穏やかな教室を眺めてた ー 『𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖ティーパーティー Special』感想

1/22(日)イイノホールにて行われた『𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖ティーパーティーSpecial』昼の部、参加させていただきました。

 

 

事前に一切内容のわからないイベント。

開演前願っていたのは「ともかくリラックス出来る環境」「𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖に必要以上に負担のないパフォーマンス」で、ミニアルバムの新規初出しもある事を考えると若干難しいかな、リリイベで次のプロジェクトの告知する時みたいに急な新曲お披露目とかやるのかなと予想していたのですが、、、。

 

いきなり予鈴が鳴り、机と椅子が並べられ、そしてスクリーンに映し出される、一発で濱みとわかる『陽萌学園』のロゴ。

「これは、学園パロの時間だ。。。」

そうルームメイトが思ったか思わないかくらいにステージへ飛びだしてくるharの全力の学生演技(『王妃の帰還』~ってなる)で、まさか開巻0.5秒で場内爆笑に包まれるなんて。

「言わずともこの舞台立てならわかるでしょ?」といったファンへの信頼が嬉しく、harの思い切りの良さに比してmoeが早速吹いちゃっていつものgdgdな空気に。

共にインナーカラーの入った二人の制服姿、古典的な学生イメージでもなく、かといって不良やギャルというほど学園から浮いてる感もなく、なんつーか、すっごい良かったです。ギリ、オッサンに消費されない女学生感があるというか。

 

空いた席が一つあるのでそこに誰か(ボス)来るかな~と思いきや、教壇側にケンタ登場! canvas sessionにしか出さないと明言されてたのに! しかもスーツ着てる!

ケンタが仕切ってくれたらもうこっちのもんですよ。

さらにケンタが喋ってるとジャージ姿のニキがカメラマンとして登場して、もうこの時点で完全に安堵してました。

「ともかくリラックス出来る環境」「𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖に必要以上に負担のないパフォーマンス」

これはどうやら叶いそうだぞ、想像より斜め上のセッティングで。

 

「間が開く」ことも「客席に背中を向ける」ことも恐れないルームメイトに対する信頼(何せ昼夜完売してるんですから)と、普段裏方で𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖を支えてくれる面々がとうとうステージの上でもいっしょに「演じて」くれてる祝祭感と。

これが、これが見たかったのです。。。

 

1限目 社会

 

「これだから女性声優さんは隙だらけでお馬鹿でまいっちゃうなぁ」と思いたい声豚の欲求も満たしつつ、まったくわからない問題も出てきたので隙だらけでお馬鹿な上に女性声優ですらない俺はどうしましょうか。

開巻0秒の時点からずっとリラックスして「本当にホームだった」と語るharの、ケンタに向かって「え”え”?」と雑な返事する油断の仕方が嬉しかったし、守りたい、この居場所、って気持ちに駆られておりました。

 

2限目 数学

 

SEおじさん、ジャージ着てても教師じゃなくダメな学生感出てるので、教壇じゃなくて「こっちの席」なのがやたらジワるんですよね。

そして採点結果の奇跡のようなハプニング。伏線回収にしても出来過ぎてて、どうかしてるくらい会場が笑いで揺れたの覚えてます。

 

3限目 体育

 

かなみ先生とかなかおりの登場。これも嬉しかったな。イベント後のティーパーティーでボスが「他のダンサー以外は今日は勢揃いだったね」と言ってくれていたフォローも嬉しかった。

「ホームだ。ここがホームだ(自分じゃなく𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖の)」という多幸感と、ダンスを覚える過程を目の前で見れる興奮とでずっとポカポカしていました。

ずっとリズムキープしてるだけでもう凄いのですが(最終的に崩れたmoe「裏拍だから!」)。

 

4限目 家庭科

 

実は1,2,3と見世物として引き締まってきていたところ、ここでまた一気に弛緩してグダるのも良かったです。ステージの上も下も恐らく裏側も、みんなが弛緩している幸せな時間。

二週間前にオケコン、一週間前にR3BIRTHユニットライブでシャカリキ忙しくしてたmoeのこれ以上頑張ってるとこは正直見たくないよって、どうも本気でそう思っていたらしく、心底納得してる自分がいました。そして同時にこの会場にいるみんなそういう気持ちなんだろうな~と。

とは言え目隠しした途端にサービス精神の塊となる二人の動き、すべてが可愛かったです。

 

5限目 音楽

 

急に学園パロ設定を投げ捨て「音楽担当」という謎ポジションで出てきたニキ解説による、𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖ミニアルバム『Villans:impress』怒濤の曲目紹介。

昨年4月のリリイベ初回に参加出来た時の、ボスによる怒濤の𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖各企画書、アルバム曲目紹介を思い出ししていました。

「やるんだな? ライナー。ここで!」

ニキが嬉しそうに自分の目論見の数々を解説している様を生で見れたのも、こう、「回収したぞ」という充足感です。ReoNaの『ないない』に似た新曲があるという話あったと思うのですが、あれはBrilliant and badなのか他にあるのか。

個人的に『私のヒミツは』が一番好きなので、そのインストがBGMでずっと流れていたの合わせて、ずっと続いていて欲しい時間でした。もう二時間くらいニキのメイキングトークと(言えないことだらけなので)ボンヤリした𝒉𝒂𝒓𝕞𝕠𝕖の話、聴いていられましたよ。

 

そして、イイノホールを真っ暗闇にしてみんなでスクリーンで観た、『Brilliant and bad』のMV。

楽曲もさることながら映像の全てが好み過ぎて、あの幸せな時間にいられただけでありがとうです。

 

 

思えば「推し(便宜上の語彙)のリアルイベントに行ける機会」というのが一年前の自分ならドキドキもので、一挙手一投足脳内メモリーに焼き付けようとした筈なのですが、もはや完全に日常の一部として肩肘張らず眺めている自分に何よりビックリしていました。

 

フォローしてる方々の呟きやレポ、ブログにあたらなければ記憶も曖昧だったかも知れない。

こんな日が来るなんてなーと不思議な気分です。

だって二人の娘がもう大学に進学するって言うんですよ。はるきともえかって言うんですけどね。つい一週間前に、大勢の父兄さん達と授業参観してきたばかりなんですけどね。

時間が流れるのは早いもんですね。

瞬きしている間に、あの子たちも夢だった声優や舞台少女になって、アーティストデビューしているのかも知れないなー、遠い存在になっていくんだろうなーなんて想像して、少し寂しくなっちゃったりして。

だからあの日のことくらいせめて、忘れずにしっかり覚えておきたいもんです。とか言ってすぐ朧気になってしまうのでしょうが。

 

ふぁぁ。。。眠くなってきました。ではそろそろ、おやすみなさい……Zzz……今晩は悪夢を見ませんように。

 

 

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映画の採点 2023.1

 

『映画の採点』シリーズ第21弾です。過去記事はカテゴリー参照にて。

 

全然溜まらないので別枠にしていた配信映画の採点もまとめる事に。

今回からキャスト欄も記してみました、誰が何出てたとかすぐ忘れちゃうし、非ハリウッドスター達の名前を少しでも覚えられたら。

それとGYAO!のサービス停止を受け寂しくなったので、視聴媒体も可能な範囲で記していきます。

 

それにしても、ちょっとB級ジャンル映画に偏り過ぎてて、この数ヶ月間心に余裕がなかったのだなと実感。

特定の期間に自分の見た映画ラインナップを振り返ることで、自分が見えてくる、というのもおつなものです。あなたが映画を観てる時、映画もあなたを観ているのだというやつですね。それとはちょっと違うか。

皆さんも振り返ってみてはいかがでしょう。

 

『デイ・シフト』Netflixオリジナル)

【評価】B

【監督】J・J・ペリー(デビュー作)

【制作国/年】アメリカ/2022年

【概要】妻子に内緒でバンパイア・ハンターをしているバド。吸血鬼の歯を売買することで生計を立てているが、退治した吸血鬼老婆の身内が覇を拡大。その危険は呑気なバドに迫りつつあった。一方、バドを疎んじる上司は弱気な事務員セスをバドの相棒につける。娘を妻に奪われない為、バドはあやういセスと共に高額吸血鬼退治に向かうが……?

