アニメ映画の採点 その3

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アニメ映画の採点第3弾です。

採点は目安で適当ですが、あくまでこのアニメ映画の採点シリーズ内での相対的評価で、一般映画へのそれとは別物です。

基本、見ている最中に採点とかしませんしね。

 

 『写眞館』

【採点】C

【監督】なかむらたかし

【制作国/年】日本/2013年

【概要】初期スタジオコロリドの手掛けた短編。戦前から戦後にかけて、東京の丘の上の写眞館を営む主人と、その客である笑わない少女。二人の半生を台詞なしで綴る。

【感想】

 木村真二の美術が光る美しい作画でたゆたうように月日は過ぎていく。その様が叙情を煽るが、意外と中身が無いというか。例えば戦前の新聞に日韓併合の文字があり、戦争や震災も経るのに、そうした時代の趨勢には敢えて一切言及せず淡々と街の片隅で生きた市井の人々を綴ります、みたいな美学がもう食傷気味。「物言わない」ということをあまり良いとは思えなくなってきた今日この頃。

 

陽なたのアオシグレ

【採点】B

【監督】石田祐康

【制作国/年】日本/2013年

【概要】『写眞館』と同時上映されたコロリドの短編。同級生の少女シグレちゃんに恋する少年陽向。シグレとの距離を少しずつ縮めるが、別れの時が来てしまい…?

【感想】

 ショートショート『フミコの告白』の勢いを男女逆転させて少し拡大しただけなのだけれど、やはりラストスパートのアニメの勢いは楽しい。ただスカートのくだりとかシグレのあまりに一方的に理想を押しつけられたキャラ性とか、2013年の作品としても古臭いと感じて乗り切れなかった。

 

Fate/Kaleid liner Prisma☆Illya プリズマ☆ファンタズム』

【採点】C

【監督】大沼心

【制作国/年】日本/2019年

【概要】『プリズマ☆イリヤ』のパロディOVA。ラーメン屋店主・言峰は祭りの予感を感じていた。一方、本編では過去篇で退場している平行世界冬木市のアサシンカードを使った「桜の兄」は、桜からの糾弾を受け手に職をつけるべく冬木市の人々の間を巡る羽目に。更に一方、マジカルルビーは凛ではなくイリヤの友人たちを魔法少女に変えるパラレル展開を大量生産していた。

【感想】

 プリヤ劇場版でありながらイリヤが最後の1シーンしか出てこない『雪下の誓い』に続き、またしてもイリヤの出番は僅かで神父と慎二がメインという横暴。意外とちゃんとオチをつけたラストのダジャレは嫌いじゃないのだけど、昨年末に『Fate/Grand Carnival』を目撃した後だと内輪受けギャグをやり切るだけのテンションが欠けてる印象。時に勢いは大事。

 

『劇場版 生徒会役員共

【採点】

【監督】金澤洪充

【制作国/年】日本/2017年

【概要】男子に対して女子の数が圧倒的に多い桜才学園の生徒会。隙あらば猥談に走る生徒会長天草シノ、書記七条アリア、会計萩村スズに囲まれて、副会長津田タカトシは今日もツッコミに忙しい。桜才学園に新たに赴任してきた教師・小山はシノの小学校時代の教育実習生であり、就任早々下ネタの嵐に巻き込まれていく。

【感想】

 最近マガジンを二ヵ月間だけ購読してみて初めて『生徒会役員共』にも触れたのだけどどうにも笑いのツボが合わず、そんな笑いのツボの合わない四コマを60分間アニメで見せられると結構な苦行で逆に新鮮な体験だった。四コマを四コマの体感速度のまま60分映像化するとそこいらの二時間の映画より長く感じます。

 この内容なのにGoHandsの映像美が主張してきて画面が無意味にギラつくのも気持ち悪くて笑ってしまう。

 

『映画 かいけつゾロリ うちゅうの勇者たち』

【採点】B

【監督】岩崎知子

【制作国/年】日本/2015年

【概要】ゾロリ、イシシ、ノシシが頑張って早口で流れ星に願い事を唱えていると、隕石が落ちて来た! 海底に沈んだ隕石で金儲けを企むゾロリだったが、イシシとノシシのオナラの力で海底から一気に宇宙のムムーン星まで飛んでしまう。そこでクララ姫に一目惚れしたゾロリは怪獣退治に力を貸すことになり…

