こちらの企画に参加させていただきます。
……と、ねりまさんの記事に触発されて書き始めたのが一月。
変に長文となってしまって全く収拾がつかず、それから半年、ほぼ手が止まっておりました。
なので仕切り直し。元の文の序盤だけ僅かに残した後は、シンプルにセレクトと簡単コメントに絞ります。
どこら辺までが1月に書いた文章の名残りなのか、ご想像にお任せして。
序.
思えばTwitterを始めて長いこと「『○○(アニメタイトル)』から10年、というTLの感傷について同調してしまうけれど俺アニメ見始めてまだ10年経ってないや、後追いだわ、うっかりうっかり」という旨の内容を呟き続けていましたが、本格的に深夜アニメを視聴するようになったのが2010年のことなので、既にもうアニメの思い出を10年単位で語っていい立場になっているのだと気づきました。
ちょうどきっかり「10年代」というディケイドと共に歩んだアニメ視聴歴。2010年の秋には全ての新作深夜アニメを視聴してやろうと張り切っていましたが(それが可能と思える放送本数だったのです。マッドハウス版『アイアンマン』が地上波で視聴出来ないと気づいて諦めました)、今に至っては最新話まで追えてる新作本数は片手で数えるほどもあればいいほう。むしろ0が平常運転です。
振り返るとギリギリ気になるアニメを大体追えていたのが2016年。以降は気になりながらも見逃したタイトルが山積しており、なので10年代のTVアニメベストを選んだところで前半と後半とで熱量とフォロー領域に大幅な違いが生じている点はご容赦願います。
先にねりまさんがバランスの取れた納得のベストを挙げてくださっているので、そちらの選外作品からベストを選出しました。
テレビアニメ編
ねりま氏ベスト
・『STAR DRIVER 輝きのタクト』(2010-1年、五十嵐卓哉、ボンズ)
・『魔法少女まどか☆マギカ』(2011年、新房昭之、シャフト)
・『輪るピングドラム』(2011年、幾原邦彦、ブレインズ・ベース)
・『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』(2015-6年、水島精二、ボンズ)
・『SHIROBAKO』(2014-5年、水島努、P.A.WORKS)
・『ガッチャマンクラウズ(2013年、中村健治、タツノコプロ)
・『放浪息子』(2011年、あおきえい、AIC Classic)
・『リトルウィッチアカデミア』(2017年、吉成曜、TRIGGER)
「制作会社や制作者などの固有名がなるべく重複しないかたち」という選択基準も踏襲し、マイベスト10を以下のように絞りました。
それでは制作年度順にまいります。
1.『Angel Beats!』(2010年、岸誠二、P.A.WORKS)
アニメを見始めた頃、既に間に合わなかった00年代の作品を後追い摂取しながら、10年代以前のディケイドを「ボンズ、プロダクションIG、マッドハウス、ゴンゾの時代」として受け止めていました。重々しい作画の魅力で芝居に重力を与えつつ、映画的、シリアス寄りのリアリティラインに沿ったストーリーを長期間に渡って展開する作品が多数溢れていた時代(実際にそれらのタイトルがメインストリームであったかどうかは定かではありませんが)。
と同時に、ここからの10年代をハッキリと「京都アニメーション、P.A.WORKS、ufotableの時代なのだろう」と確信して捉えていたことも覚えています。
地方にスタジオを置き、背景美術や撮影の立体感を重視、個性としたそれらのスタジオのアニメはやはり視覚的に新鮮な魅惑をくれて、「最新の映像体験をしている」「別に乗り遅れた訳じゃない」と自分に言い聞かせることを良しとしてくれました。
脚本に京アニとのKey三部作で知られる麻枝准、監督に『瀬戸の花嫁』で破天荒なギャグコメディを2クール走り抜けた岸誠二を迎え、P.A.WORKSが本格的に、当時まだその言葉が強かった「覇権」の奪取に乗り出した『Angel Beats!』。
P.Aの映像美をフルに活かし、ゲームフィールドのように自在に動き回れそうな「あの世の学園」を舞台にして、青春に未練を抱いたまま非業の死を遂げた人々の魂が神様に反逆する青春コメディ。バンド演奏シーンが登場したり、京アニ作品がブランド化しつつあった学園ユートピアの象徴性だけを凝縮した究極形を創造しようというアニプレックスの野心があったのかも知れません。
