アニメ映画の採点 その3

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アニメ映画の採点第3弾です。

採点は目安で適当ですが、あくまでこのアニメ映画の採点シリーズ内での相対的評価で、一般映画へのそれとは別物です。

基本、見ている最中に採点とかしませんしね。

 

 『写眞館』

【採点】C

【監督】なかむらたかし

【制作国/年】日本/2013年

【概要】初期スタジオコロリドの手掛けた短編。戦前から戦後にかけて、東京の丘の上の写眞館を営む主人と、その客である笑わない少女。二人の半生を台詞なしで綴る。

【感想】

 木村真二の美術が光る美しい作画でたゆたうように月日は過ぎていく。その様が叙情を煽るが、意外と中身が無いというか。例えば戦前の新聞に日韓併合の文字があり、戦争や震災も経るのに、そうした時代の趨勢には敢えて一切言及せず淡々と街の片隅で生きた市井の人々を綴ります、みたいな美学がもう食傷気味。「物言わない」ということをあまり良いとは思えなくなってきた今日この頃。

 

陽なたのアオシグレ

【採点】B

【監督】石田祐康

【制作国/年】日本/2013年

【概要】『写眞館』と同時上映されたコロリドの短編。同級生の少女シグレちゃんに恋する少年陽向。シグレとの距離を少しずつ縮めるが、別れの時が来てしまい…?

【感想】

 ショートショート『フミコの告白』の勢いを男女逆転させて少し拡大しただけなのだけれど、やはりラストスパートのアニメの勢いは楽しい。ただスカートのくだりとかシグレのあまりに一方的に理想を押しつけられたキャラ性とか、2013年の作品としても古臭いと感じて乗り切れなかった。

 

Fate/Kaleid liner Prisma☆Illya プリズマ☆ファンタズム』

【採点】C

【監督】大沼心

【制作国/年】日本/2019年

【概要】『プリズマ☆イリヤ』のパロディOVA。ラーメン屋店主・言峰は祭りの予感を感じていた。一方、本編では過去篇で退場している平行世界冬木市のアサシンカードを使った「桜の兄」は、桜からの糾弾を受け手に職をつけるべく冬木市の人々の間を巡る羽目に。更に一方、マジカルルビーは凛ではなくイリヤの友人たちを魔法少女に変えるパラレル展開を大量生産していた。

【感想】

 プリヤ劇場版でありながらイリヤが最後の1シーンしか出てこない『雪下の誓い』に続き、またしてもイリヤの出番は僅かで神父と慎二がメインという横暴。意外とちゃんとオチをつけたラストのダジャレは嫌いじゃないのだけど、昨年末に『Fate/Grand Carnival』を目撃した後だと内輪受けギャグをやり切るだけのテンションが欠けてる印象。時に勢いは大事。

 

『劇場版 生徒会役員共

【採点】

【監督】金澤洪充

【制作国/年】日本/2017年

【概要】男子に対して女子の数が圧倒的に多い桜才学園の生徒会。隙あらば猥談に走る生徒会長天草シノ、書記七条アリア、会計萩村スズに囲まれて、副会長津田タカトシは今日もツッコミに忙しい。桜才学園に新たに赴任してきた教師・小山はシノの小学校時代の教育実習生であり、就任早々下ネタの嵐に巻き込まれていく。

【感想】

 最近マガジンを二ヵ月間だけ購読してみて初めて『生徒会役員共』にも触れたのだけどどうにも笑いのツボが合わず、そんな笑いのツボの合わない四コマを60分間アニメで見せられると結構な苦行で逆に新鮮な体験だった。四コマを四コマの体感速度のまま60分映像化するとそこいらの二時間の映画より長く感じます。

 この内容なのにGoHandsの映像美が主張してきて画面が無意味にギラつくのも気持ち悪くて笑ってしまう。

 

『映画 かいけつゾロリ うちゅうの勇者たち』

【採点】B

【監督】岩崎知子

【制作国/年】日本/2015年

【概要】ゾロリ、イシシ、ノシシが頑張って早口で流れ星に願い事を唱えていると、隕石が落ちて来た! 海底に沈んだ隕石で金儲けを企むゾロリだったが、イシシとノシシのオナラの力で海底から一気に宇宙のムムーン星まで飛んでしまう。そこでクララ姫に一目惚れしたゾロリは怪獣退治に力を貸すことになり…

【感想】

 脚本クレジット「岡田麿里小柳啓伍・和場明子」に加えてゲスト声優茅野愛衣でどこのP.A.WORKSかと思った、初めて見た『かいけつゾロリ』。漠然と劇場版コナンみたいに劇中でクイズが出されたりするのかと思いきや、割りと早々に小さな謎が小出しにされては解決していく。それでも僅か50分のストーリーの中、宇宙への「行って/帰る」の折り返しをちょうど真ん中くらいで行い、そしてトータルとしてのタネ明かしが最後に行われる綺麗な構成。序盤の展開の尋常じゃない速さ、『ファントム・メナス』と『千と千尋の神隠し』を合体させちゃったような珍場面等、想像以上に鑑賞後感が良かった拾いモノ。

 

『映画 かいけつゾロリ ZZのひみつ』

【採点】A

【監督】藤森雅也

【製作国/年】日本/2017年

【概要】ドーナツシティへ立ち寄ったゾロリたち。明日行われるドーナツ店のドーナツ無料サービスに並ぶため、空飛ぶ機械「ゾロリアン」の目覚まし機能にイシシとノシシのオナラをセット。しかしゾロリアンは時空の歪みへワープしてしまう。降り立った郷愁漂う町。そこで出会った「運命の人」ゾロリーヌの正体は、ゾロリの母であった…

【感想】

 藤森雅也監督×吉田玲子脚本。たしかにキッズアニメの傑作が生み出されそうな座組だけれど、本当に傑作で吃驚した。話は露骨に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』なのだけれど、いつも亡くなった母を思うゾロリの物語の中に実際に生前の母を出してしまうという挑戦をスムーズに展開。そして謂わばオトナ帝国である(にしても今の子供に見せるには古すぎないかw)昭和ノスタルジーな世界をちゃんと冒険の舞台としてあの手この手でワクワクする画面に仕立てる職人芸。ゾロリを見たのはこの記事内の映画で初めてなのだけれど、それでも「超長期シリーズの根幹に関わるストーリーをやりきった」ことはハッキリ伝わり、「タイトルそのものに堂々と隠された秘密」が明らかになり、そしてその秘密が消え去る瞬間があまりに鮮やか。

 それは映画じゃなきゃ表現できない瞬間。アニメじゃ表現できないはずの「記録された時間」が捉えられたように錯覚する、名シーンだったと思う。

 

『まじめにふまじめ かいけつゾロリ なぞのお宝大さくせん』

【採点】

【監督】亀垣一

【制作国/年】日本/2006年

【概要】自分の城とお嫁さんを手に入れる。相も変わらずの夢をうたた寝しながら見ていたゾロリの快眠を打ち破り、突如少女と海賊の追いかけっこがゾロリを巻き込んで始まる。海賊タイガーの目当ては少女テイルがありかのヒントを知る宝。これは夢を叶える大チャンス。ゾロリはお宝探しの冒険に出る。一方、部下を募るタイガーの前にはケロロ軍曹が現れるが、大して使えないのでスルーするのであった。

【感想】

 岡田麿里さんが「困った時の速筆屋」として有名になった、超短期間で仕上げたとされる逸話のあるゾロリの作品がこれって事なのだろうか。違うかもしれない。昔はよく見た記述だけどいつのまにかネットで見なくなったな。

 『グレンラガン』より前の作品なのにグレンラガン初期みたいな、パロディ! アクション! メタ! のつるべ打ち。スピード感重視で仕上げましたって感じの勢い任せの脚本(でも見せ場が途切れない巧みさ)なのに、作画は遊びまくってるし、アドベンチャーなのでどんな作画の冒険も独りよがりにならず流れに寄与する。

 自分が知ってる『ゾロリ』はこの映画3本だけなのですが、全部面白いっていうのはすごい。

 

『HUMAN LOST 人間失格

【採点】D

【監督】木崎文智

【制作国/年】日本/2019年

【概要】医療革命を成し遂げた昭和111年の日本。インサイドで暮らす富裕層が120歳の寿命突破を迎える人々を祝う「合格式」が近付く一方、貧民層は汚染された大気の中で国民健康保証機関「SHELL」の監視下のもと窮屈な暮らしを強いられていた。

 下宿先のマダムに甘え、何もせず死んだように絵を描き続けていた葉蔵は、暴走族の友人がSHELLに反旗を翻して死んだこと、SHELLの幹部である美子との出会い、そして自らが人ではない「ロスト体」に変質したことをきっかけに、社会の変革を巡る戦いの渦に巻き込まれていく。

【感想】

  いつもどうにも無機質過ぎるポリゴンピクチャーズのアニメとして見ると、アニゴジから比べ遥かにテクスチャーに質感があり、特にマダムのバーや葉蔵の部屋が新鮮で、着実にCGアニメも進化してるんだなぁというリアルタイムの感動がある。

 ただ話が…どんなに原作のフレーズを弄ったところで、原作のテーマをまったく描いていないので、どこまでいっても『人間失格』にはならない。冲方丁さんはもっと自分をさらけ出すべきだった。あるでしょう思い当たるところ。乱歩の面白さをまったく理解していない人たちが作ったとしか思えない『乱歩奇譚』と同じ轍を踏んでしまっている。

 じゃあ太宰から離れた一本の話として面白いかと言えば、全然魅力の描かれない主人公が、観念的で実感の沸かないSFテーマに振り回され嘆いてるだけの話になんの面白さも見出せず。

 

『音楽』

【採点】B

【監督】岩井澤健治

【制作国/年】日本/2020年

【概要】他校の不良からも一目置かれる不良の研二は気紛れな性格。重なった偶然に流されるまま友人の太田、朝倉とバンドを組んでみる。ギター不在のスリーピースで初めて音を出した時、音楽の快楽が三人を直撃。バンド名を「古武術」に決めるが、同じ学校に既に「古美術」なるバンドが存在しており…

【感想】

 岩井澤健治監督が脚本、絵コンテ、キャラクターデザイン、作画・美術監督、編集を担当し、7年の時間を費やして完成させた意欲作。ただ本作素晴らしいのは映像の緻密さや派手さでは雲泥の差である『HUMAN LOST 人間失格』の後で見ても圧倒的に「映画だ」と思わせる「間」の取り方だと思う。アニメだからいくらでも調整出来そうな「間」が本作のシンプルな線や主演のゆら帝・坂本慎一郎ら非職業声優の不安定な演技と相俟って、まるで実写のような緊張感でそこに創出され、その延長上で「音が鳴る」瞬間のアニメーションの歪みが快楽に繋がる。

 ただあまりに「いつの何?」ってなる時代背景の判らなさのせいかイマイチのめり込めず(80年代?)、サブカル的な甘えをもう少し脱臭して欲しかった。

 

『劇場版 ハイスクール・フリート

【採点】C

【監督】信田ユウ・中川淳

【制作国/年】日本/2020年

【概要】国土が水没した日本。海を守る「ブルー・マーメイド」となった明乃たちは航洋艦晴風」に乗ってかつてのライバル達と遊戯会を満喫し、迷い込んだ異国の少女スーザンと親しくなっていた。しかしそこへ海賊が襲撃。日本政府からの圧もかかり、ブルー・マーメイドはいよいよ実戦に投入される--

【感想】

 未だに偽のタイトルだった『はいふり』の方が定着してしまっている失策くらいしかTVシリーズの知識が無い身としてはひたすら散漫な前半が辛く、比較すると集合の過程をこそそのまま見せ場にしたストパンや、とりあえず冒頭でハッタリ効かせたガルパンの「劇場版」への覚悟を感じる。

 ガルパンが「戦車なのに立体的バトル」の意外性で魅せたように、本作も終盤「戦艦なのに屋内バトル」という意表を突くビジュアル(見ればわかる)でなかなか楽しませるので見て損はなかった。せっかく面白くなりそうな中盤の白兵戦が妙に間延びしていて、公開時はここで作画崩れてたのかな~と邪推。タイムを測り切れていないような奇妙な場面だった。

 

『銀幕 ヘタリア Axis Powers Paint White』

【採点】E

【監督】ボブ白畑

【制作国/年】日本/2010年

【概要】宇宙からピクト星人がやってきた。動くピクトグラムのような奴らは人類を「のっぺら」に変えてしまう。これに抵抗するため世界各国は力を合わせ、腹の底では侮蔑し合いながら立ち上がる。戦うのではなく「おもてなし」してはどうか?という日本の提案に乗っかり、世界各国のおもてなし合戦が始まるが…?

【感想】

 10年ぶりに触れても、Twitterまとめサイトレベルのネタで世界を擬人化し、日本の扱い一つとってもさしたる批評精神も持ち合わせてないことが丸わかりの内容に頭痛を覚える。オタクの悪いところが全てギュッと詰まったようなコンテンツ。

 そんな感じでヘタリアのことは心の底からバカにしているのだけど、私見抜きにしても「棒人間みたいな宇宙人と戦うネタ」で80分、合間に脈絡のないショートコント。普通につまんない。ショートショートは見やすいようで、合わないと終わらない地獄と化す諸刃の剣。60分の『劇場版 生徒会役員共』でもだいぶ長く感じたのに。

 

『劇場版 新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X』

【採点】B

【監督】池添隆博

【制作国/年】日本/2019年

【概要】雪山へ遊びに来たハヤト達は、そこで友人の発音ミクが巨大怪物体ゴジラと戦闘している場面に巻き込まれる。戦闘の最中、ハヤトと父ホクトは光の粒子の向こう側へ消えてしまう。そこでハヤトが見たのは、かつて夢で出会った第三新東京市碇シンジや洞木三姉妹。あれは夢じゃなかった? なんとか現実に帰還するハヤトだったが、父ホクトが9歳の姿になってしまっていた…

【感想】

 パロディを淡々と繰り出すので笑うに笑いきれずモヤモヤする演出は微妙なのだけど、仕掛けの量で自然と乗せられてしまう。家族連れで見に来た観客に対して、「父親が一番幼くなったら」という話を繰り出す事そのものが面白かったし、余韻にはSFだけがもたらせる思考の遊びがあった。映画はそうやって日常に少し新しい視点を与えるもの、と子供たちが感じられることが一番良い。

 

薄暮

【採点】B

【監督】山本寛

【制作国/年】日本/2019年

【概要】福島県いわき市。今もテレビでは放射線測定数値が報じられる地帯。部活の弦楽四重奏に参加しながら、漫然と毎日を生きていた女子高生の佐智。かつてのトラウマも癒えてきた日々の中、避難地域から訪れた男の子・祐介と出会い、次第に惹かれていく。なんとか彼の心を繋ぎ止めたい。佐智の心にようやく芽生えた衝動は、演奏会本番当日を迎える。

【感想】

 復興地域の些細な日常を描きながら、涙の消えた少女に再び涙が戻るまでを描く。古巣京アニ『ユーフォ』へのアンサーなのか、美麗な背景美術に過剰な撮影処理を施さず(高校生がいきなりエリック・ロメールに言及してギョッとする場面は一手間加わってそうだけれど)、その美しさのまま絵がたたずむところに演奏が乗るというシンプルな感動を狙う。

 無駄に静止画が挟まってるように見えたり、単純にキャラの芝居があまり巧くいってなかったり(WAGの弱点再び)、アニメとしての快楽は弱いと感じたし、地味なところを攻めるからこそそこはより詰めて欲しかったとも思うのだけれど、それよりヤマカンの脚本が良かったのが意外。

 あえて本筋に震災を絡めず(でも震災抜きではありえなかった補助線がある)、シンプルに「今まで恋愛に興味無かったけどこの男の子絶対離したくない彼氏にしたい欲が出た」というだけの少女の心の機微を、観察するようにそっと窺ってる。音楽が生じる瞬間の魅惑は『音楽』の方が上回ってしまうけれど、自分はそこに至る下地の方を大事にしたいので、本作の方が好きだ。

 

機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅴ 激突 ルウム会戦』

【採点】B

【監督】安彦良和・今西隆志

【制作国/年】日本/2017年

【概要】U.C0079。ジオンはコロニー落としを遂行し、地球人類の半数を虐殺。ザビ家もまたギレンのしでかしたその想像を絶する凶事に混乱を来す。その余波はサイド7で暮らすアムロやサイド5で暮らすセイラの元にも確実に忍び寄っていた。一方、ジオンのやり方についていけずコロニー落としに不参加だったランバ・ラルはクラブ・エデンで酔いつぶれていた…

【感想】

 芝居の大仰さが止まらず、ドズルの場面だけでもおなかいっぱいだったのに無意味に黒い三連星まで大芝居を打つ場面でゲップが出そうになる。1シークエンスごとの強度が、起こることの大小に関わらず一貫して高いのは凄い。コロニー落としだけでなく、オリジナルのカップルを登場させてジオンの毒ガス攻撃で殺すという辺りに、ガンダムを援用するオタクたちの「正義の反対はまた正義なのだフンス」みたいな態度に激しく釘を刺す。セイラさんが連邦側の悪党共をぶっ殺す見せ場が楽しい。ちょくちょく西部劇的な魅力を挟んでくるオリジン。ハモンさんが長々とクラブで歌う場面も「なんなんだw」とは思うけどやはりシークエンスとしての強度が高い。

 

機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅵ 誕生 赤い彗星

【採点】B

【監督】安彦良和・今西隆志

【制作国/年】日本/2018年

【概要】コロニー落としの余波は開戦への熱を帯び、ついにサイド5・ルウムにて激突する。ヨハン・イブラヒム・レビルが指揮する連邦艦隊はジオン軍を追い詰めるが、ジオンは虎の子「モビルスーツ」をシャアの陣頭指揮により発進。MSの圧倒的機動性により連邦艦隊は次々撃沈。レビルは追い詰められ、捕虜として収容される。しかし、そんなレビルの前に現れたジオン公国国王であるデギンは、とある嘆願をする、

【感想】

  かくして一年戦争の幕開け。後のホワイトベースクルーそれぞれの点描も重なり、『機動戦士ガンダム』の直前で話は終わる。大仰過ぎる芝居が変な間を生んでいることも今回ばかりはレビル、デギンの思惑の交錯を描くのに一定の緊迫感を与えている。前回に続きイキリ不良時代のカイが可愛い。レビルの言い分もわかるしデギンの言い分もわかる。それがすれ違うのもわかってしまう。人間は愚か。(いやデギンだってお前地球人口半分滅ぼした国がそれ言ってもさ…)。ジオンの人間全体的に抽象的な観念に寄りすぎてるので、理想を語っても周りに追従されづらい問題。そりゃシャアからすればつけいり放題ですよ。

 シリーズ初期ではキャスバルに感情移入させながら、もはや完全に「何考えてるかわからない赤い彗星シャア」が完成しているのも面白い。しかし冒頭のCG艦隊戦、ザクがいない場面つまらなかったな…

 オリジンのアニメはここまでで良かったと思う。サンダーボルトはまだまだ観たいが。安彦先生の次のアニメも観てみたいです。

 

『劇場版 マジェスティック・プリンス 覚醒の遺伝子』

【採点】B

【監督】元永慶太郎

【制作国/年】日本/2016年

【概要】いよいよウルガルとの最終決戦に勝利するチーム・ラビッツ。しかしイズルが重傷を負い昏睡状態となってしまう。ウルガルの意思を継ぐディオルナが残存戦力を引き連れて地球へと侵攻。狙いはグランツェーレ学園の地下に眠る「遺伝子」。学園から新たに参戦するラビッツの後輩、チーム・フォーンも苦戦を強いられる。果たしてリーダー不在のラビッツは、地球を守りきれるのか。

【感想】

 TVシリーズの時点で保守的で生ぬるい空気と寒いユーモアがキツくって全然ザンネン5を応援する気になれなかったので今回も話にはまったく乗れなかった、基本「not for me」ではあったんですけど、それはそれとしてオレンジのCGメカアクションが素晴らしい。モンスト劇場版でもそうだったけど、変にごちゃごちゃせず「塊」としての物体が、非常にカラフルな色づけで縦横無尽に動きまくる。「シン・エヴァ」よりよほどロボットアクションの魅力を魅せてくれた。あと戦闘中の掛け合いはやっぱり楽しい。

 

好きになるその瞬間を。告白実行委員会~』

【採点】B

【監督】柳沢テツヤ

【制作国/年】日本/2016年

【概要】HoneyWorksの楽曲に合わせて高校生達の恋愛模様を綴るシリーズ第二弾。中学生の瀬戸口雛は、勘違いから詰め寄ってしまった中性的な先輩、綾瀬恋雪に片思い。やがて恋雪を追って高校受験に成功するも、さしたる接点もないまま時間だけが過ぎていく。やがて恋雪の卒業の時は迫り……

【感想】

 AJでオールスターキャスト登壇のイベントを見たあとシリーズ第一弾は劇場で鑑賞したのだけれど、ちょっとおじさんついてけませんね状態で距離を置いていたタイトル。二作目で作り手も馴染んできたのか、一気に見やすくなっていた。楽曲の使い方がミュージカル的で、一瞬で何年も過ぎたりする。どんな軽い少女漫画に見えても、彼女たちの数年間は重く長い。そしてその間に好きな人と交わせる言葉は一つ二つ、というのも意外と地に足が着いている。なるほど麻倉ももさんの声可愛い。

 

『劇場版 弱虫ペダル

【採点】B

【監督】鍋島修長沼範裕

【制作国/年】日本/2015年

【概要】インターハイ総合優勝を掴んだ千葉総北高校自転車部。続いて日本中からライバルが集まる「熊本火の国やまなみレース」に参加することになる。しかし、そこに巻島先輩の姿は無かった。イギリス行きを決意した巻島不在でのレース。それはチーム総北にとっても、ライバルの箱根学園にとっても特別な試合を意味していた。