【キャスト】バド:ジェイミー・フォックス セス:デイヴ・フランコ ヘザー:ナターシャ・リュー・ボルディッゾ ディラン・ナザリアン:スコット・アドキンス トロイ:ピーター・ストーメア ビッグ・ジョン・エリオット:スヌープ・ドッグ

【感想】

 ネトフリで見てちょうど良いエンタメ、きっちり芯を据えた緩さ。なにげこの塩梅が難しいので嬉しくなってしまう。ド派手な見せ場より、バンパイア・ハンターの同業者コンビの片割れがスコット・アドキンスで、滅茶苦茶良い仕事するけど出番はそこだけとか、吸血鬼退治職の日常感を「バンパイアの歯の値段」で伝えるとか、小技を小技のまま留める余裕が世界を豊かにする。

 楽しげなスヌープ・ドッグのお守りをするジェイミー・フォックスも楽しそうで、それだけで癒やされる。『6アンダーグラウンド』では真っ先に死んじゃったデイヴ・フランコがそのリベンジとばかりはしゃぎ続けるのもネトフリ映画の流れ的に楽しい。

 

『グレイマンNetflixオリジナル)

【評価】C

【監督】ルッソ兄弟キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー

【制作国/年】アメリカ/2022年

【概要】CIAに雇われる暗殺者コート・ジェントリー、通称「シエラ6」はバンコクで暗殺したターゲットが「シエラ4」であると知り、CIAの裏切りに気がつく。CIAは6を始末する為、暗殺計画の指揮に危険人物ロイド・ハンセンを当たらせる。ロイドはシックスの恩人の姪を人質に取り、市街地でド派手な暗殺計画を開始する。

【キャスト】シエラ6(コート・ジェントリー):ライアン・ゴズリング ミランダ:アナ・デ・アルマス ロイド:クリス・エヴァンス ドナルド:ビリー・ボブ・ソーントン クレア:ジュリア・バターズ アヴィク・サン:ダヌーシュ

【感想】

 とにかく全てのハコ書きが類型的、かつ必要な情報を後出しの回想で見せるお粗末な脚本。類型が悪いのではなく、それが有効なのは主演のキャストそのものが個性を供えるアクションスターだった場合な訳で、ライアン・ゴズリングは良い役者だがアクションスターとしてはそうでもなかったのだ。

 どんなに破格のアクションシーンが繰り広げられても、最後まで主人公のキャラが立ち上がらない(映画館で観れば違ったのか)。

 キャプテン・アメリカから解き放たれて悪役に興じるクリス・エヴァンスは楽しそうなのは伝わるも、キャプテン・アメリカの反転として今は『ザ・ボーイズ』のホームランダーが強烈過ぎて、「自分のパロディのパロディ」を得意になって演じてるようでどうにもいたたまれなかった。

 

『恋は光』(レンタル)

【評価】A

【監督】小林啓一(殺さない彼と死なない彼女)

【制作国/年】日本/2022年

【概要】大学生の西條は、恋をする人の周囲に浮かぶ不思議な「光」が見える特異体質の持ち主。彼を「センセ」と呼び親しむ幼なじみの北代と「あの光の正体」を思索していたが、ある日生真面目な女子大生・東雲と出会い、そして彼女が西条に恋の光を見せる。二人の仲が急接近する中、北代には疑問があった。どうして本当はセンセに恋している私が、光らないんだろう……。

【キャスト】西条(センセ):神尾楓珠 北代:西野七瀬 東雲平祐奈 宿木:馬場ふみか

【感想】

 全7巻に渡ってほぼほぼ会話で思索しているだけの大好きな原作をこれ以上ないくらい完璧に実写映画化していただいて大変満足です。ショットとしての強度がどうこうより、ルックが絶えず成立している事のほうが大きい。

 主演陣も東雲以外は原作に寄せることより、そのキャラの印象を立体的に再構築。だから下手な物まね合戦よりも「その人」をそこに見ることが出来る。

 原作をカッティングし、アレンジし、(個人的に)理想のアンサーさえ魅せてくれるが、同時に「原作のこの瞬間のキャラの表情は捉えるべし」というタイミングは的確に選び抜き、それ以外を大胆に省略している。

 宿木嬢があまりに脇に追いやられているが、それも含めて宿木嬢の不憫さなのでキャラの魅力は消えない。

 ネタバレは伏せますが、「良かったねえ~~~~~」と、長年のモヤモヤが一つ浄化されました。

 原作と映画、どっちから入っても良いとは思いますが、相互補完関係にあるので出来れば両方に触れてほしいです。

 

モービウス』(アマプラ)

【評価】

【監督】ダニエル・エスピノーサ(ライフ)

【制作国/年】アメリカ/2022年

【概要】幼き頃、不治の病に冒されていたマイケル・モービウスは同じ境遇にある友人マイロと医療施設で親交を深めていた。だがマイケルの天才的な頭脳に気づいたニコラス医師は彼の進学をサポート。やがて成人したマイケルはコウモリの吸血器官を用いた血清を生成するが、それは人を超人に変えてしまう。

【キャスト】マイケル・モーヴィウス:ジャレッド・レト ルシアン/マイロ:マット・スミス マルティーヌ:アドリア・アルホナ ニコラス医師:ジャレッド・ハリス ストラウド捜査官:タイリース・ギブソン ロドリゲス捜査官:アル・マドリガル エイドリアン・ドゥームス/バルチャー:マイケル・キートン 

【感想】

 凡庸を絵に描いたようなフィルモグラフィを持つ監督による、恐ろしく突出したところのない、典型的なハリウッドシステムによる撮影・編集のプロセスだと思うが、それ故にただ「生まれながらに恵まれなかった者たち」の悲哀に満ちたブロマンスを滞りなく流していくことが、その普遍をありふれた映画の内容としてこの世界に刻むことが、どこか心地良く闇に浸透していく。

 吹替えで見ると中村・杉田コンビなのだがこれがネタじゃなくピッタリで、ここ数年の抑制された時の杉田ボイスがとても良い成長を遂げていて吃驚する。

 きっと本国で手軽な値段で薄いアメコミを一冊買って暇つぶしに読んでみた時の読後感はこんな感じなんじゃないかと思った。「このくらいの映画」が非常に好きで、けれど「このくらいの映画」を面白がらせるのは意外と難しいのだ。

 

リザとキツネと恋する死者たち』(アマプラ)

【評価】

【監督】ウッイ・メーサーロシュ・カロイ

【制作国/年】ハンガリー/2015年

【概要】1970年ブダペスト。日本大使の未亡人に使える使用人リザは、日本の恋愛小説に夢見る恋を知らない孤独な30才。既に亡き日本人シンガー・トミー谷(notトニー谷、orトニー滝谷)の幻影を見ることが出来て、彼と踊ることが唯一の安らぎだった。ところが未亡人が亡くなり、いよいよ天涯孤独となったリザが不器用ながら男性との出会いを模索すると、トミー谷の幻影はリザの出会う男たちを次々と事故死させていく。警察はリザを殺人犯と疑いだし……?

