立体と平面 ー 『爆劔~源平最終決戦~』感想

 スタッフ

【原作・脚本】ヨコオタロウ【演出】松多壱袋(ILCA)【音楽】岡部啓一MONACA

【舞台監督】田中聡【舞台美術】照井旅詩【照明】新里翼(マーキュリー)

【映像】曾根久光(co:jin projects)・御調晃司・菅沼智弥

【殺陣振付】門野翔(@emotion)【ダンス振付】エリザベス・マリー

【衣装】壷阪英理佳【ヘアメイク】水崎優里(M's factory)

【小道具】マッシュトラント【演出助手】高島紀彦

【アンダースタディ】名倉周(@emotion)・高野美幸(@emotion)

 

【あらすじ】

 源平合戦時代。圧倒的⼒を誇る平⽒の前に、源⽒は滅びつつあった。
 追い詰められた源⽒は、禁じられた陰陽師安倍晴明」を迎える。
 その⼒を恐れた清盛は、霊⼒を持つと噂される僧侶「⻤一法眼」を⾃陣に引き⼊れた。しかし法眼は毎⽇酒を飲むばかりでやる気がない様⼦。
 戦の匂いが激しくなる中、ミカエルと名乗るポルトガル商⼈が現れ、源平双⽅に対し取引を持ちかける……
 平安時代を舞台に、伝説上の剣豪たちが⽕花を散らす⼤冒険活劇。

 

 と、いうのが公式サイトに載っている偽のあらすじ

 以下がパンフレットに載っている真のあらすじ

 

【あらすじ】

 源平合戦時代。平清盛は、源頼朝率いる源氏軍に圧勝。

 天候すら操る清盛の軍勢に対し、頼朝は陰陽術を安倍清明らと手を組み、京の都へと向かう。それは、清盛の喉笛を食い破ろうとする、起死回生の一手だった。

 しかし、清盛の館で目にしたのは、想像を絶する風景。

 果たして、清盛の真の目的とは?

 屋敷に集められた者達に課せられた「希望」とは?

 誰も語る事のなかった、もうひとつの平安戦国絵巻、大開廷!

 

 何故あらすじが2つもあるのかと言えばーー脚本が間に合わなかったからだそう。

 

 舞台『爆劔』シリーズ。

 『ドラッグ・オン・ドラグーン』や『ニーア・オートマタ』などで知られるゲームクリエイター、ヨコオタロウ氏オリジナル戯曲による舞台。

 事前に過去作を配信しました。

 

一作目『爆劔~幕府御前試合~

 キャスト

【ヤツメ】雛形羽衣【小野善鬼】黒木文貴【塚原卜伝】川渕かおり

【佐々木セツ】舞川みやこ【佐々木小次郎】古賀瑠

【平賀源内】佐藤智広【東郷重位】門野翔【森蘭丸】宮ノ尾美友

柳生三厳】桜町たろ【柳生宗矩】小栗諒【徳川家康】鵜飼主水

 

 一作目。役名から判る通り稀代の剣豪達が集い、徳川家康の御前試合でバトルロイヤルを繰り広げる単純明快なストーリー。腕の競い合いと秘術奇術の討ち合いはヒートアップし、しかしその背後で暗躍する野望に気づくや否や、唯我独尊の剣豪達が自ずと協力し合って巨悪を討ち滅ぼす為に行動を同じくする。

 超王道のエンタメで、これを生身で超絶体技を披露できるアスリートのような役者達が展開する。加えて舞台上のあらゆるギミックを活かすことに長けた松多壱袋の演出もマッチして、肉弾で闘う善鬼達とギミックで闘う平賀源内とがちゃんと同じ重力の地平にいて混ざり合ってる臨場感がある。

 いちだい演出のこれは長所ではないかと思う点として、セットを組めて二階か三階だろう舞台で「高所」を表現出来るところで、本作は前半:一対一の平面の試合/後半:城の地下から天守閣まで乱高下する視点の変動が味わえるところ。

