オールタイムベスト/劇場版アニメTOP100

 

こちらのランキングはただタイトルだけの羅列にしてみました

 

十年前に同じランキングを作っていたらほぼジブリクレしんしかタイトルを挙げられなかっただろうと思うのですが、いつのまにか随分賑やかに.

 

未見のタイトルなどありましたら、よければ.

 

 

100.りんたろう川尻善昭大友克洋迷宮物語


99.野末武志『キングスグレイヴ ファイナルファンタジー15』


98.平尾隆之『ギョ』


97.佐藤順一ユンカース・カム・ヒア


96.米林宏昌思い出のマーニー


95.今沢哲男『Coo 遠い海から来たクー』


94.幾原邦彦少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』


93.北久保弘之『BLOOD THE LAST VAMPIRE


92.松尾衛『機動戦士ガンダム サンダーボルト ディセンバースカイ』


91.原恵一河童のクゥと夏休み


90.藤咲淳一『ルー=ガルー 忌避すべき狼』

 

89.押井守攻殻機動隊


88.須田裕美子/芝山努ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』


87.牧原亮太郎『ハル』


86.水島努ガールズ&パンツァー 劇場版』


85.永野護『花の詩女 ゴティックメード


84.細田守『ワンピース オマツリ男爵と秘密の島


83.高山文彦/遠藤卓司『WXⅢ 機動警察パトレイバー


82.宮地昌幸『伏 鉄砲娘の捕物帖』


81.藤森雅也忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』

 

80.原恵一百日紅 Miss HOKUSAI』


79.高畑勲ホーホケキョ となりの山田くん


78.片山一良『いばらの王 THE KING OF THORN』


77.宇田鋼之介虹色ほたる ~永遠の夏休み~』


76.庵野秀明新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Airまごころを、君に


75.工藤進マルドゥック・スクランブル

 
74.長峯達也『ワンピースフィルム Z』


73.宮崎駿ルパン三世 カリオストロの城


72.佐藤竜雄モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE -亜空の深遠-』


71.西村聡『TRIGUN BADRANDS RUMBLE』

 

70.水島精二鋼の錬金術師 シャンバラを征く者


69.宮崎駿もののけ姫


68.渡辺信一郎『カウボーイ・ビバップ 天国の扉』


67.水島努クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ! 栄光のヤキニクロード』


66.高畑勲『火蛍るの墓』


65.さとうけいいち『アシュラ』


64.細田守デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』


63.林祐一郎『牙狼〈GARO〉 -DIVINE FLAME-』


62.高畑勲かぐや姫の物語


61.橋本昌和クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃!』

 

60.マイケル・アリアス鉄コン筋クリート


59.牧原亮太郎『屍者の帝国


58.原恵一クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル』


57.山田尚子『映画 けいおん!


56.石黒昇河森正治超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか


55.宮崎駿風の谷のナウシカ


54.大友克洋AKIRA


53.平尾隆之空の境界 第五章 矛盾螺旋


52.細田守おおかみこどもの雨と雪


51.沖浦啓之人狼 JIN-ROH

 

50.押井守機動警察パトレイバー2』


49.藤森雅也『映画 おまえうまそうだな』


48.平尾隆之『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』


47.原恵一クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望』


46.今石洋之天元突破グレンラガン 紅蓮篇』


45.今川泰宏『鉄人28号 白昼の残月』


44.吉川惣司ルパン三世VS複製人間』


43.今敏千年女優


42.宮崎駿ハウルの動く城


41.石原立也涼宮ハルヒの消失

 

40.細田守サマーウォーズ


39.原恵一クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』


38.大友克洋スチームボーイ


37.新海誠言の葉の庭


36.吉浦康裕『イヴの時間 劇場版』


35.原恵一クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ! 戦国大合戦』


34.河森正治マクロスF 恋離飛翼 サヨナラノツバサ


33.杉井ギザブロー銀河鉄道の夜


32.芝山努『映画 ドラえもん』シリーズ


31.安藤真裕ストレンヂア 無皇刃譚』

 

30.水島努クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ! 夕陽のカスカベボーイズ』


29.高畑勲おもひでぽろぽろ


28.押井守機動警察パトレイバー The Movie


27.原恵一クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡』


26.山田尚子たまこラブストーリー


25.湯浅政明MIND GAME


24.宮崎駿風立ちぬ


23.今敏PERFECT BLUE


22.岩井俊二花とアリス殺人事件』


21.原恵一クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ! オトナ帝国の逆襲』

 

20.西久保瑞穂ジョバンニの島


19.片渕須直マイマイ新子と千年の魔法


18.高畑勲平成狸合戦ぽんぽこ


17.宮崎駿紅の豚


16.山田尚子『映画 聲の形


15.片淵須直『この世界の片隅に


14.細田守時をかける少女


13.押井守うる星やつら2 ビューティフルドリーマー


12.山賀博之王立宇宙軍 オネアミスの翼


11.宮崎駿天空の城ラピュタ

 

10.今敏東京ゴッドファーザーズ


9.新海誠君の名は。


8.小池健『RED LINE』


7.押井守イノセンス


6.宮崎駿となりのトトロ


5.宮崎駿魔女の宅急便


4.庵野秀明摩砂雪前田真宏鶴巻和哉ヱヴァンゲリヲン新劇場版


3.近藤喜文耳をすませば


2.りんたろうメトロポリス


1.宮崎駿千と千尋の神隠し

 

オールタイムベスト/一作家一作品でマンガTOP100

○ 以前、はてなで流行していた「おすすめの漫画ベスト100をランキング形式で紹介する」記事を拝読するのが楽しみでして、いつかは自分でも漫画ベストを発表してみたいなと思っていました

 

○ ただ人にお薦めできるほどクオリティに拠った読書をしてこなかった為、本ベストはどこまでも完成度軽視の、個人的な思い入れ度合いによるベストとなります

 

○ 一部例外はありますが、基本的に一作家一作品まで

 

○ アフィを貼りました

 

○ ベストを選出した後で思い出した作品などは、潔く忘れます

 

 

それでは

 

 
100.吉田秋生BANANA FISH

 

 

ベトナム戦争の最中に使われた謎の言葉「バナナ・フィッシュ」

今再びその言葉が囁かれるNYのダウンタウン.ストリート・キッズのアッシュがマフィア・政府を相手取り、血濡れた道を往く。

 

一応BL的な相関図を持ちつつ、謀略とアクションに満ちあふれたノンストップ・サスペンス。少女マンガの主人公とは言えただの不良が抗争の延長上で人を殺しまくる姿も衝撃的。一気に読み終えました。

 


99.めいびい黄昏乙女×アムネジア

 

旧校舎の幽霊・夕子さんと共に学園七不思議の調査を引き受けた貞一は、怪談の裏に潜む人間の脆い心、そして夕子さんを死に追いやった人の業の悲しみに辿り着く。

 

見開きの残酷描写で子供たちにショックを与える悪趣味なタイトルが蔓延していますが、そうしたスタイルの作品群の中で清涼剤のように美しい怪談を全うした作品、という点に救いを感じました。

 


98.石黒正数それでも町は廻っている

 

 

探偵を志す女子高生・歩鳥が商店街を中心にして出くわす様々な謎を、神の視点でリミックス。あなたはこの時系列を整理しきれるか。

 

ほのぼの日常コメディなのに、時に本格ミステリ、SF、怪談が入り交じる。とは言え作者・石黒正数の構成の妙を堪能したいなら『外天楼』を一冊読めば良いのであって、本作はとにかく廻る町の住人たちがいとおしいのです。

 


97.石川優吾『スプライト』

 

 

高層マンションにひきこもる親戚のおじさんの面倒を見ていた女子高生・スーは、ある日マンションごと巨大な黒い津波に呑み込まれる。その波の正体は「時間」。不条理な時間移動を繰り返すマンションを拠点に、住人たちのサバイバルが始まる。

 

大元を辿れば『漂流教室』か、やがて『ドラゴンヘッド』『ザ・ワールド・イズ・マイン』等を経て今日では無数に粗製濫造されるサバイバルマンガの系譜に、人の良心を徹底的に詰め込んだイレギュラーな佳品。えらくホッとしたことを覚えています。

 


96.椎名軽穂君に届け

 

 

長年友達が出来ずにいた心優しい少女・黒沼爽子が、学年一の人気者・風早翔太に恋をした。やがて彼女は今まで知らなかった友情を、思い出を、そして恋心を、ひとつひとつ覚えていく。

 

王子役をゴールに設定して、むしろその過程でいかに同姓同士の友情を、繊細なコミュニケーションの大切さを描くかという少女マンガの主流の一つを定着させた記念碑。風早くんと付き合ってからは読んでいません。

 


95.山岸涼子『鬼』

 

 

チャラチャラした美大のサークルが民族研究と称して訪れた田舎のお寺。そこで奇妙な現象に見舞われた一向は、かつてこの地で起こった「飢饉」について調べ初め、余りにおぞましく哀しい歴史に触れる。

 

マンガ読んで一番ゾッとしたコマを含む短編。それはとてもシンプルな線で、ともすれば子供の落書きのように力のない絵なのだけど、一度読んだら絶対に忘れられません。

 


94.桜場コハルみなみけ

 

 

この物語は南家3姉妹の平凡な日常を淡々と描くものです。過度な期待はしないでください。」

 

と、いう但し書き通りの内容です。過度な期待はしないでください。

おそらく多くの人が『よつばと!』によって開いたであろう新たな扉を、私は先に『みなみけ』で開きました。

 


93.暁月あきら西尾維新めだかボックス

 

 

超人的な完璧主人公めだかちゃんが、「上から目線性善説」によってすべての難問を解決し、すべての悪人たちを虜にしていく。人気小説家西尾維新原作のジャンプ漫画。

 

膨大な文字数を含む吹き出しと絵とのバランスが圧巻。西尾維新ワールド個人的に大の苦手だったのだけれど、そんな自分でも本作のキャラクター達への愛情は読み進めるごとに深まっていきました。

ダンガンロンパ』や『ねじまきカギュー』のヒントにもなっているかもしれない。

 

 

92.柳田史太『トモちゃんは女の子』

 

 

体力バカの女子高生トモは幼なじみの淳一郎に恋をしていた。しかし淳一郎はいつまでも自分を男友達扱いし、異性として意識してくれない。業を煮やすトモは今日も友人たちのオモチャと化すのだった。

 

Web媒体のソフトにほとんど触れてこなかった為、ツイッター4コマという形式にハマったことが新鮮でした。

 


91.藤田和日郎『黒博物館 ゴースト・アンド・レディ』

 

 

英国ドル-リー・レーン王立劇場に棲みつく幽霊グレイは、自分のことが見えるひどく憔悴した女フローに自らを殺すよう依頼される。演劇を好むグレイは、「フローが絶望の淵に立ち悲劇の主人公として成立した瞬間」の殺害を約束。

やがてグレイはフローが成し遂げる偉業を見届けることとなる。

 

連作短編『黒博物館』シリーズ の一篇。『うしおととら』の変奏。英国の怪談「灰色の服の男」を通して描く異色のフロレンス・ナイチンゲール物語。そもそもの人生がフィクションを凌ぐ強烈な出来事で満ちたナイチンゲールの異形ぶりが、フィクションとなることで漸く腑に落ちました。

 

 

90.冬川基とある科学の超電磁砲〈レールガン〉』

 

 

長寿ライトノベルとある魔術の禁書目録』のスピンオフ。

科学的に子供たちの超能力が引き出され、能力に応じて生徒たちがランク分けされる「学園都市」を舞台に、学園に7人しか存在しない「レベル5」の御坂美琴と仲間たちが、学園の影に潜む陰謀に巻き込まれていく。

 

引き算の美学で丁寧にサスペンスを綴ることで、時折発せられる能力の地に足ついた実在感が伝わってくる。空間を意識した構図も巧みで、非常に映像的なマンガ。ただでさえ一つ一つのバトルは地味なのに、その闘った記憶すら誰もが忘れていく『大覇星祭篇』は屈指の傑作エピソード。

 


89.高橋ゆたか『ボンボン坂高校演劇部』

 

 

美少女・真琴に一目惚れした高校生・正太郎は、演劇部部長のオカマ・徳大寺ヒロミに目をつけられ、真琴からはヒロミの恋人と誤解される。しかも真琴は極度の男嫌いであり、誤解を解こうと近づく正太郎を殴らずにはいられないのだった。

 

子供の頃好きだったギャグ漫画の中からひとつ。あまり覚えていませんが、本作からラブコメのいろはを教え込まれたような気がしています。覚えていませんが。

 

 

88.よしだもろへいなり、こんこん、恋いろは。

 

 

女子中学生いなりは、ひょんなことから神社に住まう神うか様と出会い、変身能力を授かる。憧れの丹波橋くんに近づくため能力を乱用し始めるいなりだが、そのことで周囲の人を傷つけてしまう。一方、うかは神としてあるまじき感情をとある青年に抱き始め……

 

京都を舞台にしたかわいいラブコメ。アニメは折り返し地点くらいで終わっていますが、非常に綺麗に完結したことを報告したかったのです。

ここは『ささめきこと』と入れ替え可。むしろ『ささめきこと』を推します。ん?

 


87.萩尾望都『11人いる!』

 

 

宇宙大学の試験中、定員10名の宇宙船に11人いることに気づいた受験生たち。疑心暗鬼の中、異なる惑星から来た少年少女の宇宙漂流生活が始まる。

 

言わずとしれた名作。どちらかというと同文庫本所収の続編『東の地平 西の永遠』が好きです。ん?

 


86.羅川真里茂ニューヨーク・ニューヨーク

 

 

NYに勤める警官ケインはいつものようにゲイバーで金髪の美青年をひっかけるが、思いもよらず彼・メルとは真剣な交際に発展していき、多くの障害に直面する。時同じくして、金髪の男女ばかりを狙う連続殺人鬼が出没していた。

 

赤ちゃんと僕』で号泣した後手に取った同作者による本作が、恐らく初めて読んだBL。ハードです。

 


85.高屋奈月『フルーツ・バスケット』

 

 

母親を亡くし野宿生活を送っていた女子高生・本田透は、土地の所有者・草摩家の居候となる。草摩家の人間は代々十二支の物の怪憑きであり、異性に抱きつかれると獣に変身してしまう秘密を隠し持っていた。透の純真でひたむきな心が、草摩家の人々の心の傷を癒やしていく。

 

どうにもラストが納得いかないというか、透くんがいい子過ぎて思い入れ過ぎて手放せない親のような感情を抱いてしまいました。そのくらい大好きなキャラクターです。

 


84.福本伸行『最強伝説 黒沢』

 

 

土木建設の現場監督・黒沢は、自分の人生がもしてかしてとても冴えないものであると自覚してしまう。誕生日を誰にも祝ってもらえなかったことをきっかけに、人に好かれようと悪戦苦闘し始めるが、思いはいつも予想外の結果を呼び寄せ--

 

ギャンブルに思い入れが無いためか、福本作品の中では断トツで黒沢が好きです。上記のあらすじを娯楽マンガとして成立させてしまう話術。『フルーツバスケット』の透くんか『黒沢』の黒沢か、応援したくなるマンガキャラTOP2。

 


83.桜井のりおみつどもえ

 

 

日本一似ていない三つ子の姉妹・みつば、ふたば、ひとはを中心とした、変態揃いの小学生たちの日常コメディ。

 

浦安鉄筋家族』イズムで子供特有のパワフルさ、我欲のえげつなさ、品の無さにスポットを当てる。大体オチで誰かが誰かからとんでもない変態だと勘違いされて終わる、そのコマの天丼ギャグが神がかってます。

 


82.日向丈史『あひるの空

 

 

背の低いバスケット選手・空は、母親との約束「高校最初の大会で優勝」を果たすためバスケ部に入ろうとする。しかし当のバスケ部は荒れた部員たちや不良のたまり場となっており、バスケ自体始められる状況にはなかった。

 

切実な夢は叶わない。心を通わせた仲間の気持ちは移ろいゆく。闘いたかったライバルは親の都合で去って行く。

物語の理屈を、現実がまったく汲み取ってくれない。

それでも消えることない熱気が眩しすぎて、読むのがつらくなります。

 


81.松浦だるま『累』

 

 

亡くなった伝説の女優を母に持つ少女・累は、その醜い容姿から迫害を受け続けていた。しかし母親の口紅を塗ってキスした相手の顔を奪い取れる能力に気づき、時に相手の命を奪いながら女優としての栄光の階段を駆け上がり始める。

 

垢抜けたジョージ秋山のような画風で、古典的なまでのピカレスクロマンを描く。累に行き着くところまで行ってほしいと応援しつつ、累の正体を知る者たちの言動に息の詰まる思い。そして邪魔者が死んだ時の安堵感たら。無類の面白さ。

 

 

80.山本崇一郎『からかい上手の高木さん

 

 

中学生の西片くんは、となりの席の高木さんにからかわれてばかり。

なんとかからかい返してやりたいところだが、常に高木さんのほうが一枚上手で…

 

