現場の思い出ランキング2023

 今年も一年多くの現場に参加してきました。

 昨年に比べて自分の中で変化が生じつつある気がするので、その記録もかねて、より印象的だった現場を振り返っていきたいと思います。

 2022年の振り返りはこちら。

pikusuzuki.hatenablog.com

 

 2023年参加した主な現場は以下の通り。

 一年中お金がない理由ハッキリしてしまう。

 この中からTOP10を決めてみようと思います。

 思い出に順位を付けるな。

 

1/7  劇場版スタァライト オケコンrevival 昼/夜 パシフィコ横浜
1/14 R3BIRTH R3VOLUTION  Day.1 有明ガーデンシアター
1/22 harmoeティーパーティーSpecial 昼 イイノホール
2/27 舞台『少女☆歌劇レヴュースタァライト#4 』マチネ 東京建物Brillia HOLE
2/28 舞台『少女☆歌劇レヴュースタァライト#4』 大千穐楽
3/4  AMUSE VOICE ACTORS CHANNEL FES 2023 Day.1 LINE CUBE SHIBUYA
3/7  舞台『LIARGAME × murder mystery』昼/夜 飛行船シアター
3/11 小泉萌香1st写真集『きみやすみ』お渡し会 HMV&BOOKS SHIBUYA 
3/21 リバコメ!!×スタァライト 昼/夜 高崎市民会館ノクティホール
4/2  もえの~と 第2回定期演奏会 昼/夜 浜離宮朝日ホール 小ホール
4/23 舞台『Color × Malice』上映イベント 笹塚尊編 ニッショーホール
4/29 harmoe『Villans』発売記念イベント 全電通労働会館
5/5  舞台『やがて君になる Encore』イベント2部/3部 池袋HUMAXシネマズ
6/4  舞台『DOLL』 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
6/17 舞台『トワツガイ』初日 池袋サンシャイン劇場
6/23 舞台『トワツガイ』
6/25 舞台『トワツガイ』 大千穐楽
7/30 harmoe 2ndLIVE 『GOOD and EVIL』WEST 大阪国際交流センター
8/5  アキバだいすき祭り サンドリオンLIVE ベルサール秋葉原
8/12 harmoe 2ndLIVE 『GOOD and EVIL』EAST 神奈川県民ホール大ホール
8/22 声優×芸人朗読劇『WARAIGOE』 新宿紀伊國屋ホール
8/25 Animelo Summer Live2023Day1 さいたまスーパーアリーナ
9/4  『アリスとテレスとまぼろし工場』プレミア試写会 新宿ピカデリー
9/14 舞台『爆劔~源平最終決戦~』初日 シブゲキ!
9/20 舞台『チェンソーマン ザ・ステージ』 銀河劇場
9/30 江戸川乱歩朗読劇『幻調乱歩2 自決スル幼魚永久機関』夜 イイノホール
10/6 『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』アトロク試写会 TOHO六本木
11/4 スタァライトバンドライブ revivalDay1 幕張メッセ・イベントホール
11/5 スタァライトバンドライブ revivalDay2
11/11 JUNNA『眠らされたリネージュ』リリイベ イオン幕張新都心
11/18 千葉経済大学大学祭 前田佳織里船戸ゆり絵トークショー
11/19 harmoe canvas sessionⅤ 全三部 恵比寿ガーデンホール
11/23 harmoe 『Love is a potion』トーク&お渡し会2部 ポニーキャニオン
11/25 くままま『初イベントパーリー』 昼/夜 雷5656会館ときわホール
11/26 tofubeatsメジャーデビュー10周年ライブ 恵比寿ガーデンホール
12/3  MIX JUICE トーク&お渡し会 第一部 池袋アニメイト
12/9  異次元フェス アイラブ歌合戦Day1 東京ドーム

12/30 Photon Maiden 2ndLIVE『Ship's Log』 ZEPP HANEDA

 

第十位.江戸川乱歩朗読劇

   『幻調乱歩2 自決スル幼魚永久機関

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 シンプルな朗読劇の美しさ。

 配信で見た一作目を踏まえた調整が非常にうまくいっているのではないかと。

 乱歩に敬意を払ったホンのアレンジの面白さ、

 着席して落ち着いて臨む役者の芝居がストレートに伝わってきて、

 適切に演奏隊が劇判を奏でる。

 大人のプロの仕事に酔うことが出来て、良質な観劇体験したなと改めて。

 

第九位.harmoe canvas session Ⅴ

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 安定のcanvas sessionの魅力。

 念願の名前呼ばれる経験、なかなか実感湧かないけど夢叶った。

 

第八位.舞台『DOLL』

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 大和田さくらホールの劇場装飾、開場前の時計が刻まれる音、そうした空気づくりと、目の前で関節ごと人形になりきり壊れていく女優陣:西葉瑞希搗宮姫奈両名の退廃的な芝居、オンタイムのカメラを映し出した背景美術を含む境界を融解させていく演出の数々。

 実は話そのものはまるで刺さらず過ぎ去ったにも関わらず、観劇体験としてのインパクトが大でした。

 

