2020年、コロナ禍のロックダウンで二ヶ月間映画館へ足を運べない日が続いたにも関わらず、振り返れば劇場鑑賞作品ちょうど100タイトルもありました(『FateHFⅢ』と『2分の1の魔法』は二度観賞してるので、回数だけなら102回 ).
これは個人的に例年より多い数字.
大作映画の公開延期が相次ぎ、普段ならミニシアターまで足を運ばないと観賞できない、どころか、ものによってはビデオスルーされるかどうかも怪しいマイナーなタイトルがスクリーンの穴埋めに大量に輸入され、ほとんど闇鍋気分で知らない映画に身を委ねる新しい映画体験を出来たと思います.
イオンシネマのワンデーフリーパスポートを存外活用出来たのも功を奏しました.利用する前は一日何本も映画見れないよと思うのですが、当日いざ購入してみると不思議と楽しくなって何本でも観れてしまうのです.再び施行される日があれば皆さんも是非ご利用してみて下さい.
観賞した100タイトルの概観としては、月並ですが「バラエティ豊か」.決して水準が高いとは言えない、と言うかハリウッドという中心線が抜けたことでむしろ水準が存在しない無秩序な表現がただ「映画」という枠組みに無理やり収まっているだけに過ぎず、実際は広大な宇宙にてんでバラバラに点在している印象です.
ベストを選ぼうにもそれぞれ体験のベクトルがバラバラ過ぎて同じ評価軸を持ちようがないので、単に10本選ぶよりも簡易であれ個別に感想つけて記録しておこうと思いました.
細かい数字よりも、大まかな4ブロックで別れています.
実質1位から4位までですね.
1位~50位 = ベスト.全部1位!
51位~70位 = 普通に楽しめました.
71位~90位 = 一長一短アリ.
91位~100位 = ごめんなさいワーストです.
1位~50位 = ベスト.全部1位!
1位.透明人間
真相がわかるまでのあの怖さ.真相がわかってからの「あああそうくる」という感動.
そこから先の展開の読めなさ.事態が動くときの昂揚感.
何より全編を覆う撮影、演技、音響の一体感.ありがとう.
2位.鵞鳥湖の夜
映画の世界に迷い込み、耽溺し、酩酊する魅惑.
鵞鳥瑚に惚れ込みながらもロケ地の距離的に鵞鳥瑚での撮影が不可能だとわかったので武漢市を鵞鳥瑚に見立てて撮った、という本末転倒なメイキング秘話を知ると、よりこの世界のいかがわしい見世物感が増す.
そしてそこにはもう帰れないのだ.行きたくもないあんな恐ろしい場所なのに、その世界は時代の趨勢の影に消されていくだろう.そのことがうら寂しく、けれど新しく開かれた世界が女性達を出迎える.
3位.薬の神じゃない!
くすぶっている駄目人間たちが、私欲の延長上で社会正義を成す.そのリアリティと娯楽性のバランス.本作は中国映画だが、ここ十数年間韓国映画が得意としていた部分を、ひと味変えてより地に足をつけた描写力で、そして非常に高い完成度で魅せる.
カタルシスだけで全てを浄化出来ないくらい現実に則したしんどさも刻まれていくだけに、最後のロマンチックな飛躍で涙腺を刺激されてしまう.顔に人生刻まれた俳優陣といい、総じてレベルが高い.
4位.ナイブズアウト/名探偵と刃の館の秘密
『スター・ウォーズ』から解き放たれたライアン・ジョンソンが、自身の大好きな古典的ミステリーに映画の形で挑戦し、ちゃんと良く出来た王道ミステリーとして成立している.当たり前に完成しているので当たり前に受け止めてしまうけれど、この王道っぷりは異常なレベルでは.100年前からある古典かのように堂々振舞っている.それでいて正に現在の話にもなる.完成度もさることながら、その心意気に感動してしまう.
彼のフィルモグラフィでもここまで何からも逃げなかったのは初めてではないか.
5位.新喜劇王
久々に観たチャウ・シンチー作品.香港映画界の系譜の意地.合間合間に知らないオッサンの女装コントを延々と見せつけられつつ、ここまで一本の映画で喜怒哀楽の振り幅を描くことが出来るのかと驚愕する.明らかに昨年映画館で一番感情を弄ばれた映画.ネタバレなしで見て欲しい.