ツンデレの西片が、実は西片くんを好きという気持ちを一切隠さずストレートにぶつけている高木さんに負け続けるというのは理屈。ひたすら可愛い。ところで5巻の巻頭についてた未来篇は必要でしたかね。

 


79.緑川ゆき夏目友人帳

 

 

幼くして両親を亡くし、人でないものが見えるために周囲から疎まれていた夏目少年は、やはり若くして亡くなった祖母にして、いつも一人で見えない者たちを相手に過ごしていたというレイコの遺した、妖たちの名前を綴った「友人帳」を手にする。

強力な妖・ニャンコ先生を用心棒に、夏目は遠ざけていた筈の妖と、そして人と接していく。

 

最初期の、絵柄も話もキャラクターたちの一生もすべてが儚く感じられる淡い逢魔が時の感覚が好きで、今でも妖が最初に現れる一コマのJホラー的なぞっとする感覚がたまらないのですが、アニメはそこを巧くトレースしてくれていない気がします。

 


78.原泰久『キングダム』

 

 

春秋戦国時代・中国。後の始皇帝たる政の影武者として死んだ漂の友人・信は、政の右腕となり中国統一の夢を掲げ、壮大な戦へ乗り込んでいく

 

「壮大な戦」が本当に壮大なマンガはあるようであまりない。絵の熱量や迫力とは裏腹にシミュレーションゲーム的でわかりやすい戦術が、知らず知らず止まらない作戦に突き動かされる雑兵たちへの感情移入を誘う。

信と共に仲間の名もなき兵たちが成り上がっていく様が快感です。

 


77.森薫『シャーリー』

 

 

メイド・シャーリーの日常。

 

ふぇぇ……シャーリー。

 


76.尾田栄一郎『ワンピース』

 

 

海賊王になると繰り返し叫ぶゴム人間の話。

 

新世界編に突入してから本当に話が把握出来なくなりましたが、50巻から61巻あたりまでの流れは娯楽性が天元突破していました。

 


75.アサイ『木根さんの1人でキネマ』

 

 

30代独身OL木根さんが、バツイチ同居人の佐藤を巻き込んで面倒くさい映画トークに華を割かせる。

 

トクサツガガガ』のフォーマットで映画版。あまり木根さんの映画観には賛同できないのですが(一昔前の映画秘宝読者っぽさ)、映画語りと各話のあらすじがリンクして綺麗にオチへと繋がるので気にならない。

 


74.東村アキコきせかえユカちゃん

 

 

スレンダーなモデル体型の小学生ユカちゃんは、その実異様な大食漢。周囲の恋愛事情をひっかき回すことが大好きだが、特に責任は持たない。そんなことより腹が減る。

 

東村アキコの連載デビュー作にして最高傑作。お洒落なマンガを志したという当初の意図がユカちゃんのファッションに華を与えつつ、やっていることはひたすらナンセンスコメディ。

 


73.武井宏之シャーマンキング

 

 

 500年に一度開催される世界のシャーマン達の戦い、シャーマンファイト。勝てば世界のシャーマンを統べるシャーマンキングになれるその日に向かって、ゆるい主人公・麻倉葉と仲間たちの冒険が始まる。

 

この作品が完結すればもうトーナメントバトル物は誰も描けなくなるんじゃないかと興奮して読み続け、その興奮がピークに達した時に突然の打ち切り。

後日談じゃなく、時間的にそのまま地続きな続編が読みたいです武井先生。

 


72.藤崎竜封神演義

 

 

中国明代の神怪小説『封神演義』その大胆な藤崎竜解釈。

 

子供の頃はキャラが覚えきれずに脱落したのですが、昨年一気読みしたら滅茶苦茶面白かったですね。

稀代の悪女・妲己ちゃんのキャラ造形すべてがツボです。

「本当にそれでいいのん? 太公望ちゃん」

 

すさまじい拾い物

no title

 


71.やまむらはじめ神様ドォルズ

 

 

閉鎖的な故郷・空守村を離れて東京での一人暮らしを始めた大学生・匡平の元に、空守村で神と崇められる「案山子」を操る「隻」の資格を持つ妹・詩緒が訪れる。それは、かつて村で惨劇を起こして幽閉された匡平の幼馴染・阿幾が脱走したことを伝えるためだった。

 

『いなり』同様、それなりに丁寧に作られたアニメがちょうど原作折り返し地点で終わり、もう1クールあれば綺麗に完結するのにという悔しさから愛着の沸くマンガです。

 

 

70.岩原裕二いばらの王

 

 

人類が謎の奇病に蝕まれ滅亡を待つのみとなった時代、選ばれし106名が隔離施設でコールドスリープにつく。しかし、目を覚ました彼らを襲う奇怪な巨大クリーチャー。生き残った者たちは、いつのまにかいばらで覆われた古城と化した施設で絶望的な逃避行を開始する。

 

日本のマンガ界隈、独特な絵柄や一点突破のアイデア物、あるいは雰囲気で押す作品が評価され易いのではという偏見を持っているのですが、個人的にはやまむらはじめ先生であったり岩原裕二先生であったり、絵柄もコマ使いも設定も物語も端正に整った作品のほうが惹かれます。

 


69.高橋慶太郎ヨルムンガンド

 

 

武器と戦争を憎む元少年兵ヨナは、武器商人ココ・ヘクティアマルのボディガードとなり、世界に武器を売り歩く旅に出る。

武器は嫌いだけど、ココは好きだ。

しかし、ココはどこかその行動の真意を隠しているようなそぶりを見せ--

 

タイトルでラストを示し、その言葉に説得力を与える為に逆算して置かれたエピソードをRPGのように辿っていく物語。それでいて、今となっては既にディティールは違っているだろう流動的な兵器世界のほんの一時期だけを切り取った刹那的な価値しか持たない。

とても尖った傑作。

 


68.荒川弘鋼の錬金術師

 

 

亡くなった母親を蘇生させるため、禁忌の人体錬成に挑んだエルリック兄弟。その代償に兄エドワードは右腕を、弟アルフォンスは全身を「持っていかれ」、身体を器械で覆う鋼の錬金術師となる。それぞれの身体を取り戻すため軍属となった兄弟は、やがて巨大な陰謀の渦中にいる事に気づく。

 

端正に整ったマンガの最高峰なのでは。『封神演義』『ヨルムンガンド』同様、あらかじめ見据えられたラストに向かって綺麗に畳まれていく物語が気持ちいい。 

 


67.浜岡賢次浦安鉄筋家族

 

 

公園でブランコを漕ぎながら、「キャップちんちん」って叫んで大爆笑していた小学校時代のクラスメイト女子2人(どちらも美少女)の姿を覚えてます。その時はまだ元ネタの本作を読んでいなかったので、「何その発想、ちんちん潰される、怖い」と青ざめました。

 


66.久正人『ジャバウォッキー』

 

 

絶滅を免れた恐竜は二足歩行に進化し、人知れず人類史の影で暗躍していた。

元英国スパイのリリーは、モンテ・クリスト伯をトップに頂く「イフの城(シャトー・ディフ)」に所属し、人類史の明日を救うために活躍する。

相棒にオヴィラプトルの末裔、サバタを従えて--

 

強烈な絵柄と端正な設定・物語とを兼ね備えた天才・久正人の世界。この方、何かのきっかけでFateか、あるいはアメコミ世界とのアプローチに成功すれば一気に爆発的人気を得ると信じているのですがどうでしょうか 。

 


65.椎名高志絶対可憐チルドレン

 

 

日本最高レベルのエスパー少女・薫、葵、紫穂はチーム「ザ・チルドレン」として指揮官・皆本と共に日夜平和のため活動していた。彼女たちの前に立ちはだかるのは、エスパー軍団を率いる男・兵部。しかし兵部の目的は、薫たちをこそ自分たちのトップに据えてエスパーが人類に反旗を翻すこと。なぜなら兵部は実際に、とある能力によって「そうなる未来」を見ていたのだから--

 

長期連載の強みで、チルドレンや仲間たち、或いは敵たちが小中高と成長していく姿を見守れる親しみやすさ。スピンオフアニメ『THE UNLIMITED 兵部京介』から入りました。

 


64.岩岡ヒサエ土星マンション

 

 

地上を穢した人類は地表そのものを保護区と指定し、35000メートル上空に建設した巨大なリングの中で暮らしていた。上中下の層に分かれる格差激しいリングの最下層住人・ミツは、リングの外へ出る窓ふき職人の仕事を始める。

先輩に叱責されながらも危険な窓の外から地上を見下ろし、かつてここから落ちた父に思いを馳せるのだった。

 

柔らかい絵柄で優しさと厳しさの同居する岩岡ヒサエの世界が、ガッツリSFに挑んだ長編。階級社会の中で揺れ動き成長する少年の心模様に、どこかイギリスの青春映画を彷彿。

 


63.小梅けいと支倉凍砂狼と香辛料

 

 

旅の行商ロレンスは、少女の姿に変身できる賢狼ホロと出会う。すでに超常のものは神話の中に押し込められている時代。ホロの正体をかくまいながら、時にホロの知恵や力を借りながら、二人はもう滅んでいるかもわからないホロの故郷ヨイツを目指し行商の旅を続ける。

 

ラノベのノベライズ作品の中でもビジュアライズの優美さと原作とのマッチングが最高峰。とにかく素直じゃないのにイチャイチャし合うロレンスとホロの、徹底した周りくどく含みを込めた台詞と思わせぶりな表情の乖離から生じる掛け合いの魅惑を、美麗な作画によってこれでもかと堪能できます。

 


62.西森博之道士郎でござる

 

 

どんな話でしたっけ、、、

 

道士郎でござる』『天使な小生意気』『お茶にごす』とひたすら集中して読み切った時期がありました。西森先生の描くマンガ全般がとにかく好きです。登場人物全員すっとぼけてるし、絵柄はシンプルで、お話は抑制されてるギャグ漫画なのに、読んでいる間中ずっと胸が泣きそうにホロホロしている。

 


61.岩本ナオ町でうわさの天狗の子

 

 

天狗信仰が未だ生き、事実天狗や天狗見習いが実在する町で、天狗の父と人間の母を持つ秋姫は普通の女子高生として恋に生きることを願っていた。そんな秋姫の日常を淡々と綴る。

 

狐につままれたようなまどろみの中にある日常。どこまでが狙いなのか、というか何を狙っているのか全然わからない。

割と序盤で「なんでそこで大ゴマになるの?」というわけのわからないシーンがありまして、ただそこでヒロインの気持ちとシンクロして不意に泣きそうになってしまった体験が強烈でした。

 

 

60.諌山創『進撃の巨人

 

 

人類が「壁」の中に閉じ籠もっている世界。突如襲来した巨大な巨人たちによって母を食べられたエレンは復讐を誓う。それから5年。勇気ある兵士たちは壁の外に出て巨人の調査に向かうが、それは生存率極僅少な決死の作戦であった。

 

最初の数巻は正直何やってるのかもよくわからず、アニメ版で初めて色々把握できまして、そのあと時間差でじわじわハマりました。あれだけバラバラの出自を持つ104期兵が、ほんの一時期だけとはいえ肩を並べて同じ釜の飯を食べていたという、その刹那の青春群像劇がツボです。

 


59.松沢夏樹『突撃! パッパラ隊

 

 

不死身の男・水島が送られた最も死に近い地獄の部隊・パッパラ隊

そこに蠢く常識外れの人間たちのオモチャとなった水島は、残念ながら死ねないので永遠に遊び倒されるのだった。

 

とにかく笑った記憶だけあって、そういう意味で『ボンボン坂』と同じ心の引き出しにしまってあるのですが、ではなぜランキングでこれだけの差がついたのかというと、さすがに50位以下はそのくらいの精度で適当に思い出した順に付けてるランキングだからです。

 


58.篠房六郎百舌谷さん逆上する

 

 

他者への好意を、自己の感情に反した攻撃的な感情で表現してしまう人格障害「ヨーゼフ・ツンデレ博士型双極性パーソナリティ障害(伊藤計劃命名)」俗称「ツンデレ」の患者・百舌谷さん。

ひたすら悪態しかつけない自分に嫌気がさしていた百舌谷さんのストレスのはけ口として、イジメられっ子の樺島少年は目をつけられ……

 

近年「発達障害」が認知されていく過程を見るにつけ、このマンガが描いていたものがジワジワ理解できてきた気がします。

みつどもえ』のような身も蓋も無さと、『聲の形』のような対人関係の息苦しさが同居してリアクションに困る唯一無二のコメディ。

 


57.押切蓮介『ハイスコア・ガール』

 

 

90年代。ゲーセン通いに明け暮れる少年ハルオは、無口で孤高に研鑽を積み重ねる美少女ゲーマー大野に出会い、コテンパンにのされる。家庭の事情で鬱屈とした思いを重ねる大野にとってバカなハルオとの出会いは救いとなるが、やがて別れの時が訪れる。

 

90年代に小学生だったけれど、実際にゲーセンに通ったりはしていなかった自分から見ても「あぁ90年代の空気がここにある」と思える不思議。少年期の記憶とリンクしてること、ラブコメ要素がメインであることで、過激さに走りがちな作者の他作品と比べても抑制が効いてます。

 


56.あだち充いつも美空

 

 

花火で燃え上がったご神体を救い出したことから、突然超能力を得た少女・美空と5人の仲間たち、そして愛猫。

能力を得たとはいっても、あだちテイスト満載ののほほんとした日々を過ごす彼女たちの前に、悪意ある能力者が現れ--

 

完全に打ち切り作品で、膨れあがったワクワクはすべて行き場もなく霧散する羽目になるので読んでもいいことないです。まったくお薦めしない。ただ読んでいる間の期待感がとても大きく、今でもあだち充作品と聞くと真っ先に思い浮かべてしまう。当然野球もします。

 


55.あきづき空太赤髪の白雪姫

 

 

タンバルンで暮らす赤髪の少女・白雪は、ラジ王子の目に止まり愛妾となるよう迫られる。自らの髪を切り国を脱出した白雪が出会ったのは、隣国クラリネスの王子ゼン。

ゼンに惹かれた白雪は、彼のそばで王宮薬剤師として力になるため、異国で新たな生活を始める。

 

ハイ・ファンタジーの少女マンガの中で、ここまで洗練された絵柄のタイトルはそうそう無いのでは。時に活劇、時に政治劇、時に架空の草花で架空の薬を調剤する実験譚。

どう考えてもゼン王子といるよりボディガードのオビと過ごしている時間のほうが長いし彼との信頼関係のほうが素敵なのに、恋愛関係には発展しそうにない加減に身悶えです。

 


54.小川麻衣子『ひとりぼっちの地球侵略』

 

 

高校入学の朝、仮面をつけた少女に命を狙われる広瀬岬一(こういち)。少女は先輩の大鳥希。かつてこの町を宇宙船団が襲撃した際、自分の心臓をあげることで岬一を助けた異星人だというのだ。

やがて岬一は、ずっとひとりぼっちだった大鳥先輩の地球侵略に手を貸すこととなる。

 

漠然としたイメージと偏見ながら、サンデーの歴史をぎゅっと凝縮してスマートにしたような作画世界が目に優しい。かと思うとそこで起こる展開にはギョッとするような瞬間が多々含まれていて、何より大鳥先輩の感情がどこまで人間のそれと同じものなのか判断のつきづらい冷めた距離感もある。

詳しくはさいむさんのブログへどうぞ

thursdayman.hatenablog.com

 

 


53.桜野みねね『まもって! 守護月天』

 

 

一人暮らしをしていた少年・太助のもとに、中国を旅する父親から届いた贈り物・支天輪。中から現れたのは中国の星神を司る女神・守護月天シャオリンだった。シャオにとって平和な日本は己の居場所ではないような気がしたが、無欲な太助が何よりも寂しそうに見えて、居座ることを決意する。

 

美少女マンガの体裁を持った少女漫画。

シャオがいなかったら二次元美少女に興味を持たなかったと思います。

 


52.手塚治虫『ルードヴィヒ・B』

 

 

ベートーベンを憎む少年フランツの目線から、激動の西洋史とベートーベンの生涯を並行、そして絡ませながら描こうとしていた巨匠の遺作。

 

文庫本にして2巻で終わってしまう未完の作品なのだけど、こんなにも傑作の予感だけを滾らせた遺作があるだろうかという。読者の数だけ実際の史実と照らし合わせてオリジナルな「続き」を想像できる愉しみもあります。

 


51.くらもちふさこ『駅から5分』

 

 

花染町に住む人々の交錯する人間模様。

 

オムニバスなのだけど、各エピソードが割とがっつりリンクしていて、さらにスピンオフマンガ『花に染む』も続刊中。拡がりのある『それ町』。

お母さんが並んで買ってきたお弁当を家族は「いやいきなり買ってこられても予定あるし」と遠慮するのだけど、色々あって「やっぱ食べようかな」となる話が好きです。

 

 

50.こうの史代『長い道』

 

 

親が酒の席で勝手に決めた結婚。

遊び人の夫と、特に惚れている風でもないのにやけに貞淑に尽くす妻。

そんな夫婦の日常を時にほのぼの、時にシュールに綴るコメディ。

 