それはアニメを通じて遅れてきた青春を味合わんとしている当時の自分の心境とあまりにフィットして、巷で言われる脚本の粗も気にならずこの世界に没入していました。湯浅政明『四畳半神話大系』山田尚子『けいおん!!』と同クールに放映されていた事も、より青春の疑似体験という感覚を強化してくれていたと思います。
2.『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2011年、長井龍雪、A-1Pictures)
岡田麿里のビビッドでいて秩父の街を細かく行き来する活動的な脚本と、長井龍雪監督の芝居の濃淡によってアニメを一瞬に滞空させることも加速させることも出来る時間操作演出術(長井監督の本質はここにあると思います)が相まって、その場その時間に自分も巻き込まれ、限りあるタイムリミットに焦れていくような感覚。
『AngelBeats!』でSSS(死んだ世界戦線)の一員となって報われなかった青春を送り出し旅立つということと、『あの花』で超平和バスターズの一員となって不慮の死を遂げためんまを送り出すということ。いずれもアニメに理想の青春を仮託し、そこから先へ歩み出すための通過儀礼として必要な体験でした。
また、両作品共に一週間ごとに別れの時が近づく、というリミット効果がすさまじく、TVアニメという媒体が持つリアルタイムの経験込みでの評価ともなっています。バイト先のバックヤードでじんたんに矛盾した気持ちを吐き出すあなるの焦燥感に、近づく夏の気配(『あの花~』は4月放送作品)と相まってどうしようもない気持ちにさせられました。今ではめんまがマスコットキャラとして定着し儚さが消失したことで、作品の本質を味わう分には不幸な結果を呼んでいると思います。
10年代から本格的にアニメを見始めたということは、アニメに興味を持つ契機は00年代に既に訪れていた訳ですが、入り口として抱いた興味は上記のような青春の追体験ではなく、アニメだからこそ描ける巨視的な世界観を通してエンタメが社会にコミットしていけるという可能性でした。単発的にハマっていた『攻殻機動隊S.A.C』、その神山健治監督による新作としての『東のエデン』に興奮しつつも、本格的にアニメを見始める中でこうした志はアニメ界では異端なのだなと残念な気持ちも抱いている中で始まったアニメが、旧作版『鋼の錬金術師』チーム再結集で生まれた本作。
『明治開花 安吾捕物帖』をベースに、坂口安吾の外に開けた内省感とでも言うべき精神性を近未来SFに置き換える荒技。會川脚本の「誠実に苦悩し、業を抱え空回りしながら、よりよい答えを模索しあがき続ける」という至極まっとうな理想論を、愉快なガジェットの数々で紡いでいきます。放映中にエピソード0が極一部の単館で上映される(お台場で鑑賞しました)形式はあまり功を奏したとは思えませんが、「まだ仕掛けようとしている人たちがいる」と非常に胸躍ったことを覚えています。
4.『さくら荘のペットな彼女』(2012-3年、いしづかあつこ、J.C.STAFF)
岡田麿里作品をもう一作入れたいなと思い、今数ある候補から適当に選んだ一本。原作に無いサムゲタンが出てきたからというしょうもないにも程がある理由で炎上してしまった、オタクのレイシズム、ネトウヨイズムの醜悪さとまとめサイト的煽りの不毛さを象徴する一本にもなってしまいましたが、その責任は当然作品側には一切なく、もっと評価されて然るべきタイトルだと思います。
厳然と存在する才能の差の問題を主軸にし、本作もやはり焦燥感と疾走感が核でありながら、それを包み込むいしづかあつこ監督の鮮やかなパステルカラーの世界によって、情景としてはリアル路線の『あの花』ともまたひと味違った青春の真空パックを味わえました。
本作、『Just Because!』、『青春ブタ野郎』と、10年代アニメの中で原作者・鴨志田一の描く若者たちはアニメ的な記号を纏いながらも、いつも等身大の、恐らくは10代の視聴者こそもっとも感じ入るだろう「今そこにある悩み」と対峙している事も印象的です。
5.『東京レイヴンズ』(2013-4年、金崎貴臣、エイトビット)