【感想】

 映画らしい画面になっているかというと前半は弱いし、CGがハッキリ浮いているし、ヒメヒメの場面もっと面白く演出出来たでしょうとか全然昇華しきれていない部分も多いのだけれど、なにせ普段のTVシリーズが1分を30分に引き延ばすような作りをしている為に、わずか90分で次々試合の結果が刻まれていく弱ペダ、というのが新鮮だった。

 

ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』

【採点】D

【監督】山崎貴・八木竜一・花房真

【制作国/年】日本/2019年

【概要】『ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁』のストーリーがダイジェストで展開していく。主人公リュカは魔王ゲマによって父パパスを喪い、母マーサを囚われる。成長して冒険の旅に出るも、天空の剣を抜く勇者の資格は無かった。それでも苦難を乗り越え、やがてフローラとビアンカ、どちらと結婚するかという究極の選択を迫られる。

【感想】

 酷評されてるラストのアイデアそのものは、今まで誰もやったことが無い観客を巻き込む仕掛けが含まれているので大いにアリだと思う。CGアニメとしても、お馴染みのモンスターとお馴染みの魔法で戦う場面は非常に楽しいし新鮮。

 それでも。

 あまりに話の運びが酷い。「この場面をやりたい」という場面をまず箇条書きにして……終わり。そこをどう有機的にアニメーションで繋げていくかという工夫の余地が見えないし、台詞も酷い。ただ展開の羅列。ピクサーやディズニーから盗めるものなど無数にあるのに、いつもガワばかり盗んで細かい本当の技術は盗まない(勉強しようとしない)山崎貴の不誠実さが如実に表れてしまった。

 

『あるゾンビ少女の災難』

【採点】D

【監督】岩見英明

【制作国/年】日本/2018年

【概要】スプラッターコメディ(?)。夏休み。人気の少ない夜の大学に、オカルト研究会のメンバーが集まっていた。この大学に眠る埋蔵金を探すという名目だが、ある企みを持った鴨志田は大学に眠るミイラから石を取り出す。やがてミイラとそのお付き、二人のゾンビ少女が目覚め、石を取り戻すために殺戮を開始する。

【感想】

 ビックリした。このアニメの企画知ったの相当昔だし(特報は8年前に出来てる)、なんならアニメーションや作画の出来はそれよりもさらに10年か20年くらい古いレベルなのに、配信されたの2018年だって。裏で何があったんだ。

 早見沙織小倉唯のゾンビ少女が目覚め、その怪力によって夜の大学で学生たちを惨殺していくといういかにもジャンル物な面白さで満ちたフォーマットなのに、とにかく演出がダルいというか恐らく作業現場全体への意思疎通が成されていない為に、ジャンルさえ不在でただ淡々とはやみん萌え台詞を発し、グロい死体が増えていく。そう書くと面白がれる内容ではあるんだけど、「面白がれる」ことと「面白い」ことは別だと思うので、素直に勿体ないという気持ちが勝つ。

 でも、こうしてラノベ一冊を単発アニメとして映像化していくスタイル、有効だと思うしもっと増えて欲しい。

 

配信映画の採点

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配信映画は呟きで、という自己ルールが面倒臭くなったので配信映画の感想もまとめて記事にしていきます。

ほとんどのタイトルの記憶がすでに遠くなっているので、鑑賞直後の感想はTwitterで。

 

 

NETFLIX

 

『ザ・ファイブ・ブラッズ』

【採点】

【監督】スパイク・リー

【制作国/年】アメリカ/2020年

【概要】チャドウィック・ボーズマン遺作の一本。ベトナム戦争中、CIAの隠し金塊を現地に隠したまま帰還した黒人兵士4人。彼らは唯一亡くなった隊長を含む「ダ・ファイブ・ブラッズ」として永久の友情を誓っていた。そして現在、ベトナムに観光客として訪れあの金塊を取り戻そうとするが……

【感想】

 晩年の大林宣彦に非常にタッチが似ていて、語りが虚実を行き来し、ベトナム戦時下に現在の老人姿のまま一同が映り込み、かと思えば最後にはBLM運動にまで繋がっていくサンプリング精神。アジテーションと複雑性が同居する元来の「社会派スパイク・リー」節で、『ブラック・クランズマン』のストレートぶりがかえって引き立つ.

 それにしても戦場でただ一人若いチャドウィック・ボーズマンの神々しさ.スパイク・リーは闘病を知らなかったと言うが.

 

『#生きている』

【採点】B

【監督】チョ・イルヒョン

【制作国/年】韓国/2020年

【概要】ネトゲ中毒のジュヌが目ざめると、マンションの周囲はゾンビに囲まれていた。家族は帰ってくる気配が無い。たった一人のサバイバル生活が始まった。世界には絶望が蔓延し、次第に食料は尽きてくる。ジュヌはいつまで生きていけるのか…

【感想】

 奇しくもコロナ禍の世界を映したような状況が重なり、恐らく今後沢山作られるだろう「ポスト・コロナとしてのゾンビ映画」の嚆矢になるのは(事故的にではあるが)本作で間違いない。正直あらすじは想像の範囲内なんだけど、『コンジアム』同様あらゆる最新の技巧を適切に駆使して万人が楽しめるエンタメを仕上げる、エンタメの基礎レベルの水準で、韓国映画はとっくにハリウッドを越えてると思う。

 

『エノーラ・ホームズの事件簿』

【採点】A

【監督】ハリー・ブラッドビア

【制作国/年】イギリス/2020年

【概要】ホームズのパスティーシュ小説をネトフリが映画化。ホームズの妹エノーラ・ホームズの小さな大冒険と、失踪した母親の謎を描く。『ストレンジャー・シングス』で異界に連れ去られていた少女イレブンを演じたミリー・ボビー・ブラウンが、一転してお喋りで快活なエノーラを演じる。

【感想】

 ガイ・リッチー版、カンバーバッチ版の演出の系譜を継ぎつつ『フリーバック』に倣いエノーラがカメラに語り続ける。枠組みからしてブリティッシュ魂溢れるお祭り感。謎解き、女性達の新時代の予兆と立ちふさがる壁、そして原作で触れられないホームズ家のありようといったこなすべき諸要素もふんだんに織り込んでいく。素直に楽しい。

 

WASPネットワーク』

【採点】B

【監督】オリヴィエ・アサイヤス

【制作国/年】スペイン・ブラジル・フランス/2019年

【概要】90年代初頭、キューバの操縦士レネ・ゴンザレスは、空港を飛び立ったままアメリカまで亡命する。そしてキューバからの亡命者たちを密かに救助しアメリカへ送り、米国国内の反カストロ・テロ組織と繋がる。キューバに残された妻オルガと子供は売国奴の家族として肩身の狭い貧困生活を強いられる。ところがレネの他にも不思議なアメリカ生活を送ってるキューバ亡命者が何人か描かれ…?

【感想】

 「描かれ…?」というかググればわかってしまう実在の物語であり、そこから逆算して描かれているまである説明の無さなので事前に調べてからの鑑賞がお薦め。アサイヤス作品としては『カルロス』の系譜で、そしてあちら以上に善悪の判断のつかない。普段は時間の「流れ」をスムーズに作り出すアサイヤスの編集が、ここでは流れなどなく過去に未来に放射され人と社会が紡ぐカオスを織り成している。

 

『シカゴ7裁判』

【採点】A

【監督】アーロン・ソーキン

【制作国/年】アメリカ/2020年

【概要】1968年、シカゴで開かれた民主党全国大会.これに抗議し意見を伝え、ベトナム戦争への反対を訴えるため、若者を中心に出自も階層も異なる人々が反戦運動を展開。次第に苛烈なデモに発展し、警官たちとの衝突事件を起こす。これを煽動したとして共謀罪の罪に問われた7人、そして悪意あるこじつけによって巻き込まれたブラックパンサー党ボビー・シール。彼らと義憤に燃える急進派弁護士ウィリアム・クンスラーは、恣意的な保守派裁判長ホフマン相手に裁判に挑む。

【感想】

 熱くアジってくる娯楽作として申し分ない出来。あまり個々人への踏み込みはせず、闘う人々へのリスペクトで一貫しており、結果随分と世界の見通しが楽観的な内容と思えなくもないが、こういう映画があっていい。銃のドンパチの代わりに言葉が飛び交う、そういうB級エンタメなのだ。ただサラリと流そうとすると黒人社会の背負ってきた痛みが余計引き立ち、エンドロールの登場人物各々の後日談でなんとも苦い気持ち。

 

『もう終わりにしよう。』

【採点】B

【監督】チャーリー・カウフマン

【制作国/年】アメリカ/2020年

【概要】「女」は彼氏ジェイクの実家へのドライブが憂鬱だった。寒い冬の田舎道を進み、彼の実家で神経質なジェイクとその両親の相手をすることになる。しかしただ単に変人であることを越えて、4人の会話はおかしい。ジェイクがおかしいのか、彼の両親がおかしいのか、それとも女自身が………? 同時進行で、とある学校の用務員の日常が描かれる。

【感想】

 どういう話なのかが判るともの凄く簡単な話なのだけれど、それをアヴァンギャルドな手法で淡々と見せられることが苦痛と感じる人もいるかも知れない。チャーリー・カウフマンなのでソリッドな出来という訳でもない。

 ただ、自分にとってはまっっったく他人事では無かったので、せめてこんな風に映画が掬い取ってくれることはやはり救いで、寂しくも嬉しかった。

 

『獣の住む家』

【採点】B

【監督】レミ・ウィークス

【制作国/年】アメリカ・イギリス/2020年

【概要】スーダンから必死の想いでイギリスに亡命してきた夫婦。ここで下手を打って移民局に見捨てられたら居場所はなくなる。しかし忘れられないとある過去を引きずる二人の仲はギクシャクしていく。そんな夫婦を追い詰めるように、この家に棲んでいる何者かによる怪奇現象が襲いかかる。

【感想】

 『仄暗い水の底から』や『ババドック』のように、社会的弱者をさらに霊現象が追い詰める哀切なホラー。けれどどうもこの夫妻、こちらの単純な同情を許してくれない秘密を抱えている。「答えは堂々と映ってるのに観客はそこまで気づけない」というアイデアが見事で、それは現実にも起こりうるだろうし、今この時もどこかで起こっているかも知れない。「伝える手段」としてのホラーというジャンルの在り方がとても好き。

 あまり怖くないことを除けば良作。

 

『スペクトル』

【採点】 B

【監督】ニック・マチュー

【制作国/年】アメリカ/2016年

【概要】近未来。東欧モルドバで内戦の鎮圧を行っていた米軍は、まるで幽霊のような、攻撃のすり抜ける謎の存在に一方的に苦戦を強いられていた。派遣された科学者クラインはなんとかこの「幽霊」の正体を探ろうとするが、クライン、兵士、現地の生存者を含む一行はこの幽霊の群れに囲まれてしまう。果たして奴らの正体は…

【感想】

 非常に大まかな粗筋と大雑把な戦闘シーンが続く映画なのだけど、その雑さが弱点にはならず「ゴツゴツした兵器をゴツゴツと扱う」即物的な魅力を演出していく。そんな風に重力を感じさせる主人公側の攻撃が「すり抜けてしまう」敵との邂逅が、それだけで戦場の魅力と戦闘の虚しさを同居させて効率が良い。ちゃんと「正体」がある敵の設定も良かった。アバウトな作りだが、すべて計算されているような気もする大作。

 

『すべての終わり』

【採点】C

【監督】デヴィッド・M・ローゼンタール

【制作国/年】アメリカ/2018年

【概要】恋人サムとの婚約を認めてもらうため、シカゴへとサムの両親に会いにいくウィル。サムの父親トムは元軍人の気むずかしい性格。なかなかうまく話を運べずにいると、外で何やら異変が起こった。それは全米で同時に起こったらしい。情報は途絶え、何も判らないまま世界は終末の様相を呈していく。サムの安否を確認するため、ウィルとトムの二人旅が始まる。

【感想】

 恋人の父親フォレスト・ウィテカーと世界の終わりを二人きりで旅する、という絵面の面白さをメインに、意外とオーソドックスなロードムービーを綴る。どこかがズバ抜けて悪い訳でもなく、良い訳でもなく。ここまで徹底して世界の終わりの理由を明かさないのは冒険だと思うけれど、オリジナリティからくる魅力を貫徹出来なかった印象。

 

『ホース・ガール』

【採点】B

【監督】ジェフ・ビエナ

【制作国/年】アメリカ/2020年

【概要】それはサラのありふれた日常だった。街角の手芸用品店で働き、友人とルームシェアをして暮らし、オカルトドラマを毎日のように眺め、コミュニケーションは苦手。サラの生活は幸福に見える。しかし次第にサラのこだわりの偏執的な部分が目立ち、やがて彼女の行動はエスカレートしていく。

【感想】

  主演アリソン・ブリー(英語吹替え版『天気の子』須賀夏美役)が、実の祖母が患った妄想性の精神障害に対して抱く「自分もいずれそうなるのではないか」という恐怖をそのまま陰謀論に置換して自ら脚本に起こし映画化。ジャンルレスなふわふわ感のまま、妄想の中に生きる人の精神状態を綴っていく。あまりサラを異常者と思えなかったというか、多かれ少なかれ誰しもこういう妄想を抱えて生きてるのではないかと思う。

 普通の生活が徐々に狂っていく話と理解していたけれど、アトロクのネトフリお薦め作品回で村山章さんが話してた「画面のヒントを頼りに時系列をシャッフルして並び替えると実は筋が通っているのでは」というのが面白かった。

 

『デンジャー・ゾーン』

【採点】B

【監督】ミカエル・ハフストローム

【制作国/年】アメリカ/2021年

【概要】近未来。内戦鎮圧を行う米軍。ドローン操縦士のハープ中尉は、モニター越しに「二人を犠牲にするか」「残る38人を守るか」の選択を躊躇せず行い、戦場へ左遷させられる。そこで組むことになったリオ大尉。彼はあまりに人間臭い、アンドロイドであった。

【感想】

 ドローン、AI、メカ兵士、アンドロイドが戦場に緩やかに混ざり合っている時代。あまり気の利いた見せ場やハッとするスペクタクルは無いけれど、低めの温度でずっと楽しめ、その低体温のまま「そっち行く?」ってなる終盤に差し掛かったので結構満足。しかしミカエル・ハフストロームの映画に定期的に出くわすなぁ。期待しすぎないで。

 

『薄氷』

【採点】A

【監督】ルイス・キレス

【制作国/年】スペイン/2021年

【概要】スペイン北部、極寒の夜。刑務所へと新たに赴任した生真面目な警官マーティンは、6人の囚人を護送する車の警備を担当する。粗雑な相棒、個性的な囚人、その中の一人が密かに企む脱走… 出発して早々、護送車は謎の襲撃を受ける。果たして彼らは生き残れるのか。そして襲撃者の目的とは。

【感想】

 韓国映画と並んで今信頼の安定度を誇るのがスペイン映画なんじゃないかと思うんですけど、やはり安定でしたね。いつもどこか斜め上の意表を突いてくる。時に胃もたれするようなエグさと濃度。本作もそもそもどういうジャンルなのかを行ったり来たり楽しませながら、最後にはズシンとマーティンの葛藤で息が詰まる。

 

『時の面影』

【採点】

【監督】サイモン・ストーン

【制作国/年】イギリス/2021年

【概要】伝説とされた、暗黒時代の現代的な文明が実在していたと証明した「サットン・フー遺跡」発掘にまつわる、近年まで埋もれていた秘話を描く。第二次世界大戦開戦がほぼ確定し、その時を待つだけのイギリス。難病を抱えた未亡人エディスは自身が所有する旧王国の墓地の遺跡発掘を、僅かな給料でベテラン考古学者バジルに依頼する。やがて一隻の船そのものの船葬送が出土するが、大英博物館が乗り込んできて…

【感想】

 弱いテレンス・マリックと言えばいいのか、静かにたゆたうような眼差しで、「歴史的な発見を行う、歴史の影に消える人々」を見つめる。そのか細い気配にそっと寄り添い続けることで、そんな私たちであろうとも生きてきた証はきっと残る、という微かな慰めにも説得力が宿る。淡い映画なのは良いが中盤から唐突に第三の主人公が現れるので、乗りきれないところもあった。

 大英博物館に展示されている遺跡の物語なのに大英博物館が割りと(ごく自然な)悪者として登場していて、これを出来るか出来ないかでその国の文化の豊かさが判るなと思う。

 

『私というパズル』

【採点】B

【監督】コルネル・ムンドルッツォ

【制作国/年】カナダ・ハンガリー/2021年

【概要】ボストンで暮らすマーサとショーン夫妻は自宅出産を希望し、専門の医師の助言に従い自宅での準備を備えていた。しかし、いざ産気づいたその時に訪れたのは代わりの助産師イヴ。3人は長い時間をかけて出産を終えるが、無事生まれたかに見えた赤ん坊はほどなく息絶えてしまう。責任は誰にあるのか。問題がテレビでも報じられる中、すれ違いゆくマーサとショーンの日常が綴られる。

【感想】

 見終わってすぐ感想書かないものだから色々忘れてしまうのだけど、冒頭の長回しが映画史に残るのは確か。冒頭こそ本編であり、そこから先は「終わってしまった後の日常」が大した波もなく、しかし不穏に続いていく。エレン・バースティン演じるマーサの母親の語る、「私も若い頃大変だけど頑張った。だからお前も頑張れ」論の呪縛を脱却する話でもある。製作はスコセッシ。

 

『マ・レイニーのブラックボトム』

【採点】A

【監督】ジョージ・C・ウルフ

【制作国/年】アメリカ/2020年

【概要】1927年、シカゴ。とある暑い日。ブルースの母と呼ばれた伝説的シンガー、マ・レイニーのレコーディングが行われることになる。呼ばれたバックバンドの中に、野心家のトランペット奏者レヴィーはいた。白人のレコード会社社員にひたすら横柄に振る舞うマ・レイニーと、誰に媚びてでもこの機にのし上がりたいレヴィー。2人を中心に、レコーディング風景が描かれる。

【感想】

 ネタバレ避けて語るのが難しい。少なくとも自分は前半で「こうなるんだな」と思った予想は完全に裏切られた。マ・レイニーの横柄さは一つの戦いであり、より上手く立ち回ろうとするレヴィーは彼女と同等の立場にさえなれない。同じように差別と戦ってる人たちが共闘出来ない現実の抜き差しならなさ。半分舞台劇な映画としての危うさを、マ・レイニーとレヴィーの生き様が上回った感じだ。また恰幅のいいヴィオラ・デイヴィスと痩せ細ったチャドウィック・ボーズマンの対比が映像的に活きてしまうのが、なんといっていいのか。

 

amazonオリジナル

 

『7500』

【採点】A

【監督】パトリック・ヴォラース

【制作国/年】ドイツ・オーストラリア/2019年

【概要】ジョセフ・ゴードン=レヴィット演じる副操縦士が乗り込んだ、旅客機のコクピット。やがて離陸直後にハイジャックが起こる。辛うじてコクピットは死守した副操縦士だが、リアルタイムでの犯人との交渉は、次々と最悪の事態を引き起こしていく。なすすべもなく犠牲者は生まれ、事態に翻弄されるがまま、ただ90分が経っていく。

【感想】

 極小単位での『ホテル・ムンバイ』。もうどうしようもない事実として目の前で凶行が起こり、人命が軽々と失われ、そして犯人たちも余裕がなく、何かに駆り立てられるように暴力性がエスカレートしていく。「巻き込まれるしかない」普遍的な人の脆弱性を通して、「暴力」の虚しさが残される。劇場公開すればいいのにと思いつつ、アマプラで「うっかり出会ってしまう」良さもある映画。

 ※清水崇監督による同名ハリウッド映画もあるので注意

 

『ブラック・ボックス』

【採点】

【監督】エマニュエル・オセイ=クフォー

【制作国/年】アメリカ/2020年

【概要】事故で妻を亡くし、自身も脳の欠陥で記憶喪失状態に陥ったノーラン。娘を育てていく為にも記憶を取り戻そうと、リリアン医師の特殊な心理セラピーを受ける。潜り込んだのは「思い出せない自身の記憶の世界」。だがそこで奇怪な存在に襲撃され…

【感想】

 話の真相が明らかになった時の「え、それは……え? じゃあ、これからどうすりゃいいの???」という茫然自失感では屈指のストーリー.その後予定調和な終わりに向かうのはやや残念だけど、大袈裟な芝居が許されないキャラクターを主演マムドゥ・アチーが抑制して表現して実存不安を煽る。

 吹替え版で見るとリリアン医師が榊原良子さんで、延々と脳波がどうこういかがわしい説明を繰り出すので、完全に「こういうSFアニメ」を見てる気分になれます。

 

『ザ・レポート』

【採点】

【監督】スコット・Z・バーンズ

【制作国/年】アメリカ/2019年

【概要】9.11テロ後、CIAが数多のムスリム系テロ容疑者に行った「強化尋問」という名の非人道的な拷問。その不当性を調べ上げる為、数年に及び数百万ページの文書を精査した合衆国上院調査スタッフの調査と、フラッシュバックするその拷問の実態が矢継ぎ早の台詞で描かれる。

【感想】

 台詞の情報量が凄いので吹替版推奨。監督スコット・Z・バーンズは昨年話題になった『コンテイジョン』の脚本家。本作の主役は情報、或いは「言葉」。ある不正の証拠が衆知されるまで、忍耐強く黒塗り(!)された言葉を浮かび上がらせ、実在の固有名詞が遠慮なく飛び交う。その中で固有名詞を持つムスリムの人々が拷問で殺される。

 映画としての遊びの無さが却って映画の強度を高めてる。

 紹介を省き気づけば出ているキャラ。言葉尻に即切り替わるカット。9.11にショックを受け海兵隊入隊したアダム・ドライバーが本作を演じる覚悟。

 自国の恥を受け入れ繰り返さないようにすること、それが何よりの愛国心じゃないか。当たり前のことなのにその表明にこれだけの労力がいる。デマで否定するのは一瞬で済む。吹替え版の質高かった。内田夕夜さん、声若いよなあ。

 

『ヴァスト・オブ・ナイト』

【採点】

【監督】アンドリュー・パターソン

【制作国/年】アメリカ/2019年

【概要】1950年代、ニューメキシコの田舎町、高校バスケ大会の夜。町の人が皆体育館の試合へ足を運ぶ中、地元ラジオDJと電話交換手の少女は、「空に何かいる」「変な音がする」という情報を追って、録音機を担ぎ町を駆け回る。

【感想】

 まだ話が動き出す前、「お祭りを前にして浮かれた田舎町の夜の空気」の中を事務的にDJが歩き回るだけで撮影手法がもう面白い。

 ラジオ局に寄せられる怪しい情報を電話交換手がDJに繋いでいく長回し。コードを差し込み、引っ込み、また別の場所に差し込み、引っ込み、という所作に夢中になり、カビが生えるほどオーソドックスなオカルト話なのにドキドキしてしまう。

 オチとか呆気ないし「だから何?」と言われたらそれまでの話だが、こいうした描写のドキドキを楽しみたくて映画観てるんだ。

 

『あの夜、マイアミで』

【採点】A

【監督】レジーナ・キング

【制作国/年】アメリカ/2020年

【概要】マルコムX、モハメド・アリサム・クック、後にハリウッドスターとなるアメフト選手ジム・ブラウン.各分野で黒人の道を開拓した4人が、マルコム暗殺の直前、もし一夜に集い議論を交わしていたら?という映画。女優レジーナ・キングの監督デビュー作。

【感想】

 原作は戯曲(作者は『ソウルフルワールド』の脚本家)なので議論の場はホテルの一室に限られるけれど、外へ出ることでリフレッシュしたり、戯曲的閉塞感を巧妙に回避している。

 理想は同じだからこそ浮かび上がる差異.「議論する意義」が浮き彫りになる。

 何故この4人なのか。勿論パイオニアというのもあるけれど、それぞれ有名な「転換」を迎えようとしているからで、そしてマルコムだけはそこで…… 実際にはありえなかった夜。でもその夜は今も現在進行形でどこかにあるのかも知れない。歴史の連続性が静かに余韻として沁みてくる。

日本語ラップ2021 1月~3月期ベスト

年末にベスト選ぶだけだと大体忘れてるという気づきを得たので、小刻みに選んでいきます.