戦争の一切関係ないこうの史代作品ですが、才気迸ってます。

 


49.柴田亜美南国少年パプワくん

 

 

逃亡中の青年シンタローが流れ着いたのはパプワ島。島に住む唯一の人間パプワ、人語を話す生物(ナマモノ)と呼ばれる奇妙な動物達との交流を経てすっかり島に馴染んだ彼を、ガンマ団の変態刺客たちがつけ狙う。

 

たった7巻なんですね。子供の頃好きだったマンガを調べてとにかくどれも巻数が少ないことに驚きます。でも決して過不足は無かった。

革ジャン着たジャン似合わないジャン。

 


48.島本和彦アオイホノオ

 

 

80年代、大阪の芸術大学

自信と誇大妄想に満ちた漫画家志望だったりアニメーター志望だったりする熱血漢・ホノオモユルが、ライバルの庵野秀明が脚光を浴びていく過程を横目に、ただ売れたくて、チヤホヤされたくて、褒められたくて、でも楽がしたくてあがく青春物語。

 

笑えるけれど嘘がない。誠実に青春という季節の錯覚を描いている傑作。水島努監督でアニメ化希望です。

 

 
47.コトヤマ『だがしかし』

 

 

田舎町の駄菓子屋の倅・ココノツの前に現れた、異様に駄菓子に詳しい女・ほたる。

ほたるはあらゆる駄菓子うんちくを披露し、いやがるココノツに駄菓子屋を継がせようとする。

 

うすた京介感がハンパない絵柄で、それでいて田舎と駄菓子がテーマ なので懐かしさの相乗効果。うすた絵が隠し味として持っていた叙情感を殊更にピックアップしていて、甘酸っぱさでコーティングする。

ユートピアにも地獄にもしない田舎の在り様も好感です。

 


46.いがらしみきおぼのぼの

 

 

知りたがりのぼのぼの、いじめっ子のアライグマくん、いじめられっ子のシマリスくんを中心とした動物たちの思索コメディ

 

1ケタ台の巻はまだ大人向けで淡々とし過ぎてるのですが、エンジンがかかってから本当に面白くなって繰り返しアニメ化できるようなポピュラリティーを獲得していきます。

ところで某キャラクターがある時を境にいきなりいなくなるのですが、「食べられてしまった」とも「家出した」ともとれるのでどっちなんでしょう。前者をやってしまったような気がして今でも怖い。長いこと読んでないのでしれっと再登場してる可能性もありますが。

 


45.宮原るり恋愛ラボ

 

 

お嬢様学校の憧れの生徒会長・マキは、おしとやかに振る舞いながら内面は恋愛への興味でいっぱい。やがて学校随一の男らしさで有名なリコを巻き込んで恋愛ラボをスタートさせ、的外れな事前練習を繰り返していく。

 

と、いうだけの初期のあらすじならば大してハマらなかったと思うのですが、女の子だけできゃっきゃと恋愛の練習をしていると、次第に主要人物それぞれにお相手となる男の子が現れて--という展開が、なまじ最初はジャンルが違っただけに、そこいらの少女マンガを軽く吹き飛ばすインパクトとときめきがあります。

 

 
44.武梨えりかんなぎ

 

 

伐採された地元の神木を使って、美術部用の木像を造っていた少年・仁。彼の目の前で、木像は美少女なぎに変身する。自分を堂々神様と呼んではばからないなぎに振り回されながら、仁は次第に思春期に突入し、面倒臭い「自分探し」に囚われ始める。

 

これも『いなり』や『神様ドォルズ』同様、特別なことはしてないけれど非常に端整に丁寧に描かれたストーリーマンガになっているので、もっと評価されてほしいなと思っている作品です。

 


43.西原理恵子『鳥頭紀行』

 

 

サイバラのルポ漫画だと『できるかな』でもいいのですが、最初に出会ったのがこちら。

今では残念なことになってしまったサイバラ漫画、振り返ると高須とか勝谷とかろくでもない奴ばかりイチ早く登場していましたが、実際ろくでもなく描かれているので嘘はなかったですね。

まだ鴨ちゃんの存在がスパイス程度でしか無かった頃が一番好きです。

 


42.施川ユウキ『バーナード嬢。曰く』

 

 

学校の図書室。一昔前の流行本を読むのが好きな遠藤、シャーロッキアンの長谷川、面倒臭いSFファンの神林を前に、なるべく本を読まずして読書ぶりたい町田さわ子が独自の持論を展開してはツッコまれる。

 

サナギさん』の頃からファンだったのですが、一方で一番メジャーな匂いのする『サナギさん』でブレイクしないならもう無理だよと思ってた施川先生まさかのブレイクを呼んだビブリオギャグ漫画。

本が読みたくなります。

 


41.奥浩哉『GANTZ』

 

 

異なる場所で死んだ者たちの魂(或いは生体データ)を呼び寄せ、謎の異星人との戦闘を強要する黒い球体GANTZ。容赦のないデスゲームの中、参加者の胸に去来する思いとは。

 

不条理を可視化することで現実という最大の不条理を物語化する。オチがどうとかどうでもいいんですよ、ただ不条理にさらされた人が「なんとか言えよガンツ!」って叫ぶことで読んでいるこちらが救われる。評判の良かった『GANTZ:O』ですが、どうもここら辺のテーマを英雄譚に矮小化してしまったように感じて個人的には微妙でした。

 

 

40.志村貴子放浪息子

 

 

「女の子みたいになりたい男の子」二鳥、「男の子みたいになりたい女の子」高槻、そして「みんな死ねばいいけど二鳥くんは私のもの」な女の子・千葉さおり。3人を中心に、自身の性に揺れ動く子供たちの成長を描く。

 

決して過激さに走らず淡い世界で描かれる、明確な区分さえ不明瞭なジェンダーのあれこれ。を、抜きにしても、どこかでこんな日々を過ごした子供たちが確かにいると信じてしまう不思議なリズム。

青い花』も好きです 

 


39.つの丸サバイビー

 

 

長雨で多くの仲間を失うも、生き残った昆虫たちと仲良く暮らしていたミツバチのバズ-。しかしスズメバチの襲撃から逃げ延びたミツバチが死の間際に託した「オーダイ」と呼ばれる謎の卵を手にしたが為に、わずかな仲間たちもスズメバチに惨殺されてしまう。

オーダイをミツバチのコロニーに託すため、バズーとスズメバチとの壮絶な戦争が幕を開ける。

 

つの丸先生最高傑作。本作が打ち切られ、テニプリやらNARUTOやらが人気になっていく様を見て少年だった自分は少年ジャンプを読むことをやめました(今ではNARUTO好きですが)。

単行本は加筆されて綺麗に完結しています。

 


38.うすた京介『セクシーコマンド―外伝 すごいよ!マサルさん

 

 

本伝がどこにあるのかわらかないセクシーコマンド-の外伝。

わかめ高校のセクシーコマンドー部(ヒゲ部)に入部したフーミン(げろしゃぶ)は、部長の花中島マサルら怪しげな仲間たちと共に、セクシーコマンド-大会進出を決める。

 

『王様はロバ』とか『うめぼしの謎』とか『クマのプー太郎』とかもろもろ不条理ギャグを代表して。マサルさんインパクトが大きすぎたためか、『ジャガー』の時にはもう笑えなかったし『ボーボボ』とか『銀魂』のエリザベスとか「まだこんなことやってるの……」となってしまいました。

 


37.天野こずえ『ARIA』

 

 

テラフォーミングされ水の惑星となった火星、アクア。

地球のヴェネチアを模したネオ・ヴェネチアで、ゴンドラ漕ぎの水先案内人・ウンディーネを目指す水無灯里の穏やかな日常を、魅惑の美景の数々と共に綴る。

 

最初に『AQUA』が2巻あって、その続きが『ARIA』シリーズ。

とにかくどれだけこの理想的な世界(実際に人類が理想を造形したと思われるので無理のないユートピア)に浸れるかで、現在発売中の新装版よりは、涼しげな表紙絵の数々がより多く楽しめる元の単行本のほうが良いような気がします。

 


36.三上小又ゆゆ式

 

 

パソコンで好きなことを検索して駄弁るだけ。そんな情報処理部でやくたいもない会話を繰り広げるゆずこ、唯、縁の日常。

 

4コマ漫画のフォーマット、「フリがあってオチがあって読者を笑わせる」がここにも当たり前にあるようで、やがて無いような気がしてくる。

この子たちはただお互いを笑わせるために会話していて、読者なんて知らない。

だから読者(4コマ目)よりも前に笑い出したり、何が面白いのか読者にはわからないようなポイントで4コマ目を迎えて、本人同士だけで吹いたりする。

ひそかな時間。

 


35.芦奈野ひとしヨコハマ買い出し紀行

 

 

人類が衰退し、おそらく今も衰退し続けている夕凪の時代。

ロボットのアルファは、一向に帰る気配のないオーナーを待ちながら喫茶店「カフェ・アルファ」でわずかな客を相手に商売を続けていた。

ロボットであるアルファを置いて、客たちの年月はあっと言う間に過ぎ去っていく。

 

世界が滅びようとロボットは残されると考えるとなかなかに悲しい気もするのだけど、まぶされた様々な要素がうまいこと悲観から読み手の心情を切り離してくれる。

マンガのベストを選ぶぞと思ったあと、読み損ねた思い残しのある作品でなんとか読めたのが『エマ』と本作でした。

 


34.ゆうきまさみ機動警察パトレイバー

 

 

「汎用多足歩行型作業機械「レイバー」があらゆる分野で活用されるようになった時代、警視庁は対レイバー専門部署・特科車両二課中隊を発足させる。

パトレイバーの誕生である。

 

マンガ版と劇場版アニメ3作しか知らないという、偏っているけど多数派な接し方をしてきました。『踊る大捜査線』の元にもなった、特別な事件ありきではない公務員としての警察官の日常。

本作によって、「作品内リアリティ」を堅持する作品が好き、という性癖を鍛えられた気がします。

先日完結した最新作『白暮のクロニクル』も大傑作です。

 


33.鬼頭莫宏『ぼくらの』

 

 

夏休みの自然学校で謎の男と出会った15人の少年少女。

巨大なロボットに乗って異星人を倒す使命を託された彼らを待ち受けていたのは、冷酷にも程がある「ルール」だった。

 

アニメ版から入ったので、設定のショッキングさ含めインパクトを与えてくれたアニメ版が世間で言われてるほど嫌いになれない、というかアニメ版の主題歌を原作にフィードバックしてるんだから原作ageてアニメ版sageるのおかしいと思うんですよ。

アニメ版も大好きだぞと。

 

 

32.小畑健ほったゆみヒカルの碁

 

 

碁盤に宿る平安の天才棋士・藤原佐為の霊につかれた小学生・進藤ヒカルが、日本棋界に頭角を現していく物語。

 

『あやつり左近』でその美麗な作画に惚れた小畑先生の絵を眺めているのが楽しくて、最後まで囲碁のルールはわかりませんでした。

小学校時代、囲碁のために親元を離れ引っ越してきた天才少年が友人にいたので、非常にリアルに感じられたり(でもルールは覚えない)。

美少女キャラが本当に美少女なのに扱いがよくないのでもだもだしました。

未だに佐為が男性という事実が受け入れられない。

『いなり』のうか様って佐為の女性版ですよね。

 


31.小畑健大場つぐみデスノート

 

 

一作家一作品の縛りから反則的に逸脱してますが、こっちも。

 

 

30.大島弓子『夏の夜の獏』

 

 

羽山走次の家に、青年は彼一人。家族で食卓を囲んでも、彼以外は子供だらけ。

実は彼は8歳なのだが、彼の目には人間が精神年齢の姿で映るのだ--

 

表題作も傑作ですが、トータルとして大島弓子の短編はどれも凄いぞと。

恐らくいつ読んでも古びることは無い。

 

 

29.貞本義行新世紀エヴァンゲリオン

 

 

父さんがいきなりこれに乗れとかいうから僕はふざけんなと思いました。

 

健全なエヴァ。というと語弊があるけれど、色々な細部がくっきりした、勿論謎も多く残しつつ、ドラマとして不明瞭な部分はない、キャラの感情線に寄り添った丁寧なコミカライズ。

アニメ版より好きだったりします。

 

 

28.秋☆枝『恋は光』

 

 

大学生・西条は昔から人の周囲に奇妙な「光」が見えたので、それは人が恋をしている時に発する現象なのではないかと仮説を立てる。

そんな西条に向けて光を発するのは、恋とは何かしらとまだ理解していない天涯孤独の東雲嬢と、人が気に入っている男性をつまみ食いしてしまいがちな宿木さん。

ーー彼女たちは、俺に恋をしているのだろうか?

 

最近一番ハマったマンガです。

理想的なキャンバスライフの空気感と、誰も厭味にならないヒロイン3名の配置が絶妙。

完結まで残り僅か 追いつくなら今です。これは素直にお薦めです。

 

 

27.森下裕美少年アシベ

 

 

 やたら声がデカくて底抜けに明るいアシベ少年と、彼が拾ったゴマフアザラシのゴマちゃん、そして彼らを囲む人々の日常。

 

『アシベ』もいいのですが『ここだけのふたり!』が大好きでした。

森下作品ほどキャラの立った4コママンガは他に思い浮かばない。

頭ひとつ抜けてると感じます。

 

 

26.三浦建太郎ベルセルク

 

 

 有名マンガのあらすじをわざわざ書くという作業とても疲弊します。

 

なかなか強烈な残酷表現が長いこと続きますが、ちゃんと各章終盤のカタルシスがその不快感を浄化して感動にさえ持っていってくれるので、いつも最後に残るのは清々しさ。

最新刊、これ本当にベルセルクかってくらい可愛い絵柄で、登場人物もみんな楽しそうなのに、何十年もこの旅に付き合ってきた読者だけが「おいやめてくれよ、それは心が壊れるぞ(ガッツの)」と最悪の想像をしてしまう仕掛けが凶悪過ぎて思わず笑顔です。

 

 

25.内藤泰弘トライガン

 

 

荒涼とした砂漠の星。ラブ&ピースを掲げる賞金首ヴァッシュ・ザ・スタンピードは、殺さずの一念を胸に、自由闊達に賞金稼ぎの数々を打ち倒していくのだが・・・・・・

 

まず『トライガン』が2巻あって、雑誌休刊によって『トライガン ・マキシマム』に続く『ARIA』と同じ展開を持った作品。

最初のノリ、もしくは『血界戦線』から入った人からすると戸惑いしかないような重苦しく切実な展開が後半に待っていて、ここまで真摯に「ラブ&ピース」を追求した物語があっただろうかとなります。

アニメ版も傑作ですが、あちらはほぼオリジナル。

 

 

24.ヤマシタトモコ『BUTTER!!』

 

 

ヒップホップダンスに憧れる夏が入部したのは、社交ダンス部。

勘違いからの入部とはいえ先輩たちの格好良いダンスに惹かれる夏だったが、共に入部したオタクくさい男子・端場はいつもブツクサと愚痴と言い訳ばかりして、夏の苛立ちを募らせていく。

 

コミ障な人間のコミュ障なしゃべり方をずっとビビッドに描き続けて、そのあやふやな言葉でちゃんと物語が進行していくのだから凄い。

碇シンジ比企谷八幡のその先に端場くんがいる。

ファレルかアッシャーか忘れたけど、たまたま夏が聴いてたMPプレーヤーの曲に合わせて最初にステップを踏み出す瞬間の、マンガにリズムがついて絵が動き出すかのような錯覚は忘れられません。

 

 

23.望月峯太郎バタアシ金魚

 

 

完全に頭のおかしい高校生カオルは、水泳部女子ソノコに一目惚れ。ソノコに呆れられながら一途なアタックを繰り返し、混沌と混乱と狂熱がカオルと一緒にいく うぅ うぅ うぅ

 

甲本ヒロト真島昌利が張り付いていそうなヒリヒリ夏の匂いがするストーカー漫画。

原作のテンションを完全に反転させた実写映画も良かったです。

陽性の青春譚を描かせたら望月先生が一番だあと思ってます。

 

 

22.井上智徳『COPPELION』

 

 

台場の原発が事故を起こし、東京が無人の地となって20年。

わずかに残る痕跡から推測される生存者たちを救出するため、日本政府が派遣したのは放射能耐性を持つ遺伝子操作で生み出された子供たち・コッペリオンだった。

 

もはや過激でもなんでもなくなってしまった基本設定の切実さを見失わないまま、どんどんアクションが荒唐無稽化していき、最終的に世界各国の恐竜ロボットと各種超能力者たちが廃墟東京を舞台に壮大なバトルロイヤルを繰り広げる。

おそらくこれ以上続いたら破綻する寸前で綺麗に完結した点も含めて、もっと評価されてほしい傑作。スタジオカラーによる完全アニメ化を希望したりしてます。

 

 

21.衛藤ヒロユキ魔法陣グルグル

 

 

「魔王がいる世の中に生まれたお前は幸せだ!」

父親の滅茶苦茶な言い分によって、無理やり冒険に放り出された少年ニケ。

彼が出会ったのは禁断の魔法「グルグル」を操る少女ククリだった。

 