第七位.harmoe 2ndLIVE TOUR

   『GOOD and EVIL』WEST公演

 スペースに対する音響効果的にも、大阪公演が自分にはベストでした。

 このライブを前後して両名共に体調崩していて大変心配になりましたが、ここまでめくるめくステージをノンストップで展開しきれたことに感動。

 ストーリー演出的には、もっと欲張って「物語って」も良いような気がします。

 こんなにも舞台表現に馴染んできたお二人なのだから。

 

第六位.舞台『トワツガイ』

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 ノンストップで切り替わる特殊効果の面白さ。

 アトラクションに乗り込んだような体験の高揚感と、

 「ここまでキャラになりきる/なりきれるんだ」となる2.5次元俳優への感動。

 坂道グループ馬鹿にしがちな自分を少し反省したカラスやフラミンゴ、中の人本人だから当たり前なんだけどいや本当に当たり前か? となる、身長の印象さえ自分でコントロールして自己再現してみせたフクロウ、そして武器使いの際の重心やアドリブパートでの立ち居振る舞いさえキャラに寄り添い続けたハチドリの憑依っぷり。

 『爆劔~源平最終決戦~』では同様の松多演出の魅力が第二部で霧散してしまった惜しさが。

 

第五位.舞台『チェンソーマン ザ・ステージ』

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 『DOLL』や『トワツガイ』で抱いたアトラクションとしての舞台表現の可能性を最大スケールで浴びせられたショック体験。

 銀河劇場をあそこまで巨大に感じるとはというのと、恐らくこの舞台、どの席で見た人も「自分だけの最良のチェンソーマン」を見れるように設計されてるんですよね。本来ハズレと言って差し支えない席だったのにそれでもセットの三階部分の迫ってくる感覚や側面のプロジェクションマッピング、全体を使った大胆な表現の数々は前方の席より遥かに満喫できた自信がある。

 ブログの中だとタイトルにまでしてセット間の「空隙」のスリルを語ってしまいましたが、ダイジェスト映像見るとちゃんと接合されていたみたい。それでも自分の席からは角度的にそういうスリルまで味わえた。

 この一員としてそん色なく存在してるはるちゃんパないの。

 

第四位.もえの~と第二回定期演奏会 昼/夜

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 小泉萌香さんが全力でファンをもてなそうとして、そのすべてが悉く上手くハマっていて、ソロイベントは初ということを仰ってましたが、初にして完成形だったんじゃないかくらい全ての振る舞いが、歌唱パフォーマンスが決まっていました。

 配信にはありませんでしたが、最後に不手際の謝罪で登壇するオレンジニキ⇒他のスタッフを無理やり押し出して登壇させるもえぴ⇒結果的にカーテンコールのような光景が生じて、一足早く『もえの~と』の最終回を見てしまったぜ。

 ファンと演者の関係性として理想的な空間に包まれて、一週間くらい多幸感が消えませんでした。残念ながら現地まで足を運んでもあまり満足いくこと少なかった今冬でしたが、このイベントがあった事でモチベーション復活したこと覚えています。

 

第三位.異次元フェス アイラブ歌合戦

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 結構ギリギリまで期待値を下げに下げてからの超巨大体験というギャップ。

 萌香ちゃんがどうというより、オタクライフのあらゆる感慨がこみ上げてきて。

 これだけアイマスアイマス言いながらも、自分のことアイマスラブライブ!のような二次元美少女コンテンツとは遠いところにいるオタクだとどこか信じ込もうとしていたのですが、無理でした。思い入れが多すぎる。

 

第二位.虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

    ユニットライブR3BRITH R3VOLUTION

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 エキサイティングなライブとしての完成度で圧倒していたのでは。

 冒頭から最新の格好良いセトリを見せ、これ以上何をどうするのかと心配する暇もなくサプライズで畳みかける構成。キャスト三名の体力が心配になる余裕もなく観客の肉体もフルに酷使する。幕間映像でさえ今までのパターンをフリとして仕込んでいて休ませてください。挙句規制退場時のスタッフのアナウンスさえロールプレイの一環となる。

 一年の始まりにその年の最高を記録してしまう事ってよくありがちですが、「きっと今日はそういう日になるんだろうな」と思って本当にそうなった日でした。

 今振り返っても完成度で過去ベストに近いエンタメ体験。ラブライブシリーズに詳しいライバーさん達もベストライブの一本として挙げてくださっていたので、大げさでなく最高傑作だったんじゃないかと思います。

 あと純粋に火柱の熱がこんなに会場中に立ち込めるのも珍しいレベルで、実際に暑かった。

 

第一位.少女☆歌劇レヴュースタァライト

    バンドライブ “STARRY SESSION” revival

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 R3BIRTHがベストと言いながら何故? という話ですが、

 シンプル「地元で二日間あったから」。

 寝ても覚めてもそこに九九組がいるという喜び。

 思えば現場体験の衝撃として大きすぎた最初の劇場版スタァライトのオケコンが自分の中で聖域になっていて、その記憶に縛られ続けていたので、同じホールで新たな楽しい思い出が更新された事もありがたいです。

 楽しかったなあ・・・。

 

 他にも、

・リリイベでharmoeと三人きり手を振り合うという夢のような時間が発生したり、

・人生初のスパチャ(一円)をもえぴが拾ってくれたり、

・年末最後に急遽参加できたPhoton Maiden 2ndLIVE『Ship's Log』で、あまりに完成されたはるちゃんのダンスから目を離せず、この人今無敵なんじゃないか、今すぐ天下取ってもいいんじゃないかともだもだしたりーー