【キャスト】リザ:モーニカ・ヴァルシャイ トミー谷:デヴィッド・サクライ ゾルタン:サボルチ・ベデ・ファゼカシュ

【感想】

 何の何??? ってなる謎映画なのだけど、プロダクション・デザインと何よりトミー谷の和風GS歌謡が普通にめっちゃ良い&リザの日本語発声がちゃんと聞き取れるそれなので(なんでハリウッド映画の日本語だけあんな聞き取れないんだろう)、かなり序盤で心掴まれた。

 そして中盤、この謎の日本人シンガーの亡霊に抗える存在として「フィンランド歌謡オタク」が登場することで「そうかカウリスマキへのオマージュか。あの人もやたら日本文化出してくるしな」とようやく腑に落ちてくる。でも腑に落ちるまでの「何の何???」状態も楽しかった。

 つまりハンガリー映画で観る日本VSフィンランドなのだ。何の何???

 独特な映画に、こちらから能動的に波長を合わせてついていく事。それもまた映画のくれる豊かな時間。

 

死霊の罠

【評価】B

【監督】池田敏春(人魚伝説)

【制作国/年】日本/1988年

【概要】TV局リポーター「名美」の元に送られてきたビデオテープ。それは名美そっくりの女性が惨殺される生々しいスナッフフィルムだった。その撮影地で取材をしようと、女性ばかりのクルーで旧米軍基地跡に向かう名美。誰かを探している謎の男から危険勧告を受けるが、一行は無視して廃墟に忍び込んでいく。

 そこでは恐るべき死霊の罠が待ち構えていた……。

【キャスト】土屋名美:小野みゆき 大輔:本間優二 雅子:桂木文 麗:小林ひとみ 理江:中川えり子 近藤:阿部雅彦 男:清水宏 ヒデキの母の声:二木てるみ 原田:島田紳助

【感想】

 和製スプラッターホラーの代表作として上がる一本。

 ノリはジャーロなんだけど実際の米軍基地跡というロケ地の成せる業か田村正毅の撮影の色か、B級アメリカ映画の空気感でもある。

 前半は「罠」が楽しく、スプラッターと言えばスプラッターだがインディ・ジョーンズと言えばインディ・ジョーンズだ。

 後半は廃墟の退廃美に浸り過ぎて冗長なのだが、最終的に現れる「ある存在」の情念の異常さ(「名美」からわかる通り、石井隆脚本)が突き抜けて独自の世界を昇華するあたり、大好きなアルジェント作品『フェノミナ』を思い出す。

 ただエログロ表裏一体のリビドーはわかるが、前半のエロ要素がすごくノイズに感じてしまった。全体的に人工的な絵面なのに、無から生えてきたオッサンの性欲だけ唐突で生っぽいので引く。

 『スウィートホーム』『死霊の罠』『地獄の警備員』こうした、ちょっとゲームっぽいフィールドを生かした和製スプラッターホラー、改めて金かけたの観たいですね。

お前さんは友達を殺されて怒ってるんだろうが、俺たちには初めから友達なんていなかった!

ここは『悪魔のいけにえ』の「お前達みたいなのが私の息子をイジメるんだ!」を思い出しました。

 

バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』(アマプラ)

【評価】B

【監督】ヨハネス・ロバーツ海底47m

【制作国/年】アメリカ・ドイツ・フランス・イギリス/2021年

【概要】人気ゲーム映画化リブート作品。1998年、製薬会社アンブレラが撤退したことで寂れつつあるアメリカの田舎町ラクーンシティへと、共に孤児院で育った兄クリスを訪ねてやってきたクレア。彼女が怪しんでここへ訪れた推測通り、アンブレラ社の目論見は作動済みであった。町はゾンビ化した住人で覆われ、明朝6時にはすべて吹き飛ばされてしまう……。

【キャスト】クレア・レッドフィールド:カヤ・スコデラリオ クリス・レッドフィールド:ロビー・アメル ジル・バレンタインハナ・ジョン=カーメン レオン・S・ケネディ:アヴァン・ジョーギア アルバート・ウェスカー:トム・ホッパー アイアンズ署長:ドナル・ローグ リサ・トレヴァー:マリナ・マゼーパ エイダ・ウォン:リリー・ガオ

【感想】

 原作ファンの総スカンを食っていた印象がある作品。もちろん存在は知っているがゲーム自体は未プレイの側からしても、洋館のイメージの強いバイオで洋館サイドと警察署サイド、視点を分散してしまったのは惜しい。リミットを設けることでシティ全体を閉鎖空間としたのだが、それにしたってポール版(今回製作に入ってる)の『2』の方が巧かった。『要塞警察』憧れはわかりますが。

 じゃあ面白くないかと言えば、これが非常に好みでした。

 まず和製ゲームの美形白人コンプレックスに中指立てるキャスティングが醸すB級味。肯定派がみんな名前挙げてて笑うカーペンターっぽいレトロなホラー感。でも意外とシークエンス毎に演出はしっかり独自の狙いを持って、「原作」という「映画の外部」に拠らない映画内部独自の異常をキープしている。

 原作要素なのだろう伏線の数々を出し入れし過ぎて展開はもたつくのだが、もたつき方もちょうどカーペンターぽいと言えばズルいだろうか。

 続編に繋げるつもりと思われる謎の仮面女もまったく素性がわからないまま非常に都合良く主人公のピンチを救ってくれるんだけど、「まったく素性のわからない謎の仮面女が非常に都合良く主人公のピンチを救ってくれること」が「映画のグルーヴに組み込まれている」ので、余った部品には見えない良さがあるのだ。

 むしろ他のフィクションももっと「なんだかわかんないのがいきなり出てきて助けてくれる」とかやっていい。

 まだゲーム界には残ってると信じたいジャパニーズ・マネーで続編作らせてあげてほしいなー。

 トラック運転手が署内に入ってくる瞬間の演出で、だいぶこの監督には信頼を寄せました。

 

ムーン・フォール』(アマプラ・オリジナル)

【評価】B

【監督】ローランド・エメリッヒスターゲイト

【制作国/年】アメリカ/2022年

【概要】地球外任務中に新人の同僚を死なせてしまった宇宙飛行士ハーパー。「何かに襲われた」とする証言は認められず、それから10年、失意の日々を過ごしていた。そんなハーパーにハウスマン博士と名乗るオタクが「月は巨大な建造物だ」と吹聴してくる。同じ頃、ハーパーの元同僚にしてNASAの副長官ジョーは、「月の軌道が逸れた」ことに気が付く……。