【感想】

 脚本クレジット「岡田麿里小柳啓伍・和場明子」に加えてゲスト声優茅野愛衣でどこのP.A.WORKSかと思った、初めて見た『かいけつゾロリ』。漠然と劇場版コナンみたいに劇中でクイズが出されたりするのかと思いきや、割りと早々に小さな謎が小出しにされては解決していく。それでも僅か50分のストーリーの中、宇宙への「行って/帰る」の折り返しをちょうど真ん中くらいで行い、そしてトータルとしてのタネ明かしが最後に行われる綺麗な構成。序盤の展開の尋常じゃない速さ、『ファントム・メナス』と『千と千尋の神隠し』を合体させちゃったような珍場面等、想像以上に鑑賞後感が良かった拾いモノ。

 

『映画 かいけつゾロリ ZZのひみつ』

【採点】A

【監督】藤森雅也

【製作国/年】日本/2017年

【概要】ドーナツシティへ立ち寄ったゾロリたち。明日行われるドーナツ店のドーナツ無料サービスに並ぶため、空飛ぶ機械「ゾロリアン」の目覚まし機能にイシシとノシシのオナラをセット。しかしゾロリアンは時空の歪みへワープしてしまう。降り立った郷愁漂う町。そこで出会った「運命の人」ゾロリーヌの正体は、ゾロリの母であった…

【感想】

 藤森雅也監督×吉田玲子脚本。たしかにキッズアニメの傑作が生み出されそうな座組だけれど、本当に傑作で吃驚した。話は露骨に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』なのだけれど、いつも亡くなった母を思うゾロリの物語の中に実際に生前の母を出してしまうという挑戦をスムーズに展開。そして謂わばオトナ帝国である(にしても今の子供に見せるには古すぎないかw)昭和ノスタルジーな世界をちゃんと冒険の舞台としてあの手この手でワクワクする画面に仕立てる職人芸。ゾロリを見たのはこの記事内の映画で初めてなのだけれど、それでも「超長期シリーズの根幹に関わるストーリーをやりきった」ことはハッキリ伝わり、「タイトルそのものに堂々と隠された秘密」が明らかになり、そしてその秘密が消え去る瞬間があまりに鮮やか。

 それは映画じゃなきゃ表現できない瞬間。アニメじゃ表現できないはずの「記録された時間」が捉えられたように錯覚する、名シーンだったと思う。

 

『まじめにふまじめ かいけつゾロリ なぞのお宝大さくせん』

【採点】

【監督】亀垣一

【制作国/年】日本/2006年

【概要】自分の城とお嫁さんを手に入れる。相も変わらずの夢をうたた寝しながら見ていたゾロリの快眠を打ち破り、突如少女と海賊の追いかけっこがゾロリを巻き込んで始まる。海賊タイガーの目当ては少女テイルがありかのヒントを知る宝。これは夢を叶える大チャンス。ゾロリはお宝探しの冒険に出る。一方、部下を募るタイガーの前にはケロロ軍曹が現れるが、大して使えないのでスルーするのであった。

【感想】

 岡田麿里さんが「困った時の速筆屋」として有名になった、超短期間で仕上げたとされる逸話のあるゾロリの作品がこれって事なのだろうか。違うかもしれない。昔はよく見た記述だけどいつのまにかネットで見なくなったな。

 『グレンラガン』より前の作品なのにグレンラガン初期みたいな、パロディ! アクション! メタ! のつるべ打ち。スピード感重視で仕上げましたって感じの勢い任せの脚本(でも見せ場が途切れない巧みさ)なのに、作画は遊びまくってるし、アドベンチャーなのでどんな作画の冒険も独りよがりにならず流れに寄与する。

 自分が知ってる『ゾロリ』はこの映画3本だけなのですが、全部面白いっていうのはすごい。

 

『HUMAN LOST 人間失格

【採点】D

【監督】木崎文智

【制作国/年】日本/2019年

【概要】医療革命を成し遂げた昭和111年の日本。インサイドで暮らす富裕層が120歳の寿命突破を迎える人々を祝う「合格式」が近付く一方、貧民層は汚染された大気の中で国民健康保証機関「SHELL」の監視下のもと窮屈な暮らしを強いられていた。