 ギミックの破天荒さと役者の肉体の魅力が等しく合致したストレートなエンタメ舞台として、まだ数は少ないけれど自分の鑑賞してきた中では突出した出来でした。

 このまま劇場版アニメにしてほしい。

 

 さて好き勝手に生きる無頼たちが一同に介する場所としてめし処を営むのがヤツメこと鬼一法眼。彼女がこの『爆劔』を貫く一筋の線となりーー。

 

二作目『爆劔~東京転生死合~

 キャスト

【ヤツメ】雛形羽衣

【オノ】黒木文貴【ツカハラ】川渕かおり【シロ】鶴見萌

【ヒラガ】佐藤智広【コンドウ】松原凜【モリ】宮ノ尾美友

【ミツヨシ】桜町たろ【センセイ】小栗諒【オダ】鵜飼主水

 

 二作目。時は流れて舞台は現代。新宿は歌舞伎町。

 家康になりすましていたオダノブナガの転生を疑い、悠久の時を生きるヤツメは今ではバーを営み、そこで転生したかつての剣豪達を集めていた。

 一方で、オダの配下達もまた本当のオダを求めて夜を彷徨う。

 敵も味方も、皆な同じ行為を繰り返している。

 それは無数に存在する「転生したオダ」を見つけては、殺害する事ーー。

 一作目が王道だった分、アレンジ過多の混乱で魅せる二作目。これもこれで成立していたと思う。前作のアクションに見劣りしないくらい、設定だけだと弱い気がする「沢山のオダ」というヴィランが不気味かつアクションでも妙に見映えがする。

 かつて単純明快だったエンタメに、歌舞伎町に集う雑多な野良犬たちーーという名目で『銀魂』的な和気藹々を演じていた風俗嬢、ホームレス、ヤングケアラー達それぞれの地獄から目を背けるなという深掘りも入り、時代設定を抜いても話のレイヤーが一つ現代に近づく(個々の問題が取って付けた感もあり、搾取構造を容認する社会の有り様の責任について、漠然と「人間は愚か」で済ませず、もっと中枢に迫れないかとも思うけれど。生活保護問題の手つきも、結果的にアウトではなかったが何を言うのか妙にひやひやした。こちらがヨコオさんの倫理観にまだ信頼を寄せられていないからだと思う)。

 

 一作目でも二作目でも中盤でグルメパートが入り、二作目はコロナ禍の影響で食することが出来ないので匂いだけなんとか観客に伝えようとする謎の試みまで。

 正直、グルメパートに関しては大した効果を発揮していないと思うのだけど、各種配信でのコメントによると「グルメパートの行き着く先」でもっと試したい事が沢山あるらしく、その前段階と考えると確かに想像は膨らむ。

 勿論それは「ゲームでは出来ない事」の最たるもので、特に肉体の存在が前面に主張する一作目では「目の前で食事していた役者」が「その肉体でそのまま暴れ回る」ことのエネルギッシュさ、これ劇場で観劇すれば相当だったのではないかと。

 二作目ではご時世柄食べられはしなかったグルメパートよりむしろ、アドリブでの絡みに息も切れるほど全力で挑んだ(腹苦しいくらい笑った)柳生父子が、いつのまにか呼吸を整えてそのままシームレスに剣戟シーンに移行する様に感動を覚えた。

 (配信日なので)「デジタルタトゥーを、デジタルタトゥーを!」と、父親を脱がそうとしたり股間を掴む息子(息子を演じるのは女性)という倒錯にも程がある「癖」、ヨコオさんの趣味の領域を役者が完全にモノにしてる迷場面でした。

 アクションにせよコメディにせよ、基本突き抜けようとしてくれるのが『爆劔』の良さなんだな。と、新作への期待値も爆上げ。

 そして話はヤツメの過去に遡りーー。

 

三作目『爆劔~源平最終決戦~

 キャスト

【鬼一法眼】雛形羽衣【ミカエル】須賀京介

【安倍清明】松田彩希【オニ】町田尚規

源義経木村優良【源頼朝】千葉瑞己【弁慶】沖野晃司

静御前青木志貴【オロチ】小泉萌香【平清盛】綾切拓也

【アンサンブル】飯原優/梅田祥平/加納義広/中野貴文

 

