過去作DVDが溜まってきたのでそろそろ観倒そう。
の、その前に今まで観てきた分の感想メモも溜まってたのであげておこうかと。
スタァライトがあってもなくても舞台出続けた人なのかも知れない。
『放課後戦記(2016年)』
会場:新宿村LIVE
公演期間:2016年 10月5日 ー 10月10日
役名:闘鷹争
スタッフ
【脚本】桃原秀寿(平熱43度)【演出】奥村直義(BQMAP)【原案】オクショウ
キャスト
高橋優里花(元乙女新党)/田尻あやめ(元乙女新党)/君島光輝/磯原杏華/片岡沙耶/南千砂登(アイドルカレッジ)/藤本かえで/末永みゆ/星園まりん(メチャハイ♡)/久田莉子(演劇ガール☆フューチャ)/小泉萌香/菜田彩佳(メチャハイ♡)/咲山しほ(メチャハイ♡)/今村美咲(メチャハイ♡)/荒木未歩/加藤美紅/齊藤奈央/楠ろあ/日下部美愛(Prizmmy☆)/石原佑里子/野々宮ミカ/峰岸ちひろ/菊池梨沙/宮田祐奈/白鳥晴菜/河合柚花
【あらすじ】
主人公の『門脇瀬名』は受験を控えた高校3年性。
ある日の放課後、瀬名が部活動であるテニスを終えて帰宅しようとすると、何故か校門が強固なバリケードで覆われている。そして響く校内放送。
「あなた達には部活動対抗で殺し合いをしてもらいます。」
生きて帰れるのは一つの部活だけ。瀬名は戸惑いながらも他の部活と対峙してゆく・・・。
先に2018年の映画版と2017年版舞台を見た後、おそらく今見れる最古のぴ舞台。
スタァライト以前だけど闘うし、やが君以前だけど女の子同士のキスシーンも。
ともかく大量の少女達が広いとは言えないステージ上で入り乱れ、前半ではしつこくギャグを飛ばして絡みながら、後半では瞬く間に殺し合って、そして意外とあっさりネタバレして核心へ。
先に2017年版を観た時はバトル・ロワイアルのミームっぽいものを素でお出しされる序盤の台詞の数々に気恥ずかしさ覚え、悪い意味で学芸会に見えてしまったけど、再見した時はこのネタバレ(バトロワよりも別の某ミステリ映画の印象が勝つ)の内容を大量の少女たちが蠢きながら演じている事が最後にカタルシスを呼んでるように見えなくもなく。
そしてこの大量の少女たちの中で、2023年現在自分が知ってる人は市川さん、小泉さんしかいないという現実のサバイバル状況含めてエモを感じました。生き残ったのではなく、こうして競い合った記憶の中で、かつて共演した「みんな」を連れて今も舞台に立っているのかも知れない。
スタァライト中等部舞台レガリア、「私達はオーディションや試験で落ちたみんなの分も背負ってここにいるんだ」とミチルがみんくに語り、アフタートークゲストで訪れた小泉さんが「ミチルの台詞が印象的。本当にそうだと思ってるから」と語っていた事を思い出していました。実際こういう話は他の場所でもされていましたし。
争は主人公を囲むメインチームではない、いわばモブ達の中で異色、かつダントツ個性的な衣装を着ているという、なかなかおいしい存在。そもそもスタイルが良すぎる上に特殊衣装なので余計目立つ。最初からイケぴ全開だったのね。
『巌窟王 Le théâtre(ル・テアトル)』
会場:こくみん共済coopホール/スペース・ゼロ
公演期間:2019年 12月20日 ー 28日
役名:ユージェニー・ド・ダングラール
スタッフ
【脚本・演出】村井雄(KPR/開幕ペナントレース)
【監修】アニメ『巌窟王』製作委員会
【協力】前田真宏(カラー)、橋本太知(スロウカーブ)
【ドラマターグ】御笠ノ忠次
キャスト
【アルベール・ド・モルセール子爵】橋本祥平
【フランツ・デビネー男爵】前嶋曜(JBアナザーズ)
【ユージェニー・ド・ダングラール】小泉萌香
【エデ】市川美織