【キャスト】ジョー・ファウラー:ハル・ベリー ブライアン・ハーパー:パトリック・ウィルソン K・C・ハウスマン:ジョン・ブラッドリー ブレンダ・ロペス:カロリーナ・バルトチャック トム・ロペス:マイケル・ペーニャ ソニー・ハーパー:チャーリー・プラマー ミシェル:ケリー・ユー ホールデンフィールド:キーファー・サザーランド ダグ・デイヴィッドソン:エミ・イクワーカー

【感想】

 超巨大UFO、大津波、恐竜、地球滅亡、あらゆるスペクタクルを撮影してきたエメリッヒ気づいたね、「まだ月を地球に落としてない」と。

 かつて得意な筈だった(少なくともエメリッヒはそう思い込んでいた)スペクタクル群像劇を『インディペンデンス・デイ/リサ―ジェンズ』で盛大に失敗した反省か、今回はメインキャラ3人を合流させ出発させるまでのラインがシンプルで、その背景で大きな月が近づいてくるまでも溜めもなく早い。早過ぎて下手。

 実際には『ドント・ルック・アップ』の方がお似合いの世相の中で、脳天気に世界の終わりとヒーローの活躍を描こうという時代錯誤感に癒やされてしまった。現実逃避と言えばこの上ない現実逃避かも知れない。

 白眉はゲースロのサムことジョン・ブラッドリーが演じるハウスマンで、イーロン・マスクを信望してる陰謀論者というかなり呆れたキャラなのだが、虐げられ、夢に破れ、痴呆の母親の面倒をみる独身ピザ屋店員の太ったオタクの妄想が、実は正しかった! お前が世界を救うのだ! と鼓舞する流れ、ここに「今、作るべき脳天気なヒーロー映画」の価値があるのかも知れない。危ういけど、映画が持てる夢だろう。

 終始嬉しそうなハウスマン博士が、旧エメリッヒ作品への懐古と重なってホロリときてしまった。普通なら絶対軽口叩いてるタイミングじゃないのにマイケル・ペーニャがポロッと小ネタ挟むノリ、あれがノーランやヴィルヌーヴに欠けた役者のリズムなんだよな。エメリッヒはやはりウィル・スミスと最タッグ組むべき。

 

アナと世界の終わり』(ポニーキャニオン映画部チャンネル)

【評価】B

【監督】ジョン・マクフェール

【制作国/年】イギリス・アメリカ/2017年

【概要】アナは閉塞的な田舎町から抜け出す為、密かに大学進学をキャンセルして世界を放浪する資金を貯めていた。だがその事実が高校の用務員として働く父にバレてしまい……。アナ同様、それぞれの屈折を抱える若者たちの高校生活が、ゾンビの氾濫によるアポカリプスに覆われ崩壊していく様を、楽しいミュージカルで綴るジャンルレスな映画。

【キャスト】アナ・シェパード:エラ・ハント ジョン:マルコム・カミング ステフ:サラ・スワイヤー クリス:クリストファー・ルヴォー ニック:ペン・ウィギンズ リサ:マーリ・シウ トニー・シェパード:マーク・ベントン アーサー・サヴェージ:ポール・ケイ

【感想】

 こんな退屈な町でジッとしていられない。私は本当は世界へ飛びだしていけるんだ!

 そう信じていたのに、世界は勝手に終わり、私はここから逃げ出せない。

 そんなコロナ禍のような閉塞感が、ミュージカルシーン以外の演出の弱さ(撮影と連動した芝居つけられないんじゃないかな)からくるまったりしたテンポと奇妙に噛み合い、たしかにゾンビ映画ならではの社会批評と退廃の空気をちゃんと纏っている。

 ミュージカルに浸る瞬間が楽しければ楽しいほど、現実は虚しく絶望的だ。

 楽曲が名曲揃いでサントラ欲しい。もっとハッピーな内容かと思ってたけれど、これは紛れもなくイギリス映画なのだ。

 

赤い珊瑚礁 オープン・ウォーター』(ポニーキャニオン映画部チャンネル)

【評価】B

【監督】アンドリュー・トラウキ(ブラック・ウォーター)

【制作国/年】オーストラリア/2010年

【概要】実話を基にしたサメパニック映画。グレートバリアリーフの小島へバカンスに出た5人の男女。だがモーターボートが突如座礁して転覆。「地元民だからわかる。この海へ出る気にはなれない」と怯えるマットを残し、4人は陸地へ目指して茫洋とした海を泳ぎ始める。しかし、サメの背びれが遠くに見えて……。

【キャスト】ルーク:ダミアン・ウォルシュ=ハウリング ケイト:ゾーイ・ネイラー マット:ガイトン・グラントリー スージー:エイドリアン・ピカリング ウォレン:キーラン・ダーシ―=スミス

【感想】

 ネタじゃなくガチのサメ映画。

 実際に海に投げ出されたような心許なさ、、、だけでほとんどの尺を使うので、映画館で観る分には臨場感たっぷりだと思うけど家で観るにはちょっと退屈。そのストロング・スタイルをやりきった演出の手腕は確かで、実話故の救いようのない突き放し感に怯える(あの人が「行方不明」なのイヤ過ぎる)。

 この監督は同じくガチ路線のワニ映画やヒョウ映画も撮っているらしく、自然界目線で人間共をこらしめたいのかも知れない(本作、どこか「サメの縄張りに人間が勝手に入ってきてる感」があったのが面白かった)。

 

ナイヴズ・アウト:グラス・オニオン』(Netflixオリジナル)

【評価】A

【監督】ライアン・ジョンソン(BRICK)

【制作国/年】アメリカ/2022年

【概要】シリーズ第二弾。名探偵ブノワ・ブランは退屈していた。現代に生きる名探偵にその出番はあまり少なく、加えてコロナ禍の到来。リモートでAmong Usに興じてみるが、こういうのはブランあまり強くない。その頃、巷のインフルエンサー達にとある招待状が届いていた。一同が巨大な「グラス・オニオン」=最新鋭の仕掛けを持つ孤島に集まった時、殺人事件が……。

【キャスト】

 グラス・オニオン・サイド

 ブノワ・ブラン:ダニエル・クレイグ マイルズ・ブロン:エドワート・ノートン カサンドラジャネール・モネイ クレア:キャスリーン・ハーン ライオネル:レスリー・オドム・Jr バーディー:ケイト・ハドソン ペグ:ジェシカ・ヘンウィッグ デューク:デイヴ・バウディスタ ウィスキー:マデリン・クライン デロル:ノア・セガン 

 カメオ出演サイド

 有能な部下:イーサン・ホーク マイルズの時計:ジョゼフ・ゴードン=レヴィット フィリップ=ヒュー・グラント 【スティーブン・ソンドハイム、アンジェラ・ランズベリーナターシャ・リオン、カリーム・アドゥブル=ジャバー、ヨーヨー・マセリーナ・ウィリアムズ】=オール本人

【感想】

 豪華スターを集めたリゾート物、孤島のフーダニット、空疎なセレブ達に集約される価値観の行き詰まりへの風刺、そして、少しダラけた空気含めて往年のグランドホテル式ミステリなのかなと思いきや、その時間にすでに仕掛けも謎解きもほぼ終わっているという、ちゃんとミステリ(本作の場合は「これはどういう話だったのか」といったタイプのミステリ)としての乾いた味わいを持つ正統派スタイル。