6位.ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(MX4D上映)
人生で最も劇場で鑑賞し、恐らく映画史でもっともアトラクション型を極めた作品が、文字通りのアトラクションに進化して帰ってきた.噴水と煙つきのスターツアーズ.エヴァのコックピットに揺られて、確かに使徒と戦ったんですよ! 俺が! 同じ劇場にいたみんなと! そしてその臨場感を持続させる為、ショットの連鎖が、音が、舞台の構造が、劇伴のタイミングが、台詞の抑揚までもが、如何に緻密に構成されているか.改めて吃驚する.
7位.サヨナラまでの30分
『37セカンズ』と合わせて、技術的な面に於いて日本映画にまとわりつく見えない壁を打破したエポックメイキングな一作.それでいてここ十年ほどの日本映画史を(アニメ/実写問わず)引き連れていて、「過去の記憶を引き連れている」ということ自体がカセットテープの両面を描くテーマとも重なる.心に爽やかな一陣の風が抜けていった.
8位.囚われた国家
綺麗なラストシーンへ向けて一直線に向かっている物語なのだけど、個人的にはそのラストシーンは無くても構わない.宇宙人の支配が進行する街の片隅で反逆者たちが殺風景の中を移動していく、その映像の移ろいそのものに心地良く鼓舞される.「経過」こそが素晴らしい一作.
二ヶ月ぶりに劇場鑑賞した映画が本作で本当に良かった.
9位.青くて痛くて脆い
あまりに卑小な大学生の自意識の問題を、あたかもスパイ映画か何かのように大胆に演出されて訳のわからない笑いが止まらない、2020年最大の大穴作品.「ここ」に焦点を当てて映画として、それもエンタメ映画として成立させるという奇跡.誰か個人の野心によるというより、偶々生まれた快作なんじゃないかと思う.これだけ多彩な映画を観賞出来た年に本作をそんな評価して良いのかと迷うのだけど、横断歩道のクレーンショットが決まっていることが最後の一押しとなってまぁいいかとほだされた.
キミスイの原作者が徹底した自己批判してる話にも見えて、しつこいようだけど俺ガイル終盤が忘れてしまった魂があったので感動してしまった 唯一ダメなのはまだ自意識が残ってる気取ったタイトルで、厳密には『ダサくて痛くて恥ずい』って感じの内容だった
— 鈴木ピク (@pumpkin_crack) 2020年9月20日
10位.ティーン・スピリット
こちらは『青くて痛くて脆い』と違って決め手となるショットさえ特になく、ドラマはキャラメルとかを包んである食べられる紙よりよっぽど薄い.ついでに画面が暗くて何が映ってるのかもよくわからない.褒められる箇所なんて何一つ無いと言っても過言ではない.
それでもこの映画、ただ一点「ティーンのスピリット」だけは全編に投影されていた.こんな風に不安で朧気に世界が見えていることは確かにあると共感し没入出来たので、忘れられない一本.「青くて痛くて脆い」はむしろ本作の為にある言葉では.
11位.ストックホルム・ケース
映画を観る、映画と共犯関係になるということ.
12位.ひつじのショーン UFOフィーバー!
台詞など無く、パロディだらけなのにこの完成度.
13位.空に住む
マンションポエムの文句なき具現化.青山真治最高傑作.
14位.レ・ミゼラブル
ドローンがこんなに印象に残る映画もなく、この魔境「団地」は世界中に溢れている.
15位.思い、思われ、ふり、ふられ(実写)
典型的な少女マンガであり乍ら、撮影ひとつでここまで多くの陰影が浮かび上がる.
16位.スパイの妻
切り上げ時は間違っている気がするが、そこまでの切れ味は完璧.
17位.ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
「過去であり現在である」という主題が今の流行りだとして、その最高峰.
18位.魔女見習いをさがして
アニメ映画では珍しい、どこに連れて行かれているのかわからない変な話術.
19位.劇場版ポケットモンスター ココ
運動によって画面を誘うのだという原理主義的な意思による脚本の小さな手間暇が一貫してて凄い.
20位.フォードVSフェラーリ
ノスタルジィが過ぎる気もするが、存在しない郷愁を植え付けられて抗えない.
21位.ブラッドショット
時期が功を奏してULTIRA環境で観賞出来たのだけれど、普段何気なく流し見しているB級映画とは、環境さえ整えば実は凄い傑作だらけなのではという発見をくれた.
22位.レイニーデイ・イン・ニューヨーク
いつものように小粋でこじんまりしたウディ・アレンでありながら、何か残る印象が違って見えたのはコロナ禍だからか.しかし緑が鮮やか.
