今年、映画館で鑑賞した全映画にランキングを付け、特に見返したりはせず現在感じる印象のまま、一言ずつコメントを付けました。意外とハード。けれど一年間の振り返りとして楽しかったです。
まずベストが「TOP10」なんかでは片付けられない現在の映画の多様性を自分で再発見出来たこと、良く出来てると思ってる作品と瑕疵も含めて単純に好きな作品との順位のズレの理由が自明のものになっていく作業であること、などなど。
「ベストから順に選ぶのではなく、観た順に上か下かに置いていく」作業の果てに完成したランキングなので、自分の作為や自意識と距離を置けたことも、結果良いやり口だったなと納得いっています。
それでは一位から。繰り返し、ベストは10本じゃ到底収まりませんでした。
第1位.古川知宏『劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト』(日本)
劇場鑑賞回数7回、鑑賞利用劇場4館(現時点)。
初見時の評価よりも、再見を重ねて評価を高めていった作品なので卑怯ではあるんですけど、見れば見るほど「今までとまったく違う映画体験」をしているという確信が強固になっていったので揺るぎなく一位に。それは映画のスタイルもそうだし、こちらの受け止め方も含めて(画面に映ってるものをどこまで具象と捉えるか等)、
本作との出会い以前/以降で明らかに価値観、物事の優先順位や普段行っている作業の意味づけ、等々が変わってしまったので、だから公開後一年足らずでそもそも評価やランク付けすら無意味です。
この映画が自分にとってなんだったのか、それが理解るのはまだまだ先である予感がしています。
評論したりランキング付けたくらいで作品を消化できた気にならないほうがいいと思うよ。
映画を観て感じて、それでもうまく消化出来なかった、言語化出来なかった想いを胚にそっと溜めて抱えて、共に生きていきましょう。
第2位.カーロ・ミラベラ=デイヴィス『Swallow/スワロウ』(アメリカ)
昨年ダントツベストの『透明人間』とほぼ同様の位置にある個人的ベストで、まさかの二年連続で同じような印象の傑作と出会ってしまったという体験から、より自分の中で特殊な存在となりました。ジャンルは違うんですけど、双子のような映画だなと。今もなんだか狐につままれたような気分。それにしてもあんなエンドロールありますか。完全に生活がこの映画の一部になってしまった。
第3位.ガイ・リッチー『キャッシュトラック』(アメリカ、イギリス)
ここにきてガイ・リッチーで一番好きな作品と出会えるとはという。恐らく本作の狙いの面白さはほぼほぼオリジナル版『ブルー・レクイエム』にあり、主演ステイサムや強盗役ポスト・マローンの起用などガイ・リッチーがどこまで本気で硬派やろうとしてるのか怪しいのですが、奇跡的に全てが噛み合ったような。
人物の背後、首から少し上くらいの目線での撮影がともかく快感。
というか、これ3位か? と上記した手法でのランキング作成後自分で一番ビックリした作品です。気が合ったとしか良いようがない。俺とこの映画とはマブです。
第4位.エドガー・ライト『ラストナイト・イン・ソーホー』(イギリス)
アトラクション型の映画が持つ耽溺の魅惑/その耽溺そのものが勝手に美化した過去の亡霊の襲撃。美/醜が混在する幻影と溶け合って、過去は今であり、忘れてはならない痛みを負って生きていくのだとする。過去を描く映画の矜持として全く正しいし、それでも痛ましいはずのスウィンギン・ロンドンの音楽、ダンス、美しい女優の競演はたまらなく好みでした。
『ベイビー・ドライバー』に比べると完成度は後退してると思うんですけどね。ハッキリと弱点も多々見受けられながら抗えない、そういう類いのベスト。
これも映画監督としての技量は疑っているジョン・M・チュウのMTV的素質がミュージカルという題材と完全にマッチして嬉しい一本。
冒頭から示される構成が「つまり、こういうこと」だったら嬉しいなぁと思ってたら本当にそうだった時に泣きそうになりましたよ。
実写とアニメの融合で描くドタバタコメディ。映画の、活劇のリズムが溢れていて、観ている間の多幸感が尋常じゃなかったです。
第7位.フローリアン・ゼレール『ファーザー』(イギリス・フランス)
認知症患者の主観で世界の全てが歪んでいく、最悪のアトラクション型映画。
それでも多かれ少なかれ、このような違和感を抱えながら生きているのが人間だと思うし、「人間の眼はカメラのようには世界を観ていない」と言ったのは宮崎駿でしたが、本作は人間の知覚する世界に映画が近づいた点でも画期的。
第8位.ヤスミラ・ジュバニッチ『アイダよ、何処へ?』(オランダ、オーストリア、トルコ、ドイツ、ノルウェー、フランス、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、ルーマニア)
今、正に目の前で大量の暴力が行われているという狂気に、日常の延長上で誘う一作。政治だったり権力だったり軍隊だったりが振るう暴力とはこんなにも身近に、卑近に存在しうるということを皮膚感覚で記憶していくこと。過去あまりに盛大に間違えた民族でもある私たちが、そして今後また間違えたとしても結局指をくわえて見ているだけである可能性のとても大きな私たちが、映画を通して向き合いたい一本。
あまりに余韻が痛ましいが、「行き場のない大多数の人々の中で甚大なプレッシャーと恐怖にさらされ、孤独の中で走り続ける」アイダの悪夢のような不安感を纏った活劇としても、不謹慎ながら「面白い」のが凄いです。
第9位.村瀬修功『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(日本)
これも『キャッシュトラック』同様カメラ位置があまりに感動的な臨場感を誘う。本当にあの夜、ダバオでテロに巻き込まれた気がする。そういう邦画に出会いたいと思っていたら、まさかガンダムで出会うなんて!