 でも野暮ったい最後に、微かな時代への抵抗が泥臭く滲む。

 ライアン・ジョンソンがこんな脚本を二度も書ける人だったなんて知ってたけど忘れてました。願わくば三作目、四作目と作られますように。

 名探偵を退屈から救えますように。

 

グッド・タイム』(Netflix

【評価】B

【監督】サフディ兄弟(アンカット・ダイヤモンド)

【制作国/年】アメリカ/2017年

【概要】コニーは知的障害を持つ弟ニックを連れ出して銀行強盗を行う。いったんは成功したかに見えたが、トラブルでニックが病院に収容される事に。強盗時に付着したカラースプレーで目立ったまま、ニックを取り戻す為にコニーは奔走するが、、、予測さえつかない夜の狂躁が始まる。

【キャスト】コニー:ロバート・パティンソン ニック:ベニー・サフディ レイ:バディ・デュレス クリスタル:タリア・ウェブスター エルマン:ジェニファー・ジェイソン・リー カリーフ:ネクロ 遊園地警備員ダッシュバーカッド・アブディ 精神科医:ピーター・ヴァービー

【感想】

 『アンカット・ダイヤモンド』同様、映画が始まった時にはもう主人公は走り出していて、理屈でも倫理でも、もはやそれは止められない。スコセッシの一夜の物語モノの系譜とも言えるが、映画そのものがずっとひとつながりの流れにあるような独特のグルーヴ感で明らかに頭ひとつ抜けた兄弟なのは間違いなく。

 このエンドロールを観て「収まるべきところに収まったね」と安堵してしまうような連中には一生わからないだろう焦燥と憤りが胸に迫り、観ていてしんどかった。なにげに空撮の俯瞰ショットにまで「焦燥感」を伝播させている器用な手管の数々が、独自の進化過ぎて謎。

 本作には明確にして切実な怒りやメッセージ性も込められているからこそ、ただただ生き急ぐクズの鼓動だけが刻印された『アンカット・ダイヤモンド』、あの映画はいったい何だったのかという混乱がいや増してジワジワくる。

 

ゴーストバスターズ/アフターライフ』(アマプラ)

【評価】

【監督】ジェイソン・ライトマンマイレージ、マイライフ

【制作国/年】アメリカ/2021年

【概要】借金で居場所がなくなったトレヴァーとフィービー兄妹は母キャリーに連れられ、亡き祖父イゴン・スペンクラー博士の残した荒れた農地に引っ越してくる。トレヴァーは早速恋の相手を見つけて背伸びに躍起だが、理知的なフィービーは少しずつ、この地には何かが潜んでいる事、そして祖父こそは伝説のゴーストバスターズであると気づいていく。

【キャスト】

 新世代

 フィービー・マッケナ・グレイス トレヴァー・フィン・ウルフハード キャリー:キャリー・クーン グルーバーソン先生:ポール・ラッド ポッドキャスト:ローガン・キム ラッキー:セレステ・オコナー

 旧世代

 イゴン・スペンクラー:ハロルド・ライミス(故人・CG)/アイヴァン・ライトマン、ボブ・ガントン(演) ピーター・ヴェンクマン:ビル・マーレイ レイモンド・スタンッ:ダン・エイクロイド ウィンストン・ゼドモア:アーニー・ハドソン ジャニーン・メルニッツ:アニー・ポッツ ディナ・バレット:シガニー・ウィーバー

 その他

 イヴォ・シャンドア:J・K・シモンズ

【感想】

 オクラホマの田舎のだだっ広い草地に風が吹き抜け、陽光緩やかに移ろう中を少年少女が駆け巡り、在りし日の幻影を追いかける。いわば「岩井俊二が『学校の怪談』を撮る」ようなもの。もし本当にそんな映画が成立したら最高だったね。でもそうはならなかった。ならなかったんだよロック。ジェイソンは、お父さんの撮るようなエンタメ映画には背を向けてきたから……。

 撮影や雰囲気の良さがまったくエンタメ性に寄与しなかった例。

 やはり『エターナルズ』のアートとエンタメの奇妙な混ざり具合は奇跡だったなと不意に思い知らされる。

 ただ本作、もしかするとギリ撮影がコロナの影響でドタバタした可能性もあり、だとするとどこか「彼岸の空気」を纏った作品として印象には残るかも知れない。

 

スノー・ロワイヤル』(GYAO!

【評価】A

【監督】ハンス・ペテル・モランド(特捜部Q Pからのメッセージ)

【制作国/年】アメリカ/2019年

【概要】ロッキー山脈にて除雪車を走らせン十年。すっかり老いが刻まれだしたリーアム・ニーソンだったが、今回は娘が誘拐されるかわりに息子が殺されてしまう。そんなことされて黙ってられないリーアム・ニーソン、いつも通り一人また一人と復讐を遂げていくが、勘違いが勘違いを呼び不要な死体も次々と増え……?

【キャスト】ネルズ:リーアム・ニーソン バイキング:トム・ベイトマン グレース:ローラ・ダーン ウィングマンウィリアム・フォーサイス マスタング:ドメニク・ランバルドッツィ キム:エミー・ロッサム ホワイトブル:トム・ジャクソン

【感想】

 同じようなB級アクション映画に出続けることで「ジャンル映画ってこんなに様々なバリエーションがあるんだよ」と教えてくれるリーアム・ニーソン

 今度は……これなんだ? モブの一人一人にいたるまで名前と人生があるような、ポスト・タランティーノのシニカルな死の積み重ねが、やがて先住民の血脈を浮き上がらせる。

 映画史上喪失した父子の絆をこんな形で復活させた(お前が子になるんだよ!)ラストがあるだろうか。淡々とキャラが死に続ける映画なのに、ずっとそれを観ていたくなる。

 ノルウェースウェーデンデンマークのブラックコメディ『ファインディング・ダディ 怒りの除雪車という作品を監督まま連れて来たリメイクとの事で、北欧ジャンル映画の系譜で捉えた方がしっくりくるのかも知れない。

 

アイス・ロード』(アマプラ)

【評価】A

【監督】ジョナサン・ヘンズリーパニッシャー

【制作国/年】アメリカ/2021年

【概要】トラックドライバーのマイクは、イラク戦争PTSD失語症になった弟ガーティを連れ立っている為、ガーティが問題を起こすたび仕事を転々とせざるを得なかった。そんな中に舞い込んだのは、カナダのマニトバ州にある鉱山事故で閉じ込められた作業員達を救出する為、坑口装置(ウェルヘッド)を運ぶ仕事。

 人命のリミットは30時間。唯一のルートは、氷結したウィニペグ湖の上を30トンのトラック・ケンワースで走る危険な「アイス・ロード(氷路)」のみ……。

【キャスト】マイク:リーアム・ニーソン ガーティ:マーカス・トーマス タントゥ:アンバー・ミッドサンダー バルネイ:ベンジャミン・ウォーカー ジム:ローレンス・フィッシュバーン レネ:ホルト・マッキャラニー