子供の頃にこういう漫画を読めたことは本当に幸せだったなといえるシリーズ。

終盤すごくグダグダしたまま終わってしまった悲しみをずっと引きずっていたので、今になって新装版が出たり続編が始まったりオリジナルがアニメ化されたり(!)、ありがたいです。

 

 

20.冨樫義隆『レベルE』

 

 

SFオムニバス

 

未読の方の為にもこれあんまり設定バラしちゃいけないのかなと。

幽遊白書』でもいいんですけど。

というかどう考えても『幽遊白書』のほうが好きだし思い入れあるんですけど。

ただ本作との出会いのお陰で、どれだけ新しく多くのシワを脳みそに刻めたか。

 

 

19.乃木坂太郎『幽霊塔』

 

 

100年以上にわたって、特に日本で、繰り返し翻案されてきたタイトル『幽霊塔』の最新型がマンガの姿をして現れた。

昭和29年、高校時代のマドンナと再会した文士崩れの天野は、うだつの上がらない現状を打破するため、美貌の少年テツオの誘いに乗って「時計塔」の謎に挑む。

 

ミステリ、ジェンダー、怪奇、猟奇、エロス、様々な語り口から評されるべき意欲作なのだけど、すべての要素が耽美的なビジュアル世界の中で綺麗に収まっている客観的完成度の高さに見惚れます。

京極堂百鬼夜行シリーズとか好きな方にお薦め。

 

 

18.浦沢直樹『MONSTER』

 

 

86年、チェコ。天才脳外科医・テンマは瀕死の双子を治療し、その命を救う。

10年後、殺人犯としてテンマの前に現れたのは、あの日救った双子の少年ヨハンであった。

 

トーリー漫画の一つの金字塔ではないかと。

大作の常として終盤でこぼれ落ちるものが目立ちがちだけれど、とある村の中で起こる事件に集約させた手口は鮮やか。

 

 

17.押見修造惡の華

 

 

ボードレールを読み耽り、自分は特別なのだという自意識の塊であった中学生・春日は、出来心から憧れの佐伯さんの水着を盗んでしまう。

その姿を見ていたはぐれ者の女子・仲村は春日を脅迫し、いいように操っていく。

翻弄される春日の心に、徐々に薄暗い悦びが芽生えはじめ……

 

スキャンダラスな導入から、最終的に地に足の着いた非常に切ない終幕へ。

社会から異端扱いされる者たちが本質的に儚く弱い存在であることを仲村さんを通じて描ききった作品で、もう春日とかどうでもよくなると言っては暴論でしょうか。

 

 

16.若木民喜神のみぞ知るセカイ

 

 

美少女ゲームの神・桂木桂馬は本当の神と勘違いされ、小悪魔エルシィに駆け魂(脱走した古い悪魔)討伐のパートナーに任命される。桂馬はギャルゲ-で培った知識(?)を元に、駆け魂にとりつかれた女の子たちを「攻略」することで悪魔を捕まえていく。

 

単純に余白が多いのに綺麗に整ってる漫画のスタイルが非常に好みなのですが、それ以上に読了後全体を振り返った時の構成が綺麗過ぎてゾクゾクする。

オムニバス風に始まる物語が、そのオムニバス部分も含めて綺麗に折りたたまれる。

どんなマンガも作者の構想通りに描き切れたら、こんな綺麗な全体図を持てるのだろうかとか考えます。

 

 

15.大今良時聲の形

 

 

小学校に転入した聴覚障害者・西宮硝子は、次第にクラスで浮いた存在となる。

好奇心旺盛なガキ大将の石田将也は率先して硝子をいじめるが、いつしかイジメの矛先は自分に向けられ--

 

テーマはイジメからスライドしてコミュニケーションの終わらない難題へ突入していくのだけれど、きっとどう描いても誰もが納得のいく回答などない話。

そこであがく人々をどれだけそこに懸命に生きている存在として描き出せるか。

最終巻のファミレスのシーンで、どうしようもなくこの子たちは今もどこかの街角に生きている、そう思えた瞬間の感銘がすべてです。

寄稿しましたこちらの批評誌も宜しくお願いします。

アニバタ Vol.16 [特集]聲の形 | アニメ・マンガ評論刊行会

 

 

14.市川春子『25時のバカンス』

 

 

天才海洋学者の姉と、カメラマンの弟。弟は幼い頃の怪我で目が赤く、姉は新発見の海洋生物を身体に宿している。秘密を抱えた二人を包む海辺の研究所は、やがて世界の異変にさらされていく。

 

短編集2作目。1作目含めどれも面白いのですが、本巻の表題作がちょっと圧巻ではないかと。明確な物語があるようでなく、でもないようであるテーマはエロティックでルナティック。すべてのコマが世界の欠片として機能している。

サブカル受けする漫画とはどうも性が合わないのですが、本作は別でした。

オリヴィエ・アサイヤスに映画化して欲しいんですよね。

 

 

13.木尾士目げんしけん

 

 

オタク趣味を隠れて愉しんでいたような笹原は、大学入学後オタクサークル「げんしけん」に入り、オタク趣味全開で生きている人間たちにカルチャーショックを受ける。

そんなげんしけんに、イケメン幼なじみを追いかけてきた完全にオタクと真逆の女・春日部さんが入部したことからオタクたちに動揺が走り・・・・・・

 

気づけば長大になってしまったオタククロニクル。

大学経験が無いので、本作を通して仮の大学生活を過ごせたような気がします。

春日部さんが好き過ぎて、最近のアニメに出てくる「オタク趣味に理解のある美少女」がとても苦手になってしまうという後遺症が。

 

 

12.今井哲也『ぼくらのよあけ』

 

 

今と見える景色も起こる問題も大差ないけど、AIロボットが日常化した近未来。

小学生ゆうまのお世話をするオートボットのナナコが、ある日異星人にのっとられてしまった。

 

魅力的な団地を舞台にした、生活感溢れるSF譚。

上下巻というボリュームも程佳く、こんな風に映画一本かテレビ1クールで終わりそうなサイズの話を、作者の思い描くとおり描ききれるマンガがもっと読みたいです安西先生百万畳ラビリンスしかり)。

少年誌とかも積極的にそういう試みしてほしいです。

 

 

11.小花美穂こどものおもちゃ

 

 

今や死語の子役アイドル「チャイドル」として売れっ子小学生の紗南は、今日もテレビで学校で大騒ぎ。しかし、気づけばクラスをいじめっ子の羽山が支配し、先生さえ脅迫を受けていることに衝撃を受ける。

紗南は羽山に宣戦布告するが、羽山は悪魔のような小学生だった。

 

それぞれに過酷な過去を抱えた子供たちの衝突。ただ悲嘆にくれるのではなく、自分の立場を武器にした機転を利かせていく紗南の強さが魅力的。子供時代を生き抜くということがどれだけ綱渡りであるか、『惡の華』『聲の形』と併せて読みたさです。

 

 

10.石川雅之純潔のマリア

 

 

百年戦争最中のフランス。

自分の目につく範囲で争いを見たくないマリアは、魔女なのにサキュバスを使って平和を導こうとしていた。しかし人の世に介入したことで大天使ミカエルの怒りを買ってしまう。

 

作者はいつもシニシズムへの怒りのようなものを、遙か斜め上のユーモアでくるむことで描いてきた人だと思っていて、その意思が一番ストレートに表明された作品ではないかと。

アニメ版さあー、あの台詞はみんなに向かって叫んでこそ気持ちいいに決まってるのにさあー、どうして改変したのです……

 

 

9.幸村誠プラネテス

 

 

人類が宇宙開発を進めた未来 宇宙にはスペースデブリが溢れていた。

サラリーマンのハチマキはデブリ回収業に従事する傍ら、いつか自分の宇宙船を持つ夢を持っている。

しかし今も続く地球の問題の数々はそのまま宇宙にも影響を及ぼし・・・・・・

 

夢の先にある現実。というテーマ性をビジュアルとして提示した4巻部分が苦しく胸に迫って、実は傑作であるアニメ版ではそこまで映像化していないので、どちらも併せて触れて頂けたらと思っています。

 

 

8.小林尽夏のあらし!

 

 

横浜に遊びに来た少年・八坂一は、喫茶店のウェイトレス・小夜子に一目惚れする。

しかし一が小夜子に触れた瞬間、2人は何十年も昔の日本にタイムスリップしてしまう。

それは小夜子が生きていた時代。そう、彼女は幽霊だった。

 

幽霊、タイムスリップ、喫茶店。少し古風なお膳立てのもと繰り広げられるドタバタコメディは、やがて生前の小夜子を襲った死の影ーー横浜大空襲の日へと近づいていく。

ほとんど詐欺じゃないかというくらい壮絶な展開を迎えるマンガですが、本作と非常によく似た構成を持つ『この世界の片隅に』が受け入れられた今こそ、改めてスポットが当たらないものですかね。

 

 

7.岩永亮太郎パンプキン・シザーズ

 

 

大きな戦争が終わって3年。これは目に見える戦争が終結して尚社会に、人々の心に残り続ける戦火の終わりに向き合おうとする、戦災復興部隊パンプキン・シザーズの活躍を描いた物語。

 

限りなく1位に近い7位です。現在進行形で連載中であることと、物語の着地点がどこにあるのかまだまだ見えないことから、現時点で評価を確定するのは勿体ないと感じてここに置いてみました。

このランキングはお薦めが目的ではないと言いつつ、もしこれから手に取る方があれば「カルッセル編まで読んでください」とだけは涙ながらに訴えたい所存。

 

 

6.広江礼威ブラック・ラグーン

 

 

旧日本軍がタイに放置した軍港は、今や世界中の無法者が集まる犯罪都市ロアナプラとして悪名を轟かせていた。会社に命を見捨てられた日本人商社マン・ロックは、自らを誘拐したラクーン商会の一味となって、狂った日常に身を投じていく。

 

まだまだ全体像が見えたというには早そうなパンプキンシザーズとは逆に、ロベルタ復讐編で全体の構成が綺麗に見えたような気がして、それがまた具体的に市街戦の描写の中にビジュアルとしても提示されている様が圧巻でした。

 

 

5.相田裕ガンスリンガー・ガール

 

 

ありえたかもしれないもう一つのイタリア。地域間対立による半ば内紛状態が続いた国家で、政府は身体や精神に障害を負った少女たちに特殊な義体と暗殺の技能を仕込んでいた。少女たちは頑丈さと引き替えに寿命を、そして日に日に薄れていく記憶を失ってしまう。

 

胸糞の悪い設定ながら、露悪的にはならない繊細なバランス感覚によって、目を背けていたい辛い話にずるずる引きずり込まれていきます。読み終えた時の、哀しい筈なのに充実した余韻が忘れられず。

 

 

4.末次由紀ちはやふる

 

 

小学校に編入してきた新に感化され競技かるたを始めた綾瀬千早。やがて新と離れ、高校に進学した千早は、そこで競技かるた部の設立に燃える。

千早に思いを寄せる太一。福井でかるたを諦めようとしていた新。そして現役女子高生のかるたクィーン・詩暢。多くの出会いが、 千早を最強の道へと突き動かす。

 

色々なイメージがついてしまった今となっては想像が難しいのですが、まだ映像化が果たされる前、最初期の本作を読んでいる時の、静謐な空気がピンと張り詰めて、一切の雑音を排した中でコンマ数秒の動きが勝敗を決する緊張感は、他に類を見ないものでした。

 

 

3.赤松健魔法先生 ネギま!

 

 

クラス全員美少女! 突然30人もの女子中学生の担任教師となることになった、新米魔法使いのネギ少年。とある目的と魔法の存在を秘匿しながら、なんとかお色気ハプニングだらけの毎日を乗り越えていくネギだったが、次第に生徒たちの中にも不思議な存在が紛れていることに気がつき……?

 

手前にあるお色気サービスでお茶を濁しつつ、背後に広がる舞台や設定や展開の何もかもが壮大なスケールを持っていて笑うしかなくなる。最終的に処理しきれなくなるのだけれど、少なくとも学園祭編だけは完璧に巨大なスケールの物語を描ききっていて圧巻。

続編の『UQホルダー』もまた要素と設定を詰め込みすぎて全然処理が追いついていないのですが、それでもこれだけ徹底した異世界へと誘ってくれるだけでフィクションとしては文句なしです。

麻帆良学園祭編の完全映像化が悲願です。

 

 

2.和月伸宏るろうに剣心 明治剣客浪漫譚

 

 

あらすじ書こうとwiki覗いたのですが、待ってください「北海道編」? が予定されている……?

 

技の真似をしたし、女性キャラにも男性キャラにも憧れたし、食べ物が美味しそうで、キャラが所持しているものが欲しくて、コマの一つ一つどれだけ眺めても飽きませんでした。

必殺技を食らって死んだり潰れたりしている悪役の顔すら魅力的で見入るという経験。

少年時代の大切な思い出。

 

 

1.宮崎駿風の谷のナウシカ

 

言わずと知れた劇場用アニメの、監督本人によるマンガ版。

映画で描かれた箇所はこちらだと序盤に過ぎず、『スターシップ・トゥルーパーズ』を先取りしたような凄惨な戦争描写や、一転して思索的な心象世界へ等、ダイナミックな叙事詩が綴られていく。

 

作者本人も認めているように、特に序盤は日本のマンガの文法としては非常にいびつ……らしいのですが、いや個人的にはまったくそんな違和感は覚えませんでした。

コマの隅々まで眺めて、生理的にぞわあっとなる気持ち悪さがたまらない。

上位30タイトルくらいまでならどれが1位でも良いのですが、収まりの良さとしては『ナウシカ』が一番でした。

 

 

現場からは以上です。ここまでお付合い頂き、ありがとうございました。

 

2016ベストアニメTOP10+α

昨年は全視聴アニメにランキングを付けて大変でした。

pikusuzuki.hatenablog.com

ので、今年は簡単に10本+αで済ませることに。

まだ視聴途中のアニメを色々溜め込みつつ、正月のうちに終えないといつまでも先延ばしにする悪寒がしたので、今勢いでちゃっちゃか選んでさっさと書きます。

対象は2016年に劇場以外で鑑賞し終えた全アニメ。新作/旧作、TV用/劇場用の区別なし。

 

 

では。

 

1位.RWBY

Volume.2まで見ました。ラノベ物や少年マンガ原作物のアニメが始まるたびに第一話で期待して、けれど結局その作品が見せてはくれなかった内容(主人公に寄りかかりすぎるストーリーテリングの為)がここにあった驚き。アニメからこぼれ落ちたこちらの妄想が集積して具現化したような「こんなアニメが見たかった」の塊。
と同時に、立体的な動体の捉え方も滑らかな脚本術も大好きだけどキャラデがもっと日本アニメ寄りだったらなぁとたまに思わなくもない「こんなカートゥーンが見たかった」の塊でもあって、無敵です。
DVDでメイキングがついているのですが、現場含めて今色々と過渡期にある日本のアニメスタジオにとっても突破口のヒントになるものがこのアニメに詰まっている気がします。

 

2位.響け!ユーフォニアム2

これまた「ずっとこういう青春アニメが見たかった」の塊だった一期からクオリティを維持してくれたことと、一期に続いて小説原作をテレビアニメの構成に落とし込む巧さにもうなりました。
主演・久美子役黒沢ともよの、一期第一話から二期最終話まで決して声質を一貫させている訳ではないのにキャラは一貫しているという、演技として当たり前にあっておかしくないのにアニメでは否定されてしまうスタイルの芝居もエポックメイキング。

 

3位.機動戦士ガンダム THE ORIGIN 

「ずっとこういうガンダムが(ry」。

 

4位.ハイキュー!!