第10位.ジェームズ・ワン『マリグナント 狂暴な悪夢』(アメリカ)
ホラー史をグッと凝縮させて、けれど凝縮したことがミスリードにもなって、激しい展開にちょっとずつ気持ち良く裏切られ、最後には大爆笑のスプラッターカーニバルへ。綿密な計算のもとに作られている筈なのに、どこまでも自由に感じられました。
11位.イライザ・ヒットマン『17歳の瞳に映る世界』(アメリカ、イギリス)
観ている間はより撮影に凝ったダルデンヌ兄弟というか被写体に寄り添い過ぎる気もしたのですが、自分が実際に映画の世界に放り込まれて主人公と同じ不安を感じた気がする点で『アイダよ、何処へ?』と並んで圧巻の二強でした。どちらも現実に存在する、今も世界のどこかで誰かが抱いている不安。それを映画館の暗闇の中で仮初めにも共有する価値は、たしかに。それにしてもこんな風にニューヨークの風景を捉えられるイライザの、現代映画との距離の置き方は稀少。
12位.リドリー・スコット『最後の決闘裁判』(イギリス、アメリカ)
14世紀イギリスの野蛮な世界を、粗野なんだか的確なんだかわからないが勢いよく飛び込んでくるショットで浴びる愉しさがあり、その中で軽んじられる女性の心身共の苦痛を突きつけられる若干のマッチポンプ感含む悪意と向き合わされる。
上手くいえないけれど「視点の切り替えで大した変化が無い」という部分こそがミソのような気がしたんですよね、本作の持つ映画的快楽の。そして本作が持つ映画的快楽はやっぱり本作のテーマと相反していないかという後ろめたさも含めて、薄暗い愛着を抱きました。
13位.カルロス・ロペス・エストラーダ、ドン・ホール『ラーヤと龍の王国』(アメリカ)
『アクアマン』さえまだ長いと感じるくらい、少年マンガの始まりから終わりまでを短い映画に凝縮してしまったようなアクション・ファンタジーの語りの、而して流れるような凝縮っぷり。そこに勿論一級のアクションシークエンスの身のこなしの愉しさがあり、思うところ多々(多々)ある会社ながらディズニーの底力で屈服させられました。
14位.チェ・ユンテ『野球少女』(韓国)
どちらかというと苦手としている、生活の匂いがべっとり染みついた地味な映画ではあるんですけど、だからこそその重力が宿った世界で、飛躍……ではなく、重力をまとったまま何かが動いた、と感じさせる瞬間の感慨がとても強かった作品。それはカタルシスのような現実逃避じみた爆発ではなく、あくまで重力の内にある達成であったことが現実と地続きの勇気をくれます。
15位.チェン・ユーシュン『1秒先の彼女』(台湾)
倫理感的にグレーだし、前半の軽すぎる手作りなノリもやや時代がかってる気がして戸惑いも覚えたのですが、いざ今年の映画を振り返ってみると、後半訪れた「あの時間」の、本当に映画館の外まで時間が停まってしまった気がする不思議なマジックは忘れられませんでした。
16位.吉浦康裕『アイの歌声を聴かせて』(日本)
大河内一楼の手によるのか、今ひとつ「劇場版アニメの定型」みたいな枠に収まったキャラ達や全体像が新味を削るのが難ながら、しかしその中心に据えたAIのギミック、それも言葉ではほぼ触れていないSF的な強固さから振り返ると、その劇場版アニメ的な型とは違う、もう一つの古典的なSFの「型」が浮かび上がる。二重の型の重なった瞬間に、「理屈の通った現実的ミュージカル」という飛躍が一本まっすぐ走る。初見時より再見時、振り返れば振り返るほど「いや、よく出来た映画だ」という感心がわき起こる一作。今年、どんな声優の声より一番印象に残った声は間違いなくシオン=土屋太鳳でした。
17位.ポール・W・S・アンダーソン『モンスターハンター』(アメリカ・日本・中国・ドイツ)
恐るべき一本調子。主演の奥さんを輝かせる為だけに映画を撮り続け、自分の才能さえ殺してきたかに見えたポールが、ここにきて(やはり奥さんの為に)新しい扉を開いて、それをやりきっている。ポスト『怒りのデス・ロード』としても筆頭に上がるのではないかと思う野心作です。
18位.岨手由貴子『あのこは貴族』(日本)
丁寧な手つきが生み出す映画の空気感として今年最良だったと思う一本。だからといって誰にも優しくなくて良いというか、評判の良いラストシーンは余計だった気がするのだけど、しかし今振り返っても印象の中で抗いがたいふわっふわした空気感が充満している。でもその空気は同時に、鋭く尖っているのです。
同じく丁寧な手つきで生み出す、斜めの角度からの、しかし紛れもないアメリカの風景。尖っているには至らないけれど、映像に託した語りの寡黙さ/饒舌さの塩梅が心地良い。どんな展開を、台詞に頼らずどんなテンポの映像で連ねて綴ったか、今でも明瞭に思い出せるショットの数々。
20位.デリック・ボルテ『アオラレ』(アメリカ)
余すところなく完璧に面白いが故に余韻も何も無かったし特に記憶に残ってないのだと思う。ということで、よく思い出せないけど「超面白かった」ことだけは覚えています。ありがとうございました。
21位.濱口竜介『偶然と想像』(日本)
一話目、二話目はそれでも技巧的な計算や緻密さも感じられるのだけど、三話目にいたっては本当に「偶々撮られてしまった奇跡」に、こちらもまた当事者として遭遇してしまったような驚きに満ちていて、中編映画でこんな余韻を与えられるのかと打ち震えておりました。今もまだ震えています。何も知らずに見て欲しい。