番号振ってるけどこれはランキングじゃなく1月からの印象の流れ.自分はMVも込みでHIPHOPを好きになるので映像含めた評価です.

しかし無限に名曲が生まれていく.

 

1.FNCY - TOKYO LUV(Prod:Jengi)

冬の澄んだ空気と印象が紐付けられた.MVは人の生活に浸食する.

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2.dodo & tofubeats - nirvana

曲中「10年前に作った曲も未だに越えられていないし」ってtofuが言うけど、これが越えたんじゃないか.

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3.DJ CHARI & DJ TATSUKI - innocence feat.Hideyoshi,Onli U & (sic)boy

あの曲がこんな風に?! ってなるサンプリングの面白さを久々に再発見.

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4.梅田サイファー-Highway Lights(feat.ふぁんく、peko,KennyDoes,テークエム,KZ & コーラ

テークエムいる時は無理してまでR-指定呼ばなくてもと思ってたので、我が意を得たり.

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5.VaVa - Sekai feat.Koedawg

アマガミみたいな人生過ごしたいよ

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6.Roots My Roots / RYKEY × BADASAIKUSH

"舐達磨"(prod.SIBA)

RYKEYがバダサイの勢いを借りて最後ファーってなっちゃう軽さ.

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7.KM - Stay(feat.LEX)

引き続きLEX、LEON、¥、BAD HOP、ralphはとりあえず流しときたい.それ以上若くなるともう無理、知らない.あと最近WAVYが実は一番ヤバい気がする.

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8.Jin Dogg - "街風"feat.REAL-T

治安が悪い.REAL-Tの治安の悪さはガチの感じがするので避けてきたけど、Jin Doggとやるなら聞いちゃう.元旦に出した釈迦坊主とのMVも好き.

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9.PUMPEE - Life Goes On (あんじょうやっとります)feat.OMSB

タイトルで大晦日のSUMMIT特番良かったよね、な空気と思わせてからの、更にそこからの三ヶ月のトピックも織り込んだ手際の良さ.絵文字込みのシュプレヒコール

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10.KOHH - "John and Yoko"

強い.最近の宇多田ヒカルの歌詞の強度、確実にKOHHとの刺激の与え合いが働いてると思う.言葉をどこまで遊ばせず、そのまま置くか.

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枠外

MVっていうか、ラップっていうか、ではあるのだけど.

間違いなく今聞くべき今の曲で.

あとまだ活動していたことを知らなかったのでリスペクト.

神門 - 表現

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久々の映画の採点

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アニメ映画、配信オリジナル映画を別枠としたので、ストックが溜まらずだいぶ久しぶりとなりました。

ではでは。

 

アクエリアス

【採点】A

【監督】クレベール・メンドンサ・フィリオ

【制作国/年】ブラジル/2016年

【概要】美しく色彩豊かなブラジルの海辺の都市レシフェ。どこを切り取っても絵はがきのような世界で、アパート・アクエリアスに一人暮らすクララとこの部屋の歴史、そしてアクエリアスからの撤去を望む建築会社とクララとの水面下での熾烈な駆引きが描かれる。

【感想】

 あらすじは二の次で、カメラワークのマジックで境界線を容易に融解させる撮影、場の亡霊のようでもあり世界の主人公でもある人間の存在感、唐突な音楽の祝祭性、ドキュメンタリックな芝居の計算(アドリブではなく意図的に自然な瞬間を創出して入れ込んでいると思う)、1シーン毎にフレッシュな演出が引き込んでいく。その裏で表だって語られないアパートを売る/売らないの心理的な駆引きが蓄積していき、ラストに怒濤の決着へもつれこむ。ユニークなタイミングで挿入される「若き日々の愛の営み」なシーンで、女性の快楽がピークであろうク○ニを思い出してるのもさりげに新鮮(従来なら男性主体のセックスが挿入されていた筈なので)。

 新年一発目に面白い映画を観た。

 

復活の日

【採点】A

【監督】深作欣二

【制作国/年】日本/1980年

【概要】米ソ冷戦の最中、極秘兵器として開発されていた新型ウィルス「MM-88」が各国の思惑の渦中に置かれていた。しかしこれを手に入れたマフィアがアルプス上空で飛行機ごと爆発。かくて「イタリア風邪」と呼ばれる新型ウィルスの猛威が世界を襲う。生き残った人類は南極極地に僅か。米国大統領は彼らに一縷の望みを託そうとするが、、、

【感想】

 これを最初の東京オリンピックの年に書いていた小松左京が凄過ぎるでしょ。そして当然発売後十数年映画化は頓挫していたものを、金に物を言わせて国際的合作かのような大作に仕立てた80年代角川の勢いも。各国の登場人物が行き交い、日本は滅び行く描写のみ(しかし凄まじいスピードで)と不思議なほどナショナリズムから距離を置いてるのはクリエイター達のクレバーさか時代の余裕の成せる技か。知人の子供と死にゆく多岐川裕美のジャンプショットのなんて潔さ。最後の最後にキリスト映画みたいな野暮ったい宗教画になるのも躊躇がなくて良い。

 どうしても南極基地での女性の扱いにグロテスクさは感じるが…

 

『こおろぎ』

【採点】C

【監督】青山真治

【制作国/年】日本/2006年

【概要】お蔵入りとなっていた青山真治の作品が「幻の映画復刻レーベルGIG」に発掘された陽の目を浴びた形。脚本は岩松了。盲目の初老の男の世話をすることで必要とされる歓びを感じていた女。そこへ浮ついた若い男女のカップルがちょっかいを出し始め、初老の男の真の正体を匂わせてくる。それは…

【感想】

 「まぁお蔵入りされるだろうな」という独りよがり感は否めず、洋画では自然な地域コミュニティとしてのソシアルクラブ的なバーがまったくもって不自然にしか見えず(不自然に見せてるのだが)、そのことが他の場面と大した結びつきを持ててない時点で全然ダメ。知らないけどロメールかなんかに憧れてるんですかね。

 話としては『ゴールデンゴールド』を少し思わせると言ったらネタバレか。

 そんなことより「幻の映画復刻レーベルGIG」の存在を知れたことが大きい.確かにここ数年「あんなに気になってたのに見る機会の無かった邦画」がちょくちょくレンタルビデオ屋に置かれてて「おや?」とはなってた。そういうことだったのか。素晴らしいレーベルですね。

 

『アップグレード』

【採点】

【監督】リー・ワネル

【制作国/年】アメリカ・オーストラリア/2018年

【概要】交通事故に遭った後暴漢たちに襲われ妻を喪い、自身も四肢麻痺に陥ったグレイ。そこへ天才エンジニアのエロンが訪れ、グレイに高性能AIチップ「STEM」を埋め込む。STEMの力を借り体を自在に動かせるようになったエロンは、あの夜の暴漢たちに復讐を開始する。その超人的な力が辿り付く事件の真相とは…

【感想】

 昨年のマイベスト第一位『透明人間』リー・ワネル監督作。「AIチップによって自分の体を動かす」というSF要素を、純粋にカメラが主人公と共に機械的に角度を変える、という技巧で納得させる。「アイデアでギミックを成立させる」点『透明人間』と重なり、このままずっとリー・ワネルには低予算映画を撮ってて欲しいと思ってしまった。

 

『サイトレス』

【採点】A

【監督】クーパー・カール

【制作国/年】アメリカ/2020年

【概要】何者かに襲われた最後の記憶を瞼に残して失明したバイオリン奏者エレン。華やかな過去を持ちつつも今は身内は日本におり、頼りになる者はいない。介護士のクレイトンは優しく厳しくエレンの面倒を看ることになる。そんな日々の中、聴覚が研ぎ澄まされてきたエレンは「毎日マンションの表通りの車が同じ時間にアラームを鳴らしている」と気付き、、、

【感想】

 何言ってもネタバレになってしまうし、冷静に振り返ると細かい辻褄は合ってないというかやや強引な真相ではあるのだけれど、多少の粗を抱えつつも「映画という媒体が持つ特色」を見事に物語の芯に据えて、そのアイデア一本勝負で出来ているので嬉しくなってしまった。前半「この監督、こういう部分捉えるの上手いな」と感じた部分がそのままズバリこの映画の罠だったので「もお~」ってなる。

 

夏をゆく人々

【採点】A

【監督】アリーチェ・ロルヴァルケル

【制作国/年】イタリア・スイス・ドイツ/2014年

【概要】トスカーナで養蜂工場を営む一家。粗野で無骨な父、そんな父に愛想を尽かしつつある素振りの母、そして四姉妹。どこか世間と隔絶した閉鎖世界で生きる長女ジェルソミーナは、エルトリア古墳も埋まっているこの田舎の伝統に目をつけたテレビ番組との接近、少年院から更生プログラムとして訪れたドイツ人少年との出会いなどを通して、この日々に微かに居心地の悪さを覚えていく。

【感想】

 一夏の物語としてありえそうな展開を微妙にすかしていきながら、ジェルソミーナの「座りの悪さ」だけは一貫して画面に湛えられ、そんな彼女が特技として「蜂を顔に這わせる」場面だけ映像が弛緩しつい無心で見てしまう。消費され尽くした「ノスタルジィ」をまだこんな素朴に(素朴なフリをして)描ききれる映画があるのか。トトロのいない『となりのトトロ』と言おうか、平和な『ミツバチのささやき』と言おうか。

 序盤で出された情報の大体が集約するテレビ撮影の手前のくだり(こここそクライマックスなのでは)の、目の前で次々起こることに良い/悪い、嬉しい/哀しいの判断すらつかない混乱具合が凄い。でも現実はそうだから。

 

ショック集団

【採点】

【監督】サミュエル・フラー

【制作国/年】アメリカ/1963年

【概要】新聞記者ジョニーはピュリッツァー賞欲しさに、精神病院で起きた未解決殺人事件の真相を調査しようとする。知人の精神科医の助言を受け、「(妻が演じる)妹に欲情を抱く精神異常者」を演じることで入院に成功するジョニー。殺人を巡る三人の患者の証言を得ていく過程で、次第にジョニーの精神は混乱を来していく。

【感想】

 『シャッター・アイランド』の元ネタとされているけど、純粋に「このショットは」「この演出は」となったのは、女性患者にジョニーが襲われる場面がまんま『ゾンビ』の暴徒がゾンビに喰われる場面だったこと、ステージで歌い踊る妻の幻影がジョニーに重なる場面は『マルホランド・ドライブ』か何か、ともかくリンチが好きそうな演出だったことの二点。妻のステージが一曲フルで捉えられたり、本編はモノクロなのに回想で語られる外のシーンである「日本」「アフリカ」だけ唐突にカラーになったりといった本編の異化効果によって、本編演出のソリッドな巧みさもジョニーの精神と共に混沌の中にあるかのように、「実は間違っている」かのように錯覚してくる.

 患者たちを通して浮き上がるアメリカの、そして普遍的な病理。今見てもその切実さは変わらない。

 

『ブルータル・ジャスティス』

【採点】

【監督】S・クレイグ・ザラー

【制作国/年】アメリカ/2019年

【概要】捜査中の横暴を記録され謹慎処分を受けた刑事ブレットとその相棒トニー。沢山の犯罪者を逮捕してきたのに給料も上がらず出世もできず還暦を迎えるブレットは、一方で妻の病気、娘の通学路の治安の悪さに頭を悩ませ、とある犯罪者が隠し持っているかも知れない金塊に目をつける。そして、「その場」にかかわる人々の人生が決定的に変わってしまう運命の日が訪れる。

【感想】

 『アウト・オブ・サイト』見たばかりだからか、個人的映画人生の始まりに『ジャッキー・ブラウン』や『ペイ・バック』があるからか、『トマホーク』ではどうも心許せなかったザラーをいきなり凄い身近に感じる。30分で済む話を2時間半かけて描く.でも「溜め」としての時間ではなくて、人の生活に密着してずっとカメラ回して、面白くなったその部分だけ切り抜いていくような説得力。それでいてショットは的確。クライマックスは『アウトロー』もちょっと思い出しましたね。

 

蛇の道

【採点】

【監督】黒沢清

【制作国/年】日本/1998年

【概要】男二人がヤクザを攫う。幼い娘を誘拐され、殺された宮下(香川照之)と彼を先導する不思議な数学教師・新島(哀川翔)。陰湿な精神的拷問でヤクザ達から強引に真犯人の名前を吐かせ、そこで名前を出されたヤクザを順にさらっては同じことを繰り返す。一向に真実が見えてこない中、誘拐と拷問を繰り返す宮下のテンションはハイになっていく。

【感想】

 Vシネ時代の黒沢清がジャンルに忠誠を誓っているとは言え、やはり小中千昭(DOORⅢ)や本作の高橋洋と組んだ方が引き締まっている。終盤ちゃんと廃工場のドンパチが続くのも嬉しい.哀川翔の正体は最後に明らかになるが、一方で『リング』の真田広之であり『カリスマ』の役所広司であるような、世界の法則を知っているかの如き序盤の女生徒とのさり気ない台詞から、やはりここに於いては「謎の男」であり、香川を誘惑するファム・ファタールである。

 

蜘蛛の瞳

【採点】

【監督】黒沢清

【制作国/年】日本/1998年

【概要】かくして新島は復讐を遂げる。そして日常生活を取り戻すが、妻との会話は必死に繕った白々しさに満ちている。そんな中、偶然出くわした旧友・岩松(ダンカン)に誘われ新たな仕事を始める。仕事仲間たちとは間の抜けた時間を過ごす一方、その業務には殺人も組み込まれていた。

【感想】

 続編であり全くの別モノ。前作であれほど謎だった哀川翔が別人かのように疲弊した男を演じる。けれどファム・ファタールである点は変わらずだったりする。ダンカンに香川照之を重ねて見ることは可能だろう。阿部サダヲが出てたりして、こちらでの裏話も色々面白い。あらゆる「追いかけっこ」が出てくるのだが、そのたびに大胆な撮り方を繰り出してまるで印象を変え、早撮り低予算映画とは思えない驚きをくれる。そして何より唐突に訪れる恐ろしい心霊ショット。

 本作の方が好き、という声が多いのもわかるのだけれど、自分は一方で本作に流れる日常を淡々と描きながら現実感がヨーロッパ映画的な乾いた空気で飛躍している感じ、90年代的、いや個人的観点からもっと広範囲で『その男、凶暴につき('89)』から『ドッペルゲンガー('02)』までの日本映画に流れていた空気はむしろ馴染みがあって、きっちりバイオレンススリラーをやりきっている『蛇の道』の方が新鮮だった。

 

『レプティリア』

【採点】C

【監督】トビー・フーパー

【制作国/年】アメリカ/2000年

【概要】落ちこぼれ大学生8人は湖畔のボートクルーズに遊びに来ていた。しかしお調子者のダンカンがブレイディの浮気をバラしてしまい、ブレイディは彼女クレアとぎくしゃくし始める。ところでこの湖畔の近くのホテルには恨みの感情によって人を殺す100年前のワニの伝説があり、案の定若者たちはワニに襲撃されるのだった。

【感想】

 最初に若者が食べられる場面が完璧なインパクトで、しかしピークはそこ。「トビー・フーパーの外しの美学」と「低予算ゆえのCGやアニマトロニクス」が見事に噛み合わず、「なんだかわからない間」が後半につれどんどん増えていく。「面白くなりそうな要素やキャラをチラつかせつつ全く効果的に使わない」のは「わざと」だろうけど、しばしば訪れる「キャラが何に逡巡してるのかわからない棒立ち」は「事故」だと思う。

 それでも「汚い田舎の謎の小屋で暮らす狂人」「異常なほどのノイズ(今回は終始いくらなんでもうるさ過ぎるダンカン)」「チェーンソーあったけど使えない」といったフーパー印を残せる自由度も低予算ゆえなんだろうな。

 2000年というと『U.M.A レイクプラシッド』の頃だと思うけど、どちらもワニ映画の邦題にワニっぽさを出したくないという日本の配給会社の意図が不思議。サメならともかくワニじゃ売れないという判断なんだろうか。

 

『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』

【採点】

【監督】エドワード・ヤン

【制作国/年】台湾/1992年

【概要】1960年、台北。中国・上海から渡ってきた外省人の張一家。戦前の日本家屋に暮らし、屋根裏には日本軍が撤退の際に放置した日本刀が眠っている。次男のチェンこと小四(シャオスー)は中学の昼間部に合格できず夜間部に通っている。ある日、地元で有名なヤクザまがいの男ハニーの彼女である少女・小明と出会い恋に落ちる小四だったが、そのハニーに起こった悲劇をきっかけに、中学生同士の小競り合いはヤクザを巻き込んで血腥い日々へと突入。父にかけられるスパイ容疑、賭博を抜け出せない兄、キリスト教にハマる次女、小柄なのにプレスリーの物真似が上手くなる友人リトル・プレスリー、やはりヤクザまがいで地元を仕切る山東小明を奪い合う滑頭や小虎etc… 小四の日常はビビッドなディティールで満ち、そのイノセンスは少しずつ世界を照らしていくかに見えた。事件が起こり、すべてが終焉を迎えるその時までは。

【感想】

 長年見たくても見れずにいた映画を漸くの鑑賞。とても長尺の映画だが、『ヤンヤン 夏の想い出』がそうであったように、これからまた繰り返しこの世界に戻ってきたくなる映画だという気がする。「やっと見れた」より「初めまして(これからもよろしく)」。

 少年のいない場面も多いが、少年の察知できる範囲の輪郭として描かれていて、世界が瑞々しい。映画はこの先事件が起こるなんて知らないかのように振舞っている(というか事件そのものは色々起こるので日常の一部といった感じか)。『藍色夏恋』の1シーン先でこんな悲劇が起こっても不思議じゃないかのように。

 『花束みたいな恋をした』の二人は結局本作を二人してミニシアターで見たことはあったのだろうか。多分無い。もしあったとしても結末は変わらないだろうけど、苦々しくも甘美な体験として印象に残ったのだろうな。

 日本刀が残されていた事について目を逸らしてはいけない。

 

ウトヤ島、7月22日』

【採点】B

【監督】エリック・ポッペ

【制作国/年】ノルウェー/2018年

【概要】2011年7月22日、ノルウェーオスロ近郊のウトヤ島で起こった無差別乱射テロ。巻き込まれた少女カヤの視点で「銃声の続いた72分間」の恐怖をワンカット長回しで綴る。その日ウトヤ島には労働党青年部の若者たち700人が討論会を兼ねたキャンプに集まっており、その日起きたばかりのオスロの政府庁舎爆破テロに身内が巻き込まれたのではないかと気を揉んでいた。しかし銃声は海の向こうのオスロではなく、すぐ傍で聞こえる。60人を超える死者、100人近い負傷者を生むことになる地獄の72分間。カヤはただジッと息を潜めて耐えようとするが…?