 ランキングなんて野暮なもので、実際は個別のイベントとして割り切ることも出来ない大小様々な思い出が生まれました。

 すべての出会いに感謝。

 

 2023年、こうして振り返っても顕著ですが小泉萌香さんのみならず岩田陽葵さんの活動も追い始めて少し視野が広がった気がするので、2024年もまた今までとは異なった行動様式が取れたらなと密かに思っていたりします。何も考えていませんが。

 美術展もエゴン・シーレ展とマティス展のみで少し物足りず。

 リバイバル上映の為に東京まで足を運ぶとか、そういう事ももっとしてみたくなりました。

 

 せーの、お金欲しい!(^O^)/

Link! Like! LIVE!- 『異次元フェス アイラブ歌合戦 Day1』感想



2023.12.09(土)東京ドーム.

プロデューサーさん、ドームですよっ!ドームっっ!

 

 『異次元フェス アイドルマスターラブライブ!歌合戦 Day.1』

 現地参加して来ました。

 ここに来て、あらゆる点で「巨大な」記憶を更新したよという話です。

 おそらくその対象が何にせよ、現地体験しないと味わえない究極のものが「巨大」という感覚ではないでしょうか。

 

 プラス、「歌合戦」というからには勝敗が必要かなと思うので、一応自分なりの結論も最後に述べておきます。

 

 

 詳細後述しますが、2023年『MOIW』という伝説を配信でしか目撃出来なかった負い目もあってか、事前の「あえて期待値を下げて落胆しないようにしよう」というオタク達の空気にどこか当てられていました。

 いわばこの年の現場通いの〆となるオマケのような感覚で赴いたのですが、いざ現地着けば東京ドーム周辺の規模の大きさに、強制的に高揚させられていきました。

 

 でもま最低限の予習はしようと思ってはいて。

 小泉萌香さんを追いかけ現場を巡っていたこの二年間でしたが、一方で本来の気持ちの置き処はアイドルマスターの方にあり、「実家はシンデレラ」「友達は虹ヶ咲」「想い人はシャニマス」くらいの立場の人間。なにげに虹以外のラ!の曲が全然わからず、予習しようにも厖大な曲目のどこから手をつけていいのかわからない。

 そこで事前に公式アンバサダーのVチューバ―、ラプラス・ダークネス、ドーラ両名が作成していたプレイリストが取っ掛かりとして助かりました。

 改めてアイマス好きな曲多いなーと振り返り、そしてラ!今こういう曲あるんだって瞠目する起点に。

 前夜祭として配信された冬優子、善子、ラプラス、ドーラ4名による、意味的には本来の「異次元」交流であった歌合戦も気分を盛り上げてくれて、これまた事前のオタク達のV下げの空気を払拭する良い起用だった、というか、オタクなんでもかんでも事前にsage過ぎじゃないです?

 

 ドーム周辺で一通りのぼりを確認してからのーー。

 

 ーー会場入り。

 幸いにして席はアリーナ前方のAブロック、比較的センター寄り。会場に入っていくと、ステージ近い内側から見仰ぐ、見渡す限り天井席まで人で埋め尽くされたドームの光景がまず圧巻。ここからもう体験は始まっていました。

 今までもマリンスタジアムベルーナドームのスタンド後方、雲の上から豆粒のようなステージ上の人、あるいは会場全体に咲くペンラのお花畑を見渡す経験はしてきましたが、「見上げる」側は初めて。

 この日、何度となくメインステージからキャストが消えた時にこの光景を見渡しては、ペンラの海そのものを満喫しました。

 ちな結果としてはトロッコは来てくれなかったのですが(客降りあってもいいじゃんねと思ったけどスタァライトのバンドライブは特殊過ぎたかも)、このスペースのお蔭で確保できた視界(メインステージ上手)は確実にあったので助かり。

 開演前、ヴイアライヴの三人、ラプラス&ドーラがそれぞれテーマ曲『異次元ビッグバン』のコーレス指導するVTRが。特に後者の二人(ここもつまり「『にじさんじ』と『ホロライブ』の異次元フェス」してるという手の込みよう)は収録じゃなく生っぽいなと思ったら、どうも完全見切れ席にいたらしくて不憫です。

 この間に、この日の出演ブランドで圧倒的に知らなかった蓮ノ空について連番した方に教わり、今までピンときてなかった全容が「オンタイムで進行する三年間のシナリオ」「二人一組×3の6人なので覚えやすい」というキーポイントによってようやく腑に落ちたので、万全の状態に。

 

 そしていよいよ開幕。出演者が流れるOP映像、超絶横長のワイドスクリーンに流れるラ!各ブランドのキャラクター達の顔、顔、顔。ここでもう高まっていたのに、「あ~終わった、これからこの人たちが見れるのか~」と思い込んだら、今度はアイマス側の顔、顔、顔。「そうだ、まだ半分なんだ」と気づいた瞬間すでにキャパオーバー。

 何よりこの超絶横長のワイドスクリーンという装置自体がこの日の体験、最大の貢献者になっていきます。

 

 以下、セトリはこちらを参考に。

imas-db.jp

 

 冒頭、まずは各ブランドが個別に代表曲を。この目まぐるしさと、まだ本日の全容が明らかではない緊張感。

 それはそれとしてずっと生で見たかった圧倒的ビジュアルとパフォーマンスの説得力を持つ山下七海のアイドル姿お目にかかること叶い、その視界奥に生田輝のナターリアまで同時に捉えて既に浮足立ってます。

 そこからシャッフルされたキャラクター4名がモニターに映り、唐可可から始まるブランド越境トークを展開。

 何が起ころうとしてるんだ。。。?