こうしたベストを選ぶ際、どうしても映画を語るように「一つの完結した作品」として触れられるタイトルを選びがちですが、実際には世に放たれる日本の深夜アニメの大部分は原作付き、メディアミックス、スピンオフ、スタッフ一新etc… 諸事情によって話の途中で寸断され、或いは途中で始まり、一貫した作家性さえ保持できないものばかりです。
そんな中にあって、せめて担当したそのシーズンだけでも如何に面白い暇つぶしを提供できるか。そんな試行錯誤の作品群を評価する上で、その代表として、今たまたま本作が思い浮かびました。
話は途中から明らかに情報過多となり、そのまま情報が膨れ上がった状態で中断され、結局未だに二期の報せはありません。
監督は金崎貴臣。『これはゾンビですか?』シリーズ、『この素晴らしい世界に祝福を!』シリーズと、作画崩壊の汚名も恐れず堂々とアニメーションで遊ぶ楽しさを提供してきたコメディ二作品のその間で手がけたのがアクションアニメの本作。
既に記憶は遠いのですが、恐らく3DCGなども積極的に織り交ぜ、立体的な絵作りがあのテこのテで画面を賑やかし、あらすじを把握出来ていないにも関わらず毎週本作のアニメーションを見ることが楽しみでした。恐らくは十全に何かを語りきることは出来ないと判断した上での、それが本作の戦い方だったんだろうと思います。
6.『神撃のバハムート GENESIS』(2014年、さとうけいいち、MAPPA)
そうした、「フォーマット的に話の完遂は難しいけどアニメとしては飽きさせず頑張った一群」から頭一つ抜けたのが本作。メディアミックス作品とは言え、原作ゲームの世界観をベースにした上でオリジナルキャラクターによる冒険活劇を展開。同じ世界観の続編も作られましたが、本作のみで単品として綺麗に完結しています。
一本の面白いアドベンチャー映画を分割して見ているような、流れるような展開がお見事でした。特に思い入れも感慨もなく、自信を持って「誰が見ても面白い」と言えるアニメ。
7.『響け!ユーフォニアム』(2015年、石原立也、京都アニメーション)
10年代の京アニはその精緻な作画密度をどの方向でコントロールするかで試行錯誤を繰り返していた印象を受けます。より写実的な視界の再現に徹した『氷菓』方向と、実験的で奔放な画面の混沌に走った『日常』方向と。
写実的な方向で極端に振り切ったのが『響け! ユーフォニアム』。実は序盤はデフォルメされたコメディタッチも挿入されているのですが、中盤でなりを潜め、いよいよ覚悟を決めたように感じました。
その果てで目撃する、恐らく人の記憶に一生こびりつくだろう青春の記憶のリアリティは、写実的であるという点に留まらず、その作画密度に相応しいシチュエーションと演出が伴ってこそ実現したものであったと思います。
この10年で存在感を増していった3DCGアニメ。とは言えまだまだ供給に対し需要が追いついておらず、ターゲット不在としか言いようのない作品も少なくありません。人物の表層が無機質につるっとしていて、生きた存在として入り込めない。
そうしたCGアニメの弱点を理解した上で作品制作に挑んでいるオレンジのパイオニアとしての存在感が光ります。
中でも『宝石の国』の宝石たちの生き生きとした魅力。恐らく2Dアニメであったとしてもアニメの美しさや原作に似たアートワークの繊細さは表現出来るでしょうが、「宝石が宝石のままに動いている」という実感をこうまで与えてくれたのはCGという手法ならではでした。
時に過剰ではあったけれどCGだから許されるカメラワークの自由度。と同時にそうした自由をキャラの魅力によって縛るための、プレスコ手法による声優の芝居の間を活かした生々しい掛け合いのテンポも他のアニメとの差異化を主張し、新鮮な刺激がありました。二期待ってます。
9.『SSSS.GRIDMAN』(2017年、雨宮哲、TRIGGER)
こちらは『ユーフォニアム』と『宝石の国』に於いて主に主演の黒沢ともよが担っていた生っぽい芝居の自由さをほぼキャラ全体に敷衍させ、ストーリーテリング以上に場面場面の掛け合いこそが魅力となった、しかしロボアニメという珍しいバランスの作品。並行してYouTubeで発表されるオーディオドラマと合わせて、声の芝居が形成する空気に魅せられました。