22位.横浜聡子『いとみち』(日本)
地方映画の類型に、現代邦画屈指の奇才が挑んで、王道の傑作が生まれるという稀有な例。素朴で可愛いこの映画の凄みをまだ味わいきれていない気がします。
23位.ブライアン・カーク『21ブリッジ』(アメリカ・中国)
ラストが蛇足というか既視感があったのか惜しくも、『ザ・ファイブブラッズ』『マ・レイニーのブラックボトム』と晩年ひたすら良作に出続けたチャドウィック・ボーズマンがアクションでも決して一過性の凡作ではない力作を(プロデュースもして)遺してくれた点、感謝しかないですよ。とても好きなアクションでした。
24位.クロエ・ジャオ『エターナルズ』(アメリカ)
器用なインディーズ映画でもっと完成度高いものが作れるとわかってる人が、自分のオタク知識を総動員してとんでもないスケールの映画に、しかし自身の個性も一切消さずに挑んでいる、という点がワクワクしました。今年のMCUでは他と比較できないくらい好き。
25位.ジェームズ・ガン『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、終結』(アメリカ)
ではDCEUからはこっちだ、という。ひたすら楽しかった。どちらもユニバースのくびきから解放されたところまで自ら企画を持ち上げて映画をコントロールしている、という頼もしさがありました。
今年見た映画でもっとも「最初から最後まで気持ち良い」という意味でベストなんですけれど、映画ってこんなに気持ち良いだけで作られていいんだっけ? という変な引っかかりがありました。『エターナルズ』の冒険を支持します。
27位.loundraw『サマーゴースト』(日本)
新海誠フォロワーではあるだろうけど、根本的に「時間」の捉え方がまったく違うし、その時間をアニメで再現する上で節約術さえ上手くいっているという、低予算映画だけが生み出せる奇跡のような瑞々しさがありました。何も不足はない。これぞ本作にとって理想の形だったはず。
28位.ベニー・チャン『レイジング・ファイア』(香港)
ベタなドラマ(しかし構成上の配置が奇妙)とソリッドなアクションと組織の暗部。香港映画の記憶を全部無理矢理詰め込みながら、ドニー・イェンとニコラス・ツェーの肉体に託してどんどん突き進んでいく。ダサイけど好き、でもこんなに格好良い映画も他に無いだろうと思うのです。
29位.今泉力哉『街の上で』(日本)
凄い好きな映画だし、ちょっと順位低くないか? とは思うんだけど、どうしても「映画の切り上げ時が悪い」気がしてずるずると評価が下がってしまった一作。今泉監督にあと一歩「切れ味」が加われば世界トップクラスの人になれる、はず。
30位.高橋渉『映画 クレヨンしんちゃん 謎メキ! 花の天カス学園』(日本)
「これだけハイレベルな脚本を得てもピーク時のクレしん映画のアニメーションには至らないのか」という、興奮と失望とで大混乱しました。ともすると嫌味になりがちな「青春賛歌」を全人類を包括するような価値観で肯定してしまう。それも物語とアニメーションの力両方をフルに発揮して、クレしんの永遠の幼稚園児達ならではのモラトリアムを使って。
31位.マイケル・チャベス『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』(アメリカ)
『マリグナント』が無かったら多分余裕でTOP10入っただろうな、くらいに楽しかったです。
あらゆる意味で「ポップコーンムービー」に人生の意義を与えようとするラストの、ホラーでやる必要ないロマンスシーン!
普通に無理めの犯行を全部出来たことになってる殺人鬼の設定の無茶さと実在感の薄さ、からの、菅田将暉への執拗な攻撃。なんか「フィクションに残酷描写を求める俺」の願いを汲み取られたような居心地の悪さと快感が新鮮でした。
33位.堀貴秀『JUNK HEAD ジャンクヘッド』(日本)
「映画館という異界に閉じ込められて冒険している」という感覚では今年ナンバーワンで、正直長いのですが、「飽きる」というより「早く出してくれ」という息苦しさを覚えて、それさえも映画体験の一部として体に感覚が残っています。
34位.ヤン・コマサ『聖なる犯罪者』(フランス、ポーランド)
聖か邪か、という捉え方を実はしていなくて、もっと観客を惑わせることも出来るんだけどその手前で踏みとどまってる真摯さがあった気がしましたね、もう記憶が朧げ。
長所短所が同じくらい沢山あるいつもの原田映画。それでも今年一番「スター映画」を感じた作品。「山崎烝(ウーマンラッシュアワー村本)が逃げていくスリルで見せる池田屋事件」なんて初めて観ましたよ。
36位.ジョン・クラシンスキー『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』(アメリカ)
突っ込みどころは満載なのかも知れないけれど、それ以上に一つ一つのサスペンス演出の充実度、豊かさにひたすら多幸感を浴びていました。こういう映画を映画館で観たいのです。
37位.吉田恵輔『BLUE/ブルー』(日本)
この映画の登場人物たちの息づかいがまだ残っている。それを別に面白いとは思わない人間なんですけど(しみったれて感じるので)、それでも、あぁ、アイツら今も走ってるんだろうなぁと、街角の川縁を見て。
38位.イ・チョルハ『ノンストップ』(韓国)