【感想】

 同じようなB級アクション映画に出続けることで「ジャンル映画ってこんなに様々なバリエーションがあるんだよ」と教えてくれるリーアム・ニーソン

 今度は「氷上の『恐怖の報酬』だ」という事のようですが『恐怖の報酬』は新旧共に見たことなし。そもそもそんなクラシカルな大作にはなっていない事くらいは判る。

 それでも良かった……。無駄なく提示される危機、心理的な焦燥、そして全くこれ見よがしでないキャラ性。出発する前にジムと挨拶する職員や、事故前には少しうるさい上司っぽかった閉じ込められてしまう人(あれホルト・マッキャラニーだったの?)とか、ちゃんと「プロで、たぶん善い人なんだろうな」と判る。

 宮崎駿が『風の帰る場所』の中で、ブルース・スプリングスティーンの『ジャージー・ガール』には「俺の事を判ってくれてる!」と感動している聴衆がいる、と語っているんですけど、本作もED(歌詞字幕にしてくれてありがとう)で判る通り、労働者たちへの野暮ったい賛歌になっていて、その役割は十全にこなし、きっとピンポイントで届けたい観客が見えているんだろうと。

 本国では配信のみだったらしく、日本で劇場公開した際に観に行かなかった事を素直に後悔しています。

 

マンイーター』(ポニーキャニオン映画部チャンネル)

【評価】A

【監督】グレッグ・マクリーン

【制作国/年】オーストラリア・アメリカ/2007年

【概要】アメリカの旅行記者ピートは、オーストラリア北部カカドゥ国立公園のクルーズのレポートを任され、ふて腐れていた。ハエがたかる酷暑の田舎で、ケイトのガイドするクルーズに揺られていると、一行は救援信号を発見。ルートを変えると、そこには転覆したボートが。そしてここは、巨大な人喰いワニの縄張りだった……。

【キャスト】ケイト:ラダ・ミッチェル ピート:マイケル・ヴァルタン ニール:サム・ワーシントン シェリー:ミア・ワシコウスカ

【感想】

 オーストラリアが作るとモンスターパニックもリアルガチになる。何故なら本当にそこで奴らと暮らしているから、といったリアリティがサメに続いてワニでもハンパない。クルーズに乗船してワニに襲われる面々が、本当に「観光ツアーで居合わせてそうな老若男女」であること、ワニのアタックが一瞬である事で、実はそこまでワニの見せ場は多くない/舞台も限定されている安いスタイルにも関わらず、スリル満点で不思議と高級感さえ漂う。ワニの恐怖に嘘がないから。

 ラダ・ミッチェルサム・ワーシントン、そして少女時代のミア・ワシコウスカと豪華キャストもお得。

 最初に汚いダイナーに貼られていた少年が喰い殺されたリアルな写真(あれマジ?)が、最後にある写真に変わっている。ストイックな本編だが、たったそれだけの事で映画は矜持をそこに見出す。品があって良いです。

 

『スティルウォーター』(アマプラ)

【評価】

【監督】トム・マッカーシー(スポットライト 世紀のスクープ)

【制作国/年】アメリカ/2021年

【概要】オクラホマ州スティルウォーター。トルネードで壊滅した町で黙々と解体業に勤しむブルーカラーの労働者、ビルには娘がいた。かつて傷つけてしまった娘アリソン。彼女はフランスに飛び出し、そして今では殺人罪で服役中。疎遠だった父に助けを求めたアリソンの元へ駆けつけ、なんとか力になろうとするビルだったが……?

【キャスト】ビル:マット・デイモン アリソン:アビゲイル・ブレスリン ヴィルジニー:カミーユ・コッタン マヤ:リルー・シュボー シャロン:ディアナ・ダナガン アキーム:イディル・アズーリ ルパルク弁護士:アンヌ・ル・二 ディローザ:ムーサ・マースクリ パトリック:ウィリアム・ナディラム

【感想】

 アトロクの年末ベストで伊賀大介にプレゼンされた宇多丸さん同様、「え、トム・マッカーシーだしこれ水道会社を告発する社会派映画とかじゃないの!?」と驚いて鑑賞。全然違った……スティルウォーター地名だったし舞台ですらない……(舞台はマルセイユ)。

 アメリカ映画で日本人カメラマン高柳雅暢が捉えるフランスのマルセイユはどこまでも異国情緒がはぎ取られ、乾いた「ここ」として終始映されている。「トランプに投票した?」と怪しまれ「投票行ってない」と更に最悪の返答をする不器用な男が知る「外の世界」は、「あなたの国より人生がちょっと複雑に出来てるの」と『紅の豚』のジーナが諭すようにありのままに複雑性、いやいっそシンプルな、因果さえあやふやな世界だった。

 スノッブ達にブルーカラーへの「ナメ」が発生しうる少し危うい粗筋なのだけど、描写の一つ一つが具体であって映画として嘘がないので、良い悪いすら言えない。そしてビルが遅れてやってきた淡い青春時代の中でこの世の「良い悪いすら言えない」を覚えていく物語。

 窓から吹き込む風。スティルウォーターでマルセイユで繰り返す解体業。不器用だが突発的暴力は得意な中年男。

 この、、、この黒沢清。キヨシがフランスを撮れば『ダゲレオタイプの女』になった訳ですが、こういう映画もありえたのかも知れない。

 

『ホワイト・ノイズ』Netflixオリジナル)

【評価】A

【監督】ノア・バームバック(マーゴット・ウェディング)

【制作国/年】アメリカ/2022年

【概要】ヒトラーが専門の大学教授ジャックは、教授仲間たち、妻バベット、そして賑やかな子供たちとノア・バームバック映画もしくはグレタ・ガーヴィグ映画らしい日常のあれこれをまくし立ててお喋りを続ける。だがそのいつも通りパラノイア気味な日常と並行して、化学物質事故が起こす不穏な現象が近づいてきており……?

【キャスト】ジャック:アダム・ドライバー バベット:グレタ・ガーヴィグ マレー:ドン・チードル デニース:ラフィー・キャシディー ラッシャー:アンドレ3000   

 モーテルの男:ラース・アイディンガー

【感想】

 第一章は日常、第二章で大パニック!、そして第三章で……? まず見たことない構成の映画になっていて、いつも似たような映画撮ってきた監督が「いつものノリのままド派手に脱線する」という、映画ファンへのご褒美のようなサプライズが待っている。

 例えばスピルバーグ宇宙戦争』オマージュが露骨に出てくるんですけど、あの作品をオマージュするにあたって窓ガラスガシャーンでもサンドウィッチパーン!でもなく、「派手なパニックシーンをそのままもってくる」っていう、他にエメリッヒかマイケル・ベイくらいしかやらないよ! って事をあのバームバックがやってる面白さ。

 他にもここにはデヴィッド・リンチがいてコーエン兄弟がいてシャマランもいる。

 ついでにエンドロールではゴダール『万事快調』が。

 訳わからない映画に見えて、何が言いたいかと言えば最後に全部言葉にしてくれるので良すぎるのですが、そこまでの経過にある「あたかも映画のような混乱に世界規模で襲われ続けている私たちの日々」は、まさに今地球上にいる私たちみんなが体験している事だから、それはどこまでも広く拓けたエールにもなっている。

 絶対コロナ禍での実感をバームバックなりに仕立てたオリジナルだろうと思いきや、80年代のドン・デリーロの小説が原作と出て「ああ~」という納得感も。

 