 14日初日、S席で観劇しました。こういうお値段のかさむシートを買っても最前に行けた試しがないどうも僕です。この一回きりの体感だけで記憶しています。

 場所は渋谷シブゲキ!。109の一つ奧のテナントビルの一番上。ライブハウスと同じフロアにあって、舞台のフライヤーもライブのフライヤーも置いてあって、「こんな109の看板裏みたいな場所で小劇場の空気ってちゃんと醸せるんだ」と感動する良い雰囲気。

 現場に通い始めた頃、このビルにあるお洒落なラウンジでD4DJのトークショーに参加し、お酒呑みながら小泉さんの誕生日を(倉知玲凰さんの粋な計らいで)祝えた事は今でも思い出でしtあのラウンジ潰れてるー!!!というショックを受けつつ。

(あそこもしかして「Barヤツメ」だったんじゃないかな、、、)

 

 本当に小さな劇場で、出演者個人個人のイベント開催しても余裕で埋まりそうなくらいのキャパ。お隣りの方に教えていただいたのですが元は映画館か何かだったらしく、座席がふかふかで長時間の観劇が全然怖くないのは有り難かったですね。

 S席特典の開演前気合い入れ見学会、、、の更に前、ILCA関谷Pからアナウンスがあり、「今この客席側にいるスタッフはそれぞれ何を担当している人か」説明が入って、各種機材担当のスタッフさん達が紹介され、振り返った観客と手を振り合う楽しい時間。

 ついでに客席にいたヨコオタロウさんにばっちりファンサを貰う。

 これは楽しかったし、グルメパートがある事も含めて「劇場の中で体験する」ことに特化した本作に於いて、良い試みだと思いました。まだトワツガイに続いて二作目ですが、いちだい演出作品の中で技術さんの比重はドチャクソ大きく、いわばキャストのようなものなので、等しくスポットを浴びるのも面白いなと。

 そして気合い入れ見学会へ。

 本番前のキャストの気合い入れをステージ上で行うという試みで、初日本番前のちょっとフワフワした空気が伝わって来て面白かったです。

 というか近い! 

 これまたお隣りさんとお話させて頂いた時の話題なんですけど、ライブだとモニター見ないとわからないほど遠くから見なくちゃいけない人が、こと舞台や朗読劇となるといきなり肌質とメイクのノリ具合さえバッチリ判る至近距離に現れる落差に脳がバグります。

 下手側二列目だったので、正直もえぴバッチリ目の前ですよ。

 ただ衣装もメイクも歌舞伎のように強烈なので、他のキャストの方は咄嗟に誰が誰だが判別しきらないまま気合入れ見学会終わってしまい少し後悔。

 萌香ちゃんこういう時絶対目合わせてくれないんだよな*1

 

 まず本編の感想に組み込めそうにない特別な体験が2つ。

・グルメパート。ミカエルの「虫嫌いな人ー」という質問のフェイントで真っ先に手をあげてしまったオロチ、コオロギを食す。萌香ちゃんの虫嫌いエピソードはさんざん触れてきたので、ここのジタバタと、意を決して食し、「足が、足がまだ喉に!」と騒ぐ様は最高にかわいそ可愛かったです。ちいかわ。嫌がらせもやり過ぎたら冷めますが、オロチのキャラとこのアドリブパートのあどけなさが矛盾しないというのも大きかった。

・ライト演出。事前に客にライトが配られるという話は知っていて、ペンライトを振るような場面でもあるのかなと思ったらそうじゃない。客が手にしたライトがステージ上の音波と共鳴して、照明装置として機能するという試み。

 これは凄いでしょ。他にもやってるステージあるのかわからないし、観劇したお客さんの感想でも意外と触れられないのですが、なんなら本作で一番意義深いシーンはステージ上のどんな展開より、この客席を照明装置に変えた転換だと思いました。