後半さすがの韓国エンタメなんですが、前半の「実写版野原一家」感が凄まじくて、センスさえあれば実写でもクレヨンしんちゃんみたいな事はやれてしまうんだなという事に驚きました。純粋に笑えてかつ脚本が上手くハマって楽しいという点では今年トップクラスだったかも。
39位.イシグロキョウヘイ『サイダーのように言葉が湧き上がる』(日本)
細部のやりとりや脚本の仕掛けに全然惹かれなかったというズレは感じたのですが、ありふれた地方社会の光景を魅力的に立ち上げるアニメのマジックは今年の地方を舞台にしたアニメ群でもズバ抜けていましたね。
40位.コーキー・ギェドロイツ『ビルド・ア・ガール』(イギリス)
少年を主人公にしたらありがちな青春譚になったかも知れないものが、「太った少女」を主人公にすることで何か歪んだ社会の亀裂も見えてくる。けれど単純な青春譚としても十分面白いです。
41位.前田弘二『まともじゃないのは君も一緒』(日本)
和製スクリューボールコメディでこの達成度は感嘆。もっと短くても良いけれど、それでも畳みかける会話劇の中でふっと垣間見せた「あるキャラ」の無言の姿が何より輝いていました。
42位.エメラルド・フェネル『プロミシング・ヤング・ウーマン』(アメリカ、イギリス)
そこにミソがあるというのはわかりつつ、「不穏な空気」→「肝心なことは起こらない(or映らない)」の演出の繰り返しがちょっと一本調子だったような。『17歳の瞳に映る世界』と合わせて見て欲しいですね
43位.河森正治『劇場版 マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!/劇場短編 マクロスF~時の迷宮~』(日本)
「再会の予感」を存分に孕むFの短編と、「完結編」としてのやりきり具合がハンパないΔと、あらゆる感慨でお腹いっぱいになる凄い時間が流れていました。
44位.渡辺歩『漁港の肉子ちゃん』(日本)
アニメーションがアナーキーでキャラも強烈で、だからこそ根底に仕込まれた「ベタ」にななか気づかず意表を突かれる。マンネリを美化して進化を止めてしまった吉本新喜劇が本当は至れたかもしれない地点がここだったのかな、という気がしました。
45位.土井裕泰『花束みたいな恋をした』(日本)
「生活が忙殺されること」「かつて好きだったものとの距離」「不意に閉じる可能性」恋愛を描きながら、同時に普遍的なあらゆる感慨を同居させるところに今年の坂元裕二(『大豆田とわ子と三人の元夫』含む)の至った境地を感じました。
46位.クリストファー・ランドン『ザ・スイッチ』(アメリカ)
やっぱり恋する女性の魂が殺人鬼に入ってしまった時の彼の躊躇のないリアクションが最高ですよね。
47位.平尾隆之『映画大好きポンポさん』(日本)
原作者やポンポさんとは映画観が合わないのですが、映画としては、なんというか「アニメーションフィルム」としてはとても気持ち良かったのです。
今年一番ウェルメイドに良く出来た映画だったかも知れないです。ゲームや仮想現実を題材にしていく映画は今後も増えるでしょうが、決して目新しくない今公開されたのに、その教科書のような完成度の高さ。
49位.ヨン・サンホ『新・感染半島 ファイナル・ステージ』(韓国)
ヨン・サンホの演出家としての垢抜け無さがラストで馬脚を現してしまう割とガッカリ映画なんですけど、中盤の銃撃戦のゲームじみた軽さが異様に好きで、ツボにきてしまいました。
50位.清水崇『樹海村』(日本)
Jホラーでこんなテイストの映画は観たことないのでは、という未知の領域へ、それもちゃんとカメラワークで誘ってくれて、最後には「夢想したことはあるが実際に映画では観たこと無かった光景」を目撃することが出来て大満足でした。「目撃!」って感じがしますよね。
51位.吉田大八『騙し絵の牙』(日本)
今の邦画で出来るエンタメとして一つの正解を出したと思う。何よりテンポが良い。予告編のミスリードのせい若干消化不良感はあるけど、振り返るとやっぱり面白かったな。
見終わると「そんな話は求めてなかった」と思うんだけど、見ている間は「どこへ向かうんだ」と興奮していた。そういう面白さって映画館を出ると消えてしまうので、ちゃんと覚えていきたいなと思いました。
─────ここまでがベスト。今年はベストが52本ありました。─────
53位.朴性厚『呪術廻戦0』(日本)
『ヒーローズ・ライジング』的な、「ベタだけどジャンプアニメの一番楽しいパターン」がありつつ、一本のお話にもなっている、なにげにエポックな作品になり得るポテンシャルがあったのに、タイトなスケジュールによって細かくは気を配れていない惜しい作品。集英社~。
54位.京田知己『EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』(日本)
感想困ります!
55位.キャリー・ジョージ・フクナガ『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(イギリス、アメリカ)
最高に楽しい前半と「早く終わってくれないかな…」となってしまった後半。お疲れ様でした。
56位.アンドリュー・レヴィタス『MINAMATA-ミナマタ-』(アメリカ、イギリス)
予算もなく日本の協力も得られず、それでもこれだけの出来。日本が作るべき映画だった気がします。
57位.リサ・ジョイ『レミニセンス』(アメリカ)
90年代!