感染家族』(Netflix

【評価】B

【監督】イ・ミンジェ

【制作国/年】韓国/2018年

【概要】田舎の寂れたガソリンスタンドを経営するマンドク一家。うんざりする日々に娘ヘゴルがふて腐れていると、明らかにゾンビとしか思えない青年がふらふらと現れ、そして兄が思いっきり轢いてしまう。しかし彼は死ななかった、やはりゾンビだ! チョンビと名付けた彼にマンドクが噛まれ、父がゾンビ化する前にと嬉々としてクズ息子のミンゴルが殺そうとするが、マンドクは見る見る健康体になっていく。そうして訪れたチャンスを武器に、チョンビを使った若返り商売を加熱させていく一家だったが……。

【キャスト】長男ジュンゴル:チョン・ジェヨン 次男ミンゴル:キム・ナムギル 末娘ヘゴル:イ・スギョン チョンビ:チョン・ガラム 父マンドク:パク・イナン ジュンゴルの妻ナムジュ:オム・ジヨン

【感想】

 「おもろうてやがて哀しき」が定番なゾンビ映画の流れに楽天性で抗い続けた『ゾンビランド』シリーズが好きなのですが、本作も圧倒的行き詰まりクソ田舎に暮らす、人間性も比較的終わっている一家が、その俗物根性によって諦めず我欲を貫いていく様が愉しい。

 全体的に矢口史靖っぽいコメディ演出が良し悪しながら、

 ジュンゴルの「俺がいつか親父をハワイ旅行に連れてってやるって言ってるのに自分で勝手に行くのかよ……」という、親思いなのか身勝手なのかよくわからない感情が台詞じゃなく顔色一つで伝わってくる塩梅は良いなぁとなるし(どれだけ出演作を見てきたかわからないチョン・ジェヨン、イイ加減名前覚えたい)、その塩梅をもってしても終始クズでしかないミンゴルを活き活き描ける手腕も良い。

 ゾンビ化したイケメンとのロマンスは完全に夢小説の域でご愛敬。

 

ワザリング・ハイツ ~嵐が丘』(GYAO!

【評価】A

【監督】アンドレア・アーノルド(フィッシュ・タンク)

【制作国/年】イギリス/2011年

【概要】19世紀、イギリスのヨークシャー地方。信心深いアーンショウは黒人の孤児ヒースクリフを養子同然に家に迎え入れ、気性の荒いヒースクリフはアーンショウの子供たちと反発し合う。やがてアーンショウの娘キャサリンと惹かれ合い、二人は掛け替えのないイノセントを共有する。しかし年月は二人を引き離し……。

【キャスト】ヒースクリフ(成人):ジェームズ・ハウソン キャサリン(成人):カヤ・スコデラリオ ヒースクリフ(少年):ソロモン・グレイヴ キャサリン(少女):シャノン・ベア アーンショウ:ポール・ヒルトン ヒンドリー:リー・ショウ イザベラ:ニコラ・バーレー

【感想】

 キャスト記録し始めて良かった、まさか間に10年置いた同じ女優さんを『バイオハザード』と『嵐が丘』で連続して目にしていたとは。

 本当に嵐が丘としか言いようのないヨークシャーの荒野で、カメラ一本そこに息づく人たちを記録しましたと言ったストイックさで紡ぐメロドラマは、古典の主人公の人種を変えたなんて事でとやかく言わせない、そこにそうとしかありようのなかった人間たちの衝動と打算と悔恨を捉えて話さない。

 荒れ狂う風の音、草いきれや泥の匂い、肌に沁み入る雨と冷気。

 繊細さを図太さにはき違えた御大テレンス・マリックを遙かに洗練させるとクロエ・ジャオになり、クロエ・ジャオをより先鋭化させるとアンドレア・アーノルドになる。

 イライザ・ヒットマン同様、メイン・ストリームではないところで鋭敏な感性をそのままフィルムに刻印する女性監督が実は無数に溢れているのだなと今さら気づき、見えていなかった「映画界」が少しずつ自分の視界に入ってきたところ。

 

 ちょっとずつ映画鑑賞ペース戻していきますね。

1997の空から降りそそぐ ー 『チェンソーマン』感想

 

スタッフ

【監督】中山竜

【原作】藤本タツキ

【脚本】瀬古浩司

【キャラクターデザイン】杉山和隆

【アクションディレクター】吉原達矢

【チーフ演出】中園真澄

【悪魔デザイン】押山清高

美術監督】竹田悠介

色彩設計】中野尚美

【撮影監督】宮原洋平

【音楽】牛尾憲輔

【制作】MAPPA

 

キャスト

【デンジ】戸谷菊之介

【マキマ】楠木ともり

【早川アキ】坂田将吾

【パワー】ファイルーズあい

 

【岸辺】津田健次郎

【姫野】伊瀬茉莉也

【コベニ】高橋花

【ポチタ】井澤詩織

【荒井ヒロカズ】八代拓

【黒瀬ユウタロウ】河西健吾

【天童ミチコ】上田瞳

 

【コウモリの悪魔】松田健一郎 【ヒルの悪魔】橘U子

【狐の悪魔】甲斐田裕子 【呪いの悪魔】上田ゆう子

【未来の悪魔】裕樹 【幽霊の悪魔】きそひろこ

【サメの魔人】花江夏樹 【天使の悪魔】内田真礼

【暴力の魔人】内田夕夜 【蜘蛛の悪魔】後藤沙緒里

 

【沢渡アカネ】大地葉

【サムライソード】濱野大輝

 

OP 米津玄師『KICK BACK』

ED Vaundy『CHAIN SAW BLOOD』

  ずっと真夜中でいいのに。『残機』

  マキシマム・ザ・ホルモン『刃渡り2億センチ』

  TOOBOE『錠剤』

  syudou『インザバックルーム』

  Kanaria『大脳的なランデブー』

  ano『ちゅ、多様性。』

  TK from 凜として時雨『first death』

  Aimer『Deep down』

  PEEPLE 1『DOGLAND』

  女王蜂『バイオレンス』

  Eve『ファイトソング』

 

2022.10 - 12月 O.A.

 

【あらすじ】

 『チェンソーの悪魔』ポチタと共にデビルハンターとして暮らす少年デンジ。

 親が遺した借金返済のため、貧乏な生活を送る中、

 裏切りに遭い殺されてしまう。

 薄れる意識の中、デンジはポチタと契約し、

 悪魔の心臓を持つもの『チェンソーマン』として蘇る ー 。

                    (公式サイトINTRODUCTIONより)

 少なくとも――

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 ――最初に発表されたPVのイメージ通りのアニメーションが1クールに渡って実現していたことは事実で、そこに何一つ嘘はなかった。この達成だけでやり遂げたアニメ。

 

 風が吹き、肉体が止まらずに芝居を続け、画面がリミテッドな静止への停滞に甘んじない。『進撃の巨人 Final Season』でMAPPAが完成させてきた映画ライクというより実写ライクな作画の密度がそこで留まらず持続している。

 そんなヌルヌル動かなくていい、TVアニメならではの良さもあるという意見もわかるけど、それはそれとしてより進化したアニメを見たい欲求も強いので、この方向性で伸びてくれるんだという驚きが全てに勝る三ヶ月、非常に楽しかったです。