ではアニメとしての魅力がないかというと無論そんなことはなく、ダウナーな会話のノリとお決まりのロボットアクションの緩急によってタイトに絞られていたと思います。
そして全ては物語全体を包むギミックのフリになっているのです。
『ユーフォ』の久美子、『宝石』『グリッドマン』と、偶然にしては重なっていった従来の深夜アニメの芝居とは異なったセリフのありようが、今年もまた『ワンダーエッグ・プライオリティ』『SSSS.DYNAZENON』『オッドタクシー』『SonnyBoy』と個別に誕生しており、次の変化の到来を予感しています。
10.『アグレッシブ烈子』(2018年、ラレコ、ファンワークス)
配信アニメ黎明期の中から、NETFLIXオリジナルの一本をセレクト。監督自身が「30年前からよくあるアイデア」と語る、擬人化された動物OLの日常を描く作品ですが、既にプロトタイプ版を『王様のブランチ』内ショートアニメとして100話も制作していた蓄積が功を奏してか、完成度の高さは近年のアニメでも屈指のものでした。
よくあるアイデアだからこそ、一見すると類型的な役割を与えられたキャラクター達がそのキャラクター性の裏側を垣間見せた瞬間の、他者性へ向ける優しい眼差しがさりげなくも胸にきます。
アニメ映画編
ねりま氏ベスト
・『リズと青い鳥』(2018年、山田尚子、京都アニメーション)
・『君の名は。』(2016年、新海誠、コミックス・ウェーブ・フィルム)
・『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年、庵野秀明、カラー)
・『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〔新編〕叛逆の物語』(2013年、新房昭之・宮本幸裕、シャフト)
・『涼宮ハルヒの消失』(2010年、石原立也・武本康弘、京都アニメーション)
・『花とアリス殺人事件』(2015年、岩井俊二、ロックウェルアイズ、スティーブンスティーブン)
・『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブンハイエボリューション』(2018年、京田知己、ボンズ)
・『ペンギン・ハイウェイ』(2018年、石田祐康、スタジオコロリド)
・『傷物語』三部作(2016-7年、新房昭之・尾石達也、シャフト)
7年の歳月をかけた執念のレースアニメ。主演・木村拓哉というバリューを持ちながらもひっそり公開されひっそり終わってしまったことが残念でなりません。劇場版アニメには「良い作品は生まれるが、観客に見つからない」というジレンマが10年代半ばまで(それこそ『この世界の片隅に』のロングヒットまで)確実に存在していました。SNSを通じファン一人一人が盛り上げていける現在の風潮は、その弊害もあるでしょうが、より良い環境が育ってきたと感じています。
2.マクロスF 恋離比翼 サヨナラノツバサ(2011年、河森正治、サテライト)
前後編の後編。前編で総集編のようなフリをしていた殻を破り、刑務所ライブでの「みんな、脱獄するわよ!」を含めて異常にアッパーなテンションで繰り広げられる宇宙規模の音楽の祭典。
TV版最終回に負けず劣らず、音楽とアニメを融合させる見せ場に興奮しきりでした、
3.11を挟んで復旧した映画館で初めて観た、日常への帰還とフィクションの力を実感させてくれた作品(初見は震災前)としても忘れられません。
3.おおかみこどもの雨と雪(2012年、細田守、スタジオ地図)
常々80.90年代邦画へのリスペクトを語る細田守だからこそ描き得た、相米慎二的な世界の向こう側に感じる、雨降る校舎と山中のカットバックで見せるクライマックス。そのあえかな「気配」による別離の演出の繊細さは日本のアニメの一つの到達点であると思うのですが、橋本カツヨの亡霊に縛られたアニメファンから見過ごされ、また細田自身もその後挑まなくなってしまったことが残念でなりません。
4.言の葉の庭(2013年、新海誠、コミックス・ウェーブ・フィルム)
これまでの新海誠は過大評価だと鼻で笑い、言葉に支配された日本のアニメ脚本を必ずしも肯定的に見ていた訳ではなかったのですが、言葉がサンプリングされて景色、音楽、作画と一体化するクライマックスの勢いには呑まれてしまいました。『君の名は。』に至る確信がすでに宿っていたと思います。『天気の子』では些か音楽がそのバランスを崩した気がするのですが。