【感想】

 先にNETFLIXポール・グリーングラスの映画『7月22日』を観ておくと、より事件の全容が伝わり易い。片や全容を伝える映画。片や巻き込まれた当人の、全容など知りようもない「耐える」時間。テロ再現映画がどうしたって持ってしまうアトラクション的な興味に背を向け、基本カヤは「少し動いて、ジッと耐える」を繰り返す。その行き詰まる緊張感を是としたい気持ちもあるが、しかし被写体がほぼ行動を抑え静止しようとし、時折カメラを振って近くを逃走する若者を捉える作業さえルーティーン化してくると、長回しであることが仇になって「このカメラ、誰視点?」と気になって集中を欠いてしまった。力作なのは確かだが… でも海の中を往復する恐怖と疲弊、絶望感は凄まじい。

 

『赤線地帯』

【採点】A

【監督】溝口健二

【制作国/年】日本/1956年

【概要】溝口の遺作。売春防止法が制定された1956年の物語を56年に撮って公開する。このビビッドさとタイムリーさが今の映画には必要なんじゃないか。まさに国会で法が審議されているその時、吉原「夢の里」ではほとんどがとうが立った娼婦たちが明日の我が身を案じていた。病気の夫と赤子を抱えるハナエ、器量よしで男を騙し大金を貯めるやすみ、離れて暮らす一人息子を想うゆめ子、ここを出て普通のお嫁さんになりたいと願うより江、そして若さに甘んじて消費の荒いミッキー。彼女たちの居場所はここしかない。しかし、ここは本当に居場所たりえているのか?

【感想】

 スタンダードサイズで切り取るならこうしかないとなぜか確信してしまえる路地と店内の織りなす狭い世界。矢継ぎ早に繰り出される軽口。その外側に一歩出れば容赦ない人生模様の苦さが待ち受けている。みんなを守るため政治家に文句言ってる風である店の主人も、結局は女を商品としか思っていない。

 非常に辛気臭い話なのだけど、「ここにこういう話があるが、どうか?」とソリッドに攻撃的に見せつけるだけのラストの切れ味がカタルシス。ふと『祇園の姉妹』はどう描かれていたか、見返したくなった。

 

『最高殊勲夫人』

【採点】A

【監督】増村保造

【制作国/年】日本/1959年

【概要】大手商事「三原家」の長男、次男はそれぞれ野々宮家の長女、次女と結婚していた。次女の結婚式、続いて三男・三郎と三女・杏子を結婚させようという話が持ち上がるが、当人たちは断固拒否。無意識でどこか惹かれながらも、意地でもくっつくまいとする二人。次第に杏子の周囲に三人の男性が言い寄ってきて、三郎は時にその間を取り持つようになるが…?

【感想】

 和製スクリューボール・コメディの傑作。モダンで粋な会話、社会の習性に対して自分の意思を持って抵抗しようとする登場人物。当時の丸の内ロケーションの面白さ(東京駅!)。自然且つ巧みに行われる脚本の省略。同コンビの傑作『巨人と玩具』は作品目的そのものが社会風刺であったけれど、本作は観客には王道ラブコメを楽しませ、その上でその向こうに見える討ち滅ぼすべき何かを見据えており、それは本作の作りが洒脱であることで成立するものでもある。

 今に置き換えればサブカルに志と社会批評がしっかり備わってる感じだろうか。強い。

 ギャフンと言わせてそれで終わりでもいいはずの、抗うべき象徴でもあった姉が抱えているものを最後に吐露させる、この正しさ。その後、父の新しい勤務先の描写で女性社員に偉そうに「おい!」と命じる上司が背後に移っている。これがちゃんと「嫌だ」と感じるよう出来ている。説教臭くなく。

 

カイジ 動物世界』

【採点】C

【監督】ハン・イエン

【制作国/年】中国/2018年

【概要】福本伸行『賭博黙示録 カイジ』の中国版実写化作品。幼なじみのナースに迷惑をかけながら自暴自棄な人生を送っていたジョン・カイジカイジは幼い頃両親を連れ去りにきた借金取りのトラウマのせいで、頭の中でカートゥーンアニメの主人公・殺人ピエロが暴れ出すのを押さえられなかった。やがてカイジは親友に騙され、一発逆転目指して豪華客船デスティニー号に乗り込み、謎の富豪が催す「限定ジャンケン」大会に参加する…

【感想】

 とにかくお金が有り余っている映画で、本題の限定ジャンケンが始まる前に主人公の妄想世界であらゆるど派手なアクションが展開する。原作の兵藤に位置するキャラはマイケル・ダグラスだし、エスポワール号ことデスティニー号のセットも豪華。「同時翻訳機」という設定のお陰で搭乗員も国際色豊か。

 だったら訳わかんない水増ししてないで限定ジャンケン以外のギャンブルも描けよ。という話なので、マジで企画の意味がわからなかった。福本先生が脚本に参加してるので、何か先生なりにやりたい事があったのかも知れないが、原作者の要望だろうと断る勇気を持って欲しい。露骨に続編へのクリフハンガーで終わる。たしかにこの予算規模での「鉄骨綱渡り」は見たい(日本の実写版での鉄骨綱渡りは合成丸出しで全然怖くなかった)。

 

『キュアード』

【採点】B

【監督】デヴィッド・フレイン

【制作国/年】アイルランド・フランス/2018年

【概要】ヨーロッパを襲った感染症メイズ・ウィルス。発症した人々は思考能力を失い周囲の人々を襲う。国連軍の介入でウィルスはようやく収まったが、収容されていた一部の患者たちが回復し、元の人間に戻るようになる。日常生活へ帰還する彼らを世間は許そうとせず弾圧の声が上がり、また「回復者たち(キュアード)」も自分たちの人権を確保するべく集会を開くようになる…

【感想】

 「もし人間がゾンビから元に戻ってしまったら」という発想で、まだ新しいゾンビ映画が作れるのか! と舌をまく。ウィルスキャリアへの差別は今後コロナ禍の世界で発生してもおかしくない(既にある?)ものであり、観客へのフィードバックが効くよう変に誇張せずリアルな生活下でのドラマにしたのも巧妙。ただそのテイストとジャンプスケアでビビらせてくる演出が完全に食い違っており、クライマックスも急にゾンビ物であることを思い出したかのようで中途半端だった。でもエポックな価値ある一作。

 

『ブロックアイランド海峡』

【採点】B

【監督】ケビン・マクメイナス、マシュー・マクメイナス

【制作国/年】アメリカ/2020年

【概要】小さな島の閉じたコミュニティの中で暮らす漁師のハリー。シングルマザーの妹が娘を連れてくる中、父親の異変に気をもんでいる。最近、魚や鳥の奇妙な死骸が見つかったり、父が吠える犬にやけに興味を抱いていたりする。バカな友人は陰謀論に夢中。この島の沖合で何が起こっているのかなど、今はまだ知らずに過ごしている。

【感想】

 全然知らなかったのに突然ネトフリに入りやたらプッシュされランキングも急上昇する系の映画大好きマンとして食いつかずにいられなかった一本。見終わってみれば「そんだけの話なのか」と唖然とするけど、その小さなアイデアをジワジワと地方の辺鄙な島の生活のリアリティと共に丁寧に綴り、ふざけず真面目に見せてくる姿勢に好感を抱く。

 A級の姿勢で撮ったB級。僕は好きです。

 

『ハウス・ジャック・ビルト』

【採点】C

【監督】ラース・フォン・トリアー

【制作国/年】デンマーク・フランス・ドイツ・スウェーデン/2018年

【概要】強迫神経症気味な男ジャック。膨大な芸術についての蘊蓄があり、自分で一軒家を手作りしたいと願いながら、何十人もの人々を殺め、自らの芸術作品に仕上げていく。彼と恐らくは彼の脳内にいる謎の男性との会話を通じて、彼の人生、そして彼の芸術(殺人)の数々が綴られる。

【感想】

 ぶっ飛んだ内容で目を引きながら自分の話を聞いてほしくて仕方ないおじいちゃんと化してしまったトリアー。性を暴力に変えただけで『ニンフォマニアック』と変わらぬパターンなので「ああ、またこれかぁ」と非常に眠たい。色々ジャックを突き放してるように見えるけど、本心ではおもっきり自分を仮託してることがモノローグからバレバレだし、話し相手にブルーノ・ガンツを召喚してる自己愛っぷり。主役が女性から男性になったところで女性への加虐趣味は増すばかりなのもさすがに閉口(ユマ・サーマンタランティーノの色々をバラしつつこういう役やってるの歪んでるなぁ)。

  ただラストシーンからのエンディングはさすがに笑ったし、こういう部分的に変に若いところは押井守にも見習って欲しいかも。

 「君は正しい文字を読むべきだったのに そうしなかった」

 

『スピリッツ・オブ・ジ・エア』

【採点】C

【監督】アレックス・プロヤス

【製作国/年】オーストラリア/1988年

【概要】昨年デジタル・リマスター版がリバイバル公開された、アレックス・プロヤスのデビュー作。荒野の果て、遠い壁に行く手を阻まれた一軒の家で暮らす、車椅子の兄と頭のおかしな妹。そこへ一人の放浪者が流れ着く。兄は彼と空へ飛び、壁を越えようと願う。妹はみんな兄に唆され死んでいった、空を飛ぶべきじゃないと反対する。はたして放浪者は、あの空へ飛び上がることが出来るのだろうか…

【感想】

 『マッドマックス』1~3('79~'85)、『バグダッドカフェ』('87)、本作、『楽園の瑕』('94)、『スワロウテイル』('96)、『シックス・ストリング・サムライ』(’98)。なんだか、全部同じ世界の話の気がするのは気のせいでしょうか。この映像世界の懐かしくも不思議な実存感。今この系譜の映画はあるんだろうか。

 しかしこの寓話的な物語のピュアさなんなんだろう。純映画的な映画かと言えば全然なのだけど、80年代の映画に特に感じる隙だらけのピュアな寓話。シンプルな話からピュアさが奪われ「敢えてやっている」といるエクスキューズをまとわざるを得なくなったのが、『タランティーノ以降』、という言葉の真の意味かも知れない。

 映画としてはやはり余りに退屈なのだけど、同時にいたたまれないくらい懐かしかった。

 

アニメ映画の採点 その2

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「映画の採点」第7弾、「アニメ映画の採点」としては第2弾となります.

前回こちら.

 

pikusuzuki.hatenablog.com

 

10年分の見逃しアニメ映画を落ち穂拾いしようと始めて、流石に前回と合わせて40本も見ればそれなりにフォロー出来るだろうと思ったのですが、まだまだ終わりそうになく.

採点はアニメ映画内での相対的なものなので、若干甘め.甘めと言いつつ今回平均点低いのですが、つまりは長年スルーしてきた作品群で、あまり積極的に見たかった訳ではないタイトルが多いのでイコール日本のアニメ映画が凄く駄目、ということでもないのです.と思いたい.

 

『劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~』

【採点】B

【監督】大森貴弘・伊藤秀樹

【制作国/年】日本/2018年

【概要】緑川ゆき原作、人気アニメシリーズ『夏目友人帳』初の劇場版。夏目の心中に様々なものが去来していた.嘘をつかれたまま別れた友人との再会、レイコを知る妖怪、レイコを知る人間との出会い.そんな中、タキが記憶を失い、ニャンコ先生が3つに分裂する奇事が発生.夏目はことの正体を探ろうとするが…

【感想】

 シリーズを総括しつつ夏目、レイコそれぞれの人生に触れつつ、(的場一門除く)オールスター映画にしつつと、いつもの『夏目』を一廻り大きな円(縁)で包んで改めて描きだす丁寧な劇場版.複雑に絡まってるように見えた筋が気付けばスッキリしている村井さだゆき脚本が光るけれど、もっと暴れてくれても良かったような.原作が持つ「妖が出現した時のゾワッとくる感じ」をアニメでも味わってみたいなぁと100回くらい言ってる.

 

『劇場版 はいからさんが通る 後編~花の東京大ロマン~』

【採点】

【監督】城所聖明

【制作国/年】日本/2018年

【概要】伊集院少尉の生存を諦めきれない紅緒は、正体が元日本兵だと噂の馬賊を確かめに満州へ向かう.しかしその正体は伊集院の戦友・鬼島だった.日本に引き返した紅緒は、次第に出版社の上司で女嫌いの青江冬星と惹かれ合う.そんな折、伊集院にそっくりな男がロシアからの亡命貴族として日本にいることが判明し…

【感想】

 前作から監督が交代、脚色は引き続き古橋監督.一作目が明らかに尺に合わない詰め込みっぷりで、だからこそ異常なほどメリハリのある(あり過ぎる)アニメの楽しさでつっきるピーキーな面白さがあったものを、今回は割りと話そのものはすんなり飲み込める一方、「ただあらすじを眺めている」といった地味さが否めず.何より紅緒の「はいからさん」といった響きに相応しい快活さが、冒頭の満州を最後にあまり感じられなかったのが物足りない.

 

『パンドラとアクビ』

【採点】

【監督】曽我準

【制作国/年】日本/2019年

【概要】『モンスターストライク』に登場するパンドラと、『ハクション大魔王』に登場するアクビが共演する特別篇二本.保安官と盗賊団がいる西部劇の街、精霊と怪獣の噂がある街、2つの街をパンドラとアクビが旅していく.

【感想】

 タイトルを飾るにしては知名度怪しくないかというキャラたちだけど、タツノコプロのもっと有名なキャラたちが本編には沢山混ざっている.スタジオは違えど、クレジットされる見覚えある会社名からしてTRIGGERの一連の「懐かしいタッチ」のアニメのあのラインで作られてるんだと思う.丸くて柔らかくて愛らしいキャラがよく動くが、あまりにこの世界、この物語へのとっかかりがなく、「アニメらしいアニメをやってる俺たち」というスタッフの自意識以外に感じ取れるものがない.

 

『えいがのおそ松さん

【採点】C

【監督】藤田陽一

【制作国/年】日本/2019年

【概要】同窓会に呼ばれたおそ松さん達.二十歳越えて職歴ゼロでニートかつ童貞、実家暮らし.その事実がバレた途端同級生たちにバカにされ、悔しさから荒れる6人だったが、翌朝目ざめると高校時代の自分たちがいる「思い出の世界」に飛んでしまう.誰かの未練によってここにいるとしたら、それは一体誰の…?

【感想】

 意欲作であることは間違いないのだけど、面白いかというと非常に微妙で、まず冒頭のおそ松さんたちが見下されるターンの時点ですでに「これいくつの設定?」「他の同窓生みんな成功者なの?」「属性いじりやり過ぎてて同窓生よりスタッフの見識の方が怪しく感じて乗りきれない」といった欠点が続出.例えばトト子を「謙遜しない美人」として描くのにブスをバカにするって、実はトト子のことも描けてない、ということに気付いているのかなとか.

 あとオチも、感動の為にそういうキャラの消費をするのは個人的に物語倫理が雑過ぎると思う.いくらでも濁しようはあったし、あと濁せてたとしても「もっとアナーキーなアニメだと聴いてましたが、普通ですね」となってしまう.

 それでも「アニメという偶像とファンの関係性」を描いた特殊な作品として作られた意義はある.

 

『劇場版 艦これ』

【採点】C

【監督】草川啓造

【制作国/年】日本/2016年

【概要】深海凄艦との戦いを繰り返す艦娘の吹雪たち.その最中、敵地で「謎の声」を聴くようになり、かつて沈んだ筈の仲間・如月が生還する.姉妹艦の睦月は喜ぶが、加賀は自分たちが繰り返してきた戦いの仕組みに気付いてしまう.そして吹雪はこの終わりなきサイクルの中心に、「自分」がいることを突き止め…?

【感想】

 話なんか作りようのないゲームを物語に仕立てる為、まずゲーム的な「設定」があり、その設定に気付いてしまうことでメタ的にキャラたちが絶望し戸惑うという話作りが面白い.それ以上突っ込むと原作の全否定になってしまうのでその手前で切り上げるのが物凄く消化不良ではある.想像以上に作画アニメで、手描きの爆炎の迫力に気持ちが上がる.話としては『アルペジオ』より断トツ空虚だが、アニメとして好みなのはこっち.

 

『劇場版Infini-T Force / ガッチャマン さらば友よ』

【採点】D

【監督】松本淳

【制作国/年】日本/2018年

【概要】タツノコプロ70年代作品『科学忍者隊ガッチャマン』『新造人間キャシャーン』『破裏拳ポリマー』『宇宙の騎士テッカマン』が揃ったタツノコアベンジャーズとして制作されたTVシリーズの劇場版.ガッチャマン生みの親南部博士、ガッチャマンNo.2の男「コンドルのジョー」を相手に、ガッチャマンたちは己の正義を追求する戦いに挑む.

【感想】

 『ガッチャマンクラウズ』との双子的存在であるというTVシリーズは気になるも未見(スタッフも異なる).とにかく和製CGアニメが苦手ですという身も蓋も無さを正直に告白した上で、アニメ見る時にある「作画が動くのを見る愉しさ」が得られない上に、せっかくヒーロー大集結の話なのに全然ユーモアが感じられずつまらないありふれたキャラが揃った以上の感慨はなく、また予算の都合か背景が限られているので印象が固い.話も頭に入ってこなかった.

 

『劇場版 黒子のバスケ LAST GAME

【採点】

【監督】多田俊介

【制作国/年】日本/2017年

【概要】『黒子のバスケ』後日談番外編『EXTRA GAME』をアニメ化した作品.アメリカから極悪ストリートバスケチーム・ジャバウォックが来日する.その日本人への民族差別的な発言、挑発は度を超している.これを迎え撃つため、相田監督はキセキの世代に火神たちを加えた即席チームVORPAL SWORDSを結成.日米決戦が始まる.

【感想】

 民族差別的な台詞を雑に描いた他国のキャラに雑に吐かせるという民族差別に対してあまりに無防備で呆気に取られる.バスケシーンもTV版(2期だけ見ました)の方が迫力あって面白い.あと、このラストにするならもっと黒子と火神を前面に出した話作りが必要だったのでは.赤司と敵リーダーの「未来視合戦」というトンデモネタを視覚的に面白く工夫出来てない辺りが全て.

 

『劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人』

【採点】D

【監督】阿部記之西片康人

【制作国/年】日本/2018年

【概要】国王の誕生日を祝うため幻の食材・天空魚を探しにきた七つの大罪.しかしメリオダスは誤解によって空を飛ぶ島「天空宮」に囚われてしまう.その頃、七つの大罪の前にはメリオダスそっくりな少年ソラーダが迷い込む.誤解が誤解を生む中、天空宮の禁忌の封印を解こうと「黒の六騎士」なる集団が暴れ出す.

【感想】

 王道少年漫画をストーリーテリングの巧みさで魅せていくタイトル、という印象だった『七つの大罪』、流石に映画では尺が足らず凡庸な話しか出来ず、決して満足はいかなかったヒロアカ劇場一作目に比べても作画的な見せ場はなく(平均すれば本作の方が丁寧だと思うけど)、A-1のアニメとしてもFGOのCM30秒に劣ってしまう.せめて話の独自性で勝負して欲しかった.何も悪くないけど、何も面白くない作品。

 

傷物語 Ⅱ 熱血篇』

【採点】B

【監督】尾石達也新房昭之

【制作国/年】日本/2016年

【概要】奪われた吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの体のパーツを取り戻す為、暦は三人のヴァンパイアハンタードラマトゥルギー、エピソード、ギロチンカッターと戦う事になる.しかしその決戦の場には悉く羽川翼が居合せ…?

【感想】

  シャフトの持続性をブッタ斬っていく演出は大変苦手なのだけれど、『傷』は作り込んだ舞台美術を活かすので空間が断絶しない.それだけで大分見易い上、今回は計三回もバトルシーンが挟まれるので楽しめた(もっと見たかったけど).話はお飾りに過ぎずお飾りの映像を全面に出してくる人を喰った作りで、羽川との会話シーンとかは正直しんどかったけれど、映画館で観たらなかなか没入出来たのではないかと思う.

 

傷物語 Ⅲ 冷血篇』

【採点】

【監督】尾石達也新房昭之

【制作国/年】日本・2017年

【概要】かくしてドラマトゥルギー、エピソード、ギロチンカッターを迎え撃った暦.無事に満足な五体を取り戻したキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと束の間の平和な時を過ごすが、「吸血鬼を助けた」、自分がしたことの真の意味を突きつけられる.

【感想】

  奇しくも、「日本の独りよがりのオリンピック」という時代を先読みしたような虚しい映像万博が展開するクライマックス.恐らく原作にそんな匂いはゼロなんじゃないかと思うが、尾石達也の映像遊びが偶然にも意味を帯びてしまった面白さ.おっぱい云々のくだりが相変わらず気持ち悪くてドン引きするも、人体破壊ショーバトルで取り返した.

 

『バジャのスタジオ~バジャのみた海~』

【採点】B

【監督】三好一郎

【制作国/年】日本/2020年

【概要】京都アニメーション自主制作アニメ『バジャのスタジオ』第二弾.アニメ会社「KOHATAスタジオ」で暮らしているバジャ、アヒルのオモチャのガーちゃん、アニメヒロインのココ、意地悪なギー.ここで働くカナコ監督たちスタッフに見つからないよう密かに遊んだりバトったりする一同だったが、ある日バジャはカナコが「海に行きたい」と嘆いているのを耳にする.

【感想】

 前作がちょっとアニメスタジオ賛美の自作自演的な空気だった一方、二作目にしてだいぶ複雑なメタ構造の話になってるのを可愛いアニメーションでうまいこと誤魔化されている.京アニのスケジュールにもそれなりの闇はあるが『SHIROBAKO』ほどめちゃくちゃな状況にまでは陥っていなさそう、という塩梅がリアル.

 まずバジャ(マスコット)、ガーちゃん(リアルおもちゃ)、ココとギー(アニメキャラ)と、存在する位相がバラバラなので『トイ・ストーリー』とは似て超非なる.

 正直前作は若干「誰に向けて作ってるんだろう」と首を捻ってしまったのだけど、二作目は面白かったです.

 脚本がクレジットされてないのがとても気になるけれど、三好監督の照れ隠しなのだろうか.