 下宿先のマダムに甘え、何もせず死んだように絵を描き続けていた葉蔵は、暴走族の友人がSHELLに反旗を翻して死んだこと、SHELLの幹部である美子との出会い、そして自らが人ではない「ロスト体」に変質したことをきっかけに、社会の変革を巡る戦いの渦に巻き込まれていく。

【感想】

  いつもどうにも無機質過ぎるポリゴンピクチャーズのアニメとして見ると、アニゴジから比べ遥かにテクスチャーに質感があり、特にマダムのバーや葉蔵の部屋が新鮮で、着実にCGアニメも進化してるんだなぁというリアルタイムの感動がある。

 ただ話が…どんなに原作のフレーズを弄ったところで、原作のテーマをまったく描いていないので、どこまでいっても『人間失格』にはならない。冲方丁さんはもっと自分をさらけ出すべきだった。あるでしょう思い当たるところ。乱歩の面白さをまったく理解していない人たちが作ったとしか思えない『乱歩奇譚』と同じ轍を踏んでしまっている。

 じゃあ太宰から離れた一本の話として面白いかと言えば、全然魅力の描かれない主人公が、観念的で実感の沸かないSFテーマに振り回され嘆いてるだけの話になんの面白さも見出せず。

 

『音楽』

【採点】B

【監督】岩井澤健治

【制作国/年】日本/2020年

【概要】他校の不良からも一目置かれる不良の研二は気紛れな性格。重なった偶然に流されるまま友人の太田、朝倉とバンドを組んでみる。ギター不在のスリーピースで初めて音を出した時、音楽の快楽が三人を直撃。バンド名を「古武術」に決めるが、同じ学校に既に「古美術」なるバンドが存在しており…

【感想】

 岩井澤健治監督が脚本、絵コンテ、キャラクターデザイン、作画・美術監督、編集を担当し、7年の時間を費やして完成させた意欲作。ただ本作素晴らしいのは映像の緻密さや派手さでは雲泥の差である『HUMAN LOST 人間失格』の後で見ても圧倒的に「映画だ」と思わせる「間」の取り方だと思う。アニメだからいくらでも調整出来そうな「間」が本作のシンプルな線や主演のゆら帝・坂本慎一郎ら非職業声優の不安定な演技と相俟って、まるで実写のような緊張感でそこに創出され、その延長上で「音が鳴る」瞬間のアニメーションの歪みが快楽に繋がる。

 ただあまりに「いつの何?」ってなる時代背景の判らなさのせいかイマイチのめり込めず(80年代?)、サブカル的な甘えをもう少し脱臭して欲しかった。

 

『劇場版 ハイスクール・フリート

【採点】C

【監督】信田ユウ・中川淳

【制作国/年】日本/2020年

【概要】国土が水没した日本。海を守る「ブルー・マーメイド」となった明乃たちは航洋艦晴風」に乗ってかつてのライバル達と遊戯会を満喫し、迷い込んだ異国の少女スーザンと親しくなっていた。しかしそこへ海賊が襲撃。日本政府からの圧もかかり、ブルー・マーメイドはいよいよ実戦に投入される--

【感想】

 未だに偽のタイトルだった『はいふり』の方が定着してしまっている失策くらいしかTVシリーズの知識が無い身としてはひたすら散漫な前半が辛く、比較すると集合の過程をこそそのまま見せ場にしたストパンや、とりあえず冒頭でハッタリ効かせたガルパンの「劇場版」への覚悟を感じる。

 ガルパンが「戦車なのに立体的バトル」の意外性で魅せたように、本作も終盤「戦艦なのに屋内バトル」という意表を突くビジュアル(見ればわかる)でなかなか楽しませるので見て損はなかった。せっかく面白くなりそうな中盤の白兵戦が妙に間延びしていて、公開時はここで作画崩れてたのかな~と邪推。タイムを測り切れていないような奇妙な場面だった。

 

『銀幕 ヘタリア Axis Powers Paint White』

【採点】E

【監督】ボブ白畑

【制作国/年】日本/2010年

【概要】宇宙からピクト星人がやってきた。動くピクトグラムのような奴らは人類を「のっぺら」に変えてしまう。これに抵抗するため世界各国は力を合わせ、腹の底では侮蔑し合いながら立ち上がる。戦うのではなく「おもてなし」してはどうか?という日本の提案に乗っかり、世界各国のおもてなし合戦が始まるが…?