5.魔女っこ姉妹のヨヨとネネ(2013年、平尾隆之、ufotable)
アニメで映画の画面とはこう作るのだ、という確信が全編に宿りつつ停滞しない活劇性。今敏の薫陶とufotableの映像美、双方を経験した平尾監督のバランス感覚がもっともフラットな形で発揮された快作。こうした映画を作ったプロダクションが後に日本映画興行収入歴代ナンバーワンを獲得する、という歴史の誕生は悪くないものです。
6.ジョバンニの島(2014年、西久保瑞穂、Production I.G)
もっと教養めいた内容を予想していたら、サスペンスとして全編走り抜けたことに感銘を受けました。北海道の歴史を語る上で明らかにある視点が欠けていて、その点で誠実とも言い切れないのですが、アニメを通して歴史にコミットしていくという志は絶えず機能してほしいと願うところです。
7.たまこラブストーリー(2014年、山田尚子、京都アニメーション)
京アニと一括りで語るのはどこか乱暴な気もしていて、あくまで山田尚子に焦点を絞り、その中では劇場版では唯一のオリジナル作品である本作を。
山田監督もまたマルチな技巧を駆使しながら、石原立也監督と同じく本質的には「タイミング」の演出家であること、加えて「音」の演出家であることを強く意識させられます。
2014年の時点では生ぬるくさえあった本作のユートピアが、今ではとても遠くなってしまったことに愕然としながら、藤原啓治の歌声を受け継ぐ覚悟を引き受けていきましょう。
8.屍者の帝国(2015年、牧原亮太郎、WIT STUDIO)
アニメ化原作の枯渇が叫ばれる昨今ですが、少し目線をズラすだけでまだまだ原作には事欠かず、例えばSF小説がそれである、という可能性の萌芽を感じさせてくれた一作。
この一定の達成に対し、project itohなる呼称をことさらこすって笑いものにして足を引っ張るだけで終わってしまっていいんですか皆さん(ドンッ。
9.さよならの朝に約束の花をかざろう(2018年、岡田麿里、P.A.WORKS)
10年代前半を支えたP.A.WORKSと岡田麿里が映画という形でその活動の結晶を残してくれたことにカタルシスを覚えました。オリジナルのハイファンタジーで、独自のテーマ性をスペクタクル、ロマンス、美麗な世界観に絡めて描くなかなかの難易度に挑戦し、その挑戦はほぼ成功していると感じられました。
『屍者の帝国』と並べると、自分の好みがなんとなく見えてきます。
10.映画 スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて(2019年、田中裕太、東映アニメーション)
宇宙規模の果てしないスケールの生命賛歌を、アニメ的なラストのイリュージョンで体感させてくれる。あらゆる孤独さえ包括する希望がそこには描かれていました。というより孤独と祝祭をイコールにしてしまった凄みがあります。何の話だと思われるかも知れませんが、是非見て欲しい。
2016年に刺激的な劇場版アニメを摂取し過ぎた反動か、そこからしばらくもう大きく心が動くことはなくなっていたのですが、『ANEMONE』と本作と出会えたことで「まだまだ劇場版アニメを追いかけよう」と思い直すことが出来た、そういう意味でも思い出の一作になっています。
結果
TVアニメ
・『Angel Beats!』
・『UN-GO』
・『さくら荘のペットな彼女』
・『東京レイヴンズ』
・『響け!ユーフォニアム』
・『宝石の国』
・『SSSS.GRIDMAN』
・『アグレッシブ烈子』
アニメ映画
・『RED LINE』
・『おおかみこどもの雨と雪』
・『言の葉の庭』
・『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』
・『ジョバンニの島』
・『屍者の帝国』
・『映画 スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』
勢いなので、このままオマケでゼロ年代のアニメベストも作成してみます。
ルールは10年代と同様。
・ねりまさんのベスト選外から選出