 

『MUNTO』

【採点】

【監督】木上益治(三好一郎)

【制作国/年】日本/2003年

【概要】天空に浮かぶ浮島たちの世界.地上で生きる現代人には心の力「アクト」が無い為に視認出来ないが、浮島でもアクトは枯渇しつつあった.結果、連合国はアクトを流出させている魔導島を襲撃、地上へ落とそうとする.魔導国の国王ムントは、地上に生きながらアクトの力を持つ少女ユメミに協力を求めようと旅立つ.

 自分だけが幼い頃から空に浮かぶ島を見ていたユメミは、その夢だと思っていた世界から訪れたムントに動揺し…

【感想】

  京アニプロジェクト第一弾として制作されたOVA.二年後に制作された続編『MUNTO 時の壁を越えて』と合わせて2009年のTVアニメ『空を見上げる少女の瞳に映る世界』の前半部分として再構成され、言わば第三作部分に該当するTVアニメの後半部分は『映画 天上人とアクト人最後の戦い』として劇場公開された.

 TVシリーズOVA二作目、劇場版も既に観賞済みで、およそ10年越しにやっと第一作を観賞できた(買いました).

 TVシリーズ見た時の「変な構成だなぁ」という謎がようやく解けた.

 空を見ていた少女と、空飛ぶ島の国王たる少年のガール・ミーツ・ボーイ.で、あるにも関わらず、物語序盤で最初の事件として描かれるのは、ユメミの友人で、少し頭の弱そうな少女スズメと隣り街の不良少年との駆け落ちの行方.

 このアンバランスがTVアニメの序盤としては謎であったが、一本のOVAのクライマックスとして見ると彼岸と此岸を渡るユメミの覚悟への後押しとして効果的だし、他に類似例が思い浮かばない味わいがある.事実、このアニメで今でも覚えてる場面ってここだけだったのだし.

 TVアニメにする際はやはりまずはユメミ視点でのみ物語を構成して、浮島が実在する!って驚きは後半にとっておくべきだったのでは? と思うけれど、OVAとしてはこれで正解だったんだなと、TVアニメ視聴時より楽しめた.

 

名探偵コナン 紺青の拳』

【採点】

【監督】永岡智佳

【制作国/年】日本/2019年

【概要】シンガポール名所、マリーナベイ・サンズで殺人事件が発生.やがてその地へと秘宝「紺青の拳(フィスト)」を求めて怪盗キッドが、強敵ジャマルッディンとの勝負を求めて京極真が、真を応援して園子と付き添いのコナン達が訪れる.自分の素性を蘭にさえ偽ることになったコナンは不自由な状態で殺人事件の謎を追い、キッドは秘宝強奪を目論むが、裏では連続殺人を遥かに凌ぐ巨大な陰謀が動き出していた.

【感想】

 『純黒の悪夢』以降(? それ以前のコナンをしばし見てないので違うかも)ハリウッド的というよりハリウッドでもやらないようなアニメ的嘘を用いたド派手アクションをいよいよ本格的に煽る演出で使い始め、『ゼロの執行人』でフィルムとしての演出密度を高めたコナン.初の女性監督を迎え、サービス精神とフィルムの統一感との両軸で攻めてくる.『ゼロ』と比べるとちょっと芝居場は弱いのだけど、「今後シンガポールを舞台にしたどんなハリウッド映画が出てこようが本作を越えさせない」という意地を感じさせる盛り沢山ぶり、邦画でこれだけのスペクタクルを見せてくれるなら大勝利でしょう.悪役の小物に「ナカトミ」を出してる割りにダイハード感は薄かったので、恐らく当初の脚本では更にホテル内部でもあれこれ派手なアクションがあったんじゃなかろうかと邪推.

 3分の1くらい英語台詞なので、イントネーションを重視したキャスティングになってるのも嬉しい.『PET』の中国語とか『ゴールデンカムイ』のロシア語とか、露骨に日本人の発話になっちゃってるとちょっと冷めたもんね.

 

 『劇場版 薄桜鬼 第二章 士魂蒼穹

【採点】

【監督】ヤマサキオサム

【制作国/年】日本/2014年

【概要】伝奇ファンタジーの世界で新選組を描いた人気乙女ゲーム劇場版後編.生きた屍のような「羅刹」を従える鬼たちと戦う新選組は、少女・千鶴を守る為自らもまた命短い鬼と化す.次第に一人又一人と息絶える中、千鶴は土方歳三を追って五稜郭へ向かう.

【感想】

 ちょっとずつ台詞の中身、或いは順番を入れ替えていくだけで大分違うんじゃないかという、そういう些細なニュアンスのバランスの崩れによってひたすらダイジェストめいた説明を聞かされている感覚になり、気持ちの流れが生じない.唐突に寝返り唐突にでも裏切ってませんでしたとなって唐突に死ぬ山南さん(その後の後くらいの場面で本当に寝返ったフリしてただけだと判る)、そんな山南さんの死を再会した仲間に即座に伝えない平助、の辺りの段取りのグダグダさが本作の全てを物語っている気がする.

 新選組が次々倒れる(史実では生き残ってる奴まで)様はどう描いてもエモい筈なのにそうならないのは勿体なくて、小林靖子がここにれば…と思ってしまった.

 

『劇場版 「SERVAMPサーヴァンプー」 Alice in the Garden』

【採点】B

【監督】中野英明

【制作国/年】日本/2018年

【概要】執事(サーヴァント)のヴァンパイア「サーヴァンプ」には七つの大罪を冠する者たちとそのマスターがいた.怠惰のマスター:真昼はある日、夏なのに雪が降っている不思議な現象の正体を探ろうと色欲のマスター:御園にも声をかけるが、屋敷から出てこない.御園の屋敷を訪れた真昼一行は、その空間に捉えられ、「色欲」の業を巡る御園の家の物語を知ることになる.

【感想】

 全然知らないアニメの劇場版をいきなり見る.話も設定も知らないし、今公式サイト見てどうもスノウリリィと御国というキャラを混合して見てたっぽいと気付いたけど、じゃあつまらないかというと雪の降る都市の冒頭から『劇場版×××Holoc 真夏ノ夜ノ夢』を思わせる屋敷の異界描写と作画で十分魅せてくれる.マイナスに働きがちな一時間という尺もちょうど飽きなかった.七つの大罪というけれど「色欲」は罪なのか? レッテルとしてばかりその言葉を機能させる危険性は? という話も悪くない(「色欲」にかられた男女の説明が足りないのでボンヤリしてたけど).

 

フレームアームズガール ~きゃっきゃうふふなワンダーランド~』

【採点】E

【監督】川口敬一郎

【制作国/年】日本/2019年

【概要】TVアニメの総集編.完全自立型の小型ロボット「フレームアームズ・ガール」を手に入れた女子高生あおと、様々なフレームアームズ・ガールは戦闘を繰り返して友情を築いてきた.そして今、不思議な箱の中身を覗いた一同は、小型ロボットなのに更にミニチュアサイズの戯画化されて、映画の中に映し出される自分たちの過去を眺めるのだった.

【感想】

 総集編映画の中でキャラたちが総集編映画鑑賞会をしている体a.k.aキャラクターコメンタリー.新規絵も入ってるらしい.ライブシーンもある.映画としてどうというより『フレームアームズガール』というTVアニメを履修している感覚.『武装神姫』を思い出しますね! 『武装神姫』をどれだけの人が見ていたか知りませんが.なのにこれと言って『武装神姫』からパワーアップしてるような印象はなく、面白くなかった(『武装神姫』もそんなに面白くはなかった).いっそ悪趣味なバトルロイヤルにすればまだ飽きずに見れたような.

 

PEACE MAKER 鐡 クロガネ 前篇 想道』

PEACE MAKER 鐡 クロガネ 後篇 友命』

【採点】B

【監督】きみやしげる

【制作国/年】日本/2018年

【概要】TVアニメ化された(『新選組異聞PEACE MEKER』の続編)『PEACE MEKAE 鐡』の劇場用アニメ化(TVアニメも同タイトルだが、厳密にはTVアニメ化した内容は前作の方らしい).市村鉄之助辰之助兄弟の視線から新選組を描きつつ、長州藩士の小姓・鈴なる男の新選組への執拗な憎悪も織り込む.劇場版は油小路事件後、仲間達を失った市村兄弟と山崎烝の迷走と別れを描く.

【感想】

 例の如く予備知識なしで観賞した為いきなり『進撃の巨人』がFinal Seasonから始まって、それも3rdシーズン後期のダイジェストが冒頭に着いてくる、ばりの訳のわからない映像が最初20分近く展開して大いに戸惑うも、固有名詞がわかってくると時系列が飲み込めてしまうので新選組って本当に便利.ただ『薄桜鬼』が「ビジネス新選組」だとすると、こっちは本当にガッツリ歴史を飲み込んで咀嚼して活劇に仕立てようという、骨太な新選組愛を持った原作なのだなと伝わってくる.

 物語の途中で始まって途中で終わるので映画になってないのだけど、WHITE FOXの作画は素晴らしい見応え.前篇も後篇も哀しい別れで終わってるので一応纏まりはあるし、前篇の哀しい別れに関してはその後の顛末が結局中途で終わってるので悔しいが原作読みたくなってくる.ここでも中田譲治土方歳三

 

『ちえりとチェリー』

【採点】C

【監督】中村誠

【制作国/年】日本/2016年

【概要】ストップモーションアニメ.脚本に故・島田満さん.幼い頃に父を亡くし、ぬいぐるみのチェリーとの妄想の世界で生きる小学6年生の少女ちえり.父の法事の為に母と実家へ帰っても妄想の世界を手放さず意固地になるちえりだったが、チェリーと共に土蔵を探検し、猫やネズミとの会話を楽しんでいる内に抜き差しならない事態に巻き込まれる.

【感想】

 今公式サイトのあらすじ読んでちえりが小6だと初めて知ったのだけど、小6にしてこれだけ幼いという特徴が単なる教条主義の為に小さくまとまってしまうのが寂しい.『怪物はささやく』よりはまだ妄想の中の冒険が現実の命を助けるという展開にしている分マシなんだけど、どちらも子供に寄り添っているようで寄り添っていないと感じてしまう.『妄想』の力が弱すぎる.チェリーもあまりに「そのまま」だしなぁ.

 

『BATON』

【採点】D

【監督】北村龍平

【制作国/年】日本/2009年

【概要】横浜 開国博Y150に合わせて制作されたロトスコープアニメ.岩井俊二が脚本を手掛け、北村龍平が監督.アニメ制作は海外で行われた(ストーリーボードアーティストとして長濱博史監督の名前がある.その内訳もメイキングで教えて欲しかった).人類が宇宙へ進出した時代.兵士たちの制止を振り切り宇宙ステーションから荒涼とした惑星へ跳び降りたアンドロイド.彼の残骸を拾った若い男女が見たものとは…?

【感想】

 「やあっ!」の掛け声と共にケイン・コスギが現れたり、大杉漣の顔がいくつも蠢いたり、00年代の日本映画のノリが懐かしくもキツい.全方位的に中途半端な内容ではあるけれど、明らかに本作の経験を踏まえて傑作『花とアリス殺人事件』はある筈なので、アニメ史的に無かったことには出来ない一作なのでは.お薦めはしません.

 

『俺ガイルFes.-FINAL-』イベント書き起こし

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俺ガイル.Fes.-FINAL-

 

2021年1月17日(日)習志野文化ホールで開催された『俺ガイルFes.-FINAL-』の備忘録、もとい書き起こしとなっております。

現地参加した際、個人的に今後振り返る際忘れず記録しておきたい発言が複数あった為、いっそ書き起こした方が早いだろうと思い配信アーカイブチケットを改めて購入し、要約を文字にして採録いたしました。

既に配信終了しているので記事にしましたが、もしFes.をご覧になれず内容が知りたくて当記事訪問された方おられましたら、実際には二時間半に及ぶ長尺、ここから省略されたニュアンスは数知れません.当然イベントそのものの映像を見た方が数倍楽しめること請け合いですので、現在アナウンスこそありませんが、今後もし円盤特典等にてイベント内容がソフト展開した際には、是非ともそちらをお買い求めいただければ幸いです。

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『俺ガイルFes.-FINAL-』開演.

 

   堀井茶渡、『2021メガネ』を掛けた江口拓也登壇。

 

茶渡「はいはいはい」

江口「ねえ! この格好なに?」

茶渡「と言うわけで、開演前の諸注意など紹介する大役を仰せつかりました、『えぐちゃど』でございます」

江口「前説いる? だって本編じゃん。配信始まってんでしょ」

茶渡「まずいくつかお願いがありまして(中略)。このご時世ですから、接触確認アプリ『COCOA』が機能するように、BluetoothをONに設定していただくようお願いいたします」

 

   (感染対策説明。マスクしたまま、声を出さず拍手だけ)

 

江口「反応は無かったら無いで寂しいんです。なんか動きがあった方が『聞いて下さったんだな』と思うので」

 

   会場、拍手。

 

江口「助かります」

茶渡「そして俺ガイルの挨拶と言えば『やっはろー』ですけれども、今日は『やっはろー』の代わりに大きい拍手で返していただきたいと思っております。練習してもらいましょう。『やっはろー』の主、東山奈央さんからね、『こうです』と。『やっはろー』に合わせて、パン、パパンと手拍子を。最後に手、広げちゃってもいいですよ」

江口「合ったら気持ちいいですよね。じゃ、やってみましょうか。やっはろー」

 

   会場、パン、パパン。

 

江口「合った!」

茶渡「すげえ、すげえ」

 

   (ライブの諸注意)

 

茶渡「そしてですね、皆さんが出来るかどうか、開演前に試してみたいと思います」

江口「『開演前に』歌があるんですか!?」

茶渡「そうなんです。それではご登場いただきましょう、話題のスーパーアーティスト。MC、わたりーん!」

 

   渡航、2021メガネで登壇。

 

渡航「ヘイヘイヘーイ。大丈夫? みんな。この前説でね、、、前説ってなんだ? この前説で、手拍子バッチリ練習していきましょう」

江口「チュートリアルです」

茶渡「では皆さんが感染対策を守れるのかどうか、MCわたりんの新曲で試してみたいと思います」

江口「ここで新曲? ここでしか歌いませんから、わたりんは」

渡航「じゃあ、歌うにあたって、、、邪魔だからメガネ外すね」

 

   渡航、メガネを置く。

 

渡航「よし!」

江口「もう汗かいてない?」

渡航「もうね。さっきからずっと吐きそうで」

江口「めちゃくちゃ緊張してるって言ってたもんね」

茶渡「朝から言ってたもんね」

渡航「ううん。き・の・う・か・ら」

江口「いいですか?」

渡航(マイクを堂本剛風に構え)「それでは聞いてください」

江口「その空気、なに?」

渡航「『君がいるから』」

江口「なに?」

 

一曲目.MCわたりん(渡 航)with MCえぐ(江口拓也)&MCちゃど(堀井茶渡

  『君がいるから』

 

渡航「イヤッホー------ウ!!! もう皆さんね、サイリウムから手拍子から拍手から、最の高」

 

   会場、拍手。

 

渡航「もっとくれ。もっとくれ。もっとくれ」

茶渡「MCわたりん、ありがとうございました。

 、、、それではね。まもなく開演となりますので

江口「(笑)」

渡航「(笑)」

茶渡「ここまでは前説なので。それではね、前説を担当しました、『えぐ・わた・ちゃど』でした」

 

   暗転。

 

二曲目.やなぎなぎ『芽ぐみの雨』

 

茶渡「皆さん、改めましてこんばんは。『俺ガイルFes.-FINAL-』始まりましたよ。やなぎなぎさんの『芽ぐみの雨』からスタートしました。今日は声援の代わりに身振り手振りでお願いしますね。そして配信をご覧の皆さんは、コメントを書き込んでくださいね」

 

   スクリーンで配信視聴者からのリアルタイムコメントが流れる。

 

茶渡「自分のコメント流れちゃったなと思っても、後で皆さん見ますし、わたりんは全部見ると思います。それでは、メンバー集合!」

 

   江口、早見沙織東山奈央佐倉綾音小松未可子中原麻衣登壇。

 

茶渡「それでは皆さん、一言ずつご挨拶をお願いします。江口さんから」

江口「比企谷八幡役の江口拓也です。本日はよろしくお願いします」

早見「雪ノ下雪乃役の早見沙織です。最後まで楽しんでいってください」

東山「では皆さん、拍手で。さっき言ったやつですよ。『やっはろー』」

 

   会場、パン、パパン。

 

東山「わあ、完璧。盛り上がっていきましょう。由比ヶ浜結衣役の東山奈央です。よろしくお願いします」

佐倉「はい。会場のみなさん、こんにちは。そして配信のみなさん、こんにちはー」

 

   佐倉、カメラに抜かれてる体ですまし顔。

 

小松「(低い声で)うわあ

佐倉「久しぶりに皆さんにお会いすることが出来てとても嬉しいです。一色いろはの声を演じております、佐倉綾音です。今日はよろしくお願いします」

小松「皆さんお久しぶりです。戸塚彩加小松未可子です。わたくし、ファースト以来のイベント参加となります、よろしくお願いします」

佐倉「会ったことないよね?」

小松「会ったことないの。私、一回もあやねると喋ったことない」

佐倉「私とあなたはあるよ!」

小松「今日は色んな初絡みも見られると思います。ファイナルということで寂しいですけど、最後までよろしくお願いします」

中原「私も、たぶん最初出て以来? だと思うんです。なので今日はずっと楽しみにしていました、雪ノ下陽乃中原麻衣です。よろしくお願いします」

   ※小松さんは2013年にティファ有明で開催された一期イベント『総武高校文化祭2013』の話を、中原さんは2015年に今回と同じく習志野文化ホールで開催された二期イベント『俺ガイルFes!』の話をされていると思われます。

 

茶渡「そして司会進行は私、戸部翔役堀井茶渡です。よろしくお願いします。では皆さん、お席の方に」

中原「なんかすごい、残骸が」

 

   わたりんライブの紙吹雪など残骸を拾って遊ぶ一同。

 

茶渡「何かあったんでしょうかね?」

江口「夢でも見てたのかな?」

小松「『芽ぐみの雨』から始まったんですもんね?」

 

   一同、着席。

 

茶渡「俺ガイルがいよいよ完結を迎えてしまいましたね。TVアニメが始まったのは2013年の4月からでしたが、小説が発売されたのは2011年の3月なので、約10年の歳月をかけて完結いたしました」

江口「長いなぁ」

茶渡「江口さん、早見さん、東山さん、小松さんは、2011年11月に発売されました小説第3巻特装版にドラマCDが封入された時から声を担当しておりますが、当時の思い出、俺ガイルと出会った時の印象はいかがでした?」

江口「そうですねぇ。9年前、、、」

小松「私、忘れられないのが、このドラマCDで初めての現場だっていう石川界人くんに会った

江口「あー!」

東山「そうだ! カラオケ店員の役やってましたよね? 懐かしい!」

江口「『いらっしゃいませ』」

小松「それが初めての現場だって」

佐倉「界人くんにそんな時期があるんだ?