プレーとプレーの間に制止された時間が訪れるバレーボールと、アニメとの相性の良さが結果的に生み出した、スポーツアニメ最良の形。
特に2nd Season、2クールの長丁場をこのクオリティで維持できていることの緊張感と物語的な緊張感とが一体化して、敗北したチームがその場から立ち去る時の放心と屈辱が痛いくらい伝わりました。

 

5位.機動戦艦ナデシコ

機動戦艦ナデシコBlu-ray BOX

機動戦艦ナデシコBlu-ray BOX

 

劇場版含めて。一つ一つの要素を抽出してそれだけでアニメ一本作れそうな設定を山盛りにしながら、そうしたフィクションと戯れながら現実の煩悶や不可解さと折り合いをつけようとする姿を描くような引いた目を持つ作品。
答えらしい答えを描ききらないまま劇場版で遙か彼方に投げっぱなす手法はもう1つのエヴァンゲリオンでもあって、ただこちらの方がイチ早く『Q』に辿り着いてしまったような。

 

6位.GARO -炎の刻印-

小林靖子脚本の、物凄く骨太なのだけど丁寧に物語を紡ぐため結果的に一話一話は地味になりがちな作劇を、ただぬるぬる動くだけでなく絶えず新鮮な見せ方を更新するアクション作画が底で支える。
本作と、『神撃のバハムート GENSIS』。作画・脚本・(本来はフランチャイズ作品でありながら)一本の作品としての完成度、すべての面において万人に開かれた良作を同クールに2本放っていたMAPPAの恐ろしさです。

 

7位.コンクリート・レボルティオ ~超人幻想~

GARO同様の骨太さは持ちつつナデシコの山盛りも混合した挙げ句作画的にも音楽的にも野心的で、どこを見ていいのやらわからないシリーズ。
1クール目を見た時はやや出来に懐疑的でしたが、2クール目でも止まることなく暴走を続けて、それでも最終的にどこかステップアップした地平に連れていってくれたカタルシスが待っている。
すべての面で挑戦的なのに、どれか一つの要素としてキチンとした達成には至っていないので、こういう作りはもう勘弁願いたい一方、だからこそ生み出せたグルーヴは確実にありました。

 

8位.ガッチャマンクラウズ インサイト

「GATCHAMAN CROWDS insight」Vol.1 Blu-ray

「GATCHAMAN CROWDS insight」Vol.1 Blu-ray

 

もはやスタッフが想定した現代が作品を前後してどこにあるのかわからないくらい、何もかも時代と接合しえた作品。
あまりに現実とコミットしようとしない及び腰な作り手が多すぎるので、存在そのものが頼もしかったのが1期だけれど、2期はもっと混濁的で、見ていて安堵できない。そこが良かった。

ガッチャマンそのもののアクションはもう少し見たかったです。

 

9位.ラストエグザイル ―銀翼のファム― Over The Wishes

総集編映画なのですが、一本の冒険活劇フィルムとして非常によくまとまっていました。こういうアニメが(ry

 

10位.この美術部には問題がある!

ブコメ枠代表として。オーソドックスだけど技術に裏打ちされてそつのない話を、ほぼ全編及川啓監督自らコンテ/演出に関わって絶妙な間で構築している。
ここでいう間や構築はギャグの間や話の構築だけじゃなくて、物理的に人物同士の距離や校舎の立体感含めた配置のこと。
どうでもいいようなギャグにも話数をまたいだ伏線が幾つも機能していて、細部も綺麗なら、全体を俯瞰した時にトータルデザインの美しさだけでも気持ちいい。この美術には問題がない。
絶対言い過ぎではあるんですけど、ジャック・タチの映画を見た時に覚えた、映像作品の持つ立体的な快楽に似た何か。
すべての距離感が端正に図られているからこそ、すばるの無表情から「彼は今、本当はみずきのことをどう思っているんだろう」と読み取れそうで読み取れないもどかしさが生まれる。そこにラブコメの甘酸っぱい魅力が凝縮される。下手な人が撮っていたら、ただの鈍感主人公と化してしまいそう。

 

次点、

 

11位.モブサイコ100

12位.91Days

13位.カレイドスター

14位.灰と幻想のグリムガル

15位.田中くんはいつもけだるげ

16位.赤髪の白雪姫

17位.クロスアンジュ 天使と竜の輪舞

18位.Wake Up Girls!2 青春の影Beyond The Bottom

19位.アイドルマスター シンデレラガールズ

20位.この素晴らしい世界に祝福を!

 

対象作品は以下の通り。

どれも楽しかったのですが、太字が特にお気に入り。

 

赤髪の白雪姫
テラフォーマーズ
テラフォーマーズ リベンジ』
アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』
てーきゅう 5,6』
カレイドスター 新たなる翼』
カレイドスター 新たなる翼 -EXTRA STAGE-「笑わない すごい お姫様」』
カレイドスター Legend of phoenixレイラ・ハミルトン物語~』
ダンガンロンパ3 The End of 希望ヶ峰学園』
ハチミツとクローバー
ハチミツとクローバーⅡ』
アイドルマスター シンデレラガールズ
ハイキュー!! 2nd Season』
ハイキュー!! 烏野高校vs白鳥沢学園』
文豪ストレイドッグス
学戦都市アスタリスク 2nd Season』
ミス・モノクローム -THE ANIMATION- 2
デュラララ!!×2 結』
コンクリート・レボルティオ ~超人幻想~ THE LAST SONG』
ガッチャマンクラウズ インサイト
SHOW BY ROCK!! しょ~と』
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
マクロスΔ
OVATHE八犬伝』(1期)
ガールズ&パンツァー
GARO -炎の刻印-』
ベン・トー
この素晴らしい世界に祝福を!
GOD EATER
最弱無敗の神装機竜《バハムート》』
機動戦艦ナデシコ
紅殻のパンドラ
魔法少女なんてもういいですから。
『だがしかし』
城下町のダンデライオン
わかば*ガール
旅街レイトショー
この男子、魔法がお仕事です。
蒼の彼方のフォーリズム
おしえて!ギャル子ちゃん
アウトブレイク・カンパニー
クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』
田中くんはいつもけだるげ
僕のヒーローアカデミア
『三者三様』
それが声優!
くまみこ
ふらいんぐうぃっち
甘々と稲妻
『バッテリー』
この美術部には問題がある!
『モブサイコ100』
クオリディア・コード
91Days
『orange』
『無彩限のファントムワールド』
ハルチカ ~ハルタとチカは青春する~』
灰と幻想のグリムガル
ガーリッシュナンバー
バーナード嬢曰く。
舟を編む
Charlotte

響け! ユーフォニアム2』

RWBY Volume.1』

RWBY Volume.2』

ラブライブ! The School Idol Movie!』
機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅰ 青い瞳のキャスバル
機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅱ 哀しみのアルテイシア
機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅲ 暁の蜂起』
『劇場版 アイカツ! アイドルカツドウ!』
翠星のガルガンティア ~めぐる航路、遙か~』
『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス
ガールズ&パンツァー これが本当のアンツィオ戦です!』
『ダム・キーパー』
『劇場版 機動戦艦ナデシコ -The Princess of darkness-』
たまゆら ~卒業写真~』
『劇場版 シドニアの騎士
亜人 第1部 -衝動-』
台風のノルダ
『劇場版 NARUTO 大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!!』
『木の葉の里の大うん動会』
『映画 ハイ☆スピード! Free! Starting Days
『同級生』
『Wake Up Girls!2 青春の影Beyond The Bottom
ラストエグザイル ―銀翼のファム― Over The Wishes』
傷物語Ⅰ 鉄血篇』

 

作り手の皆様、昨年も沢山の素敵なアニメをありがとうございました。

 

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海外サイト記者が選ぶ2016年のアニメTOP10

かねがね映画雑誌のようにアニメ批評家やライターが一年間のアニメを総括してランキングを発表したら、クリエイターへの刺激を生むのでは無いか。ただのファン投票とは異なる、馴れ合いではない一つの指針としてそうしたものあればいいのにと欲していた中、海外のアニメ情報サイトAnime News Networkの記者たちがベストを5作品ずつ発表していることを思い出しました。

www.animenewsnetwork.com

このサイトはアニメイベントなどで登壇した第一線のクリエイターへのインタビューも公式に行う一方、まとめサイトの早バレ情報なども記事にしてしまうので良し悪しはあるのですが、日本の映画サイトを覗いてみればまともなようで洋画のリーク情報だらけだったのでまぁどこもそういうものかなと一応納得してみています。

 

そして勝手ながら記者各位の1~5位までに5~1点までのポイントを与え、集計して総合ランキングを作成してみました。

キネ旬ベストのアニメ版のようなものが見たいという人が「アニメベスト 2016」とかで検索してみた結果、ふと行き当たって「ふーん」と参考にでもなれば幸いです。

 

その前にまず、この方式で2015年のベストもランキングにしてみました。

こんな感じです。2016年とは記者の数が違うので点数には差があります。

 

1位 血界戦線(19票)

2位 デスパレード(18票)

2位 ワンパンマン(18票)

4位 がっこうぐらし!(17票)

5位 ユリ熊嵐(16票)

6位 俺物語!(14票)

7位 響け!ユーフォニアム(9票)

8位 純潔のマリア(7票)

9位 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ(6票)

10位 銀魂゜(5票)

 

どうですか。実際キネ旬ベストのアニメ版があったらこんな感じになりそうじゃないですか。

日本のようなネット発の信憑性の疑わしい数多の「流行」には左右されていない強みがあるかと思います。

 

という訳で、海外サイト記者が選ぶ2016年のアニメTOP10です。

 

 

 

1位 ユーリ!!! on ICE(36票)

 

2位 昭和元禄落語心中(25票)

 

3位 モブサイコ100(17票)

 

3位 Re:ゼロから始める異世界生活(17票)

 

5位 君の名は。(13票)

 

6位 ハイキュー!!(12票)

7位 フリップフラッパーズ(9票)

8位 坂本ですが?(7票)

9位 サンダーボルトファンタジー(6票)

10位 僕だけがいない街(5票)

 

より増したキネ旬み。

いかがでしょうか。勿論当の映画雑誌のベストにしたって見事にすべてが的を得ているなどということもありませんし(さんざん比較に出したキネマ旬報のベストだって、個人的には合いません)、誰がどんなベストを選出しようが万人の納得がいく訳はありません。

ですがただ単純に売上げの上位、あるいはファン投票の上位を並べるよりも、より純粋に質と対峙した上で選ばれた繊細な緊張感は宿りやすいように思います。

クリエイターの励みにもなり、評論家の緊張感を増し、また売れるからと繰り返される退屈なテンプレート要素に対して僅かながら歯止めをかける要因にもなりえるかも知れません。おいしい事だらけです。

日本のアニメライターたちによる公式な総合ベストテン企画があればいいのになと、改めて願います。

 

※1.アニメ雑誌などには疎いので、もうそういう企画あるよという場合は教えて頂けると幸いです。同人や個人ブログでとは別に。

 

※2.「話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選」という刺激的な企画もブログ界隈では行われており、クリエイターへの刺激という意味ではこちらのほうが大きいとも思うのですが、話数別ではなくあくまで作品毎の大枠でアニメを見たい派です

2016年劇場で観た映画トップ20

昨年は全劇場鑑賞作品をランキングに起こして非常に面倒臭かった。でもやりきった。そんな満足感があるので、今年はざっくりです。
ランキング作成にあたって、上映中居眠りしてしまった作品を改めて見返したのですが、完全にこちらの体調の問題でしたね。
自分が眠ったかどうかと作品の質とは大して関係ない。

 

こういう記事、来年に持ち越すのは精神的にあまり健全ではないので、あまり迷わずサクサクと選びます。

 

では。

 

1位 ライアン・クーグラー『クリード チャンプを継ぐ男』

www.youtube.com

元旦に観た映画がそのまま1位は身も蓋も無いのですが、本作のインパクトを上回る作品とは出会えず。すべての場面が強烈なストレート。ロッキーがフィラデルフィアを歩いているだけのショットさえ不意に泣きそうになるのは驚きでした。シリーズへの思い入れ別にないんですよ。一作目しか見ていないし、特に感銘を受けた訳でもなかったのに。
痛快で、爽快で、けれど地に足の着いた活力を与えてくれる作品。実はクリード自身はかなり恵まれた存在なのに、普遍性を獲得出来ているのも相当な離れ業。
監督主演コンビの前作『フルートベール駅で』がささやかな作品なのは、作品の性質に寄り添ってあえて抑えていたのだなと。そんな若手を後継者に抜擢するスタローンの慧眼。ハリウッドの成熟を感じます。

 

2位 ロバート・ゼメキスザ・ウォーク 3D』

あくまで3D映画としての評価ですが、それこそゼメキスの望む評価である筈。彼はもはや映画という枠組みより新しい体験を生み出したい人なのではないかと思うのです。『ハドソン川の奇跡』と比べてみると『フライト』の異質さは改めて浮き彫りになるんじゃ。あれ大好きなんですよね。
巨大な劇場のほぼ中央で客席はガラガラ。という鑑賞状況にも恵まれ、前半はやや退屈ながら、いざ綱渡り作戦が決行されてからは本当に自らワールドトレードセンターに侵入して不安定な足場の上をさ迷っているような、いえさ迷うだけならまだ良いのですが、あいつら平気で飛び跳ねるから!
一回性の体験としての価値が強い作品だからこそ、儚さを讃えたラストが胸に詰まりました。映画という枠では語りきれない、刹那の芸術。

 

3位 ポール・キング『パディントン

ウェス・アンダーソンを一般化したような才能。それって凄くないですか。
あまりに予想外の大傑作。今年最大の衝撃。社会派の急先鋒。パディントン可愛い。騙されたと思って見て欲しいです。本当に良いから。

 

4位 ドゥニ・ヴィルヌーヴ『ボーダーライン』

実写映画は本来カットが変わった瞬間に場面が切断する断片の芸術で、それをいかに持続した世界として観客に体感させるかがミソだと思うのですが、今年の映画で体感として「持続力」をもっとも感じさせてくれたのが本作。
その「持続力」が、本作のいわばオチというか真相の部分では途切れている。それさえも意図したものだとは理解しつつ、個人的にはオチの部分は余計でした。白状すればドゥニ作品はいつもオチで若干冷めてしまう。
いや、本作なんて特にラストが無かったら意味不明な映画なんですけど、意味不明なまま終わって欲しかったのです。そして本作にも通じる話が「意味不明なまま終わる」をやりきったのが、まさにリドリー・スコットの『悪の法則』だったなと思い至って、ドゥニ版『ブレードランナー』への興味高まるよね。

 

5位 山田尚子『聲の形』

明瞭なテーマだったり、正しい答えだったり、わかりやすいクライマックスだったり、そうしたものを排除した等身大の青春劇が、ポップさやルックの洗練も含めて「エンターテイメント」たりえているという、今まで洋画に出来て邦画に出来ない最大の欠落を不意に埋めてしまった一本。
「いや面白い青春映画は沢山あるよ」と反論を頂きそうですが、正直ここまで垢抜けたものには邦画で初めて出会えた気がします。内容もそうなのですが、ガワの部分でいたくお気に入り。

アニバタ『聲の形』特集号をお供にどうぞ。

アニバタ Vol.16 [特集]聲の形 | アニメ・マンガ評論刊行会

 

 

6位 片渕須直この世界の片隅に

衝撃が大きすぎてうまく整理できなくって、「もてあそばれた」という言葉が一番しっくりくる。完全に感情をもてあそばれた。ひどい映画。
まだ映画を見てこんなに動揺することがあるんだ。素朴に見えていきなり洒落にならない剛速球をぶつけてくる感触は、木下恵介の尖った作品を思い出しました。
資金難から脚本を30分カットしていて未完成な映画と言えないこともないので、完全版が出来上がるまでの保留としてこの順位につけましたが、この映画がランキングの中に入って「収まりの良い位置」など果たしてあるのかと訝しんでいます。それくらい未知のエネルギーで殴り飛ばされました。
何位でもいいです。ランキングとか無意味だなぁとなる。

 

7位 新海誠君の名は。

特にこれといって残るものはなく綺麗に楽しく見終った一本。それもまた『聲の形』同様、何より邦画に欠けているテイスト。観客の目を見て妥協の無い映画を作れば、ちゃんと観客は映画館に足を運ぶ。そんな当たり前の力強い真実を業界に見せつけた点において、本作と『シン・ゴジラ』がもたらした余波が2年後か3年後か、いずれ一気に開花するのではないかと身震いしつつ、恐らくは無残なコスプレショーに終わる来年の邦画をなんとか乗り切っていきましょう。
それにしても、スマートなエンタメから一番遠く思えた新海誠監督がそれを成し遂げた感動。サインまで頂いておきながら心のどこかで馬鹿にしてたところもあったのですが、作り続けて頂点に到達したその姿勢に今は尊敬の念しかありません。
『聲の形』『この世界の片隅に』『君の名は。』どうしても並べたかった。

 

8位 フェデ・アルバレス 『ドント・ブリーズ』

これもランキングに納めることが不可能。何位だろうと不敵に鎮座する。まだ映画を見てこんな思いをすることがあるのかという動揺を引きずって、今もうまく整理できてない。
勿論死ぬほど怖かったけれど、この衝撃は恐怖からくるものだけなのかどうか。
そんな整理がつかないほどの衝撃作が今も映画館にかかっているのだから、つべこべ言わず『ドント・ブリーズ』を観に行ってくれという気持ちです。

 

9位 リッチ・ムーア/パイロン・ハワード『ズートピア

まずエンタメとしての完成度。流れるように楽しませるって一番難しいのだから。
そこに加えて主役コンビの関係性萌えも完璧。笑いも鉄板。小ネタは渋い。
優等生的なポリコレどうこうで揶揄されているけど、アメリカ社会が本作を必要としている背景、そしてつい十数年前を振り返ってもそこまで配慮の面で洗練されていた訳ではないハリウッドがこうしてPC的な成熟に至った歴史、その努力への敬意と想像力を忘れたくはないです。

 

10位 吉田恵輔『ヒメアノ~ル』

邦画が豊作だった2016年、実写映画で推せるのは圧倒的にこの一本。
君の名は。』同様、監督が得意技も駆使しつつ、自分の安全圏から一歩逸脱したエンタメへ踏み込んで、最高の成果を挙げた。
才能ある監督をこうした新境地へ押しやれる流れがこのまま定着してくれますよう。

 