 ずっと舞台に参加している気分。楽しかった。

 グルメパートの野心同様、というかグルメパートより遥かに効果的に客席を舞台に巻き込んでくれた。

 「舞台と客席の境目を溶かしていく」ことが今後、『爆劔』シリーズの優位性獲得の鍵となる気がします。

 

 そして本編。

 話は千年前に遡り、ヤツメの役名表記も初めて『鬼一法眼』とクレジット。

 一作目が基本的には群像劇でありこれから戦う面々を粒立てたように、今回は源氏と平家双方の視点を交互に描いていくのかなと思いきや、あくまで源氏サイドの、ちょっと西遊記を思わせる凸凹チームの珍道中がメインで、遠景に明らかに異常を抱えた平家サイドの奇態とその脅威を感じていく流れ。

 狂言回しとしてヤツメと本作の主人公・武器商人のミカエルがおり、過去シリーズではキャストが変わるがわる担当していた(それ自体が楽しかった)「口上」をほぼ二人、そして説明科白に関してはほぼヤツメが担当する。

 

 あらかじめ結論を言うと後半の悪印象が残ってしまった舞台なのですが、全体の3分の2は〆たと思う前半は今作も楽しかったです。過去配信だけでもすごかった役者の肉体の躍動を実際に至近距離で見るとド迫力ーー

 ・義経が初登場で跳躍した瞬間即「義経だ!」と納得させられるその高さ

 ・オロチの片手あげるだけ省エネ攻撃の威力を全力で吹っ飛んで示してくれるオニ

 ・段差の上から足おっぴろげて後ろにひっくり返り(後ろも見ずにこれするの吃驚した)、「下品な恰好するんじゃないよ」と義経に怒られる弁慶。笑うけど沖野さんの体躯の「弁慶」的説得力よ

 ーー加えて、中心で安倍晴明(♀)がピョコピョコ跳びまわってチームをにぎやかす様が可愛い。舞台トワツガイ、何度見ても他のキャストとそう変わらないはずの小泉さんの背が低く見えるのが不思議でしたが、そのトワツでもただでさえ高めの身長に加えて高いヒールを履いていた松田彩希さんが、ここでは童のように小柄にしか見えないのも面白く。

 客降りが単なるサプライズではなく、一行の「旅」感を増幅させる。式神攻撃もいちだいマジックに映える。

 対して、平家サイドは常人離れした神々しさで魅せる。ただでさえ存在が人間離れしている青木志貴くんが表情も姿勢も声さえも完全にコントロールしたこの世ならざる雰囲気を醸し、やはり美に愛されたあやたく君の清盛と共に上手の舞台奥に鎮座するだけで膨れ上がる神々しさ。

 そこに無理やり拾われてきた野良猫のようなオロチのふてぶてしさも妖艶でいて幼くてドキドキ。表情がつぶさに見守れる位置だったので萌香ちゃんガン見してしまいましたが、他の舞台ではまず見せない、「え、演技してる???」と問いただしたくなる、(・∀・)ニヤニヤした不遜な態度で寝転がったりしていて、ドタバタした源氏サイドとも人間離れした平家ともつかない人外の空気が今思えば貴重でした。

 最初はオロチが何者かわかっていないので、普通に芝居してないんじゃないかと焦っちゃったけど、結構極端にスタイルの異なる各キャストの芝居、全体像を知った上で振り返ると適切な配分になってましたね。

 そして何より座長・ミカエルの安心感。普段はバンドを率いていて舞台経験もそう多くない人だと後で知る訳ですが(ついでに印象より一回り若くて横転)、須賀さん完全にベテランの風格と包容力。この人の語りならどんなホラも信じてしまうだろうなという、その話術の板につき方は、なるほどアーティストだからこそなのかもしれません。

 

 キャストとキャラが合致して、尚且つ数多の特殊演出効果で舞台上の寸法がミクロにもマクロにも自在に伸縮して源氏一行の冒険譚に巻き込んでくれる。

 そして絶対に本作の白眉だったと思うのですが、果てしない階段を上って、しかしそんな高い階層にあるとは思えないだだっ広い大広間に迷い込むーー映像じゃなきゃできなさそうな表現を、はっきりと目の錯覚で幻視した後で、「ようこそワンダーランドへ」。

