Shall we レジスタンス? ー 『シャドーハウス -2nd Season-』感想

 

スタッフ

【監督】大橋一輝 【原作】ソウマトウ 【シリーズ構成】大野敏哉

【キャラクターデザイン】日下部智津子、松林志穂美

【美術設定】前田みつき 【美術監修】加藤浩 【美術監督坂上裕文、後藤千尋

【プロップデザイン】吉田優子 【色彩設計】漆戸幸子 【撮影監督】桑原真也

【2Dワークス】久保田彩 【3D監督】宮地克明、任杰 【編集】新居和弘

【音楽】末廣健一郎 【音響監督】小泉紀介 【制作】CloverWorks

 

キャスト

【ケイト】鬼頭明里 【エミリコ】篠原侑

【ジョン/ショーン】酒井広大

【ルイーズ/ルゥ】佐倉綾音

【パトリック/リッキー】川島零士

【バーバラ/バービー】釘宮理恵

【マリーローズ/ローズマリー中原麻衣

【クリストファー/アンソニー小野賢章

【ラム】下地紫野

【イザベル&ミラベル/双子のベル】大久保瑠美

【ダグラス/ダグ】田丸篤志

【ケヴィン/ヴィクター】沢城千春

【エリザベス/リズ】菅野真衣

【サラ/ミア】大西沙織

【ベンジャミン/ベン】日野聡

【スザンナ/スージー豊口めぐみ

【オリバー/オリー】榎木淳弥

【トマス】高木渉

 

『あらすじ』

 この館には"まだ”秘密がある――

 『お披露目』を終えたケイト・エミリコ、そして同期3対は成人としての新しい生活を始める。「シャドーハウス」の謎を解き明かせないまま、こどもたちの棟では新たな事件が発生。反乱分子と星つきに怪しまれたケイトとエミリコは、犯人と思われるローブをまとった謎の影の正体を追うことに。

 果たして謎の影の正体とは……?

 

 原作未読だったのもあって一期との出会いは新鮮だった。インストのOP、ReoNa『ないない』のED、謎に包まれ、同時に耽美的な閉鎖空間を舞台とした物語で、OPとEDがより強固に一つの世界に閉じ込めてくれる。

 1クールで纏めようとした為か、アニオリも含むらしいけれど後半は少々話の進展が遅いこと、意外と明かされる世界観が拍子抜けするものであった事で終盤はやや尻つぼみに思えたが、同じ制作会社による同じような閉鎖空間サスペンスの傑作『約束のネバーランド』が二期で近年稀に見る大破綻を来たす失敗アニメと化した悲しみもあり、『シャドーハウス』こそはちゃんと続いてくれと願っていた。

 

 そして念願の二期。今回OPとEDは個人的には外してしまった印象乍ら、本編は一期の反省を踏まえてか話がポンポン先へ進む。キャラも増大し、徐々に深まっていく絆や意外と多いギャグシーンで緊張感が弛緩しきってしまうその前に次なる謎とその解をどんどん提示、一期で「真相はこんなものか」と思わせたその裏側もどんどん掘っていくので、再びダークな緊張感も取り戻していく。

 

 とは言え、何よりキャラクタ-。

 ケイト:鬼頭明里、エミリコ:篠原侑の声のコントラストがシャドー/生き人形の二人に曰く形容しがたい生命力を与えており、いけない人形遊びをしているような、どこか背徳的な視線を注いでしまう。

 他にもシャドー/生き人形の二役を担う声優陣がみんな張り切ってる様が浮かんでくるようなキャラの立ち具合が耳にも目にも愉快。

 

 『約ネバ』一期がそうであったような、「支配され、思考を放棄された状態から如何に決起していくかという物語」は、あらかじめ反抗心を奪われた現代の視聴者たちの無意識に向けても何か、ささやかでもその意思が浸透してくれたらという願いを抱く。

 ある程度疑問を抱いても配給される「珈琲」で思考を再びリセットされてしまう光景、現実に何度も見るやつだ。世界的なスポーツ大会でもなんでもいい、甘美な現実逃避の幻想を与えられる毎に考えることを放棄して現実に追従していってしまう大衆心理が重なって、現在進行形で毎日のように目にするそれらを視聴しながら思い描いていた為に、二期の事件の黒幕の一人が発する言葉、

 「闘い方を教えてあげる」

 そこに思いがけず勇気を貰っていた。

 

 繰り返しになってしまうのだけど、一期の良さであったOP/EDの魅力は半減していたと思う。

 こういう事はままあるので残しておきたいと思ったのが、折角話の骨子に「ローブ様の正体を巡る謎」があるクールなのに、EDで映す人物を絞ってしまう為に、実際の正体が誰か以前に、その正体を探り、容疑者を絞るワクワク感が削がれてしまうのは勿体なかった。

 

 引き続き三期も希望しております。