 

 それぞれ二手目、虹ヶ咲がいきなり『わちゅごなどぅー』で高咲侑含む貴重な「13人編成」を披露し(ヒトリダケナンテエラベナイヨーを叫べたの楽しすぎ)、シンデレラガールズは『無重力シャトル』でトロッコに乗り込む(移動待ちのトロッコ、聴こえてくる『わちゅごなどぅー』が楽し過ぎてアイドル達も踊ってたという裏話すこ)。

 更にノクチルがセンターブロックで『今しかない瞬間を』披露*1

 ここで自分の視界がひとしきり確定しました。

 

・座席のお蔭でステージ上手のパフォーマンスはお顔までほぼほぼ捉えられる。

・センターステージもおおむね見える。

・下手までいくと遠すぎて視界かき消える(それほどに広い)。

・センター上段は見仰ぐ形で、顔までは見えないが、ワイドスクリーンを背にして迫力がばっちり。

・振り返り見るセンターブロックは、変に近いためにかえって周囲の人の頭が邪魔をして、一番近い隅、四分の一しか見えない。ただどのパフォーマンスユニットもこの浮き島をグルグル廻りながらパフォーマンスしてくれるので、順にみんなの顔が見える。

・トロッコは全然近く来ないが、半分過ぎるまでトロッコ上で何をしているのか割と視界で捉えられるし、毎回二手に分かれたトロッコが交差する仕組みなので、一つトロッコを見失うと別のトロッコが今度は近づいてきてくれる。

 

 おそらくこの日の広い東京ドーム、完璧な視界を確保できる客席は存在しなかったのではないかと思う。例え最前を引けたとしても、隅から隅まで目が行き届くことはなかったんじゃないか。そう思うと配信視聴者も現地にいる人も、条件は大差ないかも知れない。

 ここまではまだ準備段階と言いつつ、なんだかんだで思い入れでいっぱいのシャニマスのキャストの生の姿にすでにだいぶ非現実感を食らっています。

 

 そしてーー浅利七海(井上ほの花)がセンター上段せり上がり始まる『Let's Sail Away』。一瞬、「バンナムフェスでもこの曲やったよJUNGO」とここまでのセトリへの微妙な感想含めて思ったのですが、即座に異変に気が付く。

 両脇に、知らない人(Aqours渡辺曜役斎藤朱夏、蓮ノ空大沢瑠璃乃役管叶和)がいる。それでたぶん「海」繋がりだ。

 

 そうか、やるんだな、JUNGO。越境シャッフルをーー!。

 

 MOIWTHE IDOLM@STER M@STER OF IDOL WORLD。

 2023年2月に同じく東京ドームで開催された、全5ブランドからなるアイドルマスターの全キャスト、全楽曲がシャッフルされ、様々なリンクで文脈と文脈を重ね合わせてそれぞれの世界を拡大させていった巨大越境イベント。

 何も知らない観客が、知ってる曲のイントロと共に知らないメンバーが(男女さえ混成して!)せりあがっていく様に悲鳴を上げ続ける、これほど配信で(しかもアーカイヴでギリ)見ることが悔しかったイベントも他にない神イベ。

 

 ーーまだ今年生まれたてホヤホヤの発明を、早くも他IP相手に惜しみなく注いで全面展開するつもりだ。

 多分アイマス側のファンは何が始まったのかすぐ把握して、ラブライブ!側のファンはこの事実に気づいていくまで、長い人だと2曲分のタイムラグがあったような、ジワ…ジワ…としたどよめきの拡散ぶりがリアルでした。

 

 ここから先、あっち見てこっち見て、でも全然すべて見通すことはできなくて、知らない曲知ってる曲、知らない文脈知ってる文脈、あらゆる事が起こったので、時系列無視して印象を箇条書きしていきます。

 

Aqours

 前から知ってはいたけど、パフォーマンスお化け。

 振付を越えて一音一音に反応して全身で表情を作っていて、この日全体を覆っていた「ディスニーパレードっぽさ」は圧倒的にAqoursの「ディズニーキャストっぽさ」から生じた空気でした。

 完全にミュージカル俳優の素振り。色んな人たちが集団に上がるとそのポージングや大きなジェスチャーで真っ先に視線を集めるのはAqoursで、この日の主役だったと思います。

 

『Liella!』

 バンナムフェスで見た5人編成のダンスの軽やかさが忘れられず、メンバーが増え続けることに正直ネガティブなイメージを持っていたのですが、11人まで増えてこんなにも軽やかさがキープできるのかとビックリ。「アイドルが振付覚えました」という域を超えたダイナミックなパフォーマンス。

 また、異次元フェス参加グループの中でも、「最新のセトリ」を持ち込んだ上に歌詞もモニターに表示するV演出で、ちゃんと「良い音楽を持ってきました」「いい曲でしょう聞いてください」をしている点が好感。