23位.ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(MX4D上映)
ヤシマ作戦をピークにして、ずっとコースターに運ばれて運ばれて最後に滑降する、まるで最初から4D体験の為に作られていたんじゃないかと錯覚してしまう.
24位.少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド
総集編.だけど凡百の劇場版アニメより余ほど「映画を観ている」快感があった.
25位.風の谷のナウシカ
劇場初観賞.前シーンの反転攻勢だけで紡がれる流れ.宮崎駿の天才ぶりを改めて.
26位.はちどり
鑑賞中はどうにも画角が小さい気がしていたが、振り返ると余りに巨大な印象が残る.
27位.パラサイト 半地下の家族
瞬間的な沸点で言えば2020年最大級の面白さ.ただ終盤はポン・ジュノの手垢が目立つ.
28位.ムルゲ 王朝の怪物
歴史劇+怪獣映画という珍しいジャンルをこうも軽快に乗りこなせる地肩の強さ.
29位.2分の1の魔法
2020年もっとも美しいクライマックス.ピクサーの「スカし」の美学の頂点.
30位.映画 クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者たち
水島努降板以降で初めて黄金期に比肩しうるところまで持ってきた快作.
31位.37セカンズ
後半の展開で物凄い疑問点が一個浮かんだのがノイズだけど、でもエポック.
32位.わたしは金正男を殺してない
己の無邪気と無知を糾弾されたような気がして忘れられない.
33位.Mank/マンク
依然フィンチャーは絶好調.にも関わらずこの順位という豊作ぶりです.
34位.シチリアーノ 裏切りの美学
死者カウントテロップと刑務所融合型裁判所.大巨匠の映画なのに発明だらけ.
35位.悪人伝
バイオレンスとアクションを駆動させる為だけに全てが淀みなく機能する.
36位.劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel. Ⅲ spring song
絵としては単調になりがちな展開に空間の構造的緩急で視線を誘導する創意工夫.
37位.ジョゼと虎と魚たち
全てのセクションが自分にとって心地良い「理想の邦画」を描いてくれた.
38位.滑走路
希望と絶望と未来と過去がワンショットに収まる、そしてはみ出していくラストショット.停止ボタンは絶対に押せない映画館と、人間の目が二つしかないことが、こんなにも残酷に思えたことはない.
39位.エクストリーム・ジョブ
観客の人情への共感を誘う大衆娯楽映画として昨年度屈指の出来.愛おしい.
40位.リチャード・ジュエル
イーストウッド以外に誰がこの主人公をここまでスリリングに切り取れるのか.
41位.his
映画的快楽を奪われた法廷という場が痛ましく胸に残る.
42位.犬鳴村
怖くは無いが、Jホラーのアドベンチャー的興味を大いに満たしてくれる.
43位.ルース・エドガー
白黒つけない作りはズルいとも思いつつ、あまりに時代と合致してしまった.
44位.SKIN/スキン
覗いてみよう、極右の生活.一度逃げ出せば地獄が待っている.
45位.ドミノ 復讐の咆吼
巨匠の巨匠たる個性がただのトンデモにしか見えない哀れと滑稽さ.だが愉しい.
46位.ザ・ピーナッツバターファルコン
「あの人」が会っていきなり自分の役割を汲んでくれた瞬間に涙腺ドバー.
47位.カラー・アウト・オブ・スペースー遭遇ー
意味もなく、全てがぐっちゃぐちゃになって終焉を迎える.這い寄るニャル子さん.
48位.羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来(吹替版)
字幕版を昨年観てるので新味は薄いが、しかし複雑な余韻は増した.
49位.ファヒム パリが見た奇跡
特別なことは何もしてない、ただ良い映画.そして善き人の映画.
50位.パリのどこかで、あなたと
映画を「見守る」という映画.相対するのではなく、寄り添う映画の形.
51位~70位 = 普通に楽しめました.
○ストレイ・ドッグ
無骨で愛想の無い映画があってもいい.そうだろう? 時を戻そう.
○ワンダーウーマン1984
現実に負けないくらい映画もしっちゃかめっちゃかになってくれる嬉しさ.
○思い、思われ、ふり、ふられ(アニメ)
ズバ抜けた要素は無いが、欠点も何も無いのだ.
○WAVES/ウェイブス
なんか小バカにされ過ぎてて「え、これそんな駄目…?」って少し落ち込んだ…
○劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン
話の陳腐さに引いた腰が、凄い美術が提示されるその都度にそちらの世界に引き戻される、の攻防を2時間繰り返されて結構圧倒された.
○ミッドサマー
確かに観光映画だと思う.『ヘレディタリー/継承』を観た人を、その先の世界へと案内している観光映画.