【感想】

 10年ぶりに触れても、Twitterまとめサイトレベルのネタで世界を擬人化し、日本の扱い一つとってもさしたる批評精神も持ち合わせてないことが丸わかりの内容に頭痛を覚える。オタクの悪いところが全てギュッと詰まったようなコンテンツ。

 そんな感じでヘタリアのことは心の底からバカにしているのだけど、私見抜きにしても「棒人間みたいな宇宙人と戦うネタ」で80分、合間に脈絡のないショートコント。普通につまんない。ショートショートは見やすいようで、合わないと終わらない地獄と化す諸刃の剣。60分の『劇場版 生徒会役員共』でもだいぶ長く感じたのに。

 

『劇場版 新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X』

【採点】B

【監督】池添隆博

【制作国/年】日本/2019年

【概要】雪山へ遊びに来たハヤト達は、そこで友人の発音ミクが巨大怪物体ゴジラと戦闘している場面に巻き込まれる。戦闘の最中、ハヤトと父ホクトは光の粒子の向こう側へ消えてしまう。そこでハヤトが見たのは、かつて夢で出会った第三新東京市碇シンジや洞木三姉妹。あれは夢じゃなかった? なんとか現実に帰還するハヤトだったが、父ホクトが9歳の姿になってしまっていた…

【感想】

 パロディを淡々と繰り出すので笑うに笑いきれずモヤモヤする演出は微妙なのだけど、仕掛けの量で自然と乗せられてしまう。家族連れで見に来た観客に対して、「父親が一番幼くなったら」という話を繰り出す事そのものが面白かったし、余韻にはSFだけがもたらせる思考の遊びがあった。映画はそうやって日常に少し新しい視点を与えるもの、と子供たちが感じられることが一番良い。

 

薄暮

【採点】B

【監督】山本寛

【制作国/年】日本/2019年

【概要】福島県いわき市。今もテレビでは放射線測定数値が報じられる地帯。部活の弦楽四重奏に参加しながら、漫然と毎日を生きていた女子高生の佐智。かつてのトラウマも癒えてきた日々の中、避難地域から訪れた男の子・祐介と出会い、次第に惹かれていく。なんとか彼の心を繋ぎ止めたい。佐智の心にようやく芽生えた衝動は、演奏会本番当日を迎える。

【感想】

 復興地域の些細な日常を描きながら、涙の消えた少女に再び涙が戻るまでを描く。古巣京アニ『ユーフォ』へのアンサーなのか、美麗な背景美術に過剰な撮影処理を施さず(高校生がいきなりエリック・ロメールに言及してギョッとする場面は一手間加わってそうだけれど)、その美しさのまま絵がたたずむところに演奏が乗るというシンプルな感動を狙う。

 無駄に静止画が挟まってるように見えたり、単純にキャラの芝居があまり巧くいってなかったり(WAGの弱点再び)、アニメとしての快楽は弱いと感じたし、地味なところを攻めるからこそそこはより詰めて欲しかったとも思うのだけれど、それよりヤマカンの脚本が良かったのが意外。

 あえて本筋に震災を絡めず(でも震災抜きではありえなかった補助線がある)、シンプルに「今まで恋愛に興味無かったけどこの男の子絶対離したくない彼氏にしたい欲が出た」というだけの少女の心の機微を、観察するようにそっと窺ってる。音楽が生じる瞬間の魅惑は『音楽』の方が上回ってしまうけれど、自分はそこに至る下地の方を大事にしたいので、本作の方が好きだ。

 

機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅴ 激突 ルウム会戦』

【採点】B

【監督】安彦良和・今西隆志

【制作国/年】日本/2017年

【概要】U.C0079。ジオンはコロニー落としを遂行し、地球人類の半数を虐殺。ザビ家もまたギレンのしでかしたその想像を絶する凶事に混乱を来す。その余波はサイド7で暮らすアムロやサイド5で暮らすセイラの元にも確実に忍び寄っていた。一方、ジオンのやり方についていけずコロニー落としに不参加だったランバ・ラルはクラブ・エデンで酔いつぶれていた…

