『舞台「LIAR GAME × murder mystery」』感想

 

 ネタバレには配慮した記事となっておりますが、興味あって未見の方は出来れば回れ右お願いいたします。

 

 03.07(火)飛行船シアター。

 

 舞台「LIAR GAME × murder mystery」昼・夜公演を見て来ました。

 日によってキャストが代わるのでこの日のメンバーによるドラマはこの日だけ。

 

昼の部『廃遊園地の人形館殺人事件』

 【あらすじ】

 ライアーゲームトーナメント事務局、通称、LGT事務局を名乗る謎の組織からの招待状を受けた者たちが、潰れた遊園地の「人形館」へと集まった。

 夢や希望といった、光に満ちた遊園地の面影は、もはやない。

 ここで、ここから行われるのは、悪意とぎまんに満ちた騙し合いなのだ……。

 そして今、ライアーゲームトーナメント事務局の指図によって、再び一同が集結したのだった。

 

 園長:吉宮瑠織

 経理船戸ゆり絵

 設備:礒部花凜

 受付:小泉萌香

 着ぐるみ:星守紗凪

 ダンサー:佐藤日向

 人形師:西葉瑞希

 

 漫画『ライアーゲーム』の中に出てくるゲームを行うライアーゲームパートと、その裏で進行していた殺人事件の真相を探るマーダーミステリーパートの二幕構成。

 昼の部のライアーゲームは「リストラゲーム」。

 一人につき三票と一億円を所持して駆け引きし、リストラ「されない」で済む自身の得票率を上げていくもの。

 そこにそれぞれの与えられている設定情報から来るだろう思惑が絡んで裏切りが発生し面白くなっていくのだけれど、客席からはここを「中の人の関係性」で実行していると思い込んで起こってる笑いが多かったような印象。マダミスの予習はしていたので、そこは「キャラ」としてやっているのでは? となる箇所が結構あった。

 次第にメタが増えてはいくが、いきなりそこには頼ってなかったと思う。

 

 そして殺人事件が発生し、真相解明へーー。

 

 腹芸合戦で爆笑をかっさらっていく中、役としての立ち居振る舞いが流石の面々。強気な態度で芝居を回していこうとする佐藤、高圧的にヘイトを集めるが本人の天然さが役にチャームを与える吉宮、飄々と一同の間を縫ってちょこまか動く西葉、意外と(失礼)演劇的挙動が達者な船戸、この4者が「役として絡む」のめっちゃ上手くてビックリ。アドリブでワーワーやり合う丁々発止のやりとりの中、身についた演劇の記憶なのか「それっぽい」身振り手振りによる咄嗟の返しの反射神経。

 「芝居」の方に重点を置いて演じきっているのは星守、礒部。

 小泉さんは……清楚な受付嬢でした。情報量が薄くてわからない!

 

 またミステリーなので最終的に明かされる「真の時系列」がある訳なのですが、その光景がトータルで空虚な退廃美を覗かせて非常に好み。

 あの人のギャップある行動が、ただのゲームの素材に留まらないストーリーの魅力を湛えていたのが素敵でした。

 ミステリーパートも割とバラエティ的にはっちゃけていたのに、その一点が奇妙な余韻として残る。

 

 ※死体の位置が客席に被るので、上手通路側の席で比較的視野の良好であった自分からも隠れてしまっていました。

 

夜の部『ある孤島の洋館殺人事件』

 【あらすじ】

 目隠しされ、船に乗せられた先にあったのは、リゾート開発に失敗した絶海の孤島だった。孤島に集められた者たちは皆この島に縁故のある者たちだ。

 かつて、一族の家長が亡くなった時、一族の財産であったこの島を売り払ったのだ。

 リゾート開発という華々しい未来図にのぼせて。のしかかる莫大な相続税にせまられて。一族の未来を想って。

 皆が皆、それぞれの思いで、この島と訣別したのだ。

 そして今、ライアーゲームトーナメント事務局の指図によって、再び一族が集結したのだった。

 

 長女:佐藤日向

 養子:星守紗凪

 弁護士:小泉萌香

 庭師:礒部花凜

 従姉:吉宮瑠織

 金庫番:西葉瑞希

 メイド:船戸ゆり絵

 

 夜のライアーゲームは『密輸ゲーム』

 これ原作漫画で読んだ時ルールを把握しきれず難儀したので覚えてる~! 懐かしい~! でも今回もちょっとわからなかった~!