58位.テイラー・シェリダン『モンタナの目撃者』(アメリカ)
個別に描かれてきたキャラが、ほんの一瞬の交錯で決着をつける。そういう映画が好きなんです。
59位.永岡智佳『劇場版 名探偵コナン 緋色の弾丸』(日本)
多分いらん脇道も沢山あるんだけど、要素が無数に散りばめられて、最後に一発の弾丸=リニアに集約し、国立競技場を……という流れが気持ち良いったらないのです。
60位.ガイ・リッチー『ジェントルメン』(イギリス、アメリカ)
映画的話術の胡散臭さを堪能。でも爆発する瞬間が無かった気がしますね。
61位.ルーベン・アウヴェス『MISS ミス・フランスになりたい!』(フランス)
お話もウェルメイドで良いのですが、長身のモデル候補がぞろぞろとあちこち移動する様が「画」として面白い、ということを捉えて離さなかった映像的感性が信頼できました。
62位.レミ・シャイエ『カラミティ』(デンマーク、フランス)
人の死なない西部劇。少女カラミティがひたすらお転婆に移動し続けることで映画が駆動するシンプルさ。レミ・シャイエ、アニメとしての清冽さと同時にストーリーテリングのあまりのストイックさが稀少な存在だと思います。
─────ここまでは面白かったです。以下、特殊枠が一作品─────
今年のワーストです。順位付ければこんな位置に付きましたけど、期待値は遙か天高く聳えていたので、第三村の共同体感の古くささが本作の中では一番新しいってどういうことだという既視感の嵐と、結局流されていくだけのシンジくん。そして何よりガッカリするゲンドウの自分語り。宇多田ヒカルのOne Last Kissが神がかって良いことと作品の出来はやっぱり分けて考えたいですね。
─────以上、特殊枠の一作品でした。以下もまだ面白かった作品です─────
64位.今泉力哉『あの頃。』(日本)
オタク同士の連帯感の美化をどう捉えるかはともかく、その表現密度は緩いようで濃い。
65位.66位.橘正紀『プリンセス・プリンシパル Clown Handler 第1章/第2章』(日本)
深夜アニメ的スタッフの布陣の映画を劇場で観るなら、青春モノよりこういうセッティングで観たいよなという世界観。ところどころカットがTV的ではあるのが勿体ないんですが、それでも2章の時点でこういう見せ場を次々放り込んでくるとは、という右肩上がりの高揚感。
67位.水島努『ガールズ&パンツァー 最終章 第3話』(日本)
密林戦永遠に観てられるくらい見応えがあって、それがパッと見は決してキャッチーではないのも良かったです。
68位.富野由悠季『劇場版 Gのレコンギスタ Ⅲ 宇宙からの遺産』(日本)
敵も味方も第三勢力も同じエレベーターに乗り合わせて、共同作業でデブリを排除して。そうした瞬間瞬間に宿る世界の豊かさ。
69位.ローケーシュ・カナガラージ『囚人ディリ』(インド)
メリハリが無いし、やっぱりインド映画の長さが辛いとこもあるんだけど、無限に用意されている見せ場のたびに異様にテンション上がるのは面白過ぎるんですよね。
70位.ケイト・ショートランド『ブラック・ウィドウ』(アメリカ)
MCUとして、アクション映画としては本当に微妙なのだけど、個性派キャスト達の疑似家族モノとしてはとても愛おしいのです。
71位.アダム・ヴィンガード『ゴジラvsコング』(アメリカ)
これは只一点、ネタバレを避ければ「底を踏み抜く」という視覚的ストーリー構造のダイナミズムが良かった。あの展開だけで優勝ですが、しかし映像美の観点ではモンスターユニバース中でもだいぶ後退したかな。
72位.サイモン・マッコイド『モータル・コンバット』(アメリカ)
恐らくマイノリティ達が声を上げ続けてきた結果とは異なる、オタク的な文脈の上で必然としてキャスティングされた気がするアジアン・アクターの優遇が、違和感なく心地良かったです。クライマックスは弱い。
73位.ユッカペッカ・ヴァルケアパー『ブレスレス』(フィンランド)
ここまでひたすら寄り道せずSMだけにスポットを当てたSM映画も珍しい。とても深刻なトラウマを抱えた人の思いが、話が進むごとに痛みと同時に笑いもこみ上げてくる作りにニヤニヤするし、その解放に一抹の救いが。
74位.ドゥニ・ヴィルヌーヴ『DUNE/デューン 砂の惑星』(アメリカ)
矛盾するようだけれど、お話はどうしても面白いとは思えなかった上で、過去数作のヴィルヌーヴの中で一番画が観ていて気持ち良かった。別に新しい!とかも全然思わないのだけど、なんでしょうね、あの心地よさ。
作画に拘り過ぎたり、作り手としてはジブリをやってるつもりで結果地味、という邦画アニメは枚挙にいとまがないけれど、本作は最初から地味さを狙い、ジブリも狙わず、またその地味さを変に細かく描き込み過ぎて流れが凸凹することもない。この落ち着き方が、「天災後を生きる心境」としてスッと胸に入ってきました。
それだからこそ最後に急に大きな見せ場が出てきて笑うのですが。
76位.ニア・ダコスタ『キャンディマン』(アメリカ)
美術館を舞台にした映画が結果、表現主義的な鋭角な映像のアートになり易いという現象がとても好きなのだけれど、その最たるもので、更にエンドロールでより美術館要素が強化される面白さ。あのエンドロールもスクリーンならではだったなぁ。
ただ全然怖くないのは駄目だと思います!