 フェス通して一番好きな曲が増えたブランドになりました。

 本音を言えばアイマス側はこのビジョンが欠けてて、一部除いてセトリは弱かった。過去ライブで盛り上がった曲を安全パイとして持ってきたなJUNGOと怒るべきか、ラブライブ!により華を持たせようとしたのか。

 

 AqoursもLiella!も個人的に顔と名前が一致する人が半分もいないのに、「この人たちのパフォーマンスをもっと生で見たい」と心底思える、2.5次元どうこう超えて普通に達者なパフォーマーだと感じました。今はもうここまで来てるんだ。

 

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

 最初にソロで切り込んできた大西亜玖璃の度胸たるや。

 正直ユニット曲聴きたかった気持ちはありましたが、自己紹介としてこの大舞台で一人一人ソロを披露するインパクトは絶大だったかと思いますし、東京ドームでのソロを体験させたいという運営側の心意気もそこはかとなく感じました。

 虹ヶ咲で今更ドキドキはしないかなと思ってたのに、自分がいる上手側に出てきた彼方ちゃんこと鬼頭明里ネグリジェめいた衣装と可愛い振り付けのインパクト。そして改めてドームで響いてButterflyってこんな良い曲だったんだという発見で、過去イチくらい声優さん前にしてどぎまぎしてしまった。

 虹のソロパートは自分にとって視認性が悪すぎる下手か、逆にバッチリ見えすぎる上手かに分かれてたので、「待ってこれ栞子ソロ出てくるのどっち? 上手? 下手? そもそもDay1で来る?」と、このスリルをしばし抱えることに。

 それとソロ衣装を持ってるが故に、集団で歌った際に他ブランドの中で虹ヶ咲が混ざるとその立ち姿がアクセントとして機能して、舞台装置としての彩りも発揮していたのが良いポジションでしたね。

 

『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』

 流石に誰が誰という個別の認知は全く出来ていなかったのですが、楽曲レベルの高さとすでに出来上がったキャラ、それをまるで知らない上にビジュアルの強い瑞々しいキャストが時に快活に、時に儚げに披露する様に、謎に手に汗握って応援していました。

 ファンの声援の熱が一番こもってた、「ここから応援して人気を底上げするぞ」という気迫が宿っていて、何よりそんな現場の空気に感動した気がします。

 たとえ新規ブランドと言えども、もうあどけなさで誤魔化さず完成されたものを見せるぞという完成度の底上げが末恐ろしい。

 まだキャラも名前も覚えていませんが、目の前で見たあれこれはハッキリ覚えているので、この先、蓮ノ空を知れば知るほどいかに貴重な場に居合わせたかは痛感していくのではないかと、沼落ちの可能性に怯えております。

 

『スクールアイドルミュージカル』

 ここもまた誰一人存じ上げない訳ですが、舞台少女たちが全力で演じてるとそれだけでまぶしい。自分の席の近くで真っ先に声援を上げたのが女性陣で、こんなところでも2.5次元を支えてるのは女性層なのか? と少々驚き。

 

シンデレラガールズ

 どんどん前提抜きのパフォーマーとしての洗練さを高めていくラ!に対して逆に、キャラとして抜擢されたイチ「声優さん」が一生懸命キャラを演じて歌って踊る様に感動を見るというねじれが、醍醐味の中心に当たり前にあるシンデレラの親近感。

 まさかこのメンツでLiPPS見れないとは思わなかったんですけどね

 前述の通り山下七海の完璧アイドルぶりを生で見たいとずっと願ってたのですけど、ちょうど近くに来てくれる事が多くて、もう存分に堪能しました。

 どこまでも笑顔が可愛く、かつパフォーマンスも完璧で、その完璧さが全部大槻唯というキャラクターに寄与していく。

 

『ミリオンライブ!』

 アニメ放送中で乗りに乗ってるミリオン。歌唱お化けが多く参戦してる事もあってか、曲はよく知らないが耳が楽しい、となる機会が多かったです。

 しかし難しい塩梅で、我ながらドヤって「シャニやデレはもっと最新のセトリを! 格好良い曲で攻めろよ」と願いつつ、最近の動向をそこまでよく知らないミリオンでは自分の知ってる時代の曲をやってくれると上がってしまうんですよね。『fruity love』なんて浮き島でグルグル周りながらパフォーマンスするのに最適だったんじゃないか。

 声優アーティストとしてここ数年の急速なシフトチェンジで夢中になり、ラジオもよく聞くころあずこと田所あずささんが、完全に素と切り離したプロのシンガーとしてはちゃめちゃ上手な歌を熱唱してくれる様にも感動してました。

 

『シャイニーカラーズ』

 そしてシャニマス

 この日たくさん「好きな声優さんがそこにいる」って感動の経験はしましたけど、enza版のシナリオ世界にどっぷり浸って接してきたので、シャニマスのキャストだけはもう「シャニマスのアイドルがそこにいる」という感覚でしか見れず。

 そこにキャストさんがいるのに、脳内ではそこにアイドルの姿を二重写しで見ていました。いやそれが本来の楽しみ方じゃないかとも思うのですが、他ブランドの共演者のことはちゃんと「キャスト」として見れる分、「キャスト」の中に「アイドル」が混ざっている混乱が。この感覚伝われ。