 今回はチーム戦。ともかく高圧的な日向(+他3人)が、キャラ立ちして芝居は快活だがライアーゲームは雑魚である西葉・吉宮・船戸と別チームになるバランスがなにげに良くって赤チームを応援していました。今日が初対面らしいのに船戸を甘やかす吉宮、吉宮に甘えまくる船戸良かった。

 

 そしてミステリーパート。昼の部を踏まえてなのかガッツリシリアスモードでお芝居しながらの探索。時々キャストがはけるのは主催者側からの指示だしの為? ともかくあの自然とはけて出入りする感じが舞台っぽくて良かったです。

 昼も夜も、「役を演じつつ」「即興で場を動かそうとする」上で「事態を整理して推理する」の3つ目までみんな行けないのがもどかしい(いや大事な情報伏せまくってるポンコツが一人いたから!)。

 でもテーブルの上でのロールプレイと違って身振り手振りも交えて(舞台の使い方まで考えてるキャストさんいましたしね、大きく動く)役を演じ、即興の掛け合いでサービス精神も発揮し、おまけに状況整理まで頭を使わなきゃいけないのはかなりのカロリー消費量だと思うので、それなりの経験者じゃないと難易度は高そう。

 

 引き続き、とにかく芝居場を盛り上げようと強気で仕掛ける佐藤、キャラとして自分のポジションを悠々楽しむ西場、吉宮、自身のイメージとキャラを上手く絡める船戸、の4者が展開を回して見ていて楽しい。

 「芝居」の方に重点を置きつつ回しも出来る星守さんも器用。礒部さんも少しこなれてきた。

 小泉さんは……スーツ姿がイケぴでした。情報量が薄くてわからない!

 

 基本的に格好良かったり可愛かったり、様になってる小泉さんを見てきたので、この日は明らかにポンコツだったのが良かったです(場を回していく意識が薄く、礒部さんもですけど、たぶん佐藤さんがいたからちょっと甘えている? 船戸は凄かった)。

 そして非アミューズ勢が三人とも頼もしかった。

 西葉さん、他でどんなお芝居してるのか普通に気になりますもん。と思ったらスクールアイドルミュージカルの出演者とのことで、流石と(知らないけど、オーディション倍率凄そう)。

 

 そして何よりGMである青木たつやさん。本当にお疲れ様でした。マジであなたがいなければ何もわからないままだった。マチソワ間でトイレ行かれる時ドアの前塞いじゃっててごめんなさい。

 青木さんがもっと場を動かすよう適宜指示出し出来るともっと面白いのかも。  

 予習にとYouTubeで見たマダミスだと自分のターン毎に他者に質問出来るシステムがあって場を停滞させていなかったので、何かああした強制開示システムがあればもっと展開したような。

 

 役を背負って登場した時は確かに「役」なのに、素が出てやり合い始めると「本人」のようであり、しかし舞台の上に立っているからには何某かのペルソナを被った「演者」であり、しかし画面越しではなく目の前にいて生の駆け引きを繰り広げており、何を見ているのかよくわからなくなる瞬間が何度もあって非常に刺激的でした。

 

 名ロールプレイ動画だった『カタシロ Rebuild』出演回を経て相羽あいなさんが界隈に見つかったように、今回の出演者の皆さんがもっと色んなゲームに巻き込まれる様をあちこちで見てみたいです。