江口「誰しもね! 未だに言われますもん、界人くんに会うと。『あの時、声をかけて下さってありがとうございます』って」

佐倉「わあー、、、怖いですね」

江口「そう怖い。『ずっと覚えてるぅー』って思って」

小松「ねえー」

 

   一同、無言。

 

茶渡「、、、え。界人の思い出だけ?」

江口「あと『先生こういう人なんだ』っていう。ディレクションもね、最初はわたりん積極的に入って。なんなら、わたりんが席に座ってたことなかった?」

早見「あ! 一回くらいあったかも知れないですね」

東山「ディレクションの席に?」

江口「そう」

佐倉「、、、遊んでたんですか?」

江口「仕事です!」

東山「そのドラマCDで歌とか歌わなかったっけ」

小松「一番最後に歌が」

東山「『Bright Generation』じゃなかった?」

 

   ここで早見、記憶を辿り鼻歌を披露。

 

早見「~~~♪ じゃ、なかった?」

東山「そうだっけ」

早見「(笑)」

東山「『今日から始まる私のBrand new birthday♪』って、やつ」

茶渡「それです」

江口「だからこそのカラオケ回。歌うのに意味があるよって」

東山「だから界人くんいたのか」

 

茶渡「アニメ化決定した時、皆さんどう思われました?」

東山「ドラマCDがすごく面白かったから、アニメ化決定した時に『やっぱりそうなんだ』って」

早見「確かに。あっと言う間にアニメに足を進めたので、それくらい人気作品なのかなっていうプレッシャーもあったり」

東山「そうだね。会話がポンポンポンって」

江口「現場の熱量も高いですから。まあ、わたりんを中心にですけど。本当にOKが出るまで苦悩するんですよ、役者陣も」

東山「何テイクもね。だって、一期の時のアフレコって割りとてっぺん(深夜0時)近くまで」

江口「長かったですね。(佐倉に)『続』の時はあれでも巻いてるんですよ?」

小松「そうだった!」

佐倉「ええー?」

早見「一期は夜十時くらいまで」

小松「でも、男性陣そのあと呑みに行ってましたよね?」

茶渡「(笑)」

江口「呑みの席にはわたりんと茶渡さんはとりあえずいるから。あと近藤(葉山隼人役の近藤隆)さんとかね」

茶渡「檜山(材木座義輝役の檜山修之)さん」

江口「そう、檜山さんが出番ある時は、毎回僕が『今日は行かないんスか?』って言うと『わかったよ、行くよ』って」

小松「嬉しそうに」

江口「面倒臭そうにしながら結局来てくれて」

茶渡「結局朝までいるっていう。檜山さん、次の日朝から仕事あるんだよ?」

江口「男子チーム、元気だったな」

 

茶渡「ここで少しずつですけれど、それぞれのキャラのシーンを見ていきたいと思います」

 

   以下、それぞれのキャラの一期から『完』までのダイジェスト。

   (途中登場の一色いろはは二期から)

   陽乃のVTR。みんなで茶々を入れながら観賞。

 

中原「早口でね、台詞入れるのが大変で」

江口「いつもわたりんが感動してましたよ」

中原「でも一度も呑みにいけないまま、(世界が)こんな感じになっちゃったから、、、早く明けて、みんなと打ち上げいきたいね」

 

茶渡「一期から参加されてますけれど、陽乃の印象いかがですか?」

中原「本当つかみ所ないなって印象で、わからないままやってたと思います。

 本当に彼女がわかったなって思ったのって、最後の最後かな。『完』の真ん中過ぎくらい。ずっと訊いていいのか、いけないのかわからなくて。『答え』を知ってから演じた方がいいのか、いけないのか。

 それからお母さんと雪乃ちゃんとの間のバランス。一番怖いのはお母さんであって欲しいので」

江口「確かに最初の方は、雪ノ下姉妹本当に仲が良いのか悪いのか、好きなのか嫌いなのか曖昧にされてたから。最後の最後まで見ると、『こういう仲の良さってあるんだな』って」

中原「愛してるんだよね」

 

   戸塚のVTR。みんなで茶々を入れながら観賞。

 

小松「私史上、一番可愛いキャラをいただきました。これでもかってくらい可愛さを意識したキャラクターは戸塚くんだけですね」

茶渡「女性キャラを差し置いて?」

江口「本当に?」

小松「可愛いを意識するキャラって本当に無いんですよ。どっちかと言えば気が強いとか、最近は年齢が上の役も増えてきてるんですけど。戸塚くんだけは可愛いを意識しようと思って、『完』はプレッシャーでした。可愛いは負けたくないですね」

 

   いろはのVTR。みんなで茶々を入れながら観賞。

 

江口「やってんな、これは」

佐倉「やってますよ

小松「何を!?」

佐倉「やってんすよ、これは。『あざとい』をやってます」

 

佐倉「色んなところで言ってるんですけど、一期からオーディションを受けて、全落ちして、結果この役に決まるっていう」

小松「そうなんだ?」

佐倉「折本(かおり)役もオーディション受けてるんですよ? 結果いろはすになって。資料にちゃんと『あざとい』って書いてあるんですよ。こんなに『あざとい』を全面に出した女子って。しかもエグくもあるじゃないですか。だからどこまでやっていいのかなって。やり過ぎると、、、『犬も食わない』みたいな(笑)。でも絵が可愛いから。顔がいいから。結構やってっても許されるんだなっていうのが『続』でわかって、そこから『完』の一番重要なシーンに臨むことが出来たので印象深いっていうか。『続』ではモノローグとかないじゃないですか」

江口「そうですね」

佐倉「何考えてんのか全然わかんない子で。そこから『完』のモノローグ読んだ時はたまらない気持ちになっちゃって。この子、こんな「人間、人間シーン」だと思っちゃって。最初はそんな好きじゃなかったんですけど」

茶渡「ほう?」

佐倉「段々好きになって、最後まで見届けたら大好きになってしまって。男性的に見たらどうなんですか? ああいう『あざとさ』は」

茶渡「男性的に見たらコロっといくじゃないですか、我々は。江口さん?」

江口「回避無理でしょうね。しかも距離感がある中で冗談を言ってくれるっていう。その冗談も本当か嘘かわからない。バラエティに近い関係性を築いてくれる」

佐倉「芸人さんのラジオみたいな感じ」

江口「学生の頃にいたらヤバいでしょうね」

茶渡「ダメージ負ってるでしょうね、こっちが勘違いで二度と思い出したくないようなトラウマを」

佐倉「へえー。まあ、『都合の良い女』はいいですよね」

江口「言い方よ」

 

   結衣のVTR。みんなで煩悶しながら観賞。

   『完』プロムの楽屋の場面にて、

東山「ここで(八幡の)頬赤くなってくれてるのが嬉しい」

   マンガ喫茶の場面にて、

東山「ここ優しい」

佐倉「でも残酷だよね」

東山「お兄ちゃん気質が出ちゃうんだよね」

   

   VTR終わり。

 

江口「おーい」

茶渡「ヤバいね」

東山(涙ぐみ)「ヤバいですね。『完』は特に結衣が沢山涙を流して、アフレコ中、茶渡さんがマイクの前に座ってらっしゃるんですけど」

 

   茶渡、何度も謝罪のポーズ。

 

東山「涙を堪えようとして鼻の気道が狭くなっちゃって、スンスン、スンスンうるさくしてるのが」

江口「めちゃくちゃうるさいんスよ、この人。『う、うう~』って嗚咽が録ってるすぐ横から聞こえるから、(ブースから)『今ちょっと本番中なんですけど』って」

茶渡「本当に申し訳ない。でもテストの時ね」

江口「『ちょっと出てます』って、本番出てったね」

東山「でも江口さんも早見さんも、本番『うう~(嗚咽)』って」

早見「呻いてたね、、、」

江口「呻いてた」

茶渡「『完』、二日前にも見直したんですけれど、結衣に何度泣かされた事か。恐ろしい」

東山「『恋愛』って一口に言えないというか。『奉仕部の三人で一緒にいたい』って気持ちが大きいし。『全部貰う』とか結衣は言ってましたけど、ゆきのんのお家に行った時に、写真見つけるシーン」

早見「はあ~(悶絶)」

東山「原作にも書いてあるんですけど、『可愛いなって思った』って。普通恋敵だったらモヤモヤしたり、マイナスな感情が働くところ、『可愛いな』って感想がまず出てくるのが結衣らしいなって思ったし、掛け替えのない関係性だなと思ったし、だからこそ凄く痛かった、、、」

江口「(唸る)う~~~~ん」

早見「(嘆息)あ~~~もう。(感染対策のアクリル)パネルを取りたいくらいです」

茶渡「抱きしめてあげたい」

 

   パネルごしに手を叩き合う早見、東山。

 

東山「大好きだよー」

早見「大好きだよー」

江口「ソーシャルディスタンス」

茶渡「さあ、それでは雪乃のVTRを見てみましょう」

早見「はあ~。この流れで見ると、なんとも言えない気持ちになっちゃうな、、、」

 

   雪乃のVTR。

   雪乃が奉仕部の鍵を手にしている場面を見て、

江口「君の横顔に~♪」

早見「(『ダイヤモンドの純情』の)八幡バージョンだ!」

 

   VTR終わり。

 

早見「凄い気持ちになっちゃいますね。今も映りましたけど、雪乃、一番最初の時って寄せ付けない、それこそ(アクリルパネルのように)こういうディスタンスが」

東山「時代を先取りしてましたね」

早見「それが段々面倒臭くなっていって、愛おしくなっていって、収録の帰りになんとも言えないモヤモヤした気持ちになってしまって」

江口「俺ガイルのキャラクターって、そのキャラクターにしかない愛らしさとか唯一無二感があるから。表面的なだけじゃない、、、なんていうんですかね? 素敵な部分が」

東山「生きてるって感じする」

江口「そう! 生きてたら色んな感情が」

茶渡「そうだよ。記号じゃないんだから」

江口「湧き上がるものだけど、血が通ってるなって凄い思いますもん」

茶渡「本当に、雪乃もそうだし結衣もそうだし、一期から『完』まで通して最初の印象が全然変わる。勿論、作中で成長してるからっていう面もあるんですけれど、それに驚かされたな」

江口「人生もそうですよね。普通に関わっている分には表の部分しか見えないけれど、付き合っていったらどんどん裏の顔が見えてきて、その人にしか感じられない部分が出てくる。それが『物語』というか。『ドラマ』してるなって」

 

   最終回VTR。

   「彼女がいる人好きになっちゃいけないなんて法律ありましたっけ?」

 

東山「いろはにしか出来ない慰め方だよね」

小松「こんなこと言うの許されていいキャラっているんだな」

東山「ヒロインの一人なのにね」

 

   「がんばって」を見守るいろは・小町の場面を見て、

 

佐倉「ここの二人おんなじ顔してるんだよね。ここ、いいのよ。私ここ凄く推してんのよ、『いろこま』」

 

茶渡「改めて皆さん、最終回振り返っての感想いかがですか?」

江口「いやあ~~~、、、、、、、、、、、、グッときますね」

茶渡「うん、うん」

江口「年数もそうですし、こういう着地点も。最後に『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』って言えたっていうのも自分の中では感慨深いですし。早見さんも仰ってましたけど、本当に色んな感情を貰ったなっていう」

早見「うん」

江口「平塚(静)先生がね、『好き』だけじゃ語れない、色々な感情があって、それが『本物』なんだっていう、、、今まで我々を苦しめてきた『本物』っていう言葉? 『本物』ってなんだ?って思ってたけど! 一言じゃいえない事が本物なんだっていう『本物』探しの着地を見た気がして」

早見「そうですねー」

東山「平塚先生の一言一言が本当良くて。グチャグチャにして、全部ひっくるめて君が『スキ』だよのくだりもそうだし、陽乃さんが言った『共依存の呪い』を解いたのも平塚先生だったと思うし。「そんな一言でくくるなよ」みたいな。なんかね、、、原作にいっぱい付箋が貼ってあります」

江口「凄いですからね、奈央ちゃんの持って来た原作の付箋の量」

東山「渡先生からね、『ページ数以上に付箋が貼ってある』って」

 

茶渡「話は尽きないところでございますが、改めまして皆さん、ここまでの応援本当にありがとうございました」

 

   出演者一同、観客に礼。

   観客、拍手。

 

   幕間。

   再び江口、茶渡渡航の登壇。

   関連情報告知コーナー。

   ゲーム版『俺ガイル。完(諸々未定)』用OVA、一部先出し。

 

   ※配信には乗っていませんが、ここで結衣の「まあ、クズなんだよね」発言で会場拍手起こりました。

 

江口「奉仕部の小町、熱いっすね」

渡航「良い絵面だよ」

茶渡「内容的には、読んだことあるぞ? という方も」

渡航「その予感は大当たりです」

茶渡「それを見れちゃうという訳ですね」

 

   グッズ紹介。

   ※受注期間 ~1月31日(日)23:59まで.

 

茶渡「そしてもう一つ。最新情報です」

江口「来たあ」

茶渡「こちらです!」

 

   スクリーンにタイトル。

 

  新プロジェクト決定!

  やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 』

 

渡航「『完』を作ったからには、『結(けつ)』を作ろうと。『結』がどうなるのか、これはもう私の口からは申せません」

江口「意味深だなあー!」

茶渡「超気になるよー?」

渡航「皆さん、凄いもうモヤモヤしてね、、、? 考察しておいてください。『どういうことだろう』って」

江口「マジでどうなるの?」

渡航「どういった形でかはまだわからないんですけれども、皆さんの元へまた新しいプロジェクトをお届けする気で、私はここ最近ずっと不眠不休でございます」

江口「寝て」

茶渡「寝ろ」

渡航「楽しみにお待ちいただければと思います!」

えぐわたちゃど「よろしくお願いいたします」

 

   ライブコーナー開始.

 

三曲目.由比ヶ浜結衣(CV.東山奈央)『Lの感情』

 

四曲目.雪ノ下雪乃(CV.早見沙織)『エブリデイ is パーフェクト』

 

五曲目.比企谷八幡(CV.江口拓也)『無様な青春を』

 

六曲目.一色いろは(CV.佐倉綾音)『今という未来へ』

 

七曲目.戸塚彩加(CV.小松未可子)『僕たちダイアリー』

 

八曲目.やなぎなぎユキトキ

 

九曲目.雪ノ下雪乃(CV.早見沙織)& 由比ヶ浜結衣(CV.東山奈央

    『Hello Alone』

 

十曲目.やなぎなぎ春擬き

 

十一曲目.雪ノ下雪乃(CV.早見沙織)& 由比ヶ浜結衣(CV.東山奈央

    『エブリデイ・ワールド』

 

   ライブ演出の雪舞うステージ。

   曲終えた昂揚とパネルから解放され、壇上でイチャつく早見、東山。

 

茶渡「あら。あらあらあら」

 

   一同、ステージ再登場。

   江口の全身に大量の『ぼっち』シールが貼られている。

 

江口「雪が、、、」

東山「雪も凄いけど江口さんも凄いんですけど!?」

早見「あれ!?」

江口「本当やめて貰っていいですか? 実はトークコーナー盛り上がっちゃって、『ぼっち王決定戦』っていうバラエティコーナー削ったんですよ。その為に作られた『ぼっち』シールが余っちゃったんですね? ええ。悪いのはみかこし・あやねるですね」

 

   佐倉、キョトンとした表情。

 

江口「『余ってるなら貼っちゃおうぜ』って言って、この二人(渡航茶渡)使って『そこ、そこ、そこ』って全身貼っていったんです」

東山「ポイントはどこになりますか?」

佐倉「まず横向いてもらっていいですか? パーカーとパンツの割り印として貼ったシールがお洒落。靴に貼ったシールもアシンメトリーでお洒落。そしてお尻に貼ったシールも、わたりんと茶渡さんそれぞれに貼ってもらって、一人ずつのお尻」

 

   江口、全身シール貼られた状態で横を向き、靴を見せ、尻を見せる。

 

早見「ランウェイ

佐倉「あと脇の下」

 

   江口、脇を見せ、片手上げてポーズ。

 

茶渡「カッコイイ」

佐倉「あとパーカーに記されたキャラ名の八幡のところに貼ったシールと、フードの下に貼ったシール。それから、そのまま顔洗っても紐ダランってならないように紐もシールで留めて、、、」

江口「この尺要らないから! いいコーナー始まるんだからここから」

茶渡「俺、なんか言いづらいんだけど、仕切り直しますよ? 『俺ガイル』シリーズは一旦終了となりますので、今まで自分が演じてきたキャラクターへの思いを、皆さんに綴ってきていただきました。そしてその手紙を読み上げてもらったあと、『俺ガイル缶』に詰めて、渡先生の自宅に飾ってもらおうと思います」

 

   とっ散らかった空気の中、ステージ中央に『俺ガイル缶』登場。

 

東山「俺ガイル完じゃなくて、俺ガイル缶なんだね?」

茶渡「それでは、まずは中原さんからお願いします」

中原「やりづらいわ!

茶渡「本当にごめんなさい」

中原「雰囲気作ってみてもらえると嬉しいです」

 

   会場にBGM。

 

中原麻衣さんから雪ノ下陽乃への手紙

 

『 陽乃さん 

 

  初めてあなたに出会ってから、そろそろ八年になりますね

  はじめは、あなたが何を考えているのか全然理解できなくて、

  絶対に友達になれないタイプの人だなって思ってました。

  でも、長い年月あなたと向き合ってきて、

  私の気持ちも徐々に変化してきました。

  あなたは、とっても可愛い人。

  大切な人にしか向けられない怖いくらいの愛情や、

  他人には理解できない天邪鬼っぷり、

  すべてが振り切っていて、見ていて気持ちがいいです、

  器用に見えて、実は不器用なだけなんだって気付いた時、

  そんなあなたが可愛くて仕方がないって感じている自分がいました。

  今では、あなたと出会えたことに本当に感謝しています。

  ありがとう。

  あなたがこの先どんな人生を歩んでいくのか

  とても楽しみです。 精一杯、幸せになってね。

  また、人生のどこかの時間を

  私と共有してくれる日が来ることを願っています。

 

                        またね 』

 

中原「まさかこんな流れで読むことになるとは」

江口「素敵」

早見「江口さん、その衣装で読むんですよ?」

江口「やだよー。時間巻き戻ってくれ」

早見「時を戻そう」

江口「時を戻そう」

 

小松未可子さんから戸塚彩加への手紙

 

『 彩ちゃんへ

 

  改めまして彩ちゃん 小松未可子です。

  実は俺ガイルのオーディションは

  彩ちゃん以外にも受けていたんだよ?

  そして彩ちゃんに決まって、結果を聞いた時は

  スフィアさんのLIVEの休憩中だったんだけど、

  トイレですっごい喜んだなぁ。

  そしてスフィアさんのLIVE最高だったなぁ。

  私史上最高に可愛い男子との出会いは、ここから始まった訳です。

  彩ちゃんを担当するに当たって、どう演じようか悩んだ時

  私の中学時代に実際にいた、めちゃカワ男子を思い出したんだ。

  ぐっちょんって言うんだけどね。

  それこそテニス部で、髪型も似ていて、華奢で、お肌の透明感凄くて、

  トニカクカワイイところが本当にそっくり

  ノートに猫みたいなゆるキャラの落書きしてくれるんだよ完璧かよ!

  私の中の、彩ちゃんの可愛い像は、

  そのぐっちょんからインスピレーションを受けています。

  そのぐっちょんも、もう32歳。

  Facebookで見たら、

  めっちゃヒゲの生えた男前になって結婚してました人生って凄いね!

  彩ちゃんがどんな大人になるのかとても楽しみ。

  大人になっても、声変わり、あんまりしないでね。

 

                      またね、彩ちゃん 』

 

江口「ぐっちょん、見てるかなぁ」

早見「彩ちゃんもそうなるのかな」

 

佐倉綾音さんから一色いろはへの手紙

 

『 親愛なる一色いろはさんへ

 

  もはや一人のキャラクターとしてではなく、一人の人間として

  あなたを受け止めてしまっている節があるかも知れません。

  それくらい、俺ガイルという作品の解像度は高く、

  沢山感受性を揺さぶられた作品でした。

  周りからの見え方は違うかも知れないけれど

  思考の本質は、あなたと私、少し似ている気がします。

  演じていて共感することも多々ありました。

  あなたの生き方だと、この先も悩んだり苦しんだりすることが

  多いかも知れないけれど

  これからもあざとく、気高く、進んでいってください。

  あなたの人生の一部を担うことが出来て、とても幸せです。

  大切な私の人生の一部になりました。

  いつか、

  (いろはの声になって)

 

  『あなたが私の声で、まあまあ幸せでした』

 

  って、飾らないあなたに言ってもらえる日が来たら、最高です。

  これからも、たまに混じり合いながら、共に生きていきましょう。

  八幡とか言う奴より良い男見つけような。

 

                   あなたの声帯 佐倉綾音より 』

 

   佐倉、手紙を缶に入れながら江口を一瞥し、

佐倉「あの男より

 

東山奈央さんから由比ヶ浜結衣への手紙

 

『 結衣

 

  結衣と初めて出会った時、私はあなたの事が

  大好きだなって思ったよ。

  一緒にいると明るい気持ちになれて、応援してあげたくなる。

  一生懸命なあなたがとても可愛くて、ただただ大好きでした。

  そして、長い月日を共にして今私が思うのは、

  結衣はとても凄い子だってことです。

  よく頑張ったね。

  いっぱい考えて、いっぱい涙を流してきた結衣を、

  私は心から尊敬します。

  これから色んな人に出会うだろうけれど、

  ヒッキーは結衣にとって、いつまでもたった一人の人なんだと思います。

  今は少し苦しいけれど、

  それくらい『好き』ってだけじゃ言い表せない人に出会ってしまったんだよね。

  でも、クッキーが上手く作れるようになったように、

  結衣はこれからも、誰も知らないところでだって頑張るんだと思います。

  そういう子はね、大丈夫だよ。

  ちゃんと神様が見ていてくれると思います。

  ヒッキーもゆきのんも、いろはちゃんも優美子たちも

  みんな感じてくれています。

  (少し涙をのんで)

  あなたはとても愛されている。

  大切な青春、大切な恋に一緒に向き合わせてくれてありがとう。

  結衣。幸せにならなきゃだよ。

 

  また『やっはろー』って言い合えますように。

                           奈央より 』

 

早見「なんかどんどん、どんどん降り積もっていきますね」

 

早見沙織さんから雪ノ下雪乃への手紙

 

『 雪ノ下雪乃さんへ

 

  こんにちは こうしてお手紙を書くのは、

  記念日に家族に手紙を書くようでなんだか少し不思議な気持ちです。

  雪乃さんと最初に出会ってから、もう十年の月日が経つのですね。

  第一印象は、才色兼備、孤高の人

  でも知れば知るほど、面倒臭くって、最高に可愛くて

  歓び、哀しみ、切なさ、悔しさ、いとおしさ

  時には目を向けるのに勇気が要るようなものも含めて、

  色んな感情の扉を、一緒に見つけていけた気がします

  私の声が、声帯が、

  雪乃さんの繊細で複雑な心をどれだけ形に出来たのか

  私としては、まだまだもっと足りないと思うところもあったけれど、

  それでも、あなたとシンクロ出来た一瞬一瞬は、

  魂が震えるような気持ちだったし、かけがえのない宝物です。

  ありがとう。 私の元には沢山の、あなたへの思いを語る、

  俺ガイルファンのみんなからのメッセ-ジが届いています。

  いつか、一緒に並んでそれを見られたらいいなぁと思います。

  そして、どうやらこれからも、嬉しいことにまだまだ、

  あなたと、俺ガイルと共にある日々は続くようです。

  今後ともよろしくお願いします。

 

  あなたが大好きよ。雪ノ下雪乃さん。  

                          また明日 』

 

江口拓也さんから比企谷八幡への手紙

 

『 比企谷八幡

 

  小寒の候、まだ来ぬ春が待ち遠しく感じられますが、

  如何お過ごしでしょうか。

  僕が俺ガイルに、八幡に出会って、もう十年。

  十年弱。九年? 八、九年経ちました。

  早いものです。時間が経つのってあっと言う間ですね。

  僕は八幡を演じることで、良かったなと思うところと、

  悪かったなと思うところがあります。

  良かったところは、客観的に物事を捉える術を教えてもらったところ。

  今でも人生に於いて、とても役だっています。

  悪かったところは、客観的に物事を捉え過ぎて、

  他人を信用しなくなったところ。

  その結果、ぼっちが加速したところ。

  ハッキリ言って、プラマイで言うと、マイナスです。

  でも、だからこそ、大切なことに気づけました。

  それは、そんなマイナス人間にも普通に接してくれる、

  善い人たちが判るようになったところです。

  僕に関わってくれる人は、みんないい人だ。

  だから、そういう人たちを大切にしよう。そう思えました。

  八幡は確かに面倒臭いし拗れているけれど、

  自分の心の半径に入った人間を物凄く大切にする、

  めちゃめちゃイイ奴です。

  わたりん、そんなイイ奴に僕を選んでくれてありがとうございます。

  これからもよろしくお願いします。

  最後に

 