 「ああ、(あのキャラ達は)本当にいるんだな」と。

 自分がアイマス沼に落ちたきっかけとなった星野源アイマス語りを、初めて実感として追体験してしまいました。

 曰く「ライブを見ている時は声優さんを見ているのに、帰路で振り返ると記憶の中でステージの上にアイドルちゃん達が立っている」

 アンティーカにはお話したばかりの花凛ちゃん、アルストロメリアにはサンドリオンで親しんだほのけがいるのでまだ平常心保てましたが、ノクチルとシーズに関しては記憶の中で完全に「ノクチルとシーズを見た」ことになってました。なってます。

 それはそれとして土屋李央の顔が良い。山下七海に次いでこの日土屋さんのお顔もよく見ることが出来る位置で、ひたすら眼福でした好き。

 

 

 この日のハイライトはやはりMCという名の休憩とスクールアイドルミュージカルをはさんでからの(妃菜喜ちゃんが近くで喋ってるのにつろいでしまう贅沢な時間)ーー

 ここまで楽曲自体ではそこまで上がりきっていた訳ではない気持ちを払拭してくれた、第三部『かっこいい歌合戦』。

 

 ミリオンの『FairyTailじゃいられない』(知ってた。好き)

 蓮ノ空の『Tragic Drops』(知らなかった。熱い百合ムーヴに会場熱狂してた)

 を、経てからの――

 

・アンティーカ『abyss of conflict』

 ずっと知ってて、その物語も追っていたけれど、初めて生で見たアンティーカ。

 この一週間足らず前に花凛ちゃんとお話した内容ーーシャニマスの『アイムベリーベリーソーリー』の花凛ちゃんの芝居が素晴らしかったという件

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 ーーでめちゃくちゃ熱いレスを受けたので、思い入れの熱が自分でも想像してないレベルで爆上がりして、矛盾しているようですが「花凛ちゃんを応援したい」気持ちと「そこにアンティーカがいる」という実在性への感動が両立する不思議な時間。

 からの、

 

SHHis『OH MY GOD』

 センター上段にせりあがってくる緑の二人。

 流石に力の限り声を張り上げました。

 絶対格好良いのはわかってる、案の定見れば格好良かった。

 100回くらい生で見たい。

 と同時に「まだデビュー曲やるんだ?」というもやもやも抱え。

 結果、初見の方は十分OMGでインパクト抜群だったらしく一安心です。

 でも無難過ぎないかなぁみたいな。この日、基本的に知ってる人たちの選曲は

 100%納得いくもの少なかったのがウソ偽りない本音で。

 未だに「いやもっとSHHis浴びたいが。。。?」という欲望が消えることなく、

 「シャニマス現地」という怖い沼に片足突っ込んでしまった予感に怯えています。

 

・虹ヶ咲のターン

 とうとう生アンティーカ、そして生SHHisを見れてしまった、という感慨から抜け出す暇なく、下手で始まる朝香果林先輩のソロ。

 次、上手に来てくれるのは誰。。。? ここで栞子来なかったら正直もう可能性は薄い気がするが・・・?

 

 ランジュ!

 ほーみんちょっと本調子ではない気がしましたが、それでもバックにMV流しての『Eutopia』は場内爆沸きでした。根本的に曲が強え。

 栞子が上手ではなかったとしても(今日でもなかったとしても)、この距離でランジュを見れたなら満足だよ。

 ・・・次のアイドルが現れたのは、センター上段。

 

三船栞子『決意の光』

 「推しが武道館いってくれたら死ぬ」ってレベルじゃないです。

 「小泉萌香が東京ドーム全部の視線を浴びてソロで歌ったから生きる」です。 

 ずっと全力疾走し続けてる背中を追いかけてきましたが、どこまで行くんだ。

 

 すでにエモを三弾くらい連発で浴びて訳わからなくなっていて、輝ちゃん(輝ちゃんに至ってはこの年東京ドーム二度目なのな)がクール組に混ざったシンデレラの『生存本能ヴァルキリア』を恍惚と眺めた後、唐突に左頬にビンタをかまされます。

 

・Liella!『Jump in to the New World』

 これめちゃくちゃ良かった、、、この日ユニット曲メインで、冒頭ぶりに全員揃ったLiella!のパフォーマンス、配信では伝わらないのですが、全身で「飛び込んできた」んですよね、パフォーマンスの全てが。

 バンナムフェスで遠くからでも確認できたあのフォーメーションのパワーが目の前で展開。

 坂道グループの印象でどこか「群舞」というものにもさっとした印象を抱いていたのですが、Liella!の適切なパート分けはむしろキレキレで、集団だからこその利を感じました。

 長いフリルが付いた重厚そうなドレスがダンスに映える映える。ドロップパートで痺れたの覚えています。左右の人がパーカッションを叩くような振りも大好き。

 異次元フェスで初めて知って、その後聞き続けた曲の中でも一番リピってます。

 

平山笑美飯田友子菅沼千紗『Guilty Night,Guilty Kiss!』

 予習不足がたたって、元曲がラ!だとは知りませんでした。

 それでも夢みたいな人選と、何より曲が良すぎて一発でコールも覚え、即座に夢中になったこと覚えてます。キャラに似すぎお前アイドル本人だろ選手権ナンバーワンこと菅沼千紗さんですが、それでもアンティーカでは見せないだろう少しはにかんだ表情で歌う姿、目に焼き付けました。