【アンドレア・カバルカンティ侯爵】小松準弥
【マクシミリアン・モレル】遊馬晃祐
【ペッポ】大野紘幸
【リュシアン・ドブレー】熊谷嶺
【ジョヴァンニ・ベルッチオ】加藤靖久
【ダングラール男爵】村田洋二郎
【ビクトリア・ド・ダングラール】田中良子
【フェルナン・ド・モルセール将軍】徳山秀典
【アンサンブル】井上象策/村井雅和/中井絢子/五十嵐睦美
【あらすじ】
ーー15歳の春。僕がはじめて憧れた人は、復讐鬼だった。
パリの青年貴族・アルベールは退屈な日常に飽き、刺激を求めて、親友のフランツとともに、月面都市・ルカのカーニバルに参加する。そのころ、ルナの社交界では東方宇宙からやって来た謎の紳士、モンテ・クリスト伯爵の話題でもちきりだった。
オペラ座でモンテ・クリスト伯爵の姿を見たアルベールはその存在感に圧倒される。
やがて、モンテ・クリスト伯爵との交流を深めていったアルべールは、伯爵の妖しい魅力の虜となっていく。
民族模様的でもある極彩色のテクスチャーが張り詰められたスペースパンクにして古典文学の翻案という異色のGONZO×前田真宏アニメ『巌窟王』15年越しに舞台化*1。
スペースパンクを2.5次元に起こすにあたってまだまだ工夫の余地はあったのではないかと思う(現地で観ていたら当然感想は違ったとして)。
メイク、衣装、プロジェクションマッピングで原作アニメの絢爛豪華なビジュアルはキープしつつーー。
アニメに登場する「鎧」という人型巨大ロボットが石ノ森特撮ヒーロー的な等身大の被り物(デザインは格好良いが)の殺陣に置き換えられ、基本1対1でしかないし、決闘シーン自体も僅かだしで、舞台の内容を矮小化させるノイズのように見えていた。いっそ巨大ロボ要素は丸ごとオミットしても良かったのではないか。
変わりに、アニメでは間延びしていた記憶があるストーリーを二時間半にギュッと凝縮する事で、宇宙時代のドラマでありながら中世のシェイクスピア劇を思わせるという、むしろ原作アニメが打ち出しきれなかった物語の妙はより強調されている。
三角関係が共通する事で子供組と大人組の残酷な落差もより鮮明に浮かび上がる。
まだ15という年齢設定もあってかアルベール橋本祥平の熱演が過剰にも感じられ、逆に熱演をうまく封じて飄々とした伯爵を演じる谷口賢志の特異性を引き立てる。
アニメ以上にバタバタ死ぬ終盤では大芝居が順に続き、自分は『爆劔~源平最終決戦~』の第二部といい、舞台のこうした流れはやや苦手なのだなと気づけた。
OPっぽい曲がEDでEDっぽい曲がOPでもお馴染み『巌窟王』でしたが(舞台パンフでも役者が同じ印象語ってて笑った)、舞台版は気持ち良くその配置を逆にしており、そこは痛快でした。
さてユージェニー、親の政略に運命を翻弄される美しき令嬢。ここまでストレートに「ヒロイン」している小泉萌香さん貴重過ぎる*2ので、非常に眼福です。
何度か背後から見せるユージェニーのピアノ演奏シーン、手が広がりすぎてることにやたら違和感覚えたのですが、手の長さも影響してるのでしょうか。小泉さんはピアノ弾ける人なので、何か意図を承知してやっているとは思うのですが。
『放課後戦記』に続いて市川さんと共演。
『舞台版「魔法少女(?)マジカルジャシリカ☆第壱磁マジカル対戦☆」』
会場:シアターサンモール
公演期間:2019年 3月13日 ー 17日
役名:バルセロットムーン
スタッフ
【脚本・演出】加藤光大
キャスト
《日本代表》
【黒田ちえみ】林千浪(おとな小学生)
【ジョポニック山寺】伊藤節生
《スペイン代表】
【バルセロットムーン】小泉萌香
【バルセロットルール】土井祐斗
《中国代表》
【チャイニージンジャー】生田輝
【チャイニーロケット】室龍規