○ロマンスドール
年の初めに観たのであまり覚えていないが、良かったことだけは覚えている.題材で叩かれているのは流石に違うだろうと思った.
○1917 命をかけた伝令
行き過ぎた長回しはゲーム観てる気分になっちゃうところはあります.
○ジョジョ・ラビット
タイカ・ワイティティは好きなのだが、軽さを活かす為の重さとのギャップが演出上弱いような気はした.
○劇場版 SHIROBAKO
反復と差異はわかるが、TVシリーズとまるで違う事が起こって欲しかったし、TVシリーズの頃からそうなんだけど劇中作られるアニメにあまり興味が沸かない.『限界集落過疎娘』が観たかったなぁ.
○TENET/テネット
公開してくれた事、挑戦してくれた事が嬉しい.
○ブラック&ブルー
出来は良くない.演出も稚拙.けれど推し.そんなアイドルみたいな作品.
○ライド・ライク・ア・ガール
「淀みない」は褒め言葉にもなる一方、どこかで淀んで欲しかったとも.しかし女性映画の快作としてもっと評判になっても良かったのでは???
○ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー
アメリカンコメディチームの流れが途絶えずアップデートまでされている歓び.ただ個人的にそこまで爆笑するポイントが無かったのはコメディとして弱いかなと.
「タイムループを起こす黒幕の正体」がアイデア賞モノだし、幼児向けと捉えると最善の出来かも知れない.昨年のプリキュア映画が凄まじい傑作だったので評価控えめ.
○この世界の(さらにいくつもの)片隅に
確かにこの挿話も映画で観たいとは思っていた.でも構成はオリジナルの方がスマートだったりするので難しい.
○ACCA 13区監察課 Regards
あまりにお洒落なタッチが続くので無の心で観て、無の心になり過ぎた.
新しい発見が無さ過ぎた.大傑作ですが.
○ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
311の記憶生々しい2012年観賞時の余韻はもう味わえないのだなという発見.でも本当に好きな心の一作です.
71位~90位 = 一長一短アリ.
○ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!
いや最高ですよ.恐らく宇宙イチ幸せなラスト.
○事故物件 恐い間取り
映画なのにバラエティ番組のような、バラエティ番組なのに映画のような.
○FUNAN フナン
重たい史実を重たい史実のまま提示される意義と物足りなさと.
○マルモイ ことばあつめ
日本人として真摯に受け止めるべき題材.だが演出に後一歩のエッジが欲しい.
○パブリック 図書館の奇跡
これまたとても意義深い映画.なのだけど演出にあと一歩のエッジが(ry
○どうにかなる日々
映画として何か感想を抱くにはやはり何か足りていない印象.
○15年後のラブソング
とても緩くて印象に残らないが、それが欠点とも感じないのでズルい.
○mellow
田中圭とともさかりえとのやりとりだけで最高.可愛いだけで出来ている.
○劇場版 ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌
やー。。。。。。っと、見返すことが出来た嬉しみ。。。。。。(>_<)
○ようこそ映画音響の世界へ
トリビアとしては面白いが、それは映画なのだろうか
○ボルケーノ・パーク
素晴らしく中身が無くて好きです.
○ラストレター
緩慢だが、庵野秀明の出番さえ霞む「あの二人」の使い方、そして校舎のシークエンスは強烈.
○ディック・ロングはなぜ死んだのか?
悪意によって作られてある、ベストに選ばれることを拒否してる作品.
○コンフィデンスマンJP プリンセス編
前半、なんなら中盤の終わりくらいまでも確かに面白かったんですよ.
○宇宙でいちばんあかるい屋根
丁寧だけれど、何も刺さらなかった.でも振り返ると印象的な絵は確かにある.
○バッドボーイズ フォー・ライフ
彼岸の匂いがする不思議なフィルムだった.
○ジェクシー! スマホを変えただけなのに
明らかにここから盛り上がる、という部分で切り上げる謎.
○ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY
ハーレイ・クインは最高にキュートなので他には何も要らないけれど.
○アルプススタンドのはしの方
体育会系的マチズモにすべて回収されていくようで、居心地が悪かった.
○キャッツ
『レ・ミゼラブル('12)』よりは面白かった.
全体に「線が細い」という感がありましたね.
○俺たち替玉ブラザーズ!
ヴェトナムコメディに対する免疫が無かったので刺激的でした.
91位~100位 = ごめんなさいワーストです.
