『少女☆歌劇レヴュースタァライト -ReLIVE- Reading Theatre 第二弾「追奏 ~ Session of Reminiscence ~」』感想

 スタッフ

【脚本・演出】江嵜大兄

 キャスト

【雪平心音(愛城華恋)】小山百代

【伊福部千弦(露崎まひる)】岩田陽葵

【伊福部千弦(星見純那)】佐藤日向

【黛響子(天堂真矢)】富田麻帆

【黛響子(花柳香子)】伊藤彩沙

【久石真琴(石動双葉)】生田輝

 演奏

音楽監督/作曲/ピアノ】furani

【1st ヴァイオリン】emyu:/梶原圭恵(日替わり)

【2nd ヴァイオリン】鈴木睦美

【チェロ】菅野太雅

 

【あらすじ】

 華恋が戯曲資料室で見つけた一冊の脚本。

 タイトルは『追奏 ~ Session of Reminiscence ~』。

 上演記録が一切ないその脚本は聖翔音楽学園の卒業生が書いたものだった。

 とある高校のオーケストラ同好会の物語ーー。

 脚本に込められた作者の想いに触れた華恋は、定期発表会での上演を決意する。

 

 会場:飛行船シアター 公演日:2022年12.03/12.04

 

 『田中ゆゆ子の古典落語劇場』に続くスタリラ朗読劇第二弾(『新訳ロミオとジュリエット』も無料配信で試聴しましたが、あちらはカウントされてない様子)。

 Wキャストの両日収録で計3時間の大ボリュームがシングル『綺羅星ディスタンス』の特典として付いているもの。

 そして恐らくスタァライトで初めて? 完全オリジナル戯曲の上演。

 それも実際に今の学生が演じていそうな現代劇。

 

 スタァライト#4はいよいよ次の舞台を探して聖翔99期生が卒業後の世界を生きる話でしたが、綺羅星ディスタンスのジャケットが↑の様に「上演を終えたステージを降りて客席に立っている華恋」で、カバー外して裏表紙を見るとその足がもう劇場のホワイエまで出ている事から「最初の聖翔の物語」が映画に続いて舞台上でもハッキリと終わった事が強調されています。

 来たる舞台円盤の特典ブロマイドでもとうとうお揃いの衣装ではなく等身大のキャストの写真に変わり、「役/キャストの別れ」が告げられている訳ですが、ではいよいよアニメを映すカメラからも舞台で演じる役者の肉体からも離れた舞台少女達はこの後どう生きていくのか。その片鱗を記録したような朗読劇だと感じました。

 等身大の少女達が過ごす青春と、無情に訪れる少女の死。

 概念上弄ばれて来た「舞台少女の死」ではなく、文字通りの少女の死を描く話。

 二重に「別れ」を告げて「彼女たちの世界線」で「舞台が続く」という宣言にも取れる話で、本作を観てから「#4」を見ると、死を描いているのに不思議な話ですがもっと安心するのではないかと。

 メタ的に舞台少女が舞台に立つ話を見ている私達には手を振るけれど、彼女達は彼女達の舞台の上で地に足を着けているのだと、その舞台上で死を演じるからこそ逆説的に印象づけてくる。

 心音の生き様に、後に単身ロンドンへ飛び出していく華恋の達観が焼き付いているようで、このタイミングで見るとそこにもまた二重の「役の重力」が宿って見えました。

 

 そんな小山さんを筆頭に、流石にもう九九組みんな「役として舞台に立っている芝居」が達者過ぎる。

 顕著なのがWキャストで演じる千弦と響子で、同じ役なのにそれを演じるまひる/純那、真矢/香子の芝居のスタンスの違いがまざまざ見えてくること。

 二重の芝居ってどういう意識で演じるのか。もはや意識するまでもなく九九組としての自分が馴染んでいるからこそ出来ることなのか。

 個人的MVPは佐藤日向さんでした。

 「純那がクールなスタンスの女の子だと解釈して千弦を演じている」事がモノ言わず最初の一言二言で見えてきて鳥肌が。

 

 あらかじめ飛行船シアターには馴染んでいるので、あの空間でこの生演奏やライティング、そして降雪の仕掛けを浴びたらそれはもう体感骨身にまで迫っただろうなと容易く想像がつきました。

 むしろ飛行船シアターにもっとも向いているのは舞台より朗読劇かも知れない。

 

 こちらのブログ併せて改めて臨むと、また印象が変わるかもです。

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