・制作会社や制作者などの固有名がなるべく重複しないかたち
TVアニメ
ねりま氏ベスト
・『攻殻機動隊S.A.C』(2002-3年、神山健治、Production I.G)
・『涼宮ハルヒの憂鬱』(2006年、石原立也、京都アニメーション)
・『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』(2007年、岡村天斎、ボンズ)
・『天元突破グレンラガン』(2007年、今石洋之、ガイナックス)
・『コードギアス 反逆のルルーシュ』(2006-7年、谷口悟朗、サンライズ)
・『サムライチャンプルー』(2004年、渡辺信一郎、マングローブ)
・『BACCANO! -バッカーノ!-』(2007年、大森貴弘、ブレインズベース)
マイベスト
・『.hack//SIGN』(2002年、真下耕一、ビィートレイン)
・『N・H・Kにようこそ!』(2006年、山本裕介、ゴンゾ)
・『神霊狩/Ghost Hound』(2007-8年、中村隆太郎、Production I.G)
・『けいおん!』(2009年、山田尚子、京都アニメーション)
・『東のエデン』(2009年、神山健治、Production I.G)
・『とある科学の超電磁砲〈レールガン〉』(2009-10年、長井龍雪、J.C.STAFF)
アニメ映画
ねりま氏ベスト
・『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001年、原恵一、シンエイ動画)
・『千と千尋の神隠し』(2001年、宮崎駿、スタジオジブリ)
・『イノセンス』(2004年、押井守、Production I.G)
・『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』(2005年、水島精二、ボンズ)
・『秒速5センチメートル』(2007年、新海誠、コミックス・ウェーブ・フィルム)
・『ストレンヂア 無皇刃譚』(2007年、安藤真裕、ボンズ)
・『空の境界 第一章 俯瞰風景』(2007年、あおきえい、ufotable)
・『エヴァンゲリオン新劇場版:破』(2009年、庵野秀明・鶴巻和哉・摩砂雪、スタジオカラー)
マイベスト
・『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル』(2000年、原恵一、シンエイ動画)
・『東京ゴッドファーザーズ』(2003年、今敏、マッドハウス)
・『マインド・ゲーム』(2004年、湯浅政明、STUDIO4℃)
・『トップをねらえ2!(OVA)』(2004-6年、鶴巻和哉、ガイナックス)
・『鉄人28号 白昼の残月』(2007年、今川泰宏、パルムスタジオ)
・『空の境界 第五章 矛盾螺旋』(2008年、平尾隆之、ufotable)
・『劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇』(2008年、今石洋之、ガイナックス)
・『マイマイ新子と千年の魔法』(2009年、片淵須直、マッドハウス)
以上になりました。
オマケとは言えゼロ年代のベストも組んでみたことで、選外の作品も含めて、当然ながらディケイドなんて枠組みに実際意味はないな、ちゃんと過去から現在まで地続きで業を背負った才人たちが蠢いているな、と、確認出来て安堵しました。
選外で触れておきたい点として、10年代に4本もの劇場版アニメを監督し、内3本が傑作であった藤森雅也監督(『おまえ うまそうだな』『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』『映画 かいけつゾロリ ZZのひみつ』)の名前はより広く認知されたしと願います。
既に過去オールタイムベスト100を選出した時点でもうアニメの振り返りはやめたつもりだったのですが、縛りをもうけての選出は面白そうだなとつい色気を出してしまい、結果いつまでも書けないことで煩悶としておりました。
映画に続いて、これにてアニメのオールタイムの類いとはオサラバします。
(ハッシュタグ遊びなら参加するかもですが)
それでは、文字通りの駄文乱文に最後までおつきあい頂きありがとうございました。
もう振り返らない。