「タリバンさん、狙ってください」と言っているようなアホ丸出しの基地に務めることになった兵士たちの日常。
「別にアフガン戦争を否定する訳ではないが、しかし最悪だったよなんだったんだよもっとやりようなかったのかよ上層部アホだろ…」となる米軍兵士の心情がギュッと詰め込まれた地獄。怒りの声さえ上げられない中途半端な愛国者たちにも不条理は容赦なく襲いかかるのです。アフガン戦争、結局なんだったんです?
78位.アダム・エジプト・モーティマー『ダニエル』(アメリカ)
風のように吹き抜けていくB級映画。いやもう一度観たいな…となっています。この題材でこんな見せ方は過去に例がないはず。
79位.荒井和人『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 後編:Paradin;Agateram』(日本)
前編がゲームシナリオを退屈になぞるだけで虚無みが強かった分、「俺ら話はよくわかってないけど、暴れさせてもらいますわ」とアニメーションがドッタンバッタン大暴れ。これをスクリーンで観れるのはひたすら楽しかったし、結果、前編より話がわからないも関わらず、よく動くことでシナリオどうこう越えてキャラが生き生きとして見えるのが皮肉でした。
80位.イリヤ・ナイシュラー『Mr.ノーバディ』(アメリカ)
流行の内容を通に向けた技巧で見せて差異化を図った一作。な、だけにいわば「舐めてた相手が実は~」的な快楽が弱まっているのが物足りなかったです。
─────ここら辺から少し微妙になっていきます─────
81位.ホン・ウォンチャン『ただ悪より救いたまえ』(韓国)
個々の要素は強じんなのに、その掛け合わせが上手くいっておらず、カタルシスに到達できない弱さを感じました。韓国映画の得意な部分をハズしてしまってて、そのハズしは恐らく「海外ロケ」という挑戦要素によってもたされたのかなと思うんですよね。
暴力性とカタルシスの配分を間違えていませんかね。どんなに大暴れしてもなんか気分悪かったな、冒頭のせいで。もっとバイオレンス映画を沢山観ましょう。それでも終盤の抗争は大変楽しい。
83位.森ガキ侑大『さんかく窓の外側は夜』(日本)
薄っぺらい印象も与えかねないけれど、原作の再現とはまた異なる独自の不思議なオカルト世界を構築して、暗黒舞踊のようなラストに繋げてくれただけで、なかなか楽しい体験でした。
84位.細田守『竜とそばかすの姫』(日本)
場面毎にバラバラの表現が尖っていて賑やかではあったんですけど、ラスト部分はどうしても、それをやりたいにしてももっと脚本時点で脇を固めて欲しいと思ってしまいました。あのおばさん達の使い方とかもっと……
85位.ウィル・グラック『ピーター・ラビット2/バーナバスの誘惑』(イギリス・オーストラリア・アメリカ)
一作目の方が続編のように自由で、続編のほうが(自由を怒られたのか)ちゃんと話がある珍しいパターン。
86位.アンディ・サーキス『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(アメリカ)
ヴェノム側はダラダラしてるとしか言い様がないのに、悪役側のぶった切りのようなシーンの切り上げ方が映画に不思議な気持ちよさを産んでいる。愛嬌のある映画。
87位.ドミニク・クック『クーリエ:最高機密の運び屋』(イギリス、アメリカ)
映画で知らなかった歴史を勉強する面白さ。キューバ危機の背後で活躍した、なぜか祖国を裏切ったソ連人とスパイでもなんでもない素人のセールスマンの運び屋としての任務を描く。『13デイズ』が大好きなので、さらにその裏側でこんな事が… と、映画を通して歴史を、そして歴史に沈んで消えた個人を、隣人のように知ることが出来る歓びです。
88位.エドワード・ホール『ブライズ・スピリット~夫をシェアしたくはありません!』(イギリス)
イギリスで何十年も愛されるストレート・プレイの映画化。恐らく大した工夫はしてないので、面白い部分は元の戯曲の良さなんだろうとは思うのですが、映画としての出来不出来以前にメインの俳優達が演じていて楽しそうなのが伝わってきました。
89位.穐山茉由『シノノメ色の週末』(日本)
コンセプトが明解で、そつなく愛らしい作品。こういう邦画がシネコンの隅でしれっと公開されている状態は健康的です。好みとしては、一晩の物語にして欲しかったけれど。
90位.石川慶『Arc アーク』(日本)
邦画で硬質なSF画面を作る、という試みは応援したいからこそ、完遂して欲しかった気持ち。『愚行録』や『蜜蜂と遠雷』のほうが余程画面がSFなんですよね。
91位.水島精二、綿田慎也『フラ・フラダンス』(日本)
P.A.WORKSの1クールアニメにしたら面白そう。ただ美術が本当に良いので、そこはスクリーンで見入ってしまいました。
92位.マイルズ・ジョリス=ペイラフィット『ドリームランド』(アメリカ)