《ソ連代表》
【ソレンジャーピース】田辺瑠依
【ソレンジャーアクセス】新井雄也
《ブラジル代表》
【ブラジリアンキャンペーン】渡邊ひかる
【ブラジリアンタカオモン】小阪崇生(おとな小学生)
《バチカン代表》
【バチカンコロモチ】高橋果鈴
《アメリカ代表》
【アメリカンエクスポックル】遠藤璃香
《フランス代表》
《ケニア代表》
【ケニアンモジモジ】山田裕太(おとな小学生)
《ダークマターシリンダー》
【黒幕の女】斎藤亜美
【悪の戦闘員】野田克哉(おとな小学生)/窪田カン/狐塚佑紀/小原峻
【悪の帝王「タケザキ・テツオ」】加藤光大
《伝説の魔法少女》
【マジカルリエコ】石原美沙紀(おとな小学生)
【マジカルシリンダー】富田麻帆
【あらすじ】
典型的田舎系女子高生「黒田ちえみ」は、東京の小劇場で活躍する「山寺裕大」の大ファン。ちえみはいつものように学校を早退し鈍行列車で東京に到着すると、開演一時間前にも関わらず山寺とばったり遭遇。すると突然ちえみの手を引っ張り路地裏へと連れて行く山寺。驚くちえみに山寺から衝撃の一言が告げられる。
スタァライトに出会ってから新鮮に追いかけている舞台沼、なにげにそれまで自分の中に漠然とあった、そして多くの舞台疎遠勢にもある程度共有していると思われる「ザ・小劇場」な、ポスト大人計画(と言っていい?)のノリ。今までたぶん偶々回避出来ていただけで、ついに遭遇しました。
ザ・小劇場ノリの難点として「内輪ウケを見せられる」辛みって大きいと思うんですけど、本作の面々は九九組を追って知った人たちや普通に知ってる声優陣で、ついでに何故か声優陣がやたら堂に入った芝居をしていて(初舞台なのにほぼアドリブで客をイジる広瀬ゆうき)、厭味無く入っていけました。少し苦手意識を克服。
まほチャンネルでお馴染み林千浪さんの長広舌スタートも入りやすい。
中身は、前半は大量のキャラクターがコントを繰り広げ、後半で怒濤の勢いでバトルロイヤルで死んでいき、そして真相発覚へ、という『放課後戦記』と同パターン。
「その『魔法少女』の印象なに?」とか「問題しかない国の擬人化どこまでマジなの?」とか引っかかる点は沢山ありつつ、主人公の価値観を通して描く、早すぎた「推し活批評」的なまなざしを日本のアイデンティに据えるところは意外と風刺として鋭いかも知れなくもなきにしもあらずかも。
大枠としての展開はそのまま本当にTVアニメに流用出来そう。
ポップなバラエティが無限に続くのに、ラストシーンでは脳内に『まどマギ』のEDテーマが流れ出すようなギャップも嫌いじゃない。
「男女セットで魔法少女」というアイデア、普通に喉から手が出るほど欲しがるアニメ会社あるのでは。
「舞台版」と銘打ってるけど「アニメ版なんてありません」編も含めて全3作の舞台で、本作が何公演目なのかはわからないけど「悪役のオリジン」である事は最後にはわかる。
で。バルセロットムーン、クレジットは上位だし折角某美少女戦士みたいな名前なのに、あまりおいしいポジションとは言えず。
『まほチャンネル出演時』でのぴの発言。
「私の出てない場面のアドリブどんどん増えてってみんな楽しそうで。『早くしろよ』って楽屋でふて腐れてた」
を思い出してジワジワきていました。
善も悪もアドリブやギャグパートが多い中、スペインチームは特に好感振りまく訳でもなくやっと出番来たと思ったら裏切り開始。
ギャグよりも、デコ出し時代の小泉萌香のチャイルディッシュなフォトジェニックの魅力を押しだしたような演出がメインで、ひとりスタイルを見せつけてくるのがちょっと異質。
裏切って死んだくせに「みんなの想いを一つに」ターンで普通にみんなと歌って踊るの笑っちゃった。作者はスペインに何の怨みがあるんだ。