【感想】

 芝居の大仰さが止まらず、ドズルの場面だけでもおなかいっぱいだったのに無意味に黒い三連星まで大芝居を打つ場面でゲップが出そうになる。1シークエンスごとの強度が、起こることの大小に関わらず一貫して高いのは凄い。コロニー落としだけでなく、オリジナルのカップルを登場させてジオンの毒ガス攻撃で殺すという辺りに、ガンダムを援用するオタクたちの「正義の反対はまた正義なのだフンス」みたいな態度に激しく釘を刺す。セイラさんが連邦側の悪党共をぶっ殺す見せ場が楽しい。ちょくちょく西部劇的な魅力を挟んでくるオリジン。ハモンさんが長々とクラブで歌う場面も「なんなんだw」とは思うけどやはりシークエンスとしての強度が高い。

 

機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅵ 誕生 赤い彗星

【採点】B

【監督】安彦良和・今西隆志

【制作国/年】日本/2018年

【概要】コロニー落としの余波は開戦への熱を帯び、ついにサイド5・ルウムにて激突する。ヨハン・イブラヒム・レビルが指揮する連邦艦隊はジオン軍を追い詰めるが、ジオンは虎の子「モビルスーツ」をシャアの陣頭指揮により発進。MSの圧倒的機動性により連邦艦隊は次々撃沈。レビルは追い詰められ、捕虜として収容される。しかし、そんなレビルの前に現れたジオン公国国王であるデギンは、とある嘆願をする、

【感想】

  かくして一年戦争の幕開け。後のホワイトベースクルーそれぞれの点描も重なり、『機動戦士ガンダム』の直前で話は終わる。大仰過ぎる芝居が変な間を生んでいることも今回ばかりはレビル、デギンの思惑の交錯を描くのに一定の緊迫感を与えている。前回に続きイキリ不良時代のカイが可愛い。レビルの言い分もわかるしデギンの言い分もわかる。それがすれ違うのもわかってしまう。人間は愚か。(いやデギンだってお前地球人口半分滅ぼした国がそれ言ってもさ…)。ジオンの人間全体的に抽象的な観念に寄りすぎてるので、理想を語っても周りに追従されづらい問題。そりゃシャアからすればつけいり放題ですよ。

 シリーズ初期ではキャスバルに感情移入させながら、もはや完全に「何考えてるかわからない赤い彗星シャア」が完成しているのも面白い。しかし冒頭のCG艦隊戦、ザクがいない場面つまらなかったな…

 オリジンのアニメはここまでで良かったと思う。サンダーボルトはまだまだ観たいが。安彦先生の次のアニメも観てみたいです。

 

『劇場版 マジェスティック・プリンス 覚醒の遺伝子』

【採点】B

【監督】元永慶太郎

【制作国/年】日本/2016年

【概要】いよいよウルガルとの最終決戦に勝利するチーム・ラビッツ。しかしイズルが重傷を負い昏睡状態となってしまう。ウルガルの意思を継ぐディオルナが残存戦力を引き連れて地球へと侵攻。狙いはグランツェーレ学園の地下に眠る「遺伝子」。学園から新たに参戦するラビッツの後輩、チーム・フォーンも苦戦を強いられる。果たしてリーダー不在のラビッツは、地球を守りきれるのか。

【感想】

 TVシリーズの時点で保守的で生ぬるい空気と寒いユーモアがキツくって全然ザンネン5を応援する気になれなかったので今回も話にはまったく乗れなかった、基本「not for me」ではあったんですけど、それはそれとしてオレンジのCGメカアクションが素晴らしい。モンスト劇場版でもそうだったけど、変にごちゃごちゃせず「塊」としての物体が、非常にカラフルな色づけで縦横無尽に動きまくる。「シン・エヴァ」よりよほどロボットアクションの魅力を魅せてくれた。あと戦闘中の掛け合いはやっぱり楽しい。

 

好きになるその瞬間を。告白実行委員会~』

【採点】B

【監督】柳沢テツヤ

【制作国/年】日本/2016年

【概要】HoneyWorksの楽曲に合わせて高校生達の恋愛模様を綴るシリーズ第二弾。中学生の瀬戸口雛は、勘違いから詰め寄ってしまった中性的な先輩、綾瀬恋雪に片思い。やがて恋雪を追って高校受験に成功するも、さしたる接点もないまま時間だけが過ぎていく。やがて恋雪の卒業の時は迫り……