ニューシネマがやりたかった試みは上手くいってないかも知れないけれど、ともかく「竜巻に晒される家屋」が映画的にも物語的にも強烈だったので、これも映画館で観れて良かったですね。
93位.藤井道人『ヤクザと家族 The Family』(日本)
邦画でこのビジュアル世界の一貫性は応援したくなるけれど、予測可能な車内の長回し含め、どうも野心が空回りして感じるのは『新聞記者』と変わらず。それと長かったな~。
94位.フロリアン・ダーヴィト・フィッツ『100日間のシンプルライフ』(ドイツ)
とても優等生的に良く出来た映画だったのにあまり記憶に残らない。そういうドイツ映画の生真面目さ嫌いじゃないです。
95位.イリヤ・フルジャノフスキー、エカテリーナ・エルテリ『DAU.ナターシャ』(ロシア、ウクライナ、ドイツ、イギリス)
これも映画館で体感するしかない、映画館で観たとして不快感しか覚えないかも知れない映画。ただ恐らく二度と生まれ得ない映画(本作を含むプロジェクト全体)。
96位.瀬下寛之、吉平"Tady"直弘『シドニアの騎士 あいつむぐほし』(日本)
一見、全てが気持ち良くまとまった完結編なのだけど、「『シドニア』ってそんな爽やかなテイストの話だったんだ…?」と、自分の中で作品観に齟齬が起きて、誤魔化されてるような気が。
97位.大沼心『Fate/Kaleid liner プリズマ☆イリヤ Licht 名前の無い少女』(日本)
あまり映画的とは言いがたい、しかし区切りのあるTVでも不可能だろう淡々としたタッチが終盤怒濤のアクションの粘りに繋がっていく。悪くなかったです。
98位.佐藤順一・名取孝浩『ARIA The CREPUSCOLO』(日本)
そういえば最終話見逃しちゃったな… 再三言いますが、同窓会も素敵だけれど『ARIA』はリブート版が見たいのです。よりリアリティラインを高めた映画で。
99位.ソン・ヨンホ『ザ・バッドガイズ』(韓国)
マ・ドンソクは制作者としても手堅い人という印象だったので、やけに雑だなと思ったらTVシリーズの続編だったというオチ。
100位.デスティン・ダニエル・クレットン『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(アメリカ)
前半はなるほどこんな感じかと納得しかけてたのですが、後半本当につまらなかった。まさに西洋人が抱く「オリエンタリズム」の箱庭。香港映画イズムである勢いもまったく感じられずです。
101位.マイケル・ポーリッシュ『リーサル・ストーム』(アメリカ)
台風という設定を活かし「狭いアパート内のダイ・ハード」を成立させようとする、大胆なB級映画。成立したのかな? どうかな?
102位.ジャスティン・リン『ワイルド・スピード/ジェット・ブレイク』(アメリカ)
ワイスピは基本的にはそんな面白くないんだということを思い出していました。
103位.四戸俊成、白井孝奈『神在月のこども』(日本)
アニメーションとしてはだいぶガタガタなのだけれど、不安定さがもたらす不思議な興味の持続力を保持していた珍作です。
自分の好きな要素を集めたような作品なのにまったく乗れず。結局クルエラが似非クルエラを倒す為の物語もガールズエンパワーメントとして表層的な印象を受けたし、リアリティラインがわからないので「なんでもアリ」が過ぎた気がします。
105位.大友啓史『るろうに剣心 最終章 The Final』(日本)
「撮影がひどくて全然よくわからないけど、多分とても頑張っているアクション」は良かったのですが、、、ちゃんと見せて欲しかったなぁ。
106位.熊澤尚人『おもいで写真』(日本)
丁寧な地方映画。というと『いとみち』があった為に相対的に評価が下がってしまいましたが、監督が脚本もノベライズも手がけ、誠実に作っていることは、確か。
107位.エリース・デュラン『エマの秘密に恋したら』(アメリカ)
そんなには巧くいってないラブコメ映画だったけど、こういう映画をシネコンでぶらりと見れることは幸福でした。
108位.ラナ・ウォシャウスキー『マトリックス レザレクションズ』(アメリカ)
描いていることの意義深さが評価されているのはわかるんですが、あまりに流れの混乱が面白くなかった。混乱をこそ面白く描く映画だって沢山ある中で、この歪さは、、、
109位.大友啓史『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(日本)
世間的にはThe Finalより評判良いのですが、前半の粗野な新撰組は良かったけれど後半完全に映画の時間が死んでしまった(リミットの演出が無い)ことがもの凄く、もの凄く眠たかったのです。
110位.真壁幸紀『すくってごらん』(日本)
バラエティ色が強すぎるし、あまり真剣に見れない時間も長いのですが、一方で楽しい場面の瞬間最大風速も激しい。もうちょっとトンチキ映画ファンの間で話題になって良かったのでは?