 

・大熊和奏/久保田未夢逢田梨香子佐々木琴子『Tulip』

 越境混成Tulip。この日密かに一番楽しみにしてたのはLiPPSの『NIGHTWEAR』だったので、二重に「こうくるか」という複雑な感情は抱きつつ、あとどうしても『Tulip』を男性キャストが歌ったMOIWのインパクトには負けるけどなーとも思いつつ。

 それでもアイマスを代表するキラーチューンをラ!の各ブランドから選出された強すぎるメンバーが歌うTulip、贅沢な時間でした。

 

 以上、やはりこの「かっこいい歌合戦」ブロックがずっとハイライトでしたね。

 

 そう油断してたら始まる最終ブロックーー。

 

・『Dye the sky.』

 この日のインパクト最大値を一曲あげろと言われたらこちら。

 シャニマス全体曲の中でもダントツ好きなのですが、その演出が効果的でした。

 下手にはデレの生田輝、洲崎綾、ルゥティン。

 上手には本家シャニの磯部花凛、土屋李央、紫月杏朱彩。

 そして背景の湾曲した超超超ワイドスクリーンに映る、雲が流れる青空の映像。

 

 目の前に月岡恋鐘、その上段に樋口円香と七草にちか。青空の下で。

 めちゃくちゃ凝視してこの夢のような時間を焼き付けようとしていたらーー

 

 二番。今度はセンター上段にせりあがる追加戦士たち

 ーー前田佳織里、小宮有紗、ペイトン尚未。

 ラ!側からDye the sky.に参加してくれることにも勿論感動したのですが、

 この時せりあがってくる彼女たちが完全に青空を背に顔が陰って見えて。

 アリーナ前方から、どんなに見渡そうとしても見渡しきれないステージの上、

 青空の中で歌うアイドル達のシルエットがあまりに「雲の上の光景」で、

 心持っていかれてしまったのです。

 スクリーンがうねうねと湾曲している事がもたらす立体効果もとても大きかった。

 

・『アライブ・ファクター』

 こちらでは「炎越しの光景」。

 火柱が近い! 熱い! 

 センター上段からリフターで上昇する田所あずさ小林愛香富田美憂、結那、山根綺、野中ここな。

 シャニの某シナリオを読んでた身としては、「リフター(と言っていいのか)で上昇し、炎の中で熱唱する緋田美琴」の図が虚実の被膜を打ち破って飛び出してきて圧巻。

 後に配信で見た際、ここで美琴ことやや様に張り合おうとしているまだ高校生の野中ここなさんの気概にも呑まれました。

 

 ・最終ブロックはひたすら混成セトリの混沌と狂乱と強熱がボクと一緒にいき、

  色々すっ飛ばしてコレ!

 

ラブライブ!『READY!!』

 アイマスの代表曲の一つをラブライブ!勢全員で。

 ぴが! アニマスOPのあの指さし振付を、自分の視界のど真ん中で、なんなら俺に向けて!(そう意識させてください、緑のペンラW遣い周囲にはいなかったし。いや目線どうこう関係なくともかくじかに目撃できたことが衝撃で)、決めてくれたんです。

 この日が、デレのLVにたまに行くようになってからのこの5,6年間?の、「現場に興味持った活動」の集大成になる。そんな予感はしていたのですが、射程はそれより遥かに大きかった。

 765オールスターズと小泉萌香が同じ曲同じポーズで繋がり、アニメを観始めたあの頃ーーその中にアニマスもあったーーから数えて、12年分のオタク生活が一つに繋がりました。円環の理の完成です。

 さらに同位置に輝ちゃんも来た。思えば二年前、まだ現場はほとんど行かず声優さんのニコ生とか見始めできゃっきゃしてた頃『もえの~と』に輝ちゃんがゲストで来て、お互いにラブライブ!アイマスの告知をしあってて「いつか共演出来たらいいのに」と漠然と夢想してたんですよね。

 その直後に輝ちゃんがコロナでオケコン不参加、からの昨年revivalで復活というドラマも挟んでのこの日この時。

 

 そしてフィナーレ、やはり「視界に収まらない」ステージの端から端まで、100人近いアイドル、スクールアイドルたちが行きかう夢の時間。

 かねてよりフレームの中をいかに統制するか、あるいはしないかという映像作品の技巧の中で楽しんできた映画オタクでしたが、この二年現場に通うようになって一番感じたカルチャーギャップは「フレームに収まらないライブ(生=生命)」の、つまりは自分一人では把握なんて出来る訳ない光景に圧倒されるという体感でした。

 いつのまにかあらゆる可能性が小さく狭く感じるようになってしまった自分の脳を破壊する、「生の」ステージ体験の数々。

 恐らく現状日本で味わいうる中でも最大規模のそれの一つを浴びたのです。

 あのステージ上で展開したエンタメが100あったとして、自分の視界は恐らくいいとこ15~25%くらいしか捕捉出来てないと思うのですが、だからこそその「把握しきれない余白の巨大さ」がこの世界に存在したことが嬉しい。

 

 そんな幸福な体験となりました。

 で、ふと思ったしこのブログでも繰り返し書いてるかも知れないですけど、そうしたライブを配信で見た途端にそれは「フレーム内の情報を把握できる、映像体験」に代わるんですよね。そういう意味でやはり現場と配信は別物で、それぞれに良さが「ありうる」のだと思います。

 ところでスタンド後方から返ってくる歓声やコールの音のディレイっぷりがすさまじく、東京ドームが本当に音楽ライブに向いてるハコなのかは怪しくないか?とも思うは思いました。

 

 ところで配信で見返した数が圧倒的に多いのはDay2です

 こんなに感動したDay1を軽々超えてきたのですげーよ。

 出演者的にDay1選んで後悔も全然ないんですけどね。

 

 

・書きそびれてたけどプロデューサーとして担当してるのはアルストロメリアで、この日アルストは自分の視界に居続けてくれたのでその点でも食らいました(『ラブ・ボナペティ―ト』はMOIWでやっただろというモニョりはありつつ)。

 エポックが多すぎる!