 第一部の終幕と、作品の一部となる「休憩のアナウンス」。

 ・・・・・・ここが、興奮のピークでした。

 

 一作目も二作目も、クライマックスの壮大な世界観が明かされるくだりで、「ああ、ゲームクリエイターの作品だ」という妙な既視感と懐かしさを覚えます。

 自分はコントローラーを握り画面の手前でプレイヤーを動かし、その向こうで巨大なシルエットのラスボスが独白しながら一気に作品のテーマをまくしたて、荘厳なBGMが場を盛り上げるーーこれぞJRPGといったゲーム終盤の感触。

 この二作はそこまで役者のフィジカル&いちだいマジックで、ひとしきりプレイヤーを操作して敵を倒しつくしたような爽快感があった為にそのクライマックス、若干観客を置き去りにしている空気も存分に受け止められたのですが・・・・・・

 

 本作、第二部ワンダーランドに突入してからキャラクターが横並びになって審判を受けるという、独白の羅列となってしまう。

 七つの大罪を背負わされたメインキャラ達がそれぞれ衝撃のバックボーンを明かしていく、一作目がウソのような、そもそも松多壱袋さんでやる必要あるのかとなる硬直した時間が続く。

 ほとんどこじつけのように降って沸いた秘密と罪が次々露呈していくのですが、その内容がアンバランスでいてリアリティラインもバラバラな上、キャストの熱演にゆだねられている為ーー独白するキャストの熱演を間近で見ると確かに見ごたえはあるけれど、それはもはやキャラじゃなくて「キャストが熱演しているな」という現実の確認時間になってしまう。

 つばのかかる位置で見たオニの熱演は凄すぎてちょっと引いてしまった。これは町田さんが素晴らしい役者である事と、ここで演出が仕事できてない事、両方の証左だと思う。

 オロチの話は罪でもなんでもないですし(そういう解釈でよいとヨコオさんは言うが、そんな作品にとって都合よく調律しながら観劇できない)、何より平安時代は普通に男色流行してましたから、弁慶の懸想にどう同情していいかわからない。

 この停滞した時間、ずっとステージ手前で倒れたまま死んでなきゃいけない清盛のお顔があまりに綺麗だったので、キャストの独白にすぐ飽きてあやたく君ばかり見ていました。

 機械的存在に徹した青木志貴の凄みだけは確かに十全に堪能しました。アフタートークではっちゃけてくれるまで、一切そこに生身の役者がいる人間味を感じなかったかもしれない程に。つまり配役そのもの、そしてキャスト自体はみんな完璧に機能していた。

 

 斯様に、プレイヤーを操作した実感なく、停滞した時間を眺めた後に始まる「プレイヤー置き去りJRPGクライマックス演出」はもう、完全に心が離れてしまったのです。

 全公演終了後、YouTubeのスナックヒナガタでヨコオさんが脚本を振り返りながら自己言及と言い訳を重ねていて、観客が感じたような違和感はどれもヨコオさん自身ほぼほぼ認識している事も確認したのですが、それを直す時間がなかったんだなという事実が唯々残念。

 何より第一部であれだけ立体感たっぷりに侵入したワンダーランドが、第二部ではただの平面、そこにある素のステージへと骨身を露呈してしまったスケールダウンが悲しかったです。

 

 個人的には平家サイドにもフィジカルで戦えるキャラが最低二人はいたら印象は、そして展開も、全然違ったのではないかと。過去作での柳生父子の存在のデカさを痛感。

 それでもヤツメとミカエルの壮大な物語の始まりをここに示して終わり、シリーズの縦の線を組み立てる力業は流石で、何より今作の二部でほぼほぼ動きを封じられてしまったキャストたちが過去作のキャストと対峙しもっと暴れまわる、そんな続編を楽しみにしています。

 

 目当てはオロチでしたが、結果として屈強な男たちに囲まれたセーメーの溌剌としたマスコット的可愛さ、という構図がはちゃめちゃツボでした。

 

 

*1:この日はこう思ってた