11位 トッド・ヘインズ『キャロル』

味わい深い映画です。「レズではなく百合」とかいう価値観は全然わからないのですが、そういう昨今の流行りがお好きな方にも堪能して頂ける筈。
つまりシビアな時代背景を抱えながら画面はどこか生々しさを排除していて、メロドラマにしっとり浸れる空気作りが丁寧。
監督が以前に同様のことをやりたかったのだろう『エデンより彼方に』はまったく入り込めなかったので、やっと志向に実力が追いついたのだなという感慨もありました、

 

 12位 リドリー・スコット『オデッセイ 3D』

ザ・ウォーク』とは逆に3Dではなくても評価の変わらない、というか鑑賞時の仕様を忘れるレベルで3Dが大した効果を上げていない作品。
実のところ忘れかけていたタイトルなのですが、今年観た映画を一本一本振り返った時に印象のスマートさが突き抜けていて、まぁ、普通に超面白かったです。

 

13位 スティーブン・スピルバーグブリッジ・オブ・スパイ

これも普通に良く出来ていて普通に超面白いのでコメントに困る。サラッと傑作を撮ってはすぐ次へ向かってしまうスピルバーグの速度に映画ファンはもう振り落とされている気がする。

 

14位 ギャレス・エドワーズ『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』

前半の一筋縄ではいかなさ。特にキャシアンの言動全般の煮えきらなさこそが本作に大人の味を与えて、無邪気に勝利の道を往く正伝の影として自然と存在感を示せていた点が好きで、むしろ終盤は収まりが良すぎるのではないかくらいに思っています。

 

15位 小泉徳宏ちはやふる 上の句』

君の名は。』と合わせてこれもまたトップクラスの洗練されたエンタメ。こういう邦画にもっと生まれて欲しい。
個人的に評判良いアニメ版は原作序盤と比べて非常に「うるさい」という印象であまり好意的に見ていなかったため、実写版に軍配を上げたいです。

 

16位 三浦大輔『何者』

普遍的な自意識の問題をそのまま具象として映像に起こすツイッターという装置の利便性。
就活がテーマでもないし、今時の若者を描きたい訳でもないことは終盤のタネ明かしでハッキリしていたと思います。
そこで主人公の○○、いやもうバラしますが主人公の「裏垢」を暴いていることが主眼なのではなく、それを表現するために描かれた光景こそが主眼であり映画的真実なので、そこの解釈を違えると途端に評価は下がるかも知れません。
言ってしまえば本作の本質に原作は関係がない。

 

17位 山戸結希『溺れるナイフ

ただカッティングが早いだけじゃなくて、そのショットの選択と切り返しのタイミングと芝居とのマッチングが、よく比較される岩井俊二大林宣彦のそれより遙かに鋭い。それだけに終盤でテンポ感を手放してしまったことが残念でした。そしてラストの劇中劇は心の底から残念でした、、、『おとぎ話みたい』のMVだとか『5つ数えれば君の夢』のEDだとか、そういうところでこそ手を抜かない信頼の山戸監督でしたのに。

 

18位 ウ・ミンホ『インサイダーズ/内部者たち』

面白いけど盛り過ぎてゴールが見えない系韓国映画。普段はこの系譜の蛇行していくグルーヴを愉しむのですが、本作は「反骨」というテーマが一貫しているのでカタルシスがある。自分を何かに駆り立てたい時に見返したい映画。

 

19位 林祐一郎『劇場版 牙狼〈GARO〉-DIVINE FLAME-』

単品ではない劇場版アニメから一本選ぶとするなら本作。綺麗に終わった傑作TVシリーズが下地にあるので、焦らず余裕を持って作画的な快楽の追求に全力を振っている。

 

20位 ピーター・ソーン『アーロと少年』

走る走る走る。それだけで映画を作ろうとしているような流れに身を委ねる快感。ズートピアの影に隠れてしまいましたが、せめてもう少し評価されて良いのではないかと思う応援枠。

 

 

対象作品は以下の通り。太字は全部ベスト。

来年はこんなに足を運べそうにありませんが、映画的には充実の一年でした。

 

ライアン・クーグラー『クリード チャンプを継ぐ男
スティーブン・スピルバーグブリッジ・オブ・スパイ
スティーヴ・マーティノ『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』(吹替)
ポール・キング『パディントン
ロバート・ゼメキスザ・ウォーク 3D 字幕』
ロン・ハワード『白鯨との闘い』
ニマ・ヌリザデ『エージェント・ウルトラ
リドリー・スコット『オデッセイ 3D』
トッド・ヘインズ『キャロル』
クエンティン・タランティーノヘイトフル・エイト
ザック・スナイダーバットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 3D』
レニー・アブラハムソン『ルーム』
トム・マッカーシー『スポットライト 世紀のスクープ』
ピーター・ソーン『アーロと少年』(吹替)
ウ・ミンホ『インサイダーズ/内部者たち』
カルロス・ ベルムト『マジカル・ガール』
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ『レヴェナント 蘇りし者』
ドゥニ・ヴィルヌーヴボーダーライン
リッチ・ムーア/パイロン・ハワードズートピア
アンソニー&ジョー・ルッソ『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』
ジョエル&イーサン・コーエン『ヘイル,シーザー!』
ティム・ミラー『デッドプール
アレックス・ガーランドエクス・マキナ
ポール・フェイグ『ゴースト・バスターズ(2016)』
デヴィッド・エアースーサイド・スクワッド
クリント・イーストウッドハドソン川の奇跡
ギャレス・エドワーズ『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』
デヴィッド・イェーツ『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(吹替え版)
フェデ・アルバレスドント・ブリーズ
中村義洋残穢【ざんえ】 -住んではいけない部屋-』
小泉徳宏ちはやふる 上の句』
小泉徳宏ちはやふる 下の句』
佐藤信介『アイアムアヒーロー
瀬々敬久『64 前篇』
是枝裕和『海よりもまだ深く』
吉田恵輔ヒメアノ~ル
黒沢清『クリーピー 偽りの隣人』
黒沢清『ダゲレオタイプの女』
白石晃士『貞子VS伽椰子』
庵野秀明樋口真嗣シン・ゴジラ
三浦大輔『何者』
山戸結希『溺れるナイフ
石浜真史ガラスの花と壊す世界
田口智久『PERSONA3 THE MOVIE #4 Winter of Reverse』
サンライズラブライブ! u's Live in Theater(応援上映)』
赤根和樹コードギアス 亡国のアキト 最終章 愛シキモノタチヘ』
佐藤卓哉『劇場版 selector destructed WIXOSS
菱田正和『KING OF PRISM by PrettyRyhthm』(応援上映)
水島努『劇場版 ガールズ&パンツァー
水島努『劇場版 ガールズ&パンツァー』(2回目)
高橋渉『映画クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃』
石原立也『劇場版 響け!ユーフォニアム ~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~』
石原立也『劇場版 響け!ユーフォニアム ~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~』(2回目。ULTIRA上映)
柳沢テツヤずっと前から好きでした。~告白実行委員会~
瀬下寛之/安藤裕章『亜人 第2部 -衝突-』
林祐一郎『劇場版 牙狼〈GARO〉-DIVINE FLAME-』
宮元宏彰『ワンピース フィルム・ゴールド』
新海誠君の名は。
新海誠君の名は。』(2回目。ULTIRA上映)
山田尚子『映画 聲の形』
山田尚子『映画 聲の形』(2回目)
山田尚子『映画 聲の形』(3回目)
山田尚子『映画 聲の形』(4回目)
山田尚子『映画 聲の形』(5回目。ULTIRA上映)
山田尚子【映画 聲の形】(6回目)
川村泰/さとうけいいちGANTZ:O』
片淵須直『この世界の片隅に

 

 

本日一度誤って消してしまい挫けかけましたが、なんとか年内に書けました。

 

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2016自宅で見た映画トップ50+簡単コメント

今年も面白い映画沢山見たよ。世の中面白い映画で溢れているよ。との政治的主張を込めて記録がてら作りましたTOP50。

ランキング作って驚いたのが、面白い映画が50本では収まらなかったこと。敗北を知りたい。
どれを見ても何かしら感性が磨かれる面、あると思います。

 

アニメは別枠。
Twitterで並べたベストとは若干異なりますが、ベストは基本日替わりでどうとでもなるものですからね。是非もないよネ。

 

ワーストはぶっちぎりで『劇場霊』・・・をさらにぶっちぎりで下回る『日々ロック』。
映画見てて「うるせえ黙れ」と役者をブン殴り台本を焼き捨てカメラをぶっ壊したくなったのは『ヒミズ』以来でした。

 

では。

 

1位 デヴィッド・ロバート・ミッチェル

   『イット・フォローズ』

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ずっと妄想していた「こういうホラー映画の一場面が見たい」というあれこれが映像化されてしまって驚いた作品。自分がホラー映画をあさりながら「こんなホラー見たいなぁ」と長年妄想し続けていたという事実も、回り回って本作の成立に影響しているはず。世の中そういうものだと思う。

 

2位 ジャック・クレイトン『回転』 

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『ダゲレオタイプの女』でもオマージュの捧げられた、水原の向こうに幽霊がたたずむシーンの美しさと怖さ。

回転 [DVD]

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3位 アンドレイ・タルコフスキー『鏡』

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今年は個人的にタルコフスキー元年でした。子供の頃ずっと気になっていたのに見る手段が無かったタルコフスキー古今東西の色んな映画がレンタルですぐに見れちゃう現在を享受すべきだしみんなもっと映画見ればいい。

鏡 Blu-ray

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4位 レニー・アブラハムソン『FRANK』

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社会のレールから外れてしまったものの悲しみ。そうした人に対してひたすら不寛容な今の日本で生きていると余計わびしくも愛おしい。 

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5位 ルイ・マル死刑台のエレベーター

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超オシャレ。

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6位 アンドレイ・タルコフスキーノスタルジア

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映画に出てくる温泉のベスト。『千と千尋』を越えたかも知れない。

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7位 増村保造『巨人と玩具』

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昭和30年代の映画なんですけど完全に今日びのブラック企業の話として通じてしまう。描き方は最近の邦画よりずっとソリッドでニヒル。

巨人と玩具 [DVD]

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8位 アレハンドロ・ホドロフスキー

   『リアリティのダンス』

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『エル・トポ』にせよ『ホーリー・マウンテン』にせよ、カルトなのはわかるけどカルト過ぎて引いてしまうのですが、いよいよ独自のマジック・リアリズムを「映画」に落とし込めた。まだまだこれからの活躍に期待したいおじいちゃん。

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9位 マーティン・スコセッシアリスの恋

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アリスとそのクソガキの圧倒的存在感。今年見た映画で一番生きた人間をそこに感じた。

 

10位 ジョン・ヒューストン、他

    『カジノ・ロワイヤル('67)』

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スキットというかコントというか。『オースティン・パワーズ』の元ネタですね。監督もバラバラだし一本の映画としてどうなんだと思うのですが、とにかく楽しいし超オシャレ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

ここにTOP10の総括を一文入れたかったのですが、是と言って共通点が見当たりませんでした。

TOP50全体を総括するなら、「ホラー」「巨匠」「超オシャレ」。

中でもハマったのが、すっかり知った気になっていた巨匠の過去作を追いかける行為で、それぞれの作家の印象が少し変わった気がします。

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

11位 ジェームズ・デモナコ『パージ』

 「めちゃくちゃな悪法がまかり通っている近未来SFモノ」の中で、その悪法がここまで効果的に機能している作品も珍しい。パッケージに反してかなりA級の佇まい。

 

12位 ダリオ・アルジェントサスペリア2』

サスペリアPART2 日本公開35周年記念究極版 Blu-ray

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ずっと『歓びの毒牙』をベストに入れていましたが、本作の間違いでした。だって構成そっくりだから。ともかくオチでビックリする。

 

13位 スティーブン・スピルバーグ『続・激突!カー・ジャック』

アメリカンニューシネマの薫りが濃厚でありつつ、ギリギリで古くさくならない魅力。スピルバーグの映画的膂力を知れる。

 

14位 ロバート・ワイズ『たたり』

たたり [DVD]

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ホラーの源泉。ただでさえ哀しい運命に囚われたヒロインが悪霊にとりつかれる悲劇が痛切で、単なる見世物映画の域を超える。

 

15位 マーティン・スコセッシ『アフター・アワーズ

アフター・アワーズ 特別版 [DVD]

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大きなテーマに挑んで微妙な出来になりがちなスコセッシの描く、たった一晩のドタバタ劇。やはり本質はコメディ。

 

16位 ダニー・ボイルスティーブ・ジョブズ

 ダニー・ボイル苦手なのですが、悔しいことに非の打ち所がない作品。

 

17位 ジェームズ・デモナコパージ:アナーキー

一発屋じゃなかった。一作目とはテイストを変えながら、引き続き芯に残る魂は熱い。

 

18位 ロマン・ポランスキーフランティック

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型どおりのサスペンスをしっかりと見せつけながら、ラストダンスが儚く印象に残る作りが粋。

 

19位 ジェームズ・キャメロン『アビス 完全版』

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ロマンが溢れて画面のこちら側にこぼれ落ちてくる勢い。

 

20位 マーティン・スコセッシミーン・ストリート

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後々作る悪党たちの無法な一生の、少し手前。すごい悪党というほどでもない、ちんけなチンピラ達の適度に悪い青春譚。可愛い。

 

 

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21位 周防正行『舞妓はレディ』

周防監督の最高傑作かもしれない。言葉が、所作が、カメラが、多角的に一定のリズムで世界を構築していく。今の邦画でこうした成果は珍しい。高嶋政伸と監督夫人それぞれの一部パフォーマンスがそれを壊してしまうのが難。

 

22位 ポール・トーマス・アンダーソンインヒアレント・ヴァイス

根岸吉太郎ヴィヨンの妻』を見た時に、特定の物語ではなく「太宰治の小説世界全般」がまるでひとつの宇宙かのように存在している作りに感動したのですが、そうした試みのピンチョン版。物語を追うのでは無く、ひとつの宇宙を知る。

 

23位 ニール・プロムガンプ『チャッピー』

プロムガンプの映画は全部懐かしい。

 

24位 F・ゲイリー・グレイ『ストレイト・アウタ・コンプトン』

ストレートに面白い青春劇。HIPHOPに興味が無くても大丈夫。

 

25位 イングマール・ベルイマン『ある結婚の風景』

6時間に及び、夫婦の非常に現実的な確執の数々をこれでもかとあぶりだす会話劇。人と人が共に居ることの地獄。「でも現場はすごい楽しかったの」とメイキングで語られていて、それはそうだろうなとも思うし、そこに救いがあった。

 

26位 スティーブン・スピルバーグ太陽の帝国

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日本軍占領下の上海で収容所に送り込まれた英国人少年の日々。『千と千尋』のような異世界探検譚にも見えるし、少し少年が羨ましくさえなってしまう。

 

27位 岡本喜八ダイナマイトどんどん

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野球で因縁にケリをつけることになったヤクザ達のドタバタ。生命力で圧倒してくる。

 

28位 ガイ・リッチー『コードネームU.N.C.L.E』

スナッチ以降完全に萎んでいた監督がまさかの復活。嬉しい誤算。

 

29位 ジェニファー・ケント『ババドック ~暗闇の魔物~』

ホラー映画は、恐怖とは別に、普段は孤独に噛みしめている「心細さ」を映画と、または映画を通して世界中の観客と共有できるところが魅力だと思うのですが、本作の母子の孤独は『仄暗い水の底から』フリークとしてはたまらないものがありました。

 

30位 アンドレイ・タルコフスキー『ストーカー』

正直眠たいのですが、眠たいかどうかなどお構いなしに圧倒的に存在する現実の果ての「ゾーン」がやばい。ゾーンはあると思う。
日本も軍艦島を筆頭に廃墟には事欠かないのだから、和製ゾーンをもっと創り出してほしい。

 

 

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31位 ダリオ・アルジェントオペラ座 血の喝采 完全版』

ランキングでは数少ないのですが、今年はひたすらアルジェントを見ていたので、様式美としてはこれが一つの頂点かなぁと。『インフェルノ』も変テコで好きです。

 

32位 スティーブン・スピルバーグカラーパープル

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ネイティブアフリカンの「ノリ」に敬意を表していて、人間性としては割と酷い描き方なのが面白いなぁと。

 

33位 ベネット・ミラーフォックスキャッチャー

見る時の気分によってシリアスにもコメディにもホラーにもなりうる、基本わびしい映画。それをトップスターを起用して作れてしまうハリウッドの懐深さ。

 

34位 スティーブン・スピルバーグリンカーン

前半はやや退屈なのですが、クライマックスはやはり魅せる。失われた政治。

 

35位 ジャン=リュック・ゴダール『ウラジミールとローザ』

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説明が面倒臭い映画なのでググってください。

 

36位 イングマール・ベルイマン『叫びとささやき』

『ある結婚の風景』が結婚の地獄、もしくは他者がいることの地獄なら、こちらは老いの地獄、あるいは人が生きることの地獄。『野いちご』が美しい晩年を描いた名作として知られていますが、あれ撮った時まだベルイマン若いんですよね。

 

37位 ジャン=リュック・ゴダールメイド・イン・USA

超オシャレ。ゴダールだと他にもスパイ疑獄と拷問を描く『小さな兵隊』も異色で良かったですね。

 

38位 スティーブン・ソダーバーグエージェント・マロリー

超オシャレ。殺陣としても『ザ・レイド』に負けない新鮮さを獲得しているので、アクション映画史的にも片隅に名前を記して良いと思うのです。

 

39位 M・ナイト・シャマラン『ヴィジット』

シャマランは『エアベンダー』以外全部好きなので復活したと言われても困ります。むしろ新境地。

 

40位 前田真人『テラスハウス・クロージングドア』

超オシャレ。スタジオ部分が個人的にはやはりどうしても映画として受け止められなくて邪魔なのですが、そんな「映画外」を持ち込みながら尚、今年見た邦画の中でルックが持つ力では頭一つ抜けていた拾い物。Twitterやっていなかったら見ていなかった。ありがとうございます。選曲が良いっていうのも凄く大事。馬鹿っぽい響きだとは思うけれど、邦画はもっと「オシャレであること」を重視してほしい。

 

 

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41位 ジョン・カーペンターゼイリブ

ゼイリブ 通常版 [Blu-ray]

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やってやるやってやるやってやるぞー♪

 

42位 ジョン・カーペンターダーク・スター ディレクターズ・カット版』

ラストの切れ味! 何あれ!