 

さて、「歌合戦」としての勝敗の結果ですが――

 

個人的には、この日優勝したのはラブライブ!

 やはり客前でのパフォーマンスへの特化という点でプロの仕事でした。

 Liella! Aqours 蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブが魅せてくれた。

 自分の知らない人達ばかりでちょっと悔しいけど、

 楽曲面でも既に使い古したセトリだったアイマスより華があった。

 アイマス側からはシャニマスのユニット勢が個別に対抗出来てたのが救い。

 

・でもこの日のSHOWに貢献したのはアイドルマスター

 自分たちが編み出したシャッフルの手法をそのまま惜しみなく注いだ点、

 妙に誇らしい気持ちになりました。

 

 結果WIN-WINという事で。

 

*1:よくわかっていないのでメインステージの中央をセンターステージ、花道で繋がる浮島をセンターブロックと表記しています

朗読劇『人間失格・紅』感想

 スタッフ

【脚本・演出】吉田武寛 【原作】太宰治

【音楽監修」小山豊 【音楽アレンジ】小山豊、広田圭美

【衣装】キサブロー『FOGHORN』 【ヘアメイク】earch

 

 キャスト(Aチーム)

【大庭葉蔵】河内美里

【ヨシ子】岩田陽葵 【シヅ子】倉知玲鳳

【ツネ子】加藤里保菜 【シゲ子・竹一】中村和泉(SKE48

【堀木】熊崎晴香SKE48) 【マダム】新田恵海

【ヒラメ・父親】難波圭一(声の出演)

 

津軽三味線川嶋志乃舞【尺八】辻本好美【key】広田圭美

 

 配信にて鑑賞。

 

 全員女性で演じる朗読劇。

 朗読劇には「役者が動くタイプ」と「役者が動かないタイプ」とがあって、それと例えば『女神降臨』では共演者が語ってましたが「動かないタイプの劇だったのに主演の小泉萌香さんが「ステージが勿体ない」と動き続け、共演者たちが感化されて少し動きをつけていった(演出家はもう小泉さんに任せた)」なんてパターンもあるそうですが、

 本作はガッツリと動くタイプの朗読劇。

 それも演奏者が陰に隠れるような、かなり立体的なセットの上で。

 すると「葉蔵」に対して「女(世界)」が取り囲み、相対し、そこに時折波紋としての葉蔵の写し鏡「堀木」が不意に闖入してくる効果を高め、原作がより立体的に理解できてくる。

 

 「やさぐれた男の色香」を放つ河内美里の説得力が完全にすべてに勝る劇であり、また結論としてそれこそが原作へのアンサーともなっていましたが、ツネ子、ヨシ子、マダム、それぞれのダメンズに引っかかる女性像の違いも現実味を帯びて見えてきて流石でした。

 

 『人間失格』の構造は、人間としての不自然さを身にまとい偽りの「世間」を演じる社会の非人間性や韜晦のいやらしさを、より人間らしい自虐や諧謔を纏った葉蔵が逆説的に暴き出し、我こそが真に人間らしいのだと宣言していく卑屈なようで傲慢な美学を纏っていると思うのですが。

 本作はそれよりは太宰が性差で分別して畏怖し続ける、社会を越えた世界の得体のしれない距離感、それを託した「女性性」というものへの意識を、役者たちが女性であることで解体していく、そしてあのオリジナルなラストに帰結するという解釈で再ビルディングしたものと受け取りました。

 今の社会を討つにあたって、前者の醍醐味は霧散して(左翼活動のシュプレヒコールの流石に子供が書いたのかみたいなワードチョイスは萎えた)、後者の目論見も最後にやっと理解ってくるといった薄弱さで、ややどっちつかずではあったかと思う。

 その上で、ともかくキャストが放つ退廃的ダダイズムの空気、それらを最大限引き立てる美術と演奏の効果。 

 もう感想は一つで・・・・・・飛行船シアターで観たかった・・・・・・

 

 河内美里と岩田陽葵の並び、二人が纏う赤、これを客席から小泉萌香が見ていた事実、それだけでもう十分お釣りはくるのです。

 

 余談ながら『舞台DOLL』を新田恵海さんの一つ前の席で観劇する(しかもこの二列合わせても周囲には他に一人しかないというウソみたいな時間)という希少な機会を得ていたので、本作ではるちゃんと「初」合流してるというのなんか嬉しかったですね。俺のが一歩早かったんですけど~っていう得意な気持ち。

 そして倉知玲鳳さんのバイブレイヤーとしての汎用性の高さ!