111位.梅津朋美『BanG Dream! FILM 2nd Stage』(日本)
映画というよりライブなのですが、ライブではなくCGアニメなのです。前作にあった「楽屋での長回し」みたいな面白さがあればなと。
112位.ジョニー・ロイヤル『イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社』(アメリカ)
やたら荘厳な雰囲気のカルト臭いドキュメンタリーながら、イルミナティを紐解いていく内容は意外と妥当な線というか、まぁ陰謀論の正体なんてこんなもんだろうなぁという納得感があって、どこまで本気なのかわからないくすぐられがあったし、こんな映画がシネコンでかかってる事態も面白くって仕方なかったです。
113位.ピエール=ユベール・マルタン『ルーブル美術館の夜ーダ・ヴィンチ没後500年展』(フランス)
シン・エヴァの本来予定されていた一月の公開日に「初めてのルーヴルはなんてことはなかったわ」と言いたいが為に鑑賞した、映画かどうかも怪しい美術館探訪(ただし静かな夜に)ドキュメンタリー。振り返るとたしかにあの夜、ルーヴルに迷い込んでいた気がして、こういう映画体験もあります。
114位.三木孝浩『夏への扉 ーキミのいる未来へー』(日本)
見ている間は少々キツかった記憶があるのだけど、今思えば野心作ではあったんですよね。
115位.ふくだみゆき、上田慎一郎『100日間生きたワニ』(日本)
言われるほど悪くないので応援したくなりますが、同時にアトロクで藤津亮太さんが仰っていた「今時のアニメとして撮影でもう少し工夫出来なかったか」が結構直球で刺さりました。しかし声優としての山田裕貴は本作でも『フラ・フラダンス』でも良い。
勝算の無いアクション映画になぜハリウッドスターが結集してしまうのか。様々な「強い女性像」を模索するジェシカ・チャスティンをリスペクトです。
117位.英勉『劇場版 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』(日本)
人がコスプレしていること自体が面白いと教えてくれる実写賭ケグルイ。それでももう少しバラエティ色薄めて欲しいのと、前作の宮沢氷魚が良すぎた為新しい悪役の一本調子が物足りませんでした。
118位.オムニバス『DIVOC-12』(日本)
一瞬ですが小泉萌香さんをスクリーンで観れて嬉しかったです。その為だけに映画を観るという思い出、プライスレス。
12本中、今振り返っても良かったな、もう一回見たいなと思うのは志自岐希生『流民』、齊藤栄美『海にそらごと』ですね。
映画より京成ローザ⑩での従業員の態度の悪さが印象に残ってしまいました。
─────ここからワーストです─────
119位.渡部亮平『哀愁しんでれら』(日本)
評判良いし、たしかに前半の話運びは面白いと思うんですけど、わかる人にしかわからない気がしますが「シナリオコンクール界隈でだけ評価されそうな古くさい台詞の掛け合いの数々」が猛烈に共感性羞恥を呼んでしまったのと、ラストのオチは成立してなかったと思います。ハシゴ外された気分。
120位.宮脇千鶴『銀魂 THE FINAL』(日本)
剣戟と過去が混ざり合うカットバックチャンバラという「発明」と言って過言ではない凄まじい傑作シーンを内在していはいるんですが、終盤延々続く内輪ウケで台無し。もうそれは面白くないです空知先生って十年は前に誰か強く言ってあげてほしかったです。
121位.河野亜矢子『劇場版 ソードアート・オンライン ープログレッシブー 星なき夜のアリア』(日本)
主役の男女の視点を切り替える思い切りの良さが、プロットにまでは活きていなかった印象。
122位.柿本広大、三村厚史『BanG Dream! Episode of Roselia Ⅰ:約束』
123位.柿本広大、三村厚史『BanG Dream! Episode of Roselia Ⅱ:Song I am』(日本)
まだ血肉が通ってるとは言いがたいCGキャラが、制約があるのか限られた背景の世界でこじんまりと掛け合いをするだけで終わってしまった。いかにもソシャゲのシナリオの平凡なところだけ切り取ったような話で、けれどソシャゲのシナリオは動くこと前提で書かれてはいない筈なので、なんとも消化不良でした。
124位.赤井俊文『Fate/Grand Order 終局特異点 冠位時間神殿ソロモン』(日本)
こちらも単調さという点でRoseliaと大差ないのですが、作画的には遙かに自由が効く筈なのに同じ轍を踏んでいるのでより印象良くなかったですね。
125位.佐藤祐市『名も無き世界のエンドロール』(日本)
最近の邦画悪くないじゃんと油断していた俺にたたき込まれた大事故。これは擁護不可能。見ている間ずっと俳優陣が可哀想でした。
126位.河合勇人『都会のトム&ソーヤ』(日本)
下位五作はほぼ同列なのですが、ジュブナイル・アドベンチャーという、個人的に一番好きなジャンルで外してしまった作品にやはり辛くなってしまいます。今まで行ったことない遠くのシネコンまで『劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライト』を観に行き、待機時間に暇つぶしで見たら貸しきりだったので、ワーストなりにちゃんと思い出のある一作でした。
以上。
今年も主にイオンシネマワンデーフリーパスポートのお陰で沢山映画を鑑賞出来ました。
正直、来年はこんなには無理だろうと思います。半分もいかないかも知れない。2021年に満喫した映画の記憶を反芻しながら、頑張っていきますよ。
その他、各種ベスト
#2021自宅鑑賞映画ベスト
— 鈴木ピク🍅×7🐍🍌🐸🍎🚇 (@pumpkin_crack) 2021年12月26日
①アクエリアス('16)
②らせん階段
③ブラインド・スポッティング
④ラスト・クリスマス
⑤ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス
⑥嵐の中で
⑦シーズ・ガッタ・ハヴ・イット
⑧ザ・レポート
⑨ブルータル・ジャスティス
⑩牯嶺街少年殺人事件
#2021自宅鑑賞映画ベスト
— 鈴木ピク🍅×7🐍🍌🐸🍎🚇 (@pumpkin_crack) 2021年12月26日
⑪リビングデッド・サバイバー
⑫エスケープ・ルーム
⑬邪願霊
⑭マリアンヌ
⑮劇場版 ドーラといっしょに大冒険
⑯赤ちゃん教育
⑰ベター・ウォッチ・アウト クリスマスの侵略者
⑱幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形
⑲THE GUILTY/ギルティ
⑳ヴァスト・オブ・ナイト
#2021アニメベスト
— 鈴木ピク🍅×7🐍🍌🐸🍎🚇 (@pumpkin_crack) 2021年12月27日
全然見れなかったぁ.
①オッドタクシー
②ワンダーエッグ・プライオリティ
③ゴジラS.P
④TEXHNOLYZE
⑤アクダマドライブ
⑥ウマ娘 S2
⑦アサルトリリィ BOUQUET
⑧がっこうぐらし!
⑨六花の勇者
⑩SSSS.DYNAZENON
番外.アーケイン(未完走)、ラブ、デス+ロボット