スタッフ
【演出】市村啓二 【脚本】江嵜大兄
(公式サイトのスタッフクレジット少なすぎでは)
キャスト(舞台少女/『別れの戦記』配役)
【高千穂ステラ/エイラ・サントラム】青木陽菜
【大嘉美詩呂/ルイーザ・バッハマン】松澤可苑
【森保クイナ/ロイス・クライン】佐當友莉亜
【小鳩良子/フィオナ・シュナイダー】深川瑠華
【南風涼/マリアヴェーラ・イル・ソーレ】佃井皆美
【石動双葉/カタリーナ・レオパルド】生田輝
【西條クロディーヌ/クラウディア・シュヴァルツヴォルフ】相羽あいな
【鶴姫やちよ/ハンナ・リヒター】工藤晴香
【アンサンブル】稲田有梨 黒木美佑 篠本桜 夏目桃佳
【える/あんどりゅー】佐倉薫(声)
【あらすじ】
聖翔音楽学園・シークフェルト音楽学院・青嵐総合芸術院の三校による戯曲交流プログラムが開催されることになった。
シークフェルトはやちよがお目付け役となり、中等部5人でクロディーヌ、双葉、涼を出迎える。上演する戯曲は、聖翔の人気演目『別れの戦記』。香子・真矢主演で再演も果たしたことから、クロディーヌと双葉は並々ならぬ決意を胸に参加し、涼もまた、シークフェルトに新たに生まれた原石たちに興味津々である。
Regaliaを経て、それぞれが舞台少女として一歩を踏み出す中、詩呂だけは一人、舞台に立つ理由がない。詩呂は幼い頃からシークフェルト家の従者であり、ステラのためだけに生きてきた。全てをステラに捧げてきた。だが、レヴューを通じてステラと良子の間に友情が芽生えてからというもの、彼女の存在意義は揺らいでしまう。
激情に駆られる詩呂はついにーーこれは、反逆(Rebellion)の物語。
『あなたはもう、演じなくていいーー』
(公式サイトより)
前作『Regalia』で個人的にグッときたポイントは舞台少女達が実際に『ロミオとジュリエット』を稽古する模様を話の筋に盛り込んできたことと、レヴューはレヴューとしてそれぞれのドラマは個々に続いているように見えたこと。
クライマックスの一大イリュージョンですべてが昇華されてしまう印象が強いフォーマットとは距離を置いて、少し地に足の着いた新規性が好きで、この転換は本家聖翔の#4CLIMAXでも継続していた様に感じる。
スタァライトの第2フェイズはもう始まってる?
舞台少女「未満」と銘打たれた少女達の物語はどこへ向かうのか。前作では詩呂がそのキーを握るのだろうと感じさせる幕引きだったが果たして。
今回の白眉はスタリラ内に登場した戯曲『別れの戦記』の劇中劇としての上演。
実在の戯曲だったロミジュリから作品内というフィルターを通しての「実在の戯曲」へ。この変化は段階を上げたのか下げたのかわからないけれど、上演前に双葉が音頭を取って円陣を組むあたりはより舞台少女達の演劇人としての解像度を上げたように思う。
おかしな話、今まで演劇の物語でありながら実際の演劇そのものとしては見せないよう苦心してきたものがスタァライトだったから、そこの垣根はもう破っていくのだなと。
そしてそんな劇中劇を中断して(実際には幕間の休憩中に)詩呂が展開する「絶望のレヴュー」。松澤さんの「やさぐれた逆切れ」みたいなテンションで場をかき乱すお芝居には、よく存じ上げないけれど確かなキャリアを感じた。
中等部の物語への不安感として、結局彼女たちが舞台少女に成りました、で終わるゴールに向かってるのであれば今まで九九組や青嵐・シークフェルトらが舞台少女に成ったその後の物語を愉しみ、なんなら他校の面々のそれらのパターンをより心待ちにしていたファンとしては、結局この新しいキャラクター達に何を期待して見ればいいのかわからない、というところがあって。
そこをブチ壊すストーリーライン、既存のレールから外れてさえしまうかも知れない不安定さを「舞台少女未満」というフレーズから期待し、今回詩呂はどんなRebellion(反逆)を見せてくれるのだろうと期待していた身からすると、、、名前だけは重々しい『絶望のレヴュー』がどうにも予定調和で落着してしまったような、些かの物足りなさを覚えたのが本当のところだった。
もちろんようやく5人揃ってスタートラインに立てたという段取りではあるのだが、ゴールをすでに知っている故の、ワクワクをどこに向ければいいのかわからない困惑。こちらの想像していないようなゴールが用意されているのだろうか。
絶滅危惧種を名前に配された意味がこれで終わりとは思えないけれどーー?
そして、訪れる『別れの戦記』後半。絶望のレヴューで中等部が敗北したように、ここで双葉と涼がすべてかっさらい、少なくとも配信で見ている限りではさっきまでの絶望のレヴューの印象さえ塗り替えてくれた。
そういう意味では中等部の立ち位置を崩さないまま見せ場を作り、しかし本物の芝居巧者たちによって今いる場所を思い知らせるというヒエラルキーが、嘘偽りない演者の生の実力で成立する点非常に刺激的で、すべて狙いの内だとすればしたたかではある。
キャスト。
クロディーヌは非常にクロディーヌ的なポジション。話の流れあまり関係なく単独殺陣で乗り込み歌で見せるあいあいさんの存在感、『Delight』とはまた違った伏兵としての格好良さが。
身体的にダンスや演劇的所作との相性が備わってない気がするくどはるさんも、得意な声の芝居で体をリードさせることで前作よりはるかに馴染んで見えたし、何よりその飄々とした調子が結果やちよっぽさを醸し出して愛嬌がある。
カタリーナとハンナの爛れた関係性が好きです。
久家心さんは相変わらず動き出すと耳目を引くので、もっと見せ場が与えられたらどうなるんだろうと未だに期待大。あの巨大な輪の武器をグルグル回しながら重心を低く落としていく構えに痺れる。
深川さんは相変わらずのたどたどしい空気を保ったまま、良子である時とフィオナである時とガラッと表情を変えてくるので、このたどたどしさのどこまでを「持ち味」とみるのかまだ判断に迷っている。
さとゆりさんは芝居が半テンポ早いというかいきんでいる印象を受けるけど、正にクイナはそういうキャラでもあるのでハマってきた。
青木陽菜、ここぞという時の歌声の伸びの頼もしさが九九組を彷彿とさせ、詩呂の物語であるからこそ余計にステラの主人公味が引き立っていたと思う。センターで堂々としている様が似合う。
犀川先生。好き。
ライブパート
1.ユメみロ(中等部)
2.Star Diamond(先輩組)
3.星のダイアローグ
4.ディスカバリー!
5.カーテンコール(kaleidoscope of revue)
配信だし時間も経ったからの妙に醒めた感想になってしまいましたが、恐らく現地観劇していたらもっと興奮して感想も180度変わったんだろうなと思っております。
ライブパートを「カレイドスコープ・オブ・レヴュー♪」と歌って〆られると「それな」としか言えない。