 

43位 ジャン=リュック・ゴダール『ありきたりの映画』

ありきたりの映画 [DVD]

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実際のデモ活動の実録映像にいつもの政治語りを重ねるだけなのに映画になってしまうおかしさ。

 

44位 山戸結希『おとぎ話みたい』

おとぎ話みたい ~LIVE FOREVER Ver.~ [Blu-ray]

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エンディング後についてくるMVがむしろ本編。そこへ向けてのフリとして最高。

 

45位 黒沢清『地獄の警備員』

地獄の警備員 [DVD]

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松重豊ばかり注目されるけど、最初に殺人鬼と遭遇した時の長谷川初範のリアクションがあまりに格好いいことは特筆されるべき。本作が好きな人は、是非黒沢清もう1つのオフィスホラー『DOORⅢ』も見て欲しいです。

 

46位 イングマール・ベルイマン『仮面/ペルソナ』

ベルイマン、意外と色んな映画撮ってるんですけど、一番奇抜で、これはもしかしてヌーヴェルバーグに感化されて「俺だってやってやる」と思って作ったのか、だとしたら可愛いなぁな一作。

 

47位 ロマン・ポランスキー『赤い航路』

赤い航路 Blu-ray

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やってることは『フランティック』と同じで、要は謎でさんざん引っ張り回しながら、観客の目には最後のダンスさえ残ればいいとなってる。ロマンがある。

 

48位 ジョージ・A・ロメロサバイバル・オブ・ザ・デッド

サバイバル・オブ・ザ・デッド [Blu-ray]

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ダイアリー・オブ・ザ・デッド』の続編。ゾンビが蔓延する世界で、この期に及んでまだ長年の因縁に囚われ人間同士対立する孤島の住民たちの愚かな顛末を描く。どこか西部劇の趣き。巨匠衰えず。

 

49位 ビクトル・エリセ『エル・スール』

エル・スール Blu-ray

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とても静かな掌品。画面に充ち満ちた繊細さに息を呑む。ホラーばかり見てる訳じゃないですアピール。

 

50位 ホウ・シャオシェン『冬々の夏休み』

トトロのいないトトロ。90年代以降の邦画に与えた影響力は良くも悪くも大きいのでは。

 

 

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対象作品は以下の通り。

 

ルイス・ギルバート『007/私を愛したスパイ
ルイス・ギルバート『007/ムーンレイカー
ジョン・グレン『007/ユア・アイズ・オンリー
ジョン・グレン『007/オクトパシー
ジョン・グレン『007/美しき獲物たち
ジョン・グレン『007/リビング・デイライツ
ジョン・グレン『007/消されたライセンス
アーヴィン・カーシュナー『(007)ネバーセイ・ネバーアゲイン
ジョン・ヒューストン、他『(007)カジノ・ロワイアル』
デヴィッド・クローネンバーグ危険なメソッド
デヴィッド・クローネンバーグマップ・トゥ・ザ・スターズ
デヴィッド・クローネンバーグデヴィッド・クローネンバーグシーバース
デヴィッド・クローネンバーグ『ラビッド』
スティーブン・スピルバーグリンカーン
スティーブン・スピルバーグ『戦火の馬』
スティーブン・スピルバーグ太陽の帝国
スティーブン・スピルバーグカラーパープル
スティーブン・スピルバーグ『オールウェイズ』
スティーブン・スピルバーグ『続・激突! カージャック』
イングマール・ベルイマン『魔術師』
イングマール・ベルイマン『夏の遊び』
イングマール・ベルイマン『夏の夜は三たび微笑む』
イングマール・ベルイマン『仮面/ペルソナ』
イングマール・ベルイマン『冬の光』
イングマール・ベルイマン『叫びとささやき』
イングマール・ベルイマン『ある結婚の風景』全6部
ジェームズ・キャメロン『アビス 完全版』
ジェームズ・キャメロン殺人魚フライング・キラー
ロマン・ポランスキーフランティック
ロマン・ポランスキー『赤い航路』
ロマン・ポランスキー『毛皮のヴィーナス』
ロマン・ポランスキーポランスキーの吸血鬼』
ロマン・ポランスキー『テス』
ロマン・ポランスキー『テナント 恐怖を借りた男』
ジャン=リュック・ゴダール『ありきたりの映画』(ジガ・ヴェルトフ集団)
ジャン=リュック・ゴダール『たのしい知識』
ジャン=リュック・ゴダール『ウラジミールとローザ』(ジガ・ヴェルトフ集団)
ジャン=リュック・ゴダールメイド・イン・USA
ジャン=リュック・ゴダール『小さな兵隊』
ジョージ・A・ロメロ『サバイバル・オブ・ザ・デッド
ジョージ・A・ロメロ『マスターズ・オブ・ホラー/ヴァルドマー事件の真相』
ダリオ・アルジェント『マスターズ・オブ・ホラー/黒猫』
ダリオ・アルジェント歓びの毒牙(きば)』
ダリオ・アルジェントオペラ座 血の喝采 完全版』
ダリオ・アルジェントサスペリア
ダリオ・アルジェントサスペリアpart2 完全版』
ダリオ・アルジェントサスペリア・テルザ 最後の魔女』
ダリオ・アルジェントジャーロ
ダリオ・アルジェント『デス・サイト』
ダリオ・アルジェントインフェルノ
ダリオ・アルジェントダリオ・アルジェントのドラキュラ』
ランベルト・バーヴァ『デモンズ』
ランベルト・バーヴァ『デモンズ2』
アレハンドロ・ホドロフスキーホーリー・マウンテン
アレハンドロ・ホドロフスキー『リアリティのダンス』
フランク・パヴィッチ『ホドロフスキーのDUNE
ロブ・ゾンビマーダー・ライド・ショー
ロブ・ゾンビ『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショーⅡ』
ロブ・ゾンビ『ハロウィンⅡ』
ポール・トーマス・アンダーソンインヒアレント・ヴァイス
ポール・トーマス・アンダーソン『ハードエイト』
マーティン・スコセッシ『アフター・アワーズ
マーティン・スコセッシエイジ・オブ・イノセンス
マーティン・スコセッシニューヨーク・ニューヨーク
マーティン・スコセッシ『最後の誘惑』
マーティン・スコセッシ『クンドゥン』
マーティン・スコセッシミーン・ストリート
マーティン・スコセッシアリスの恋
アンドレイ・タルコフスキーノスタルジア
アンドレイ・タルコフスキー『鏡』
アンドレイ・タルコフスキー『アンドレイ・ルブリョフ』
アンドレイ・タルコフスキーサクリファイス
アンドレイ・タルコフスキー『ストーカー』
アンドレイ・タルコフスキー惑星ソラリス
アンドレイ・タルコフスキー僕の村は戦場だった
ギレルモ・デル・トロ『クロノス』
ギレルモ・デル・トロ『デビルズ・バックボーン』
ギレルモ・デル・トロクリムゾン・ピーク
ジョン・カーペンターゼイリブ
ジョン・カーペンターダーク・スター ディレクターズ・カット版』
ジョン・カーペンター要塞警察
ビクトル・エリセ『エル・スール』
ビクトル・エリセミツバチのささやき
ホウ・シャオシェン『黒衣の刺客』
ホウ・シャオシェン『冬々の夏休み』
ジェームズ・デモナコ『パージ』
ジェームズ・デモナコパージ:アナーキー
モンティ・オウム『RWBY Volume.1』
モンティ・オウム『RWBY Volume.2』
スティーブン・ソダーバーグエージェント・マロリー
クリス・ロフィング/トラヴィス・クラフ『死霊高校』
ニール・プロムガンプ『チャッピー』
ベネット・ミラーフォックスキャッチャー
ジョージ・ルーカスTHX-1138 ディレクターズ・カット』
ウィル・グラック『ANNIE/アニー』
リチャード・リンクレイター6才のボクが、大人になるまで。
レオス・カラックス『ボーイ・ミーツ・ガール』
デヴィッド・リンチデューン 砂の惑星 劇場公開版』
ティム・バートンビッグ・アイズ
ルネ・ラルーファンタスティック・プラネット
マイク・マッコイ/スコット・ウォー『ネイビー・シールズ
ピーター・ウィアー『キラー・カーズ/パリを食べた車』
イーライ・ロスグリーン・インフェルノ
ジェニファー・ケント『ババドック ~暗闇の魔物~』
M・ナイト・シャマラン『ヴィジット』
レニー・アブラハムソン『FRANK』
トニー・スコット『ハンガー』
ジャック・クレイトン『回転』
デヴィッド・ロバート・ミッチェルイット・フォローズ
クリント・イーストウッド『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』
トビー・フーパーツールボックス・マーダー』
ダニー・ボイルスティーブ・ジョブズ
F・ゲイリー・グレイ『ストレイト・アウタ・コンプトン』
アルノー・デプレシャン『あの頃、エッフェル塔の下で』
ルイ・マル死刑台のエレベーター
ロバート・ワイズ『たたり』
ジョン・ブアマンエクソシスト2』
ジョーダン・ルービン『ゾンビーバー』
フランシス・フォード・コッポラヴァージニア
ジャック・ドゥミ『ロバと王女』
ガイ・リッチーコードネームU.N.C.L.E』
ホウ・シャオシェン『黒衣の刺客』
黒沢清『地獄の警備員』
中田秀夫劇場霊
樋口真嗣進撃の巨人 エンド・オブ・ザ・ワールド
塚本晋也『鉄男 THE BULLET MAN』
岡本喜八ダイナマイトどんどん
池田敏春『人魚伝説』
増村保造『巨人と玩具』
入江悠『ジョーカー・ゲーム
入江悠『日々ロック』
周防正行終の信託
周防正行舞妓はレディ
瀬々敬久『ストレイヤーズ・クロニクル』
北野武龍三と七人の子分たち
原田眞人『駆込み女と駆出し男』
前田真人『テラスハウス クロージングドア』
三池崇史テラフォーマーズ
井口奈己『ニシノユキヒコの恋と冒険』
山戸結希『おとぎ話みたい』
横浜聡子『俳優 亀岡拓次』
田崎竜太『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4 DC版』
雨宮慶太『人造人間ハカイダー

 

来年も引き続き旧作を追いたいと思います。

 

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アンニュイな気持ちになる、アニメ・マイベストエピソード5選

当記事は、

以前『アウトライターズ・スタジオ・インタビュー』でも紹介して頂いた

ぎけん(@c_x)さんのブログ物理的領域の因果的閉包性の新企画

マイベストエピソード』に参加したものとなります。

 

● マイベストエピソードのルール

・ 劇場版を除くすべてのアニメ作品の中から選出(配信系・OVA・18禁など)
・ 選ぶ話数は5~10個(最低5個、上限10個)
・ 1作品につき1話だけ
・ 順位はつけない
・ 自身のブログで更新OK(あとでこのブログにコピペさせていただきます)
・ 画像の有無は問わない
・ 締め切りは8月末まで

 

掲げられたコンセプト「作品としてはベストに選ばないけど好きな話数」が非常に興味深いなと思いゆっくりと視聴履歴を振り返っていたのですが、話数単位で振り返ろうとすると好きな作品でさえほとんど思い浮かばないことに気がつきました。

好きで繰り返し見た話数。きっと沢山ある筈なのに、ほとんど思い出せない。

少し寂しいので、せめて今思い出せるものだけでも記録に残します。

カテゴリー「アンニュイな気持ちになる」は後付けです、すいません。

ただ、雨降る日にこの5選を続けて視聴したりすると、それはもうアンニュイな気持ちになれるのではないかと思います。

以下、あくまで「作品としてはベストに選ばない」タイトルの中から思い出した順に。

勿論、ベストに選ばないからといって嫌いな作品の筈も無いのですが。

 

では。

 


 

戦国コレクション COLLECTION-8

『Regent Girl』

脚本:金澤慎太郎 絵コンテ:柴田勝紀 演出:金子伸吾

 

たった一話あればアニメはなんでも出来る、と表明してのけた、異色のパロディオムニバスアニメ『戦国コレクション』の中でも、最大のインパクトを誇るお米の国の秀吉。

異世界から現代日本に迷い込んだ戦国武将・豊臣秀吉(♀)はお米が大好き。ある日、豊作祈願の舞を踊った山頂からおむすびを落としてしまう。おむすびを追いかけ穴に落っこちた秀吉は、米粒たちの暮らす不思議な世界に迷い込む。

転がるおむすびのように止まらず変転し続けるシュールな世界と、虚実を巡る禅問答が可愛いらしく綴られる。

奇異であることをさも奇異であると見せびらかしがちな深夜アニメの世界にあって、キッズアニメカートゥーンのように肩肘張らず、ただ気楽に奇異であることを満喫し、視聴者を異世界に誘ってくれる一篇。秀吉の飄々としたキャラが本話数の「自由さの強度」に一役買っている。

数々のパロディやダジャレでおふざけを装いながら、実は単に煙に巻く会話と突拍子も無い物語が展開している訳ではなく、「なぜ私達はフィクションを創り、フィクションを享受するのか」という究極の命題に向き合ってキチンと回答を示した誠実な30分。一言も無駄が無い。また、フィクション論であることによってオムニバス風の本作品全体を通したテーマ性をも語り得ている。

脚本の金澤はライトノベル作家水城正太郎の別名義で、やはり本作同様お米大好きなヒロインが登場し何重にもメタでニヒリスティックで抽象的な物語『いちばんうしろの大魔王』を執筆している。十数巻に及んで執筆した自作長編の要素をわずか30分に凝縮してみせた、謀らずか謀ってか氏の代表作とも呼べる一話。

柴田勝紀繋がりで作画の柔らかさと世界の抽象度は『輪るピングドラム』にも通じ、または早過ぎた『ガールズ&パンツァー』とも呼べる一幕も。

 

 

 

パパの言うことを聞きなさい!  第9話

ちょっとマイウェイ

脚本:あみやまさはる 絵コンテ/演出:池端隆史

 

二児の親であるバツ2の男と結婚した姉。彼女自身も旦那との間に娘をもうけ、幸せな家庭生活を送っている。そんな状況に祝福と歯がゆさを抱いていた大学生・祐太だったが、ある日、姉夫妻を乗せた飛行機が墜落して2人は死亡する。やはり幼くして両親を亡くし姉に育てられていた祐太は、遺された三姉妹がバラバラになることを恐れ、保護者として八王子の狭いアパートに3人を引き取る決意をするのだが、学生生活とバイトと子育てとで日々は多忙を極め---

ロリコン向けサービスショット満載で美少女お色気コメディの体裁を繕ってはいるけれど、とても不思議なバランスを保った『パパ聞き!』は、誰もが誰かのために無理をしながら、ギリギリのバランスで笑顔を保つ「作られた家族」の危うい幸福を肯定している。

そもそも三姉妹の母親がそれぞれ異なるため、祐太が介入しなくてもこの家族には元々つきまとっていたその「それぞれの無理」が根底にしかれており、この第9話では、本編中もっともスポットの当たることのない、いつも平然として家族のドタバタを見守り、だからこそその無理は人知れぬものがある次女・美羽(みう)の日常が描かれる。

姉の空と共に毎朝ダッシュで通学電車に乗り込む姿から始まり、小学校でもおすましをして自分を取り繕っている美羽の見栄(本編中、彼女が素の自分をさらけ出せる環境はどこにも無いのだ)も、満員電車で踏まれた靴の「汚れ」によってその背伸びを周囲に露見してしまう。

『パパ聞き!』は、基本的に登場人物が全力で意識的に「ドラマを起こさない 」ことを描いたドラマである(各話のタイトルが往年の連続ドラマから来ている皮肉がスパイス)。大きな展開は4人が同居を決める最初の3話で終わっており、そこから先は、それぞれの我慢によってここに残された幸せを守り切る、そう決めた子供たちの日常モノと化す。

だから、家庭でも学校でも無理をしている美羽が、よくあるシナリオのお約束通り感情を爆発させることはない。代わりにここに現れるのは、祐太の大学のサークル仲間である遊び人の男・仁村だ。

美羽は自分が仁村に同情されている事を知っている。仁村は美羽が背伸びしている事を知っている。だけど、互いにとぼけたフリして一日だけの恋人ごっこを行う。

美羽は自分の家庭の一歩外側で、祐太の友人がこうして見守ってくれていることを知る。私の無理も、きっと特別なことではないと。この一日を経たからといって、美羽の小学生にのしかかるにはあまりに重たい日々の苦労は今後も軽減することはないだろう。それでもあの家に帰ると決めた。

仁村とデートした池袋サンシャインシティーの屋上から、かつて過ごした家も今の家も同じ空の下にあることを目にして、美羽は今の日常を「選んだ」自分を再確認する。

怒鳴ったり泣きじゃくるばかりがドラマじゃない。怒鳴らないことで、泣きじゃくらないことで、こうして続いていく通奏低音のようなドラマがこの空の下には溢れている。脇役が脇役として日常に留まるために過ごしたささやかなひととき。そこに30分費やされる贅沢。

制作会社feel.の、わけても及川啓が係わるアニメの「夕焼け空」がいかに淡くて儚くて美しい空気を創り出すかは、『アウトブレイク・カンパニー』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』『この美術部には問題がある!』を見ればわかる通り。助監督として参加した本作でもそのマジックアワーの効果は最大限に発揮されている。

逝去された松智洋先生への追悼の意も込めて。

 

 

 

異能バトルは日常系のなかで 第7話

『覚醒』ジャガーノート・オン

脚本:樋口七海 絵コンテ:望月智允 演出:宮島善博

 

所謂ザ☆「声優の本気」として早見沙織の長台詞が有名な回。

以下、一部抜粋。

実際にはもっと長く、一息にまくしたてる。

 

わかんない...わっかんないよ
寿(じゅー)くんの言ってる事は一つも分かんない

ブラッティって何がカッコいいの?