  寒さ厳しい折、これからもご自愛ください。 』

 

茶渡「これで皆さんのお手紙が缶の中に入りました。渡先生、如何ですか?」

渡航「本当に、なんと言いますかね。こんなにキャストさんがキャラクターのことを愛してくれる作品は他に無いんじゃないかというか。ちょっとごめんなさい」

 

   渡航、込み上げる。

 

茶渡「わかるよ。これはリハしてないからね」

渡航「あのー、、、(江口を見て)何て格好してるんだお前は

佐倉「合ってましたけどね」

小松「『ぼっちが加速して』のあたりピッタリでした」

江口「確かに加速しとるわ、吃驚した」

渡航「本当に原作者冥利に尽きる、幸せな現場でした。この缶はですね、子孫代々、伝えていこうと思います、、、子孫が出来るかは別の話ですが、最悪自分の墓場にそのまま入れるつもりでおりますので」

茶渡「いいんだよ、それは。ではですね、そろそろお別れの時間が近づいてまいりましたが、ここでもう一曲、聴いていただきたいと思います。はやみん、奈央ちゃん、お願いできますか?」

 

   コソコソ話していた早見、東山、すでに込み上げてる涙を拭きつつ、

 

早見「いや。今、渡先生の表情を見て一緒にね?」

東山「ね」

早見「色々思い出して」

東山「胸がいっぱいで」

早見「ですが、いきますか」

東山「いきましょう。万感の思いを込めて届けよう」

早見「じゃあ、歌わせていただきます」

茶渡「それではよろしくお願いします」

 

   いつのまにかステージには早見、東山の二人きり。

 

早見「呼吸を整えないとなかなか」

東山「みんなの心の奥底に触れた。『本物』のね、気持ちを」

早見「グルグルしてる、今」

 

   ステージ暗転。スポットライト。

   早見、東山、向き合う。

 

早見「やっぱり『完』に於いてのこの曲は、一緒に歌いたいねっていうところで。じゃあタイトルを一緒に言って、始めましょうか」

東山「うん」

早見・東山「『ダイヤモンドの純度』」

 

十二曲目.雪ノ下雪乃(CV.早見沙織)& 由比ヶ浜結衣(CV.東山奈央

     『ダイヤモンドの純度』

 

   全員、ステージ再登壇。

 

茶渡「本当に時間が経つのは早いですね。ついに時間が来てしまいました。

 皆さん、『俺ガイルFes.-FINAL-』如何でしたか?」

 

   会場、拍手。

   登壇者一同、今までの応援へのお礼とメッセージ。

 

やなぎなぎ「今日、難しい状況の中、会場にいらした皆さん、そして配信でご覧頂いている皆さん、そしてキャストの皆さんと一緒に『俺ガイルFes.-FINAL-』を楽しめたこと、とっても光栄でございます。

 『俺ガイル』は私の音楽活動の主軸と言っても過言ではないくらい、長くご一緒させていただいて。国内は勿論海外でも、俺ガイルの曲を歌い出すと『わあー』って歓声をもらって、とても嬉しいことが沢山ありました。

 今日もすごく楽しいんですけど、原作者の方が歌うイベントってなんなんだろうって」

江口「(爆笑)」

 

   会場、拍手。

 

渡航「な、なんなんでしょうね(笑)」

なぎ「それだけ生み出した作品を愛して、そして皆さんを巻き込んでいることも素晴らしいことだと思います。

 作詞をさせていただく時、いつもリクエストをお訊きしていたんですけど、『やなぎなぎの思うままに』って言っていただいて、信頼していただいていることが嬉しくて。原作を読み込んで。俺ガイルから、自分の中には無かったインスピレーションを沢山頂きました。

 アニメ完結だよって聞いて、歌詞書き終えたらもう終わっちゃうと思って寂しかったんですけど、『芽ぐみの雨』にも書いた通り、物語は一度生まれたら、目に見える形じゃなくてもどんどん成長したり、続いたりするものだと思いますので、『ユキトキ』『春擬き』『芽ぐみの雨』と共に、皆さんの中で物語がどんどん続いていったらなと思います。

 本当に長い間関わらせていただいて、ありがとうございました」

 

中原「キャスト、原作者、スタッフ、お客さん、配信視聴者の皆さん、愛に包まれたイベントに参加出来たことが凄く幸せでした。

 お家に帰るまでがイベントです。私たちも気をつけて帰るので、皆さんも気をつけて帰って下さい。今日は本当にありがとうございました」

 

小松「一番最初のイベント以来の参加だったんですけど、十年ずっと続いていた作品という訳ではなくて、時々みんな離れて、また一瞬再会して、会う度にみんなが強く、絆が強くなっているのはとても素敵な作品だなと思いました。

 物語はどんどん複雑になってしまうけれど、そういう感情をみんなで共有、共感して、たまに『違うな』って思ったり、そういう色んな気持ちがあったからこそこうしてみんなが愛して、色んなものを見つけにここへ来てくれたのかなって思います。

 私もこうして一つの、間違った青春を非常に楽しく過ごさせていただきました。

 今後も彼らの人生は続いていきますので、何かまた、あるんでしょう。

 『結』ですか。何の『結』かさっき我々話していたんですけど、二つくらい解釈あるんですけど、、、言いません」

 

佐倉「十年続くって、本当に選ばれた作品だけが成し得るものだったりするのかなって思ってしまいます。その間を学生時代駆け抜けた、場合によっては追い越した人、もしくは最初から追い越してる人もいるかなと思うんですけど。もしくは最初は小学生だったのが完結をもって八幡と肩を並べる人がいるんだなって。

 私はあんまりのめりこみ過ぎると役者は危ないので、しないようにしようと思っているんですけど、「本当に実在してるかも」って。「この世界のどこかに彼女たちがいるのかも」って思うと本当にたまらない気持ちになるし、学生時代に『俺ガイル』に出会ってたら人生ダメになってただろうなって思うので。

 でも本当に人生を動かされた人もいるくらい、心のある作品だったなと思います。

 私は嬉しい『完結詐欺』だなって、『結』を思うようにして。

 だって『結』だっていつ出るかわかりませんもんね?」

茶渡「(渡航に)言われてるよ?」

佐倉「千葉に来て歌われたりしてますけど、マジ仕事しろ。いろは的にはね。皆さんで完結詐欺に巻き込まれながら、楽しい日々を紡いでいきましょう」

 

東山「1コーナー飛ばしてもみんな気持ちを語りきれなくて。こういうご時世だったので作品が完結しても打ち上げが出来なかったりして。スタッフさんにお礼を言う機会もなかなかなかった中、こういう機会を頂けて、一緒に盛り上がることが出来て、本当に幸せだなって思いました。

 舞台袖で『ユキトキ』を聴いて当時の気持ちを思い出したんですよ。

 私、声優活動十周年って言って去年駆け抜けてきたんですけど、俺ガイルと私のキャリアはずっと共にあったと言っても過言ではなくて。

 ユキトキ』を聴いていた時はこれからどんな、笑って、笑って、笑って笑って、の作品との日々が続くのかなと思っていたら、『続』『完』と来て、随分遠くまで感情が来たなって思って。難しいお芝居が続いたんですけど。台詞以上に空気感みたいなものが俺ガイル世界にはあると思っていて、それを演じることが出来るのは役者冥利に尽きるなって思いました。

 色んな最終回がありましたけど、みんなで盛り上がったり、泣いたり、色んな現場があるんですけど、最終回終わって、(早見)さおさんと固く握手をして、そういう風に終わる作品って俺ガイルだけだったんで、それが全てだなって。

 これからも人生の宝物にしていただけたら嬉しいなって思います。

 また『やっはろー』って言い合いましょう。ありがとうございました」

 

早見「十年っていう長さを雪ノ下雪乃さんと歩いてこれて、本当に幸せな気持ちです。『俺ガイル』のラジオをやっていると、メールを送ってくれるリスナーさんが本当に様々な世代の人、そして皆さんの十年の移り変わりを感じるなと思っていて。

 そして世界全体も、まさか、あの時はこんな風になるなんて誰も予想していなかったし、どんどん時代は移り変わっていって、私たち自身も変わるところ、変わらないところ、いっぱいあると思うんですけど、それでも『俺ガイル』の中には本物があるなと私は思っていて。

 確かに人間不信になることもある、自分の見たくないものを見せられることもある作品なんですけど、だけどもう一回、、、もう一回だけ、誰かを、人を、信じてみようかなって思える、そういう作品だと思うので」

 

   早見、涙堪え、

 

早見「あれ? こんな感じになるつもりでは無かったんですけど。これからも、皆さんが帰ってきたい、本物に出会いたいって思った時に、この作品に帰って来て下さい。また続きでお会いしましょう」

 

江口「渡航先生と僕同い年で、今まで見てきたものも同じで、近くで物を作ってる姿をずっと見てきたんですけど、物凄く愛があるんですよ、作品に」

 

   江口、涙堪え、

 

江口「これだけ愛を以て作品を書いてくれて、やなぎさんも曲を作ってくれて、アニメーターさんが描いてくれて、役者陣がぶつかり合えて、皆さんが応援してくれて、嬉しかったです。すいません、まとまりません。ありがとうございました」

 

渡航「俺ガイルFes.これが最後ということで、、、これで私も、普通の男の子に戻れます」

 

   渡航、涙堪え、

 

渡航「誰一人欠けても、こういう結果にはならなかったと思うので。演者さんも、スタッフさんも、そして皆さんも、君がいるから俺ガイル、という。その感謝の一念だけでございます。本当にありがとうございました」

 

   茶渡も若干涙堪え。

   ここで渡航にサプライズの花束とアクリルプレート贈呈。

 

渡航「ああ。こういう時に上手くリアクション取れない」

東山「本当に、宝物を生み出してくれてありがとうございました。お体、大切に。『結』待ってます」

 

   渡航から逆サプライズ。メインキャストへの手紙。

   渡航、メインキャスト三名、司会の茶渡も? ずっと涙腺緩んでいる状態。

 

渡航から東山奈央さんへの手紙

 

『 東山奈央

 

  今から十年ほど前 2011年の事です。

  最初にあなたの声を聴いた瞬間、手元の赤ペンで大きく丸を書いています。

  印象的だったのは、声音ににじむ明るい笑顔でした。

  このお手紙をしたためるにあたって過去のデータから発掘したオーディション当時の自分のメモ書きには、

  『一番イメージに近いかな。アホっぽくて嫌いじゃないぜ。しっとりもいける感が。前向き感、好きだなぁ』

  と、あります。どこの誰?って感じのコメントなのですが、個人的なメモなので。

  声とお芝居から受ける第一印象は明るく天真爛漫、けれどしっとりと思慮深く、下を向いてもまた前向きに歩き出す、そんな感じでした。

  実際にお会いして、そのイメージはますます強まっていった気がします。恐らく誰よりも一番多く質問をしに来た方なのではないでしょうか。

  アフレコが始まる前や休憩時間終わった後、いつもまっすぐな視線でそのまま倒れ込みそうなほど前のめりにお話するあなたはとても眩しく、また恐ろしい存在でした。質問されるたびに私は思いました。

  、、、もっと苦しめ、もっと悩め、もっと曇れと。

  もっと上手く僕がお伝え出来れば良かったのですが、足りないピースをいつもあなたが埋めてくれました。あなたほどひたむきにキャラクターと向かい合う人を他に見たことがない。なんなら怖い。

  でもですね、

  あなたの苦悩が由比ヶ浜結衣という少女を少しずつ大人にしていき、一緒に流してくれた涙が暗い影を落とし、だからこそ輝くような青春を照らし出したのだと思います。

  あなたが悩んで苦しんでくれたから結衣が存在しています。

  本当にありがとうございます。

  由比ヶ浜結衣という女の子をあなたに演じていただいて本当に良かった。あなたに託して本当に良かった。あなたを選んだ人は本当に天才だと思います。

  収録で私を泣かせた役者はあなた唯一人です。十年近くに渡り、本当にお疲れ様でした。

 

  またいつか、『やっはろー』と元気な声が聴けることを願って 』

 

渡航から早見沙織さんへの手紙

 

『 早見沙織様 

 

  かれこれ十年近くお仕事ご一緒させて頂く中、あなたには未だに驚かされ続けています。

  オーディションでこれ以上ないと確信したにも関わらず、1シーンごと、1テイクごとにその確信を更新していくあなたに、私は恐怖していました。

  オーディション当時の私の個人的なメモには、

  『バカウマじゃないですか。優しさをちゃんと出してくれそうなのがいいな。あの文章でちゃんと印象を摑んでる』

  率直な感想だった思います。驚きと納得、それ以上に恐怖が滲んでいます。

  オーディション用の台本や資料は限られた状態です。キャラクターの裏も、先もわからない状況です。なんなら俺もわかってなかった。

  だというのにその芝居を聴いた時、私の中にしか存在していなかった筈の雪乃像を読み解かれた。端的に換言すれば、このままではキャラクターが負けると思いました。記号的なキャラクター、単純な表現では太刀打ちできないと。その時、私の覚悟が決まったような気がします。

  雪乃へのリテイクは独特の緊張感があります。

  だって合ってるんだもん! 正解なんだもん、百点なんだもんと、そう思いながらもリテイクを出したくなる。あなたが七兆点を出す人だと知っているからです。

  朗らかな微笑みを浮かべながらも台本に視線を落とし、つぶさに文字を拾っていく姿に、私はいつも期待を寄せずにいられませんでした。第三期にいたっても尚、たった一言で鳥肌が立つ。その瞬間のなんという幸福なことか。

  あなたがいなければ、雪乃はあんなに素敵な女の子にならなかった。

  引き出したものを更に越えてくれるという、絶対の信頼がありました。

  雪ノ下雪乃の多くの魅力をあなたが引き出してくれました。

  きっと十年先も二十年先も何十年先も、私はあなたの芝居に驚かされ続けると思います。雪ノ下雪乃を生み出してくれてありがとうございました。

 

  また、冷たくも愛らしい芝居でもって、柔らかに罵倒していただける日を、心待ちにしています。 』

 

渡航から江口拓也さんへの手紙

 

『 江口拓也くんへ

 

  特にないです。

 

  、、、改まって何かを伝えるのはどうにも照れくさく、ちゃんと言おうととするととんでもなく長くなってしまいそうです。

  思えば君との距離感は、いつもそんな感じだった気がします。

  遊び場でも居酒屋でも家でも、どこかに遊びに行っても。

  最初の頃はもっと距離を詰めていったほうがいいのかと思っていましたが、いつしかあなたとはヌルっとした時間を過ごすようになっていました。そうした空気は気付けば仕事場でも感じるようになった気がします。

  それは江口拓也が座長として、この現場で作り上げてきてくれたものなのでしょう。君が現場の中心から60センチほど外れた場所で、まとめるでもなくまとめてきた雰囲気。それが十年たった今でも変わらず存在してくれていることが、私はとても嬉しい。時間が空いてもヌルッと『完』の収録が始まることが出来たのは、君のスタンスが変わらなかったからだと思います。

  正直に告白すれば、八幡役のキャスティングは本当に悩みました。

  江口か? 違うか いや江口か? そんな自問自答をしていました。

  アフレコが始まってからは江口拓也の芝居に悩むことになります。

  君は「いや、そうはならんやろ」、そんな芝居も平気でも持ってくる。「ちょっと変えて」というだけで何もかもを変えてきたりする。かと思えば一発でドンピシャの芝居を持ってくる。ドンピシャ過ぎて逆にテストの時の方がいい。なのに、聞こえないんじゃないかというくらい情けない声がハマった時は、泣きそうになる。

  一緒にやっていてこんなに楽しい役者もそうそういない。

  君が沢山間違えてくれたから、私はこの作品の正解を導き出すことが出来たのだと思います。 

  格好悪い芝居が、こんなに格好良い役者は他にいない。

  本当に、俺ガイルを、八幡を、一緒に作れて良かった。

 

  これからも座長として、まだまだ情けなくて格好悪いところを、沢山見せてください。 』

 

茶渡「それでは皆さん、本日は誠に」

一同「ありがとうございました!」

 

   一同、観客に向けて礼。お辞儀をして、去って行く。

   紙吹雪と雪の跡。

 

 

                   『俺ガイルFes.-FINAL-』閉演.

 

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Happy New Yell!!!配信感想

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Happy New yell

 

2021年1月9日(土)、10日(日)の2日に渡って行われたアイドルマスターシンデレラガールズのブロードキャスト&ライブをアーカイヴを眺めつつ振り返ります.

会場は幕張メッセ.時勢も鑑みて急遽無観客の配信ライブとなりました.

アーカイブ配信チケットの発売は1月18日(月)昼の12:00まで.配信は同日夜23:59まで(予定)

つまり今から購入しても、この週末見放題という訳です.

合わせて7時間は長いと思われるかも知れませんが、好きな曲や推しの出演シーンだけ繰り返し見続けることも可能と思えば、ほぼ無限と同義ですね.

また、多くの曲がLIVE用にアレンジされたLong Intro Ver.となっているのも貴重な聞き所となっております.

 

今回は初日、2日目と出演者総入れ替え.また従来ならメインを飾る作品の顔、所謂「信号機」トリオ(島村卯月大橋彩香さん、渋谷凛福原綾香さん、本田未央原紗友里さん)も不在パターンの為、MC、センターが代わる代わる行われる楽しさがありました.

 

全体のコンセプトはシンプルに「和」.音楽ジャンルを定めた7thライブに比べて統一感は緩め、とにかくまたファン(プロデューサー)のみんなに元気に歌って踊る姿を見せるぞ、という意気込みが第一義として念頭に置かれている王道のイベントとなったと思います.

今回は配信ならではの演出として、

・リアルタイムで送れるモニター上ペンライトの光

・地域別コメントでのキャストとのやりとり

などがありましたが、何より『AR演出』が今までにない試みとして非常に創造的に機能して、本公演にロックダウンのネガティブなイメージに留めない先進性を付与してくれました.

ただでさえ実際の会場の演出、セットと、AR演出とが混在するので、ここに観客も入っていたらよりレイヤーが複雑となり面白くなるだろうなとも.継続した試みとして観客入場が復活したとしても今後も見られたら嬉しいです.

 

ではごくごく簡単な振り返り兼紹介を.

P歴たかだか4年ちょいのにわかですので間違いは多々あるかと思いますが、目を瞑っていただいてもご指摘いただいても、いずれにせよ助かります.

 

DAY1

 

まずオリジナルのインストOVERTUREでバックダンサーさんの見せ場から開始.さり気ないですけど毎回OVERTUREがあることで「SHOWを演出されている」実感が増すのでとても好きな演出です.

 

では以下、セトリに合わせて.

 

1.Happy New Yeah!(全員)

そりゃそうでしょう! 景気良い曲から始まり.

と同時に、大晦日デレステに実装された振り袖衣装ハピネス・エールのお披露目.

ショルダースリット越えて生腕が全部出て袖と乖離し(なんて言うんですか、これ)デザイン性が高いからか、いつになく「全員衣装が全員に」似合っていて振り袖最高だなの一言です.

と同時に、今回恐らくは多忙な中駆けつけてくれたのだろう照井春佳さんの数少ない出番としても貴重な全体曲.

 

MC.りあむの中の人の「つってね」が耳を離れない.

 

2.花簪 HANAKANZASHI(ルゥ・ティン、立花理香、中澤ミナ)

「和」と言えばということで、本公演全体の雰囲気を宣言するような選曲.

羽衣小町+雪美で京都親善大使?の三人らしいです.

りっか様がますます色気を帯びて艶やか.

 

3.命燃やして恋せよ乙女 (河瀬茉希、大空直美洲崎綾、花谷麻紀、飯田友子

1曲目からの流れで.

つかさ社長さん、飯田王子のイケボが左右から攻めてきて、その隣りにウィスパー系の智恵里とこずえ.そしてセンターでどんな系統の曲でも安定させてくれる美波.何気に「フォーメーション」の意図が明確に可視化された曲で、以降の曲も「それぞれの声質と立ち位置」を考えて観賞していくと面白いんじゃないでしょうか.

口上での「こずえ、おとめ?」が強力.

個人的にボイス総選挙でつかさ社長をプッシュし続けてたので、もう完全に社長のイケボが全国のPさんに行き渡った感があって感無量でした.

 

4.プライスレス ドーナッChu♡(都丸ちよ)

ドナキチのソロ曲お披露目.ARでドーナツが浮かんで今回のソロパフォーマンスの方向性が見えてくる.

都丸さんのパフォーマンス見たの初めて?な気がするんですけど、ハスキーでいて崩れた法子の声のまま歌って踊ってかつ無邪気に振舞うという高難易度をこなして、なんていうかひたすら可愛い.

 

5.ギュッとMilky Way深川芹亜牧野由依

昔から存じている牧野さんと声つく前から推していた日菜子のユニット、未だにその存在自体が混乱しますね.いや「牧野さんと日菜子のユニット」ではない.

 

6.オレンジタイム(桜咲千依、松田颯水

「カワイイボクと142's」というユニット名が表す通り、センターの輿水"イーロン・マスク”幸子に合わせて、普段メタル系楽曲を歌う小梅と輝子が思いっきりkawaiiに振れた一曲を、不在のセンター幸子(竹達彩奈)の位置を空けた状態で歌うエモさ.

小梅のかわいらしさは勿論のこと、普段バラエティの一幕だとしてもkawaiiをやらされたら照れ隠しでふざけちゃうんじゃないかなと思う松田さっつんさんが、照れることなく表情一つ角度一つとっても完全にkawaiiを完成させていてそのギャップにギュッときます.

