナ~泣く女~』

【採点】

【監督】マイケル・チャベス

【制作国/年】アメリカ/2019年

【概要】『死霊館』ユニバースの一本。1973年、L.A。ソーシャルワーカーのアンナは、母親によって監禁されている児童二名を開放する。しかし、その子供たちが揃って溺死する事件が発生。母親はアンナを「人殺し、お前のせいだ」と罵り、アンナの子供たちのもとに奇妙な泣き声と共に白い女が現われ始める。

【感想】

 基本「そっちかと思ったらこっち」パターンがメインでジャンプスケア演出が次々起こり、本家『死霊館』ほど凝り過ぎない(ビニール傘の演出は良かった)。ただサービス精神豊富ゆえに、「そんなあの手この手使ってる割りに子供たちに手を出すの遅いなラ・ヨローナ……有色人種の子供はすぐ殺したくせに」と、久々にハリウッドの欺瞞を嗅いでしまった。アンナ、一言くらいパトリシアに謝ったら? パトリシアはお前のせいで子供たち殺されてんだぞ? 主人公のことが好きになれないと辛いよねという話。

 『アナベル 死霊館の人形』のペレス神父再登場。そして終盤急に登場する強キャラ、ラファエル神父が良い。戦闘能力高そう。今後ユニバースで活躍するんじゃないだろうか。

 

『トリプル・フロンティア』

【採点】A

【監督】J・C・チャンダー

【制作国/年】アメリカ/2019年

【概要】民間軍事会社のポープは、かつてデルタフォースに所属していた仲間たちにコロンビアの麻薬王邸急襲、そして隠し資金の横領を持ちかける。人生に光を見失いかけていた男たち5人は作戦を決行するが、事態は予想外の方向へ。

【感想】

 序盤の坂道を使った追跡劇の勾配の捉え方、伝わる役者の息切れに「これは腕のある監督だ」と構えるも、しばしどういう方向性なのかわからない。やがて金に目が眩んだ男たちのはしゃぎようで、「あぁ、これは…」とジャンルが見えてくる。演出の映画。非常にお気に入りです。

 

『ホワイト・ボイス』

【採点】A

【監督】ブーツ・ライリー

【制作国/年】アメリカ/2018年

【概要】HIPHOPバンドThe Coupのリーダー、ブーツ・ライリーの長年温めていた脚本による監督デビュー作。カリフォルニア州オークランドを舞台に、「白人の声」を使いテレアポでサクセスする貧乏黒人と、進む格差社会の中で起こる暴動を、ナンセンスな笑いで気だるく綴る。

【感想】

 キース・スタンフィールドが主演というのもあって『アトランタ』以降だからこそ成立するような内容、かつ今日の世界の運動とも繋がっているので、これは作られるべくして作られた映画だ、という感動があった。しかしそのシリアスな核の部分を、この上なくふざけたギミックで笑いに変えている為、まったく肩肘張らずに見れる。

 久しぶりに新鮮な感触の映画と出会えた。

 

『見えない目撃者』

【採点】A

【監督】森淳一

【制作国/年】日本/2019年

【概要】韓国映画『ブラインド』の日本版リメイク。警察学校の卒業を控えたなつめは交通事故に遭い、弟と視力を失う。その数年後、盲者として暮らすなつめの目の前で誘拐事件が発生する。半信半疑の警察や、もう一人の目撃者であるスケボー少年と捜査を進めるなつめだが、次第に猟奇的な事件の全容が露わになり……。

【感想】

 先に見た中国版リメイクがポップな余韻へ至ったのと真逆の、凄惨かつ硬質なサスペンス。いかにも邦画的な鈍重な芝居や説明的な台詞もあるのだけど、それらが全部終幕へと効果的に繋がっていくので感動してしまった。犯人の陰惨な儀式が犯人へのトドメの一撃のカタルシスに繋がったり、全編を覆う苦しさが主人公の一言の為に機能したり。見終わると勇気さえ沸くのだから、これは良作。

 

『ドゥ・ザ・ライトシング』

【採点】

【監督】スパイク・リー

【制作国/年】アメリカ/1989年

【概要】ニューヨーク・ブルックリンの一角。黒人街に佇むイタリア人父子によるピザ屋。その店員ムーキーの姿を中心に、周辺に暮らす貧しく傲慢な黒人たち、なあなあで全て見過ごす警察、そしてイタリア人店主の矜持などがユーモラスに綴られる。しかしその微妙な均衡は、ある日呆気なく崩れ去ってしまう。

【感想】

 発言のストレートさに反して複雑な映画の多いスパイク・リーの代表作。前半の「ここには全てがあるんだ」と言わんばかりの、老若男女溢れるストリートの日常描写の多幸感が既に一本の傑作分の満足度があり、その調和が崩れるクライマックスの「一体これをどんな気持ちで見ればいいんだ?」という複雑性に前半と正反対の質の充実がある。