 その作画が重点的に描くのは主に日常芝居と戦闘に到る溜めのサスペンス。アクションとは戦闘行為そのものでなく戦闘行為を成す所作の一つ一つを指し、そこに到るまでの所作が手抜きなら作品の重力がなんでもありになり、バトルだけ急に飛躍しても気持ちは高揚しない。『物語』シリーズのアクションが虚しいのは概ねこの所為。

 所作の連続で戦闘に到る。その流れを30分毎に描ききること。マンガからアニメというメディアの置換を演出面で忠実に守っているので、「マンガだとこう表現されてたからアニメではこうした方が良い」などと言った意見も「そりゃそのシーンだけアニメ化するならそうなのでしょうが」としか言いようがないです。

 マキマの虐殺や覚醒したコベニの戦闘、優れた実写のサスペンスが持ちうる連続した時間の緊張感がそこにあった。

 本来『serial experiments lain』とか好きなオタクだけがキャッキャする、「結構な割合で1クールに一本は紛れ込んでいるが、マニアックな人気に留まりそのクールの覇権には到らないタイプ」のアニメが、どメジャーで展開してしまったという事故的な(けれど今後スタンダード化してくれたら嬉しい)実験作なのだと思う。

  

 だから全面的に作風を応援した上で、物足りなさもあった。

 アニメとしての個人的な好き度、というか客観的な完成度としても『チェンソーマン』>『呪術廻戦』>『鬼滅の刃』だと思うのですが、「戦闘シーンのもたらすカタルシス」は『鬼滅の刃』=『呪術廻戦』>『チェンソーマン』になってしまう。

 日常芝居から飛躍した戦闘は、日常の延長上にある場面では最高に輝くのだけれど、悪魔同士、魔人同士の対決といった日常から大きく外れたものともなると、そこから更にもう一段階、アニメ的な嘘の飛躍が必要だったのではないかと、『サイバーパンク エッジランナーズ』の余韻収まらない内に始まってしまったアニメだったのでよりそう思う。

  肝心の「チェンソー」を引き立てる演出が第一話以降特に見あたらず。

 これは実は『死霊のはらわた』シリーズも「ブルース・キャンベルの顔芸とテンション」で、『悪魔のいけにえ』シリーズも「レザーフェイスの肉体の存在感とチェーンソーの不快なノイズ音」で誤魔化されるだけで、チェーンソー自体は人を切り裂く以外、画的になかなか活かしづらいという根本的な問題なのですが*1

 振り返っても一番痺れたアクションはどんなチェンソーバトルより、上述の、コベニとアカネの銃撃シーンだったから。あれをもっと長くすれば『アウトロー』や『ブルータル・ジャスティス』のクライマックスのような重力ある銃撃の名シーンが作れたんじゃないだろうか。

 それでも最終回のチェンソーアクションは「電車」という舞台によって重力の飛躍にワンクッション入れたお陰で、非常にうまくいっていたと感じる。

 

 そこら辺の物足りなさから声を伸ばして作り手の欠陥として指摘する気にはなれないのは、本作のシリーズ構成がどこまでアニメスタッフの自由が活かされる余地があったのか甚だ怪しいと考えているからで。

 製作委員会方式ではなくMAPPA集英社の二枚看板だから自由に作れる!なんてまったく同じ内容の声が承認欲求モンスターたちによって繰り返しバズってましたが、個人的に一番自由度を妨げるモンスターがいるとしたら集英社の編集たちの「原作を守らせようとする介入」だと思っているので、どこまでアレンジが許されていたのか気になってしまうんですよね。

 

 進展の遅さもあまり美点とは言い難い本作に嵌められた枷として、

・劇場版商売をしたいのでレゼ編の手前までしか描けない

・必要以上のアレンジに編集部からセーブがかかる

 という生かさず殺さずの状況があったのではないかと邪推してしまうのです。

 

 これだけ日常芝居を丁寧に描くアニメが、前話ラストと次話アバンで同じシーンを繰り返す際に、わざわざ新規作画、異なるショットで描き直すなんていう二度手間(これは非常に見てて退屈でした)をするだろうか。そんなことするくらいならオリジナルの掛け合いをいくらでも付け足せばいいのに、その自由が無かったのではな? と。

 どこまでも優等生的作りに終始した『デカダンス』を見る限り、瀬古浩司さんは原作のような生きた掛け合いはあまり得意そうではありませんけども、

 

 「チェンソーの戦闘シーンがネック」「これでもまだ原作に縛られ過ぎ」

  という二点はたしかに不満要素でありつつ、それ以外は大満足、なんならアニメ史に残るエポックだとさえ思っていて、逆にそんな作品が『ぼっち・ざ・ろっく!』『水星の魔女』『サイバーパンク エッジランナーズ』etc……化け物タイトルに囲まれて埋もれ気味になってしまう今のアニメの状況がヤバいのだと思います。

 

 ED歌う顔ぶれは如何にもボカロ世代の「似たような音ハメの安い言葉遊び匿名性HIPHOP」とでもいった汎用タイプのミュージシャンを揃えてしまい、楽曲的には女王蜂の「バイオレンス!」の一言が際立って印象的な以外に正味違いが分かりづらく印象にも残らなかったのですが(彼らの中で頭一つ抜けた米津玄師だけOPを飾っているのは露骨過ぎないか)、『呪術廻戦』ED2がそうしたかったように、この先そう長くはないデンジたちの青春が色んな視点で綴られるアルバムのようでエモくて、嫌いじゃありませんでした。

 

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 ところで『チェンソーマン』第一部の時代設定は1997年。

 本作の乾いた空気、灰色の空、日常シークエンスのサスペンスだけは十分に醸成するがアクションシークエンスは爆発しきらず控えめ、そしてどこか懐かしいED。

 OPが洋画パロディのつるべ打ちなのでミスリードされるけれど、本編は「80年代後期~90年代までの邦画の空気の再現」だとしたら全てめちゃくちゃしっくり来るなと!

 ネトフリ版『スプリガン』で小林寛監督(水星の魔女)は80年代、90年代ハリウッドアクションを見返してその空気を再現しようとしたという話を読んで、よりそういう事もあるんじゃないのかと妄想してました。

 

 (あの頃の)北野武塚本晋也黒沢清崔洋一SABU林海象青山真治三池崇史塩田明彦etc……のラインに本作を浮かべてみると、違和感ない。

 あの空から降りそそぐ重力が世界に存在感を与え、良くも悪くもキャラを地表に縫い付ける。

 

 また、背景美術の光の推移をはじめ「日常芝居でも全体が動き続けている」レイアウト作りが戦闘シーンでの飛躍を狭めてしまったとも思ったのですが、今後話のスケールが飛躍し、また現在連載中の『チェンソーマン2』に到っては「背景そのものが現実の日本から飛躍して香港化していく」ことを思うと、今のアニメ版『チェンソーマン』のスタイルはこの後、もっと効果的に原作とマッチしていく筈なので、是非このまま進めてください決裁通しますありがとうございました。

 

 少なくとも自分の抱いたモヤモヤを言語化する労力を厭って空気に流されスタッフ変更署名なんかに賛同している怠惰の魔人たちの意見など、一切聴く耳値しないのです。

 

*1:そんなことないよ、『悪魔のいけにえ』は完璧だよ。特に『2』