 

7.Snow*Love(牧野由依、都丸ちよ、高田憂希大空直美朝井彩加

アイマス内外問わずヒゲドライバー作品でかなり好きな一曲で、冬の公演にちゃんとフィーチャーされてありがたい.

 

8.Sing the Prologue♪ (河瀬茉希、富田美優、梅澤めぐ、花谷麻紀、深川芹亜立花理香

新たなボイス組3人が参加しての一曲.

24時間特番でサプライズお披露目の時はまだあかりんごが緊張を隠しきれていませんでしたが、今回はちゃんと切れがあってあの曲再びへの良い予感.

 

9.ススメ☆オトメ ~jewelry parade~(河瀬茉希、富田美優、梅澤めぐ、桜咲千依、松田颯水、都丸ちよ、飯田友子洲崎綾

JUNGOさん(アイマス演出家)の記憶から忘却されている疑惑が持ち上がっていたデレステ定番曲、数年ぶりのフル尺ステージ披露とのこと.自分はパフォーマンスで見たのは初めてだと思います.

ずっとアイマスtofubeats来てほしいとリクエストしてるんですけど(先に電音部にきちゃいまいしたが)、『ススメ☆オトメ』の放つ異様な懐かしさって、tofuの『水星』以降J-POPシーンで絶えず創られ続けてる気がする、関ジャムで最近よく目にするワード「Just the Two Of Us進行」の側面も大きいのかなと、それでついtofuを連想してしまうのかなと.

脱線しましたが、とかく実家のような安心感.

 

10.夢をのぞいたら(星希成奏、中澤ミナ、牧野由依、生田輝、花谷麻紀)

アイマスコンポーザーで一番好きなのは誰かと訊かれたら佐伯youthKさんなので、総選挙楽曲という点含めて2019年のアイマスの思い出として一番印象濃い気がする一曲.

「ここにいる私たちにしかわからない不安もあると思うけど」から始まりながら

「君も君も君も全部 絶対居なくちゃダメなのよ」に至って

「君も君も君も全部 ひとつになる定めなのよ それなら そうさなんにも怖くない」

この情勢下生配信で見ているならではの込み上げてくるものがありました.

 

11.Sunshine See May(高田憂希鈴木みのり

安定の山紫水明.

やがて君になる』から高田さんが気になっているので、よしのんの為かつ高田さんの為にあるみたいなハビネス・エールが似合い過ぎてどうしましょうね.小動物みたいで可愛い.

 

12.Secret Daybreak(洲崎綾飯田友子

安定のデア・アウローラ.

水中の古代神殿が舞台.

最早どれがセットでどれがARでどれがプロジェクションマッピングなのかわからない.もっとわからなくしていってほしいですね!

 

13.Claw My Heart(朝井彩加

眼帯付けてますます美玲に寄って格好良くなっていく朝井さん.最初のうちはまだ『ユーフォ』のイメージだったのに、この数年で一番変化を感じます.

 

14.美に入り彩を穿つ(ルゥ・ティン、立花理香

超超ド安定の羽衣小町.

というか、毎回披露されてない? そんなに沢山デレライ見てきた訳じゃないんですけど、毎回この曲を見ている気がする.でも「和」テーマに挟まれて、ハピネスエールで、ようやく完成した気もしますね、 

 

15.ダイアモンド・アテンション(高田憂希鈴木みのり、都丸ちよ、生田輝、松田颯水、桜咲千依、大空直美

アニソンっぽい曲はむしろパフォーマンス込みで輝く.ライブで魅力倍増しでした.

 

16.Take me☆Take you(星希成奏、富田美優、梅澤めぐ)

ちゃんとりあむもあかりあきらと揃えてあげる優しさ.

この三名合わせて「ユニット名簿集中」でいいんですよね?

良かったね、りあむ.

後お前普通に歌も踊りもめっちゃスキル高いな??? 

そういうとこだぞ???

 

17.愛の讃歌照井春佳

ほぼほぼこの讃歌のために参加した照井さん.

全体曲でもかなり緊張した面持ちでしたし、忙しい中でそれでもこの曲は披露したくて練習したんだろうなと窺えて、演出も余計なことをせず「このぱるにゃすを見ろ」という素朴さが好感.

何より照井さんがめっちゃ綺麗なお姉さんになっていて驚くし、ちゃまの歌声で蕩けます.「ウフッ♪」を聞き逃さないで.

 

18.世界滅亡orKISS(深川芹亜

シンプルな演出に徹した愛の讃歌からのギャップで、この日最大の演出盛り盛りの見せ場.

7分間に及ぶARミュージカル.新しい方向性という点でも凄い見応え.

王子様に憧れるあまり王子様ばりに活躍したり日菜子自身が王子様になってしまったり、最近の日菜子のキャラのいじり方もとても好きですね.ウテナからの女の子.

 

19.太陽の絵の具箱(大空直美、中澤ミナ、花谷麻紀、高田憂希

CD発売順では2曲目だけど昨年GOLD RUSH!の第一弾として実装された曲.

後々の同シリーズ楽曲群を知った上で振り返ると、穏やかなようで実は野心的な一曲だったんだなという発見が.

この日、キャストで面白かったのは中澤さんで、こんなに陰気なままステージ上がる人今までいたかなと.森久保みたいにキャラかっていうと別に雪美そういうキャラとも違うし、マイペースぶりがみんなの中で良いスパイスになっていて良かったです.

 

20.あらかねの器(鈴木みのり

宇宙歌姫オンステージ.滅茶苦茶上手い.知ってた.「伸びの果て含めて声の全部がちゃんとくっきり聞こえてる」人なんですよね.これにはウィンダミア人のルンもピカッと光ります.

 

21.Athanasia(立花理香・生田輝・桜咲千依)

昨春ロックダウン下でデレステに実装された、終焉と継承の曲.

あの頃はこのまま世界終わるんかなというくらい、描かれる美しい黄昏が状況と合致してしまって怯んだものですが、なんとか生き延びている今、改めて聞き入り魅入る.

普段はトップスタァ目指してスタァライトしている生田さんのメリハリある動きの切れが好きです.

 

22.君のステージ衣装、本当は… (洲崎綾飯田友子、中澤ミナ、ルゥ・ティン、朝井彩加牧野由依、星希成奏)

そしてAthanasiaでエモくなってるところへこの聞き覚えのないセンチメンタルなメロと歌詞.ミニアニメしんげきのEDとして実装されてたんですね、それを知らなかったので断片的に聞き取れる言葉の何もかもが切なさとして押し寄せてきて「ヤバい泣くが? メンタル雑魚過ぎか?」って.そう思ってたら、このあとにMC担当する大空直美さんが泣いちゃっててわかりみでした.

恐らく二日目の感想でも同じことを言いますが、次のイベントでデレステ実装される時につくPVは2Dアニメーションでしょう.その前に、本作の「振り袖でカーテシーする振付け」の鮮やかさ、美しさを目に焼き付けて欲しい.ルゥちゃんの舞、「アンコールの中の君が霞んでく」の中澤さんに魅せられて、歌詞とリンクしてヤバかったです.

 

23.Brand New!(河瀬茉希、富田美優、梅澤めぐ)

とうとう来たなこの時がぁとMC漢ばりに待ってた一曲.

以前のお披露目時に(イヤモニの不調かも)明らかに歌が先走ってしまった梅澤さんの成長が顕著に感じられる他、社長のイケボに隠れつつ富田さんのイケボも安定してて、何気にサイドが格好良くてセンターあかりんごが可愛いというバランスが綺麗.

アイマス内に留まらず去年一番聴いた曲の一つ.

 

24.青の一番星(ルゥ・ティン、高田憂希鈴木みのり

花簪、美彩ときたら当然こうきますよねの一曲.

青に染まり、振り袖で、扇子を手にして、両サイドに山紫水明.

何よりこの日のパフォーマンスずっと「和」という領域展開を得て羽衣小町、ルゥちゃんとりっか様の場を支配する霊圧(a.k.a安心感)がすごかったので、『花簪』『美彩』に続いていよいよ『青の一番星』の完成形を見た思いがします.

 

25.OTAHENアンセム(星希成奏、生田輝、深川芹亜朝井彩加松田颯水

「今日はオタクくんの大好物を持ってきたよー」で始まり最後にはARでウンコを降らすの言葉の意味が変わるのでヤバいと思うんですが、とにかくウンコを降らせました.

オタクコールを他のアイドルが担当したり、ウンコが降ったり、ウンコが降ったり(ウンコ降ったな)、「お願い死んでくれ」「誰もが死んでくれ」「お願い死にたくない!」と身も蓋も無いことを歌い上げる、このりあむの明るい露悪性に、どこかカタルシスがあって清々しい気分になれました.

実際にアイドルだけあって、どんなに派手に動いても声がよく通って崩れない星希さんの「喉から音源」ぶりも素晴らしい.

 

以降はPa曲を新鮮な面子で歌ったり、全体曲に流れたり、二日目と共通の流れが起こります.

曲目と出演者を見たらそれだけで楽しさは伝わるかと. 

 

26.絶対特権主張しますっ!(洲崎綾大空直美、桜咲千依、立花理香

 

27.情熱ファンファーレ(牧野由依、ルゥ・ティン、朝井彩加松田颯水鈴木みのり飯田友子

 

28.GOIN'!!(花谷麻紀、生田輝、河瀬茉希、富田美優、梅澤めぐ、星希成奏、都丸ちよ、深川芹亜、中澤ミナ)

定番曲を、フレッシュな面子で歌う.「まだまだやっていくぞ」という意思表示を感じました.

 

29.Wish you Happiness!!(全員)

 

30.青空エール(全員)

みんなで歌う曲をオリジナル歌唱メンバーが知らなくて草です.

 

31.お願い! シンデレラ(全員)

 

 

DAY2

 

1.Happy New Yeah!(全員)

 

2.義勇忍侠花吹雪(田澤茉純・新田ひより・嘉山未紗

一日目に「和」として場を霊圧で支配したのが羽衣小町だとすると、二日目は可惜夜月とミス・フォーチュン、和に似合うユニットが二組揃ってより統一感がありましたね.

特にいきなり可惜夜月の三人にスポットが当たるというのが、脇役…と言うと失礼にあたるのは重々承知の上で、でも敢えて.イメージとしてずっと作品を影から支えてきた脇役が一気にメインに躍り出た興奮がありました.

二日目、ずっとあやめ殿こと田澤さんが目に焼き付いていたんですよね.衣装、くのいちキャラ、眼差しが見事にリンクする.

 

3.命燃やして恋せよ乙女(高橋花林、三宅麻理恵、会沢紗弥、原田彩楓杜野まこ

初日に続いて、口上での5人それぞれの「乙女」語りに注目です.ウサミン…!

 

4.Never Ends(藍原ことみ渕上舞松井恵理子

王者の風格.総選挙人気上位者三名に花屋さんの楽曲、何もかも強すぎて.ことみん舞さんが良い、それはもう触れずとも当たり前なんです.知ってる.加えてまつえりのスタイル(髪型含めて)が今回あまりに格好良い.この日のアーカイブ、まつえりのパフォーマンスは特に繰り返して何度も見てます.すべてが絵になる.

これまたアイマス内外問わず昨年トップクラスで聴いた曲.

 

5.ほほえみDiary(金子有希、新田ひより)

癒やしのインディゴ・ベル.

元々山田尚子作品でねこさんのファンだったので、デレステ入った時はあーちゃんの『お散歩カメラ』がお気に入りで延々プレイしていたのですけど、そのソロ時の雰囲気を保ったままユニット曲に昇華して歌鈴のキャラも拡げる、なかなかにくい曲ですね.

ひよりさんも歌鈴ままって感じでハワワ…してて良き.

 

6.幸せの法則~ルール~(天野聡美・森下来奈)

癒やしのミス・フォーチュン.

出ているだけでずっとありがたい空気を発するという、二次元キャラだから成立する存在感を実在の人が、それも二人揃って醸し出しているバグ.

ラナちゃんがそうであることは重々存じておりましたが、この日あやめ殿と並んで「今まであまり注目してこなかったけれどつい目がいってしまう人」が天野さんでした.すごく繊細な単位のニュアンスで常時「ほたるらしさ」を再現されていて凄い.

 

7.Snow*Love(武田羅梨沙多湖・津田美波・金子有希・高森奈津実・嘉山未紗

 

8.Sing the Prologue♪(村中知千菅春香杜野まこ・会沢紗弥・田澤茉純渕上舞・長島)

 

9.ススメ☆オトメ~jewel parade~(村中知田辺留依藍原ことみ嘉山未紗・森下來奈・三宅麻理恵松井恵理子原田彩楓

 

10.ステップ&スキップ(天野聡美・会沢紗弥・高橋花林)

そんなほたる、いつもながら森久保になりきってカメラを見てくれない花林ちゃん、そしてデレライで鮮烈な登場を果たし、今じゃツイッター芸人としてユーモアセンスを発揮し過ぎるくらい発揮しながら華やかな美人さんになった会沢さん.曲自体もドチャクソ好きなのもあるんですけど、本当にアイマス関係なくこういうアイドルユニットですと言われても通用する三人だと思いました.

 

11.Shinobi 4.0 忍者のすゝめ(田澤茉純

そんな、本日ずっと気になってるあやめ殿の眼差し過剰摂取です.

 

12.Needle Light(田辺留依長島光那

実はゲーム実装時すごく苦手な曲だったんですけど、ライブで見るこの曲は大好きなんですよね.演出も「メガネ」!

 

13.躍るFLAGSHIP(津田美波渕上舞

ひたすら聴き続けてたのにデレステ未実装な音源が! ここで!

取り乱してすいません、もはや取り返しつきませんと二度目のMC漢登場.

DAY1で三部作の『不埒なCANVAS』『イケないGO AHEAD』が来なかったのでこれはこないかもと思っていたのですが.

曲の構成が一点に向けて盛り上がっていく形なので、ひたすらライブ映えです.

しゅがはを入れて三人で改めて披露したいと津田さん仰ってました.仰ってました!

「待っててね」

 

14.Joker(杜野まこ村中知千菅春香・高森奈津実)

この曲が本日の目玉と思っていましたが、上がりに上がっていた『躍るFLAGSHIP』の後でというのは反則が過ぎますね.リアタイ初見時の記憶がほぼ無いです.

みんながみんな声量持ち、かつ強キャラなので、ここにやはり歌唱巧者の下地紫野さんまで混ざったらどうなるのだろうと完全版を見たくなる.

「Ember Last」の看板が下りてくるMV演出がARで完全に再現出来ていたのも嬉しい.

因みに振り付け師の先生のアイデアで、ダンスにここにはいない中野有香のポーズが取り込まれているとのこと.

まこさんの鋭い眼差しも格好イイ.

 

15.ダイアモンド・アテンション(金子有希・松井恵理子嘉山未紗・武田羅梨沙多湖・天野聡美・原田彩楓高橋花林)

 

16.きゅん・きゅん・まっくす(藍原ことみ津田美波・高森奈津実・新田ひより)

志希にゃんのキュートに振り切ったパフォーマンスが稀少です.

それと初日のつかさ社長、二日目のみくにゃん、どんなに大勢で歌っていても、声量に加えてキャラの歌い方の癖が強いのでハッキリ声が聞き取れるのが面白き.

 

17.春恋フレーム(長島光那

この2日間、ソロ曲初お披露目したアイドル達の中で、一番楽しげで軽快だったのが長島さん.トークコーナーにて「お客さんが入ってこそ本当のお披露目」だと思っていることが判明したので納得でした.メンタル強い.

 

18.思い出じゃない今日を(武田羅梨沙多湖)

推し沢山いる人間なんですけれどもTOP3を挙げるとしたら茜、つかさ社長、そして柚でして.

この曲も実は『世界滅亡orKISS』に少し似て物語を丸丸聴かされているようなエモさがあるのですが、このあとのトークコーナーでの武田さんが打ち明けた心情はちょっと涙なしに聴けなかったですね.恐らく他の声優さんたちの中にも多かれ少なかれそういう気持ちがあるんだろうなと.

 

19.初夢をあなたと(森下来奈)

ハピネス・エールの和服美人ぶりがハンパじゃないラナちゃん.

まだ発表されて間もない曲ですが、全ソロ一曲目の中でもトップクラスに好きかも知れない.

 

20.印象(天野聡美・田澤茉純原田彩楓

オリジナルメンバー揃っての初披露.

最初に聴いた時あまりに地味過ぎる気がしたのですが、最近じわじわ沁みてくるようになってきました.

会沢さん同様、ライブデビューの瞬間をライビュで見ている原田さんが今ではライブを「支える」側に回って頼もしいことが感慨深かったです.

 

21.オルゴールの小箱(高橋花林・武田羅梨沙多湖・渕上舞千菅春香松井恵理子・金子有希・会沢紗弥)

これまた『ススメ☆オトメ』同様空気のように「あって当たり前」だった曲なので改めて真剣に歌われると不思議な感覚になりますね.みんなが俺の目を見て「君が好きだ」と言ってくれるので俺の方が好きだが? ってなりますし、森久保ここではカメラ見るんだ? という衝撃が.

そして、言うまでもなく知ってたちっすーさんの歌の巧さが格好イイ系じゃなくしっとり系バラードで聴ける醍醐味.この日の公演のミソの一つとして、涼さんや軍曹がイメージのない曲を沢山歌ってくれる、という点は大きかったです.

 

22.君のステージ衣装、本当は…(藍原ことみ三宅麻理恵・新田ひより・田辺留依津田美波・高森奈津実・森下来奈)

初日と同じ感想になってしまうんですが、この曲のエモさは何…

ウィスキー飲みながら延々リピッてしまうのですが.

ドレスのカーテシーがたまらないし、初日のルゥちゃん、そして二日目のウサミンの裾をつまんだままクルッと回転する振付けが凄い好きで.ウサミンはこういう曲もやれるんですよ!っていう、どこかもわからないけどどこかに主張したくなる.

一日目の中澤さんに続いて、二日目は田辺さんの「アンコールの中の君が霞んでく」に心臓わしづかみにされます.田辺さんもまた滅茶苦茶歌巧いからな.

トークコーナーでキャストもみんなこの曲エモいと話題にしていた事が明らかに.

そして一人一人歌詞の解釈が違った、と.

 

冗談抜きでPの皆さんには

君のステージ衣装、本当は…』のステージパフォーマンスだけでチケット買う価値(若しくはソフト買う価値)アリ

と伝えたいです.

 

23.One Life(千菅春香長島光那杜野まこ

そして格好イイ全フリの涼さん曲.

余談ですがSpotifyで昨年聞いた曲TOP5にちっすーさんの『絶滅危惧少女』が入っております.

初日のみのりさんと二日目のちっすーさんの歌ウマおばけをぶつけたらどうなるんだろうという恐ろしい想像をしてしまいました.

そこに楓さんも混ぜたらもう誰も追いつけない.

 

24.弾丸サバイバー(村中知

一日目の核兵器がりあむだったように、二日目の核弾頭が軍曹.

りあむはARで観客にウンコを降らせた訳ですが、軍曹はARで観客を皆殺しにします.

これ観客入っていた場合、「ライビュで見ている人はわかって現地の人にはわからない」状況が生まれるんだなと思うと、それって凄く面白そうだなと.

ワートリの主演声優がこんな濃いキャラで公演中ガッツリ演じきってくれてるのがありがたい.

 

25.オタク is LOVE!(松井恵理子田辺留依三宅麻理恵

この曲実はそこまで得意ではなかったんですけど(オタク賛美に引いてしまうオタクなので)、パフォーマンスでこそ輝く.

あと本公演で唯一? パフォーマンス中に観客に呼びかけて演出で巻き込んでいくくだりがあったのも見所です.

 

26.絶対特権主張します!(高橋花林・渕上舞・高森奈津実・藍原ことみ長島光那

特権! 特権! 特権! 特権です!

 

27.情熱ファンファンファーレ(津田美波千菅春香・金子有希・杜野まこ村中知三宅麻理恵

ファンファンファン ファンファンのファン!

 

28.GOIN'!!!(会沢紗弥・森下来奈・嘉山未紗・武田羅梨沙多湖・田辺留依田澤茉純原田彩楓・新田ひより・天野聡美)

 

29.Wish you Happiness!!(全員)

 

30.青空エール(全員)

 

31.お願いシンデレラ(全員)

 

最後の挨拶、珠美役の嘉山さんが、順番にしてほとんど最後だったかな? 

やっぱりここに観客がいないという事は寂しい、ということを涙ながらにハッキリ述べられて、それはこの最後のタイミングだからこそ言えたことだし、そしてまた言うべきことだったし、とても勇気のいることだったと思うんですけれど、現地になど一度も行けたことがない自分が言えることじゃないんですけど、凄く救われました.

 

退場時、ずっと笑顔でMCをしていた津田さんが、最後にお辞儀して去って行く際に涙を堪えていた姿も目に焼き付いてます.それは感動とか達成感とか、そういったポジティブな感情だけの涙ではなかったように思う.でも焼き付けます.忘れない.

 

18日23時59分ギリギリまでアーカイヴ拝見可能ですよ.

本公演は映像ソフト化が決定したので今しか見れない訳では勿論ないし、月曜までだとそんなに見れないからいいやという人には当然推奨しませんが、

 

二次元のアイドル達は永遠かも知れないけれど、そのアイドルを演じる彼女たちの今は今しかないので、

 

それからマジでみんなの振り袖姿が可愛いので(特に津田さん和服美人過ぎてずっと映るたびに「え、津田さん和服美人過ぎる」と吃驚してました.津田さん和服美人過ぎる)、

 

今からでもチケット買って、この2021年の新春ライブをアーカイブで堪能する、そんな週末も悪くないじゃないかな? と提案したく、拙速な乱文恐縮ですが、感想綴らさせていただきました.