 しかしこれを今の日本人が見ても(お前も日本人だろというツッコミはさておき)「やっぱり黒人は乱暴だ」の一言で一蹴されてしまいそうな怖さも感じる。『サマー・オブ・サム』の混沌、暑さに浮かれて狂う人々は本作の系譜だったのか。

 若きサミュエル・L・ジャクソンがストリートと一線を画すラジオブースの向こう側で「DJ」を演じているのも趣き深い。

 

モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ』

【採点】C

【監督】錦織博

【制作国/年】日本/2018年

【概要】13年前、いきなり東京の一部が分離し、宙に浮かんだ。空の「旧東京」と地上の「新東京」に別れた時代。新東京で暮らすカナタは、死に別れたと思っていた母が13年前からずっと旧東京にいること、そして跋扈するモンスターの存在を知らされ、ストライカーと名乗る少女ソラ達と共に冒険の旅に出る。

【感想】

 オレンジのCGアニメの堂々とした質感、肉体と色彩のくっきりとした印象が、東京の実在の土地を舞台に派手なアクションを展開すると、広瀬アリスの棒読みはさておいて目に愉しい。出来れば終盤お決まりの収束に向かわせず、実写ではなかなか出来ない東京のあちらこちらでのアクションをもっと見ていたかった。地下鉄バトルで地下鉄そのものが龍のように動いて襲い掛かってくるシーンは、数多の映画の中でも初めて見たと思う。

 

『ショート・ターム』

【採点】

【監督】デスティン・ダニエル・クレットン

【制作国/年】アメリカ/2013年

【概要】問題を抱えた10代の少年少女を擁護するグループホーム『ショートターム12』を舞台に、施設のケアマネージャーのカップルに降りそそいだとある難題と、様々な心の葛藤を抱えた子供たちの息苦しさが淡々と、しかし真に迫る切実さで描かれる。

【感想】

 この一年で誇張抜きに死ぬほど見たキース・スタンフィールドの出世作。主演はブリー・ラーソンで、ラミ・マレックまでいる豪華な低予算映画。キース演じる、年齢制限のせいでもう施設を出ないといけない少年が歌うこのフレーズが全て。

「普通の人生が生きたかった、普通の人生が生きたかった、普通の人生が生きたかった、普通の人生が生きたかった……」

 どうかこの痛みを知って欲しい、これ以上は押しつけないから。こういう子たちがいると知って欲しい。そんな、実体験を基に本作を制作した監督の想いが伝わってくる。

 

『プロジェクト・パワー』

【採点】

【監督】アリエル・シュルマン、ヘンリー・ジュースト

【制作国/年】アメリカ/2020年

【概要】その謎の薬「プロジェクト・パワー」を使えば5分間だけ超人能力を使えるか、体内が発火して爆死する。そんな秘薬を巡り、誘拐された娘を探す元兵士アートは暴力によって、街の異変に立ち上がる警官フランクは合法的に、ニューオリンズの街を駆け回る。やがて二人は同じ少女ロビンに辿り付き……。

【感想】

 『ラストデイズ・オブ・アメリカンクライム』と微妙に被ってるし、設定もアクションもルックもまるで新味に欠ける退屈な映画である一方、このテのヒロインとしては珍しい太った黒人の貧乏で犯罪者でもある少女ロビンをエンパワーメントしようという裏テーマがラストのラストで明確に浮き上がり、そう思って振り返ると贔屓したくなる作品。「この映画を見て鼓舞される観客は確実にいるだろう」という確信を持てることはそう多くない。良いことだ。

 

『ウォールフラワー』

【採点】

【監督】スティーブン・チョボスキー

【制作国/年】アメリカ/2012年

【概要】ベストセラー小説を原作者自ら映画化。いつも誰かわからない「ともだち」に向けて手紙を書いている、高校で友達のいない「ウォールフラワー(壁の花)」くんことチャーリー。「でもお姉ちゃんいるし…」と思ってたけど、姉にも一緒にいることを嫌がられてしまい、学食で一人で過ごすみじめな日々が続く。けれどある日、少しの勇気を出して話しかけた先輩パトリックと、パトリックの義理の妹サムと出会えたことで、彼の青春はめまぐるしく色を変えていく。

【感想】

 これぞ青春映画というベタを繊細で優しい人間観察で我がことのように感じさせてくれる愛おしい作品。でもそれだけで終わらない哀しみにも最後には触れていく。エマ・ワトソン(吹替え藤井ゆきよ様とのことで、吹替え版も見たい)とエズラ・ミラーというハリポタユニバースの共演にもワクワク。