【感想】

 AJでオールスターキャスト登壇のイベントを見たあとシリーズ第一弾は劇場で鑑賞したのだけれど、ちょっとおじさんついてけませんね状態で距離を置いていたタイトル。二作目で作り手も馴染んできたのか、一気に見やすくなっていた。楽曲の使い方がミュージカル的で、一瞬で何年も過ぎたりする。どんな軽い少女漫画に見えても、彼女たちの数年間は重く長い。そしてその間に好きな人と交わせる言葉は一つ二つ、というのも意外と地に足が着いている。なるほど麻倉ももさんの声可愛い。

 

『劇場版 弱虫ペダル

【採点】B

【監督】鍋島修長沼範裕

【制作国/年】日本/2015年

【概要】インターハイ総合優勝を掴んだ千葉総北高校自転車部。続いて日本中からライバルが集まる「熊本火の国やまなみレース」に参加することになる。しかし、そこに巻島先輩の姿は無かった。イギリス行きを決意した巻島不在でのレース。それはチーム総北にとっても、ライバルの箱根学園にとっても特別な試合を意味していた。

【感想】

 映画らしい画面になっているかというと前半は弱いし、CGがハッキリ浮いているし、ヒメヒメの場面もっと面白く演出出来たでしょうとか全然昇華しきれていない部分も多いのだけれど、なにせ普段のTVシリーズが1分を30分に引き延ばすような作りをしている為に、わずか90分で次々試合の結果が刻まれていく弱ペダ、というのが新鮮だった。

 

ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』

【採点】D

【監督】山崎貴・八木竜一・花房真

【制作国/年】日本/2019年

【概要】『ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁』のストーリーがダイジェストで展開していく。主人公リュカは魔王ゲマによって父パパスを喪い、母マーサを囚われる。成長して冒険の旅に出るも、天空の剣を抜く勇者の資格は無かった。それでも苦難を乗り越え、やがてフローラとビアンカ、どちらと結婚するかという究極の選択を迫られる。

【感想】

 酷評されてるラストのアイデアそのものは、今まで誰もやったことが無い観客を巻き込む仕掛けが含まれているので大いにアリだと思う。CGアニメとしても、お馴染みのモンスターとお馴染みの魔法で戦う場面は非常に楽しいし新鮮。

 それでも。

 あまりに話の運びが酷い。「この場面をやりたい」という場面をまず箇条書きにして……終わり。そこをどう有機的にアニメーションで繋げていくかという工夫の余地が見えないし、台詞も酷い。ただ展開の羅列。ピクサーやディズニーから盗めるものなど無数にあるのに、いつもガワばかり盗んで細かい本当の技術は盗まない(勉強しようとしない)山崎貴の不誠実さが如実に表れてしまった。

 

『あるゾンビ少女の災難』

【採点】D

【監督】岩見英明

【制作国/年】日本/2018年

【概要】スプラッターコメディ(?)。夏休み。人気の少ない夜の大学に、オカルト研究会のメンバーが集まっていた。この大学に眠る埋蔵金を探すという名目だが、ある企みを持った鴨志田は大学に眠るミイラから石を取り出す。やがてミイラとそのお付き、二人のゾンビ少女が目覚め、石を取り戻すために殺戮を開始する。

【感想】

 ビックリした。このアニメの企画知ったの相当昔だし(特報は8年前に出来てる)、なんならアニメーションや作画の出来はそれよりもさらに10年か20年くらい古いレベルなのに、配信されたの2018年だって。裏で何があったんだ。

 早見沙織小倉唯のゾンビ少女が目覚め、その怪力によって夜の大学で学生たちを惨殺していくといういかにもジャンル物な面白さで満ちたフォーマットなのに、とにかく演出がダルいというか恐らく作業現場全体への意思疎通が成されていない為に、ジャンルさえ不在でただ淡々とはやみん萌え台詞を発し、グロい死体が増えていく。そう書くと面白がれる内容ではあるんだけど、「面白がれる」ことと「面白い」ことは別だと思うので、素直に勿体ないという気持ちが勝つ。

 でも、こうしてラノベ一冊を単発アニメとして映像化していくスタイル、有効だと思うしもっと増えて欲しい。