91位.キルバード 森に潜む反逆者
俺の理解力が足りないのか映画がサービス不足なのか.いや悪い出来ではない.でも消化不良感がハンパなかった.
92位.魔女がいっぱい
後半は好きなんですけど、前半ちょっと枯れ過ぎてやしないか.
93位.リトル・ジョー
やりたいことはわかる.でもこれは流石に寝る.
94位.ランボー ラスト・ブラッド
『エイリアン3』的な意味でなら楽しめるけれど、そんなにハードル下げたくなかった.
95位.デッド・ドント・ダイ
これが全国シネコンでかかったあの異常な週は忘れない.1位とか取らなかったっけ.死者が撮った、映画のフリをした亡霊が、亡霊と化した地球でかかっている.まるで人類が映画に乗っ取られたような… ただそれが例えば『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』であったなら詩的で素敵ですけど、本作は流石に…
ジャームッシュならなんでも許すと思うなよ.
97位.劇場版 鬼滅の刃 無限列車編
逆張りと思われそうで嫌なんですけど、大ヒットは本当に喜ばしいことだと思うんですけど、それでも原作の印象を塗り替える瞬間が最後まで一度も現れなかった.映画と相対したいのに、全てが目の前を素通りしていくようなもどかしさ.いや、あったはあった.石田彰の声がした瞬間.石田彰の一声に2時間のアニメが負けるんですよ.それは駄目でしょうと.
ufotableの勝負はここからだ.
98位.劇場版 Fate/Grand Order 神聖円卓領域キャメロット 前篇 Wandering;Agateram
俺の頭の中のFGOはこんな退屈じゃないので. 演出家にはやっぱり「嘘をつく」「ハッタリをかます」度胸が欲しい.
99位.アンチ・グラビティ
人生初めての映画館貸し切り体験をした思い出の一作なのでお気に入りです.
つまり、99位まではワーストと言いつつ観て良かった映画なのです.
100位.風の電話
自分の体調が最悪だったという特殊条件も合わさってのことですが、個人的に心底嫌いだと感じた一本.洒落臭いシネフィル的リテラシー、現実の悲劇の上にあるドキュメンタリズムも人質にしつつ、説明臭さも説教臭さも辛気くささも持ち合わせる.
誠実なツラした傲慢な映画だと感じました(そこまで言うほどなのかどうかは疑問になってきましたが、観賞時の不愉快さが今も消えない).
シネフィルが「映画らしさ」を甘やかしていくとこういう映画が生まれるという事は肝に銘じていこうと思いました.
そういう因縁の映画と出会えることも、結局楽しいんですけどね.
自宅鑑賞映画ベストは以下の感じ.今年は劇場鑑賞作品に絞ってベストを汲みましたが、そろそろ配信映画もベストに数えて良いのかも知れない.
#2020年映画ベスト10
— 鈴木ピク (@pumpkin_crack) 2020年12月30日
自宅鑑賞 NETFLIX篇
①ルディ・レイ・ムーア
②その住人たちは
③アースクエイクバード
④ロストガールズ
⑤トリプル・フロンティア
⑥シカゴ7裁判
⑦エノーラ・ホームズの事件簿
⑧ザ・ファイブブラッズ
⑨獣の住む家
⑩スペクトル
ネトフリは良作を埋もれさせるな
#2020年映画ベスト10
— 鈴木ピク (@pumpkin_crack) 2020年12月30日
自宅鑑賞 ベスト20(1/2)
①フライトナイト
②オーマイゴッド ~神への訴状~
③呪われの橋
④マザーレス・ブルックリン
⑤花に嵐
⑥キョンシー
⑦クロール ー凶暴領域ー
⑧ホワイトボイス
⑨ウォールフラワー
⑩わたしは、ダニエル・ブレイク
#2020年映画ベスト10
— 鈴木ピク (@pumpkin_crack) 2020年12月30日
自宅鑑賞 ベスト20(2/2)
⑪バリー・シール/アメリカをハメた男
⑫ザ・スクエア 思いやりの聖域
⑬ウインド・リバー
⑭シシリアン・ゴースト・ストーリー
⑮エル・クラン
⑯響 ーHIBIKI
⑰ドゥ・ザ・ライトシング
⑱ショート・ターム
⑲ドント・ウォーリー
⑳7500
似たようなドンパチ映画やアメコミ映画を並べる訳でもなく、本当に多彩な映画の記憶に思いを馳せることが出来て大変楽しかったです.
「映画ファンとしては」皮肉にもとても楽しい年だった.それは否めないことは記録として留めておこうかと思います.