血なんてイヤだよ痛いだけだよ

罪深いってなんなの?

罪がある事の何がいいの犯罪者がカッコいいの?

正義と悪だとなんで悪がいいの?

何で悪いほうがいいの、悪いから悪なんじゃないの!?

右腕がうずくと何でカッコいいの?

『自分の力が制御できない感じがたまらない』って何それただのマヌケな人じゃん!

ちゃんと制御できるほうがカッコいいよ立派だよ!

普段は力を隠していると何が凄いの?

そんなのタダの手抜きだよ、

隠したりしないで全力で取り組む人の方がカッコいいよ!

どうして二つ名とか異名とか色々つけるの?

いっぱい呼び名があったって分かりにくいだけじゃん

英語でも何でもカタカナつけないでよ覚えられないんだよ!

ギリシャ神話とか聖書とか北欧神話とか日本神話とか

ちょっと調べたくらいでそういう話しないでよ!

内容もちゃんと教えてくれなきゃ意味がわかんないよ

教えるならちゃんと教えてよ!

相対性理論とかシュレディンガーの猫とか万有引力とか

ちょっとネットで調べただけで知ったかぶらないでよ

中途半端に説明されてもちっとも分からないんだよ!

ニーチェとかゲーテの言葉引用しないでよ

知らない人の言葉使われても何が言いたいのか全然わかんないんだよ

自分の言葉で語ってよ!

お願いだから私が分かる事話してよ

中二ってなんなの中二ってどういうことなの

わかんないわかんないわかんないわかんないわかんなーい!

寿くんの言う事は昔から何一つこれっぽっちもっ 分かんないんだよっ!

 

勘違いして欲しくないのだけれど、ここまで切羽詰まって彼女=早見演じる鳩子が繰り広げているのは「中二病ラノベのテンプレート批判」ではなく、早見沙織の演技が素晴らしいのはこの長台詞を情感を欠かすことなく叫びきる技術力の高さによるものでもない。

鳩子自身も認識出来ていない彼女の本音を、ここに至るまでの丁寧な段取りと、この芝居場でのアニメーションと早見の演技と長い長い台詞が相俟って表現しているから。

それはただ一言、「私を見て」と。

 

中二病の少年・安藤寿来と彼を囲う少女たち文芸部一同の身に、ある日、本物の異能力が宿ってしまう。かと言って戦うべき相手が現れる訳ではなく、たまに異能力を使うだけの日常モノが続いていくのが本作の概要。

ここで実際に主人公・安藤を取り巻いているのは彼が好きな異能バトルではなく、彼にとっては興味の範疇外である美少女ハーレム。美少女ハーレムでいつだって割を食うのは、主人公と過ごした時間が長い分だけ、その焦りにより強い痛みが宿る幼なじみキャラで、そして鳩子はこの物語の幼なじみポジションに当たる。

オタク趣味を持ち合わせていない鳩子は安藤の中二病トークに加われないのだが、この日は久しぶりに安藤の家で夕食を作ることになった。家事という得意技でなら、自分は安藤の日常に寄り添える。

なのに、せっかく安藤家にお邪魔して台所で得意の肉じゃがを作っていても、安藤が気にしているのは部活仲間の灯代のことばかり。それには安藤なりの理由があるのだが、鳩子から見れば灯代はライトノベル志望作家。つまり、安藤とオタク趣味を共有できる女の子。

せめて灯代とどんなやりとりをしているのかやんわり聞き出そうとした鳩子に安藤から返ってきた言葉、

「どうせお前にはわかんねえだろ」。

肉じゃがを作る鳩子の手から、こぼれ落ちるお玉。

そしてあの長台詞が爆発する。

カメラもキャラもパースも動かしまくるTRIGGER制作でありながら、本話数の絵コンテは『絶対少年』を「フィックスだけでやりきってみたかった」などと語る志向の持ち主・望月智充

作画に潜在する躍動をショットが抑制してしまう本作全体に宿る不完全燃焼感がこの話数に限ってはプラスに働き、鳩子の中に沸々と溜まり続けるフラストレーションの顕在化に繋がっていく。

AパートとBパートの冒頭でそれぞれ「かつて鳩子が非常ベルを押してしまって学校にパニックを起こし泣きじゃくっていたら、安藤が助けにきてくれた」過去が繰り返されるが、Aでは鳩子の視点、Bでは安藤の視点で綴られる。鳩子にとっては長年の想いの蓄積の上にのしかかった「お前にはわからない」であったが、Aパートの終わりで鳩子の爆発を食らった安藤にとっては、Bパートで過去を振り返るまで、ただその場しのぎのなんでもない一言でしかなかった、ありふれた齟齬であったと示される。

このBパートで、鳩子を見失ってしまった安藤は友人の相模、そして逃げ出してしまった鳩子は桐生という不思議な青年と出会う。実はこの物語、非日常世界での異能バトルは実際に起こっていて、ただ肝心の主人公たちだけがそれに気づいていないというトリッキーな世界観の上に成り立っていたことがシリーズ後半で「視聴者にだけ」明かされていくのだが、その「異能バトルを非日常系で」展開している事を実は知っていたのが相模で、そしてむしろ異能バトル物の真の主人公とも言える中心人物が桐生なのだ。日常モノのテンプレートを一時期だけとはいえ破壊してしまった鳩子と安藤が、それぞれ日常の裏にひそむ非日常に一瞬の邂逅を見せる。相模は安藤と鳩子の関係性(つまりテンプレ「幼なじみ」設定)の不自然さを説き、桐生は鳩子が否定した「中二病テンプレートのWHY?」に対する回答を語る。桐生の語るそれは、イコール鳩子が本当に否定したかった「ハーレム物テンプレートのWHY?」への回答、つまり自分の本心へ至る回答にもなっているという、原作の功績も大きいのだろうが巧すぎる脚本。

人の幸せ。それは、『選ばれる』ことだ。

人は誰にでもなりたいんだよ、『選ばれる者』にな。

物語の中心にあるこのエピソードこそが、日常と非日常が反転しそうでしない本作における、何か決定的な亀裂が入りそうで入らないギリギリのスリルを見せた真のクライマックスだった。

 

 

 

神のみぞ知るセカイⅡ FLAG.7.0

『Singing in the Rain』

脚本:倉田英之 絵コンテ:出合小都美 演出:駒屋健一郎

 

傑作マンガのアニメ化としては決して成功したとは言いがたい作品。しかし原作が傑作となるにあたって本話数がフィードバックしていることもまた事実であろう、理想的な原作とそのアニメとの結節点。

現実の少女たちを自身の得意なギャルゲーの攻略ヒロインに見立てて、そのバロメーターを見極め自らとの恋に「落とす」ことで、少女たちの体に逃げ込んだ旧世界の悪魔を追い払う役目を負うことになった「リアルなんてクソゲーだ」が信条の孤高のオタク・桂木桂馬

彼を戸惑わせる最大のヒロインが「小阪ちひろ」で、当該エピソードはちひろ編の最終話にあたる。

今までは明確な悩みを抱えたヒロインの問題を颯爽と解決することでヒロインの心を解き放ってやればよかったし、桂馬自身が王子様役となることでヒロインを恋に落とすことも簡単だった。しかし、このちひろは何に悩んでいるのかもわからない。しかも次から次へと別の男に目移りして、ヒロインらしい矜持を守ってくれない。

仕方なく桂馬はちひろを落とすのではなく、ちひろが今片思いしている男を落とす為の攻略法を探る方向に切り替えるが、ちひろはその男にさえ真剣にならず桂馬の話を笑って聞き流す。ヒロインは純情であるべきだという固定観念に縛られた桂馬の苛立ちは募っていく。

アニメ版は渡辺明夫によるいかにもヒロインめいた目の大きなキャラデが最大の失敗を見せてしまってはいるが、原作におけるちひろはいかにも「モブ生徒」然としたキャラクターとして早々に登場しており、そんなモブ少女が最終的に主人公と対比される最大のヒロインと化していく過程が全体の中で大きな柱となっている。

ありきたりで、ドラマもバロメーターもなくて、一途ですらない少女。

本話数Aパートでは、そんなちひろの登校風景が彼女の鼻歌と共にゆったりと綴られる。雨上がりの街。絶えず水たまりや曇り空が映り込むクリアではない景色の中、不要となった傘をもてあそんでうろつく少女。明確なドラマと出会えない、あてどない日常を生きるありふれた人。この時彼女が口ずさんでいる曲「初めて恋をした記憶」がこののち、原作でも最大の意味を持つ。

そのフィードバック部分が映像化されるまでには第3期の痛切な最終回を待たなくてはならないのだが、アニメは1期、2期で各ヒロインを丁寧に描きすぎたために原作の展開を追うことが出来ず、3期の冒頭で物語の大部分を完全にダイジェストとして省略してしまっている点からやはりアニメ化成功とは言いがたい。

言いがたいが、失策の数々に敢えて目をつむるとすれば、やはりアニメ化が意味を持ったとすれば本話数なのだ。

他の話数ではテンポの悪さや、原作の絵的な魅力を汲めていないのにパロディ要素だけはやけに踏襲する監督のセンスの無さが目について多少いらつきも覚えるのだが、アニメ版の間延びした作りがこの「雨上がりの街をただうろつくちひろ」という、何も起こらないのに全てが描かれる贅沢なシーンを生み出したのもまた確か。勿論、倉田脚本は確信犯で狙ってのことだろう。

「リアルなどクソゲー」を信条とする桂馬に対し、ヒロイン側の少女たちは誰もみな最後には「リアルを生きる」覚悟を決めていく、思えば今までの『神のみ』とはそんな話であったことを、このちひろ編を通じて桂馬も、そして視聴者も気づく。その強さの象徴として、冴えない街で傘をもてあますちひろの描写はある。

ちひろこそが誰よりも悩んでいたと桂馬は気づくが、それは実際にちひろが他のヒロインより深く悩んでいるということではない。ただ、桂馬にとって初めてリアルに共感しうる悩みだったのだ(その回答は続く「長瀬純」編で示される)。

ゴールすることも、クリアすることも出来ない、茫漠とした日常を生きるということ。

宙ぶらりんな世界で、虚空に傘を振り回すこと。

リアルはクソゲーだ。しかし、無意味な理想を手放す訳にはいかない。

存在しないゴールに向かって、バロメーターに目を凝らし続けろ。

二人にとって今後重要な意味を持つ、港に停泊した遊覧船の上で桂馬は改めてちひろを恋に落としにかかる。甲板の高低差を使った二人の立ち位置。ちひろの傘の使い方。ごく自然で作為を感じさせないが、男女の距離感を映像としてスリリングに伝える出合コンテの絶妙な手腕を堪能する上でも最高の一話。

 

 

みなみけ おかわり 4杯目

『片付けちゃっていいですか?』

 脚本:鈴木雅詞 絵コンテ:細田直人 演出:雄谷将仁

 

 両親不在、三姉妹だけで楽しく暮らす長女・ハルカ、次女・カナ、三女・チアキの三姉妹。彼女たちと、それぞれ通う高校・中学・小学校の仲間たちとの、楽しくドタバタ過ごす日々―――

人気シリーズ『みなみけ』の第2期。実際には2つのアニメスタジオに同時に1期ずつ作らせるという試験的な企画だったのだが、後に日常モノの雄となる太田雅彦監督がスタジオ・童夢で作り上げた1期が大人気を獲得した為に、ヒット作『SHUFFLE!』のシュールな画風を引きずった細田直人監督×スタジオ・アスリードによる2期は厳しい評価に晒されてしまった、、、と、聞く。後追いでまとめて見たので、放映時の空気は知らない。

ちょうどアニメを見始めた頃の自分にとっては、おそらく初めて触れた日常モノが『みなみけ』シリーズだったので、そうした問題にはまったく気づかず、なんなら今見れば露骨な作画の違い(なにせ、メインとなる南家の外観さえ違う)すらわからないで見ていた。

それより新鮮だったのが、1期では全編明るくライトで照らされているような、コメディとして割り切って見れる表層的な世界だったものが、冬の陰鬱な空気を全面に取り込んだこの2期では、一気に南家の生活がリアルに近いものへと転じたことだ。ショーウィンドウ越しのユートピアが、隣人の生活をのぞき見るようにグッと距離感を縮めてきた。

2期オリジナルキャラクターで、たしかに笑いには一切還元しないし、コメディ世界にひたすら泥を塗るような陰気な少年フユキの存在はしかし、2期を叩く視聴者たちの中にすら、自然と南家を「モニターの向こう側」の存在から「気になる隣人」へと変化させるのに一役買ったのではないかと思う。フユキへのヘイトの分まで、南家の「生活」への愛着度はより増したろう。

あえて断言すれば、みなみけシリーズの長寿化最大の功労者は、フユキであった。異論は認める。

皮膚感覚レベルでの天候や気温とは無縁に思えた1期の世界に対して、2期は絶えず街の気温をひしと肌で感じながらキャラクターたちが生きている。停電の日の雪合戦を描いた第6話の方が2期のテーマ的にもより重大なのだが、個人的に今でも忘れられないのがこの4話目。

普段は温厚で理想的な母性を持った長女・ハルカが、本話数の冒頭では単純にガミガミした母親同然に妹2人を叱り、隣りのフユキ君を見習いなさいと南家総出の町内清掃参加を決めてしまう。これにそれぞれの友人たちも巻き込まれて、真冬の早朝で寒さに凍えながら町のゴミを清掃するという、世にも地味な30分が展開する。

クライマックスは「川辺に不法投棄されていた、錆びて汚れた重たい冷蔵庫を開けるか否か」だ。なんだそれ。手はかじかんでいるだろう。こめかみのあたりもそろそろ寒さで痛くなってそう。うんざりだし疲れているから帰りたいのに、まだみんな残っているから帰るに帰れない。

もしかしたら何か面白いことが、まだ起こるかも知れない。

日常モノ」というフレーズから外されていた本来の「私たちの日常」が、その嫌になる作業の中にあった。

 

どのアニメにも出てくる決まり切ったイベントじゃない。

張り切って夕食を作っている最中につい怒りが溜まって温かい晩餐を台無しにしてしまうこと。

疲弊した学校帰りに商業施設に寄り道して屋上から街を眺めること。

雨上がりの街で目的もなく傘をもてあますこと。

冬の朝早く、町内清掃にかり出されてうんざりすること。

私が見たい「日常モノ」は、そんな「とても地味で、けれど他のアニメや他のキャラクターでは代えの効かない時間」を描いてくれるものなのだ。

と。

好きなエピソードを選ぶ内に、そしてここまで書く内に、ふと気がついた。

  


 

 以上です。久しぶりのブログ執筆でまるで筆が進まず、書いても書いても読めたものじゃなかったり、どうにもただ重大なネタバレをしているだけになってしまったりして、何度も書いたり消したりを繰り返す内に、当初選定していた10話とは1話もかぶらないこの5話が残りました。

ですが、こうして並べてみると成る程たしかに思い入れの強い5話だと気づかされるのです。

このような機会を与えて頂いたぎけんさんに感謝します。

長々と拙文にお付合い頂きありがとうございました。